俺の名前は三池。18歳の誕生日に襲ってきた深海棲艦に倒され、人間に戻るために、ネコ提督となって、艦娘達と共に戦っている。
遂に復活した深海の帝王・ヲキューザ。その強大な力の前に劣勢に立たされた俺たちであったが……。
「テイトク! 必ず世界を救ってくださいネ!」
「金剛ーーっ!」
金剛の捨て身の自爆攻撃で、致命傷を与えることに成功した。
「グッ!? オノレ……、忌々シイ艦娘メ……!」
「今だ! 皆の力を一つに合わせた必殺光線を、奴にぶち込んでやるんだ!」
「はい! 皆行くよ!」
「「「「「「「おう!」」」」」」」
『必殺! スーパーウルトラデラックスハリケーン!』
「バ、馬鹿ナ! コノ私ガアアアアア!」
巨大なエネルギーの球を受けたヲキューザは断末魔をあげながら、爆発四散した。
「やった……! やったぞ! 遂に深海棲艦を倒した!」
「これで世界は救われるんですね!」
「……それはどうかな」
「何っ!?」
どこからか謎の声が聞こえる。聞いただけで悪寒がするような、気味の悪い声だ。
「本当の恐怖はここからだ……」
「だ、誰だ!? 正体を現せ!」
「フフフフフフフフ……!!」
不敵に笑いながらソイツは姿を現した。
黒づくめのボディに、ピンと伸びた長い触覚。無数に蠢く足。
奴の名は、ゴキ――。
「うわああああああああーーーっ!!!!」
目覚めると吹雪は自室のベッドの上にいた。
目の前にも、真横にも、黒づくめの憎いあん畜生の姿はない。
今までのことは、全部夢だったのだ。まずはホッとする。
しかし安心はできない。今回は夢の出来事だったからよかったものの、いつ奴らが現実の世界に現れるか。
未知の脅威に立ち向かうため、吹雪は早速行動を開始した。
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「ん?」
明くる日。摩耶が何気なく廊下を歩いていると、ちょうど前を触覚のついた黒い虫が通りがかった。
「今のゴキ……」
「うらあああああ!」
すると後方から怒号とともに銃撃音が鳴り響いた。
振り返るとそこには、旧ソ連の軍服を身にまとい腕にがっしりとマシンガンを構えた吹雪が立っていた。
その眼光はいつになく険しいものだった。
「ふ、吹雪……? 何やってるんだ? そんな恰好で」
「G退治です」
「は? G?」
「……実は私、昔Gに耳をかじられた事があって……、それ以来名前を聞いただけでゾッとするんです」
「どっかで聞いたような話だな」
「だから、奴らを殲滅するためにこうして武装しているのです」
「大げさな……。殺虫剤撒けばいい話だろう?」
「摩耶さんは何もわかっちゃいないッ!」
吹雪はどこからかホワイトボードを出して解説し始めた。
「Gは約三億年前から生息していると言われているのですッ。奴らは移り変わる環境に順応し、最近では殺虫剤に耐性を持つGまで現れている」
「そ、そうか……」
「命あるものは常に前へと進みます。昨日までの殺虫剤など……意味がないッ!」
意味がない事もないだろうが……。ともかく吹雪がGに対してどれほど危機感を持っているのかは分かった。
吹雪は皆を広間に集めると、こう話した。
「よいか皆の衆。敵はどこに隠れているかわからん、十分に注意するように。以上! 健闘を祈る」
すっかり軍人口調になった吹雪はそれだけ伝えると足早に去っていった。
普段とは違う吹雪の姿に困惑するメンバー。
そんな中で一人、提督はわなわなと身体を震わせている。
「提督どうしたの?」
「吹雪だけは……、吹雪だけはまともなキャラだと思ってたのに……! ついに、ついにぶっ壊れてしまったぁ~っ!! うわ~~ん!!」
「泣くほど!?」
自分が抱いていた吹雪のイメージがものの見事に崩れ、ネコ提督はショックで泣き崩れてしまった。
「そこかァ!」
そこに吹雪がすぐさま戻ってきて、提督のいる方へ銃撃してきた。その銃弾を間一髪で避ける望月達。数センチ隣の壁には、既に無数の穴が開いていた。
「Gの鳴き声かと思ったが……、違ったようだなッ」
「いやどう考えても違うでしょ!?」
「お前の耳どうなってんだ!?」
「まぎらわしい事をするなッ。もっと真剣に探せッ!」
それだけ伝えると吹雪はまた何処かへと去って行ってしまった。
「……いよいよただ事じゃなくなってきたな」
「落ち着け吹雪ィ~! うわ~んわんわん!!」
「いやそっちが落ち着け! しっかりしろ、あんたまでおかしくなったら終わりだぞ!?」
なおも泣き続ける提督を、必死に宥める摩耶。しかし。
「我が鎮守府のみならずぅ……! おんなじやおんなじや思てぇ……! やっと提督になったんですぅ!!」
「……駄目だ。どっかの議員みたいになってる」
「肝心な時に役に立たないなこの男」
散々な言われようだ。だがこうなってしまってはもはや何を期待しても無駄だろう。
「こうなったらアタシ達で何とかするしかない」
「といっても姐さん。どうする気だい?」
「この前頼りになる仲間ができたろ? そいつに助太刀願うんだよ」
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摩耶の言う頼りになる仲間とは、先日この艦隊に編入してきた駆逐艦の如月である。
近海で暴れていた深海棲艦を一発で片づけた如月なら、Gくらいなんてことないはずだ。
「あら、どうしたの?」
寮の部屋で椅子に座り、優雅に紅茶を嗜んでいた如月に、摩耶は頼んだ。
「実はな、お前に片付けてほしい奴がいるんだよ」
「フフ。直接頼みに来るなんて、余程手ごわい相手みたいですね。私にできることなら何でも協力するわ」
「そうか! 助かる!」
よかった。これで何とかなる。
「それで、その相手というのは?」
「ああ。Gなんだけどさ……」
その言葉を聞いた瞬間、大きな音をたてて如月が椅子から転げ落ちた。
「Gって言った!? 今、Gって言いました!?」
「うん」
「なんて事……、ごめんなさい。私には無理だわ」
「ええっ!? 何故!?」
「私、昔Gに耳をかじられた事があって……」
「お前もかよ!」
何でみんなして耳かじられてるんだ。というかGって人の耳かじる虫だったっけ!?
「お前登場二話目でそれはねえだろう!? あんなに強キャラアピールしておいてこの体たらくか!」
「姐さん落ち着いて!」
如月の身体を揺さぶる摩耶を、望月が必死に止める。
駄目だ。自分も含めてみんなパニックになってしまっている。
G一体に何故ここまで振り回されなければならないのか。段々腹が立ってきた。
「た、大変だ~っ!」
するとそこに本館に待機していたはずの島風が、血相を変えてやってきた。
「い、今テ〇フォーマーみたいな奴が廊下を歩いてた!」
「「「ええ!?」」」
「それほんとかよ、島風?」
「アニメじゃない♪ アニメじゃない♪ ほんとのこ~とさ~♪」
まさか。Gだけじゃなくテラフ○ーマーまでも!?
だとすればGよりヤバい。摩耶達はすぐに現場へ向かった。
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「いた! あいつだ!」
島風が指さす方。寮と本館をつなぐ野道に、ムキムキ体系の人型クリーチャーが立っていた。
「シマッタ! 一服スル為二元ノ姿二戻ッテイタトコロヲ見ラレルトハ!」
「状況説明どうも。で、お前は誰だ!?」
「バレテシマッテハ仕方ナイ! 私ノ名前ハ深海棲艦ゴ級!」
「「「ゴ級!?」」」
「コノ鎮守府ヲ恐怖二陥レル為、ゴキ――に姿を変えて潜伏シテイタノダ!」
『姿を変えて』? ということはあのGはこの深海棲艦(?)の変装だったのか。
「……そうかそうか。つまりこの騒ぎは全部テメエの仕業なんだな?」
「ナラバドースル?」
「もちろんぶっ飛ばす!」
摩耶達はすかさず艤装を装着して、ゴ級にむかって銃撃する。
が、敵の装甲が固く、ダメージを与えられない。
「ハッハッハ。痛クモカユクモナイゾ?」
「くそ、一体どうすれば……」
「グスン……。吹雪……」
「提督! いいところに!」
摩耶は提督の身体を持ち上げ、ボールのように丸めた。
「せめてこんな時ぐらい役に立て!」
「うにゃあああ~!?」
そしてそのまま提督をゴ級目掛けてぶん投げる。
光のスピードで投げられたそれは何よりも堅い銃弾となって、ゴ級の身体を貫通した。
「グッ!? オノレ……、忌々シイ艦娘メ……!」
「今だ! 皆の力を一つに合わせた必殺光線を、奴にぶち込んでやるんだ!」
「「おう!」」
『必殺! スーパーウルトラデラックス乱れうち!』
「バ、馬鹿ナ! コノ私ガアアアアア!」
多数の銃弾を受けたゴ級は断末魔をあげながら、爆発四散した。
「……ざまあみやがれ」
その音につられて、吹雪が飛んできた。
「先程の爆発はなんだッ!?」
「ふ、吹雪! 喜べ、危機は去ったぞ!」
「え?」
「Gは私達がやっつけちゃったから!」
「そ、それはまことかッ!?」
「「「ほんとほんと!」」」
「じ、Gはもういないのかッ!?」
「「「いないいない!」」」
「……よ……、良かったぁ~……」
吹雪はへたりとその場に座り込んだ。
一方。摩耶に投げ飛ばされた提督は、壁に激突してその下に倒れていた。
「な、何故俺がこんな目に……?」
顔を上げると、そこで提督が見たものはカサカサと地べたを徘徊するGの姿だった。
「……今のって……」
Gはゆっくりと吹雪達の方へと進んでいく。
――本当の恐怖はここからだ……。
色々ネタを詰め込んでたらいつもより長くなってしまった……。
次回は元の長さに戻ってる……はず。
あ、あとこの話を書いている最中、家にリアルGが出ました。皆さんも気を付けてくださいね。