ネコ艦!   作:梶田リク

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世間はクリスマスムード一色ですね。

子供の頃はこの時期になるとサンタさんにプレゼントお願いしてたんですけど、大人になっちゃうともうお願いできないですよね。欲しいものは色々とあるんですけどね。

大人専門のサンタさんとかどっかにいないでしょうか? もしいたら今年はこんなプレゼントをお願いしたいです。

『平成ジェネレーションズFOREVERのネタバレをする輩を一掃する機械』。


第十六話 ペンギン艦隊

 深い深い海の底。ここに巨大な岩で作られた城がある。

 その一室で、恐ろしい研究が行われていた。白衣を着用したロ級達が、部屋の中央にある巨大なポッドをじっと見つめている。

 

「ヨッ」

 

 自動ドアが開けられ、外からヲ級が紙袋を持って入ってきた。

 

「ヲ級サマ! オ疲レ様デス!」

「差シ入レ持ッテキタゾ」

 リーダー格のロ級が紙袋を受け取り、中を確認するとそこには大量のスティックポテトがあった。

 

「ヲ級サマ……、コレハ?」

「全サイズ150円ダッタカラ買ッテキタ」

「深海棲艦ガ普通ニマッ○行カナイデ下サイヨ!?」

 

 一応自分達の上司にあたるお方のはずなのに、さすがに呑気すぎやしないか? とロ級は少し不安になるのだった。

 

「出来タテダヨ、食ウ?」

「ア、 ジャア、イタダキマス」

 

 ただ、熱々のポテトの魅力には勝てない。ロ級達は袋からポテトを取り出し、その場はポテトの晩餐会になった。

 口いっぱいポテトを頬張りながら、ヲ級はポッドを指差して尋ねた。

 

「………トコロデ、アレノ調子ハドウナッテル?」

「順調デス。数日中ニハ完成スルカト」

「フ~ン」

 ポッドの中では生物のような何かが終始蠢いている。

 

「『プロジェクト・ラグナロク』。コレデ艦娘タチモ一網打尽デスヨ」

 深海棲艦達による恐怖の計画が、実行されようとしていた……。

 

 

--------------------

 

 

「天国じゃなくても~、楽園じゃなくても~……♪」

 

 鎮守府正門前。何枚もの落ち葉が散らかっているその場所を、島風が鼻歌を歌いながら掃き掃除していた。

 

「風に~なり~たイーーッ!! ……はぁ」

 

 最後の部分の音程を大幅に外し、歌い終えた島風は溜息をつく。

 

「何でわたしがこんな事……。しょうがないんだけどね」

 前回。島風は望月のメガネを割ってしまい、代わりのメガネ(高額)を無断で購入したところ、提督にこっぴどく怒られてしまった。

 結局代金は提督が支払うことになったが、島風は罰として鎮守府全体の雑用をすることになったのだった。

 

「大体『イーッ!』ってなんだよ戦闘員かっての。というか、アンタ元々敵対してた側の人じゃんかよー」

 

 とうとう元ネタに対しても愚痴り始めた島風だったが、ブツブツ言いながらも掃除を続ける。何だかんだ言って、根は真面目なのだ。

 

 

「邪魔するぜ!」

 

 いきなり誰かから声を掛けられる。島風が声のする方を振り返ると、そこには四人組の少女が立っていた。

 

 一人目。竜の角の様な頭部装備に左目の眼帯をつけた、いかにもなアウトロー少女。

 二人目。柿色のセーラー服とツーサイドアップが特徴的な活発少女。

 三人目。黒い胸当てがついた弓道着を着たツインテール少女。

 そして四人目。金髪ロングヘアのふわふわ系少女。

 

 ――という、何ともまあ個性豊かなメンツであった。

 

「……邪魔するなら帰ってー」

「「「「あいよ~」」」」

 

 島風がそう言うと、四人は回れ右してその場をあとにする……。

 

「……って何やらせんだ!?」

 

 と、アウトロー少女がすぐさまその場へ戻って突っ込んだものの、他の三人はそのまま歩いていく。

「お前らも帰ってんじゃねえよ!」

「「「いやーつい……」」」

 目の前で起こった珍事に対し、いまいち状況を理解できてない島風はこう返した。

 

「どっかの芸人さんですかね?」

「違うわっ!」

「あはは、別に私らそんな怪しいもんじゃないよ?」

「ちょっとお宅の提督に用があって来たのよ」

「案内してほしいっぽい!」

「はあ……」

 よく分からないが島風は四人を案内することにした。

 

(この四人、どこかで見覚えあるんだよねー。何だったっけなー?)

 そんな疑念を抱きながら、執務室までやって来た島風はドアをノックする。

「提督ー。お客さんが来たよ~」

「お客さん? 誰か約束してたっけな……? どうぞ~」

 提督がそう言うと、ドアがバーンと大きく開けられた。

 

「邪魔するぜ!」

「邪魔するなら帰れー」

「「「「あいよ~」」」」

 提督の一言で、彼女達は再び回れ右して歩いていく――。

 

「だからやらせんじゃねえっての!」

 

 寸前でまたもアウトロー少女が踏みとどまる。が、他の三人は気にせずにどんどん

進んでいく。しかも、今回はその中にもう一人いて……。

「ウサギのチビまでついて行ってんじゃねえ! お前ら戻ってこい!」

 アウトロー少女の怒声で四人はすぐに戻ってきた。

 さらに今の流れですっかり打ち解けたのか、イエーイとハイタッチを交わす程の仲になっている。

「急に仲良くなってんじゃねえよ!」

「いやあ、なんか友情感じたっていうか……」

「この子とならイケる! って思ったのよねー」

「天下とれるっぽい!」

「何の天下だ!」

 

 そこへ、少女のやり取りをじっと見ていた提督が口を開いた。

「すいません。うち漫才の営業はしてないんですけど……」

「だから芸人じゃねえ! 何回やらせんだこのくだり!?」

「三回」

「あと一回あるのかよ!?」

「お楽しみに」

「そんな楽しみいらねえ……」

 さすがに突っ込み疲れたのか、少女はその場にしゃがみこんだ。

 

 そんな状態になるほどのパワーをツッコミに捧げる精神。その姿勢を、少しでも見習おうと提督は思った。最近突っ込んでないけど。

 

 と、ここであることに気づいた。

「あれ? 君たちって前に会ったよね」

「……ようやく思い出したか」

 そう呟くとアウトロー少女はゆっくりと立ち上がり、彼女をセンターに他の三人もその横に並んた。

 

「天龍型軽巡洋艦一番艦、天龍(てんりゅう)!」

「川内型軽巡洋艦一番艦、川内(せんだい)!」

「翔鶴型航空母艦二番艦、瑞鶴(ずいかく)!」

「白露型駆逐艦四番艦、夕立(ゆうだち)、っぽい!」

「「「「我ら、ペンギン艦隊!」」」」

 

 四人は自らの名を名乗ると、並んでポーズを決めた。まるでどこかの戦隊だ。

ちなみにどんなポーズかは読者の皆さんのご想像にお任せします。かっこいいポーズを考えてね!

 

「そうそう先輩のとこの! 久しぶりだなー、演習の時以来か?」

「おうよ。あん時は世話になったな」

 

 彼女達とは以前演習で対戦したことがある。こちらのボロ負けという結果に終わったが。

 

ネコ提督の士官学校時代の先輩――ペンギン提督が率いるこの艦隊は、軍の中でもトップクラスの実力を持っているともっぱらの評判だ。現在ネコ艦隊に所属している金剛と如月も、元々はこちらの艦隊の出身である。

 

「実は任務でここの近海に来ててな。仕事が終わって、時間もあったから寄ってみた……、って事だ」

「なるほどなー。いや、遠いところをよく来てくれたよ

 

 ネコ提督が天龍達と歓談していると、如月と望月がやってきた。

 同型艦にもかかわらずなかなか接点がなかった二人だが、先日のメガネの件ですっかり打ち解けたようで、最近はよく一緒に遊んでいるという。

 

「あら、天龍じゃない」

「ちょうどよかった。今からあたしの部屋でスマ○ラやるんだけど、来る?」

「おおっ、それ最新作じゃねーか!」

「やるっぽい!」

 天龍達は望月と一緒に部屋へ向かった。提督もその後ろを付いていこうとすると携帯に電話がかかってきた。

 

「もしもし……。先輩! ご無沙汰してます。 ……天龍達ですか? 今来てますけど……。はい……、……えっ?」

 

 

--------------------

 

 

「ペンギン艦隊の皆さん! こんにちは」

「お前らも来たか!」

 

 望月の部屋には既に吹雪らネコ艦隊の他のメンバーも集合していた。どうやら本格的に大乱闘するらしい。

 

「いや~懐かしいなぁ。ラスボスのマス〇ーハンドがクソ強いんだよなぁ」

「姐さんの時間は二十年前で止まってんの?」

 モードを選択し、いよいよ戦闘開始。のはずが……。

 

「よ~し! じゃあまずはあたしから……」

「いやワタシデース!」

「俺だぐわあああ」

「私ぐわあああ」

 

 この場に集まったメンバーは十二人。しかしこのゲームは最大八人までしか同時プレイが出来ない。結果としてまずは参加権を争う争奪戦となった。

 互いに足を引っ張り、もみくちゃになりながらコントローラーを取り合う。ドッタンバッタン大騒ぎ。これが本当の大乱闘である。

「ちょっ……皆さん落ち着いて! ここは平等にジャンケンで決めましょう?」

 吹雪の提案により、なんとかこの場の大乱闘は収まった。

 

 結局一戦目は、吹雪・夕立・川内・瑞鶴以外の八人で争われることになった。

「おっしゃー! 俺のルカ○オで無双してやるー!」

「こっちだってイカちゃんでやっつけてやるもんねー!」

 キャイキャイと盛り上がる参加陣。一方で一戦目に参加できなかった夕立を口を膨らませて拗ねている。

 

「待ってる側は暇っぽい~」

「じゃあ、しりとりでもする?」

「するっぽい!」

 先程から一転、明るい表情になった夕立。吹雪は彼女が玩具を与えられた子犬のように喜ぶ姿を見て微笑ましくなった。

 

「じゃあ私からいくね、『しりとり』!」

「『りんごっぽい』!」

 

「『イルカ』」「『カニっぽい』!」「『いす』……」「『スイカっぽい』!」「い、『いとまき』……」「『キツネっぽい!』」「『イトマル』……」「『ルーレットっぽい』!」

 

「終わらない『い』地獄!」

 どこかのМ-1王者のように右手を前方に突き出し上下させながら突っ込む吹雪。そんな彼女に川内から忠告が入る。

「そこら辺でやめときな? 夕立としりとりすると中々勝てないんだよねぇ」

「なんかズルくない!?」

 そんな理不尽なゲームがあるか。

 

 すると今度は、その川内が吹雪に対しこう尋ねてきた。

「ところでさ! ここの艦隊って夜戦するの!?」

「や、夜戦?」

 『夜戦』とは、読んで字のごとく夜間に戦闘をすることである。

「この娘ね、夜戦が好きなのよ」

「真っ暗闇の中で戦うのってテンションあがるよね! ……で? どうなのどうなの? 夜戦するの? しないの?」

 滅茶苦茶グイグイと聞いてくる川内に若干引きつつも、吹雪はその問いに答えようと思った。

 当鎮守府の業務は何があろうと夕方六時には完全終了することになっているので、その時間外に行われる夜戦というのは……。

 

「いや~、せんなぁ」

 

 ――一瞬の静寂。そしてすぐに部屋全体を涼しい冷気が包んだ。

「おい誰かエアコン冷房にしたか!?」

「吹雪さんさ……、さすがに今のはないっすわ~……」

「えっ? 私なんか変なこと言った?」

 当の本人は自らが起こした珍事に気づいていないようだった。無自覚なボケほど恐ろしいものはない。

「くっそ~。あともうちょっとで勝てたのによ。今の衝撃で全部吹っ飛んじまった」

「ええ……? なんかごめんなさい……」

 

「邪魔するぞー」

 と、そこへ、遅れて提督が入ってきた。

「邪魔するなら帰れ」

「あいよー……って何やらせるんだ!?」

「うるせえ! 俺の気持ちがわかったか!」

 予告されていた三回目は、まさかの提督に返ってきた。ブーメランブーメラン。

 

「それより……。天龍、これはどういう事だ?」

 提督は咳払いをすると、真剣な顔をして彼女に問いただす。

「さっき先輩から連絡があったんだ。『天龍達が急にいなくなった』、『任務があるなんて聞いてない』って」

「「「「「!?」」」」」

「天龍……。お前ら、何か隠してるだろ」

「……何だ。もうバレちまったか。……いいよ、全部話す」

 提督に追及された天龍は堰を切ったように、淡々と話し始めた。

 

 

「実は任務ってのは嘘なんだ。本当は、家出してきたんだよ俺達。あの鎮守府から」

 

「「「「「いっ……、家出ーーーっ!?」」」」」

 

 

--------------------

 

 

 一方その頃、深海棲艦の棲み処では異変が起こっていた。

 

 ポッドから煙が噴き出し、中の何かが縦横無尽に暴れまくっている。

 耳をつんざくような警告音が鳴り響き、研究者ロ級達が慌ただしく動いている。騒ぎを聞きつけ、ヲ級も飛んできた。

 

「生命エネルギー急上昇! ……コレハ……?!」

「オイ、ナニガ起キテルンダ!」

「《ヤツ》ガ……、ポッドノ中デ急成長ヲ遂ゲテイル! 赤ン坊カラ一気ニ成体ヘ……。コレハ凄イ! 我々ノ想像ヲ遥カニ上回ル成長スピードダ!」

 ホッチキスでまとめただけの簡素な資料のページを何枚もめくりながら、やや興奮気味にロ級が語る。

 

「目覚メルゾ……! 史上最強ノ生物兵器ガ!」

 

 ポッドの中の生命体の瞳が赤く光る。史上空前の大決戦が、間近に控えていた。




天龍が語る家出の真実! そして襲いかかる深海棲艦の魔の手!
最大のピンチに、どうするどうなるネコ艦隊!?

次回『金剛死す』
デュエルスタンバイ!

金剛「WHY!? 何故!?」

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