秩序の騎空団でグラブる   作:秩序派

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前回のあらすじ

牛乳を飲みだしたリーシャは最高に可愛い。あとは7000字以上の蛇足があったぐらいです。


第7話 入団1年目 繰り返されて結成

エピソード1

 

 更なる左遷によって、俺は極寒の地ノース・ヴァストの駐在員となっていた。そして、不本意ながら無法者集団オダヅモッキー・ギャングスタのアジトにいた。周囲には20人ほどの荒くれ者たちがいる。

 

「なんだぁ、ソイツはよぉ!」

 

「オイ達のシマで、怪しい動きしてやがったからなぁ!」

 

「おう、引っぱってきたんだ!」

 

 そういうわけだ。下手に戦闘してロック鳥に気づかれる展開だけは避けなければならなかった。そもそも俺は普通に歩いていただけだったんだが……。

 

「他の奴らみてえに、薪にしてやりゃあよかったのによぉ!」

 

「それがよ~、武器をたくさん持ってやがるんだ!」

 

「カバンには薬がたくさん入ってるんだぜぇ!」

 

「分かったぜ! よろず屋ってことだな!」

 

 いやいや、滅相も無い。俺みたいなのが『よろず屋』を名乗るなんて恐れ多いです。

 

「だから、ここまでコイツに運ばせると楽ってことだぁ!」

 

「す、すげぇ、おめえ天才か!」

 

「武器はオイ達が使ってやるからよぉ、全部置いていくんだな!」

 

「オイ達の自由のためにぃ~!」

 

「自由のためにぃ~!」

 

 荒くれ者たちは声をそろえてそう叫ぶ。えっと、そろそろ喋っていいよな。

 

「俺は秩序の騎空団の駐在員で、さっきは見回っていただけなんだ。今ならお互いにとって幸せな和解ができると思う。えーと……あっ、その釘バットを1つくれたら大人しく帰ってもいい。もちろん余計な報告もしないから安心してほしい」

 

「テメェ、ふざけんなよ!」

 

「秩序だか何だか知らねぇが、オイ達の自由を脅かされてたまるか!」

 

「そうだそうだ!」

 

「ヒィィィィヤァァアァアァァッ!」

 

 こちらが最大限の譲歩をしたにも関わらず、荒くれ者たちは怒り狂って武器を構える。仕方ないので俺はカバンを地面に置き、武器を1つ1つ外していった。

 

「自由……か……。ある男の話をしよう。そいつの同僚の女の子は、やたらと露出が高くてな。だから、そいつは胸元とか脇腹とか遠慮なく見ていたそうなんだ。ある日、つい我慢できなくなって胸を掴もうとして、ぶん殴られたときの痕がこれだ。それ以来、ちらっと見るだけにして抑えている」

 

 俺はシャツをずらして腹部を晒しつつ、9本目の武器をカバンの隣に置いた。

 

「あぁ? なにが言いてぇんだ~?」

 

 いつかあの胸を自由にしたいってことだ、美乳をこの手に。と心の中で答えつつ、10本目の武器を外す。その時、奥の方から上等な武具を装備した男がやってきた。

 

「騒がしいな……一体どうした?」

 

「オヤジ~~、このよろず屋の身ぐるみ剥いでるんだぁ!」

 

「バカ、秩序だって言ってたろ!」

 

「ほう、その小僧が秩序の騎空団だと言うのか」

 

 俺は10本目の火属性武器を同じくカバンの隣に置いて、腰の『バビロンの刀剣』に手をかけた。

 

「!! 貴様っ! すぐに全員でかかれ!」

 

 どうやら気付かれてしまったようだ。身に着けている武器が残り土属性10本になり『装備中』と認識した途端のことだ。こいつ、ガンダルヴァほどでは無いが、中々の使い手らしい。とりあえず近くのやつから倒していくことにしたが……強さは普通の魔物と同じぐらいだった。

 

「げひぃ~~!!」「イギィヒィィッ!」「ぐぇぁっ!!」「ぎゃぴぃっ!」「アヒェュッ!」

 

「息子達よ!! 全員出て来い!! 俺達の自由を脅かす者が現れたぞ!!」

 

 男が叫ぶと、アジトの奥から百人以上の荒くれ者たちがやってきた。更に、妖しい輝きを放つ結晶体を取り出して命令する。

 

「そして星晶獣よ、来たれ」

 

 巨大な二体の星晶獣もやってきた。たしか『星晶獣阿吽』で……情報は全く思い出せないが勝てるとは思う。荒くれ者たちと同時に相手をするのでなければ、だが。

 

「出た~オイ達の最終兵げひぃ~~!!」

「いつ見てもイカしイギィヒィィッ!」

「大人しく降ぐぇぁっ!!」

「よくも仲ぎゃぴぃっ!」

「テメェアヒェュッ!」

 

 数が多い! このままだと阿吽とまともに戦えない。こうなったら一か八かだ。俺は吽形像に駆け寄り攻撃をしかける。

 

「吽ッ!!」

 

 だが、吽形像の拳は剣を受け止めて、そのまま俺の体を大きく吹き飛ばす。痛っ、こいつ光属性かよ。普通に水属性にしておけばいいのに必然性が……ああ、ベアが闇だからか。もし会ったら絶対に泣かせてやる。

 

「フン、焦って攻撃が雑になったか。どうやら俺の見立て違いだったようだ……何!?」

 

「わざと攻撃を受けたんだよ。一か八か、それを奪うためにな!」

 

 吹き飛ばされた俺は男の側に着地すると、驚いている隙に結晶体を奪って阿吽に命令した。

 

「立ってるやつが敵だ! 程々に暴れろ!」

 

 そして3つの暴力による蹂躙が始まった。

 

 

 

 後に、オダヅモッキーの一員であったスカルは当時のことを語る。

 倒されていく仲間を見ながら……自由とは、秩序とは何かを考える事しかできなかった、と。

 

 

 

 最終的に星晶獣阿吽は暴走して自爆。頭目のグルザレッザは巻き込まれて死亡し、オダヅモッキーは壊滅した。そして、俺は過剰防衛ということで3割の減俸処分となった。

 

 

 

エピソード2

 

 秩序の騎空団第四庁舎、大会議室にて。

 

「それでは『エビス駐在員行方不明事件』についての会議を始めます」

 

「現在のところ、エビスに派遣した捜索班から進展の報告はありません」

 

「彼にも困ったものだ。ヴェローナとノース・ヴァストに続いてエビスでも、か」

 

「この件、船団長は何と?」

 

「それが、

 

『けっ、捜索なんざ必要ねえ。アイツが簡単に死ぬような奴かよ。

この前もオレ様が気を遣って寸止めしてやったってのに、全力で振りぬいてきやがった』

 

と嬉しそうに素振りしながら……」

 

 しばし訪れる沈黙。

 

「いっそ捜索を打ち切りますか。船団長の意向を汲む方向で」

 

「馬鹿を言うな。彼が秩序の騎空団員として問題を起こさないかどうかが重要なのだ」

 

「そうとも。エビスは商業国家、もし睨まれれば秩序の騎空団の活動に支障が出る」

 

「それでは捜索班の人員を増やす方向で話を進めましょう」

 

「だが、あまり増やしすぎると本部の運営にも影響が――」

 

「し、失礼します! 捜索中のリーシャ班から連絡が! シデロス島にて発見したと!」

 

 広がる安堵の空気。

 

「なるほど別の島に移動していたのか。道理で今まで見つからなかったわけだ」

 

「それで、また星晶獣と戦闘していたとか?」

 

「まさか! 先々月、先月で既に2体も討伐しているのですよ」

 

「違うな。ノース・ヴァストの星晶獣ア・ウンは一対。故に合わせて3体である」

 

「……今回で4体になったようです」

 

 報告に来た男の言葉で大会議室に長い沈黙が訪れた。

 

 

 

エピソード3

 

 話は数日前のシデロス島までさかのぼる。

 

「こんなところで何をしているんですか!」

 

「リーシャ! わざわざ会いにきてくれて嬉しいよ。ゆっくり話でもしたいところだけど、今はちょっと手が離せなくてさ」

 

 前方から飛んできた音波を避ける。そこには巨大な牛と、それに乗った巨大な女性がいた。

 

「彼女はアワリティア。音楽と呪いが趣味の寝ぼすけ星晶獣で、名前の通り欲望を強めるらしい。白く光ってる部分と赤い目に注意すれば、ダメージを抑えられると思う」

 

「いいから話してください。どちらを攻撃するべきか、それを聞いてから決めます」

 

 再び音波を避ける。光ってから回避余裕だった。リーシャに話すため、瓦礫の陰に身を隠す。

 

「簡単に説明しよう。騙されて連れて来られた俺は、採掘場から(力ずくで)逃げ出した後に島から脱出する手段を探していたんだ。それでマフィアの下っ端のレアスってやつを(暴力で)懐柔して、色々と情報を聞き出すことに成功した。でも、話の流れで彼に星晶獣のことを少し教えたら急に姿を消して、気づいた時にはアワリティアが目覚めてたってわけだ。たぶん、レアスには何らかの心当たりがあったんだと思う」

 

 銀髪でバイオリンが上手な14才の巨乳美少女の紹介と引き換えに、アワリティアの宝石と宝玉についても話してしまったことは黙っておこう。よく考えたら、そんな美少女がこんな島にいるはずも無いのだ。

 

「色々と言いたいのですが、貴方が直接の原因でなくて良かったです。私が援護しましょう」

 

「助かるよ。不安定な目覚めらしくてそこまで強くはないけど、人手は多い方がいい」

 

 リーシャは剣を構えた。俺はメイン召喚石をホワイトラビットに変更した。

 

「頼むぞ、ホワイトラビット」

 

 そう小声で呟くと、俺はアワリティアに向かっていった。……いや、ホーンバードとか装備するぐらいなら、リーシャもいるしホワイトラビットでいいだろう。

 

 

 そして予想通り、それから数分後にアワリティアはダメージによって実体を保てなくなったのか、その姿が徐々に薄れていく。さあ、土エレ落ちろ、槍エレ落ちろ。

 

「油断するなよ、リーシャ。さっきから何度も『あの状態』から元通りに復元されてるんだ」

 

 視線をアワリティアに向けたままで警告する。それと土エレ落ちろ、槍エレ落ちろ。

 

「そんなっ、一体どうしたら……」

 

「分からない。復元にも限りはあると思うから、倒し続ければいつかは終わるはずだ」

 

 とりあえず200体討伐してから考えればいいんだ。ともかく土エレ落ちろ、槍エレ落ちろ。

 

「……あの星晶獣が目覚めたきっかけは何だと思いますか?」

 

「きっかけ、か。完全な目覚めに必要な要素が何か足りなくて、それでもレアスの強すぎる欲望に反応したんじゃないかな」

 

「アワリティア……欲望を強める星晶獣……欲望に反応……」

 

 そろそろアイテムドロップするぞ! 兎様出番です! 土エレ来い! 槍エレ来い!

 

「どちらを攻撃するべきだったか、私が間違えていたみたいです」

 

 突然、後方から首に手刀を受けて俺は倒れた。意識を失う前に、アワリティアの気配が完全に消えたことが分かった。

 

 

 

エピソード4

 

 秩序の騎空団第四庁舎、大会議室にて。

 

「それでは『エビス駐在員行方不明事件』についての会議を始めます」

 

「エビスから、住人の避難や怪我人の治療など、星晶獣の被害拡大を防いだリーシャ班に感謝の言葉が届いています。それから、今回の件で明るみに出たシデロス島の管理体制を見直すとのことです。加えて、拉致被害に遭った駐在員への謝罪と、少なくない慰謝料もありました」

 

「関係者や目撃者の証言から、犯人はクレアス――レアスは偽名――であると明らかになりました。彼は日頃から『力が欲しい』『強大な力で全員ぶっ殺す』などと話しており、当日も『宝石』に向かって『あの男を切り刻んでやる』と語りかけていたようです。ただ、星晶獣の影響で精神が不安定になっており、直接は話を聞けなかったようです」

 

「そのクレアスにしても、星晶獣が完全に目覚めるため操られていたのかもしれないな」

 

「人の心を操る星晶獣……我々、秩序の騎空団としても十分に警戒せねばなるまい」

 

「続いて『彼』の処遇です」

 

「騙されてシデロス島に拉致され、誤ってクレアスに星晶獣の存在を伝えてしまい、目覚めた星晶獣を倒そうとするも、その欲望を実体維持のために利用された。事実を並べると、まるで被害者のようでもありますが……」

 

「そんなわけがない」

 

「だが彼が主犯だったとして、狙って星晶獣アワリティアを目覚めさせられるとも思えないな。シデロス島の過去の入島者リストを確認したが彼の名前は無く、そもそもエビスの駐在員になったのも偶然だったはずだ」

 

「彼への慰謝料は、事件関係者のあの老人へ見舞金として渡すのはどうだろう。孤児の世話などで色々と苦労しているという話じゃないか。どうにも彼に渡してしまうのは抵抗がある」

 

「むしろ間接的にきっかけを作ったという名目で、3割の減俸処分にしておきましょう」

 

「うむ」「賛成」「妥当だ」「いいね」「問題ない」

 

「では『エビス駐在員行方不明事件』については、これで終了とします。詳細は各部署で調整しておいてください」

 

 

「さて『彼』の今後についてです」

 

「まず駐在員としての適性が低いことは言うまでもありません」

 

「警衛任務も、欠伸しながら魔物を倒す様子が士気の低下を招くと苦情が出ている」

 

「要人警護は論外だな」

 

「それなら、いっそエルステ帝国に送り込むというのはどうかな?」

 

「とても魅力的な提案だが、秩序の騎空団としては賛成できない」

 

「皆さん、この件について人事部から1つの計画案があります」

 

 人事部の男は次のように語った。

 

 彼は戦力としてだけ見るなら非常に優れている。星晶獣とも臆せず戦えるだけの闘志もある。それを最大限に活かすためには、彼自身の裁量で行動させるのが一番だ。これまでの問題は、彼が我々と十分な連携を取れなかったことが原因でもあった。よって、行動を起こす前や問題が発生したときに、適切で迅速な対処ができるように専門の人員を彼の周囲に常に配置しておけばいい。

 具体的には、船団長直属の戦闘部隊を新設する。部隊の隊長は彼自身に務めてもらい、嘱託団員として必要な人員を雇う権限も与える。必要な諸経費は上限無しで認める。最新鋭の騎空艇を部隊専用に準備し、3人の専属操舵士を交代させて昼夜を問わず移動できるようにする。本部に部隊専用の部屋と倉庫を用意する。給与は基本給に加えて、功績に応じた出来高払い。

 

「それは、いささか過剰ではないかね」

 

「いえ、これぐらいでないと十分とは言えない、というのが私達の見解です」

 

「確かにまともに運用されれば問題は無いだろうが……」

 

「癒着や横領、怠慢の不安もある。それに暴走の危険性も」

 

「ああ、言い忘れていましたが、副隊長にはリーシャ殿を任命します。今回の事件でも適切――」

 

「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」「異議なし」

 

 

 

 こうして、秩序執行巡空独立強襲隊が結成された。




ようやく仲間キャラが加入できます。

秩序執行巡空独立強襲隊は長いので、作者はリーシャ隊と呼びます。
読者の皆様もよろしければリーシャ隊と呼んでください。

作者の辞書では秩序もlawです。


グラブル脳でない読者様のための、作者による雑な用語解説

・オダヅモッキー
詳細は「自由をその手に」で検索。
一番の見どころはベアトリクスのイベント絵。

・ロック鳥
なんとなく出現するくせに、一般的な星晶獣の何倍も強い鳥。
今の主人公では餌にしかならない。

・釘バット
経験値などを効率的に稼ぐために必要な武器の1つ。代用品は多い。
主人公にとっては普通のSR武器でしかないが、つい1本は確保しておきたくなった。

・スカル
詳細は「ぐらぶるっ!第687話」で検索。
リーシャが可愛い。

・エビス行方不明事件
詳細は「その胸にひとひらの輝きが」で検索。
複数の宝玉を全て揃えることで、星晶獣アワリティアは完全に目覚める。

・ホーンバード
なんと風属性攻撃力が15%もアップする召喚石。
ちなみに2018年現在、風属性攻撃力が140%アップする召喚石も存在する。

・土エレ、槍エレ
それぞれ「土晶のエレメント」と「槍のエレメント」のこと。
戦力強化のために、たくさん必要。
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