俺は超越者(オーバーロード)だった件   作:kohet(旧名コヘヘ)

33 / 67
第二次ツアー・スルメ会談後の話
※今作の「破滅の竜王」は諸説を混ぜ込んだものに設定盛ってます。


第二話 魔王vs破滅のサンドバック①

破滅の竜王(カタストロフ・ドラゴンロード)。

 

 

『原作』で示唆されながらそれを全く覚えていない俺は、

 

どんな未知の敵なのか俺は不謹慎ながら、内心わくわくしていた。

 

 

ツアーの話と、スルメさんが持ってきた情報が全部台無しにしたが。

 

 

竜王というよりは巨大な『魔樹』。トブの大森林内にあるという。

 

現在、封印中らしい。

 

 

スルメさん曰く「ワールドアイテムが効く糞雑魚。HPだけ無駄にある。

 

        時間かけて罠張れば、

 

        最後の戦いで指輪を使う前のLv30状態の我でもギリいける」

 

 

ツアー曰く「法国が洗脳して先兵にしようとした瞬間に、

 

      ワイルドマジックでもろとも全部消し飛ばすつもりだった」

 

 

…とんだ雑魚だ。期待外れも甚だしい。

 

 

もっともスルメさんの全力の罠はナザリックに通用する、

 

しかねないレベルなので当てにはならない。

 

それでもLv30ならLv90が限界なはずだ。

 

 

ツアーも未知数ではある。

 

最大火力のワイルドマジックは耐性を突破して森の一部を吹き飛ばす威力だと言う。

 

 

 

だが、それらを踏まえても雑魚だ。

 

超越者(オーバーロード)の俺からすれば。

 

 

 

しかし、何でこんな中途半端な奴を法国が洗脳しようとしたのかわからない。

 

 

スルメさんも『傾城傾国』をあんな奴に使うなら、

 

馬鹿なプレイヤーを裸踊りさせるのに使うと苦笑していた。

 

「君たちと一緒にしないで欲しい」とツアーは激怒した。

 

 

…色々あるが、現地視点では凄まじく強いとのことだった。

 

 

破滅の竜王がLv80台だったら、捕まえてナザリック専用サンドバックにして良いか二人に尋ねた。

 

スルメさんからは、友『エレア』の『唯一』の子孫のための玩具にしたいので偶に貸してと言われた。

 

 

勿論だと俺は快諾した。

 

 

あの子孫がどんな奴なのか気になったのもある。

 

きっと名高い『変態』に違いない。

 

ツアーからは「おい、馬鹿二人やめろ」と言われた。

 

 

俺は、渋々、本当に渋々。

 

ナザリックの秘宝、『山河社稷図』について説明せざるを得なくなった。

 

まだ知られても問題ない類のワールドアイテムだったというのもあった。

 

しかも、従属ギルドメンバーだったスルメさんに至っては効果まで詳細に知っている。

 

『破滅の竜王』を閉じ込めてサンドバックにしたり、ストレス発散したり、レベル上げに使ったり色々できる。

 

 

ボール・シリーズの知識もついでにツアーに渡した。

 

現地での検証実験の結果からアレは、

 

ナザリック以外使用不可、利用不可な産廃アイテムだと説明した。

 

それでも、ツアーは「もうこの基〇外共。本気で嫌だ」と泣きそうな声をあげた。

 

 

流石に一緒にしないで欲しいと言ったら、

 

「ごめん。言い過ぎた。流石にアレはない」

 

と謝られた。

 

 

彼らの所業が転移後もそのままならもっと酷いはずだから当然ではある。

 

 

スルメさんが途中文句言ってきてグダグダになったが。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

ツアーと法国(スルメさん)との会談後、俺は色々行動した。

 

 

簡単に言えば、『魔王』として帝国の魔法キチに内密で会ったり、王国で裏工作したりだ。

 

 

ただ、諸外国についての対応は、ほぼデミウルゴスに任せている。

 

 

設定的に軍略、内政、外政などの国家作用すべてに極限の才能を持つデミウルゴスは、

 

方向性さえキチンと伝えればこれ以上ない程優秀過ぎる。

 

俺いらない子だと思う。

 

 

とはいえ、『魔王』として活動する俺にも収穫はあった。

 

 

『原作』と違い、俺が王国のラナーと直接交渉していた結果、『友』になった。

 

 

『友』となった。『原作』うろ覚えな自分でも信じられないが。

 

 

以外かも知れないが、俺とラナーには共通する『モノ』があった。

 

『執着』だ。

 

俺は『ナザリック』に『執着』しておかしくなったが、

 

今ならそれを客観的に評価できる。

 

だが、ラナーは『クライム』に執着している。

 

 

 

俺が言葉で、理詰めで追い詰め本性を吐かせたラナーは、

 

 

…まるで昔の俺を見ているようだった。

 

 

俺とは全然違うが、心の『空虚』さが似ていた。『執着』も。

 

 

 

最低限の接触で済ませるはずが、

 

どうしても気になった俺はラナーと何回も会うことになった。

 

 

結果、『友』となれたのだ。

 

 

…俺の思い込みでなければ。

 

 

 

ラナーがいくら天性の才を持つとはいえ、

 

その基本は中世の、この『世界』の価値感が根本にある。

 

偶に『未来』を見通しているとしか思えないことを言うとしても、だ。

 

 

 

俺は転移前、自己流とはいえ22世紀の帝王学もどきをやってみた。

 

実情は、リーダーシップ理論と経営戦略に特化した歪なものだが。

 

ナザリックを一つの企業に見立てた思考実験。

 

だが、『未来』の知恵というべき大きなアドバンテージだ。

 

この『世界』で役立たせるために必死に学んだ。歪とはいえ。

 

 

さらにユグドラシルで磨きに磨き上げた『魔王』ロールからの『演説』と『従属』は、

 

狂信者を生み出すレベルだと今では自覚がある。

 

言い方が悪いが、スルメさんがその最たる例だ。

 

 

 

だからこそ、破滅の竜王をも知性さえあれば『言葉』でねじ伏せる自信があった。

 

最初の頃の『原作』になぞろうとした『陽光聖典』のときとは違って。

 

…実際は落胆する存在であったが。

 

 

もちろん自己流なので齟齬はあるが、ラナーと許容範囲内で対等な会話ができる。

 

と思う。多分。

 

 

正直、帝国の鮮血帝より、俺と似た『執着』を持つラナーの方が理解しやすい。

 

 

互いに交流することで学び合える貴重な友人である。

 

…もう少し早めに会っていればンフィーレアの件も

 

…いや、ダメだ考えるな。これ以上は俺が腹切って死ぬ。

 

 

俺が凡人とバレている可能性は限りなく高いが、全く問題ない。

 

彼女と俺は、究極的には目的が一致するのだから。

 

 

…ただ、『魔王』の俺を気軽に呼び過ぎていると思う。

 

そんな頻繁にお茶会の誘いはないが、俺だって忙しい。

 

何故そこまで呼ぶか。思い切ってこの間、尋ねてみた。

 

 

そしたらあの女、

 

「そういうところは、クライム以下なんですね!」

 

と散々嘲笑しやがった。

 

 

 

俺、『魔王』何だけど舐められてないか?

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

諸事情を話した上でデミウルゴスとパンドラズ・アクターに聞いてみた。

 

ラナーに舐められたらナザリックに害はないかと。

 

 

 

アルベドは休日だった。

 

何故か仲良くなったエンリに会いにカルネ村に行っているという。

 

正直、何か吹き込まれてないか心配だが、俺が休めと言った手前聞けない。

 

部下のプライベートを除くなど、セクハラ以外の何者でもない。

 

 

色々話している途中切りのいい当たりで、

 

デミウルゴスは満面の笑みを隠そうともしないで言った。

 

「そのまま振る舞って頂ければ、ナザリックにラナー王女を…いえ失礼しました。

 

 簡単に引き込むことができます。

 

 モモンガ様には、ご不快かもしれませんが我慢していただくのが最善かと存じます」

 

間があったことと笑みが気になったが、大体言いたいことは分かった。

 

 

 

要するに、親しみやすさが必要なのだ。

 

『魔王』と恐れられるだけではダメだと、

 

親しみの方がメリットの大きいというデミウルゴス。

 

 

 

道理だ。故に何からかわれても我慢しよう。

 

 

 

そう決意していてふと気づく。

 

パンドラズ・アクターが先ほどから何も話さない。

 

 

いつもなら大袈裟な感じで色々…為になることを言ってくれるのに。

 

ちらりとパンドラズ・アクターを見た。

 

 

パンドラズ・アクターはまるでこの世が終わったかのような姿勢で固まっている。

 

 

…何がしたいのかわからない。

 

 

だが、俺も忙しかった。

 

この次は、冒険者モモンとしての活動があるからだ。

 

なので、パンドラズ・アクターがと気にはなったが、無視するしかなかった。

 

 

 

今、思うとこの時、無理やりにでも聞けば良かった。

 

あいつは俺の息子なのだ。俺をわかっていてくれたのだ…すまない。いや、本当に。

 

でも、黙ってないで言えよ!!理不尽だが、後にそう思った。

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。