ネコ艦!   作:梶田リク

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あけましておめでとうございます。
2019年一発目のネコ艦! まあもう一か月過ぎたけど。

いやーこの一か月の間いろんなことがありましたねー。
 
ユーチューバーが事故死して。吉田沙保里と稀勢の里が引退して。
大坂なおみ世界ランク1位になって。嵐は活動休止発表!?(←これが一番びっくりした)

平成最後の年は、初っ端から大騒ぎ!
一方ネコ艦隊の方も大騒ぎ!

新年早々最大の危機が訪れた!


第十七話 決戦(前編)

【前回までのあらすじ】

 ネコ提督の鎮守府に、ペンギン艦隊のメンバーが遊びにきた。

大乱闘ゲームをしたり、終わらないしりとりをしたり、駄洒落で冷たい空気になったりと、楽しい時間を過ごす吹雪達。

 しかし、彼女達がやってきた真の理由は、まさかの「家出」であった――。

 

 

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「家出してきたって……。どういう事だよ、天龍?」

 

 望月の部屋。先程まで皆が楽しくゲームをしていた空間は、天龍の突然の告白によって一気に静まり返った。

 

 提督が天龍を問いただすと、彼女は頭をかきながら答えた。

 

「まあ……、なんつうの? アイツのやり方についていけなくなったっていうかさ」

「え……」

 

 天龍の言う『アイツ』とは、おそらくペンギン提督の事だろう。しかしやり方についていけないとはどういうことだろうか。

 

 ネコ提督の記憶の中の彼は、強くて頼りがいのある優しい先輩だった。そんな彼が部下の反感を買うほどの無茶な指令を出すとは到底思えない。

まさかあの優しげな顔はフェイクで、その裏ではとんでもないブラック野郎だったのだろうか?

「だってアイツ……」

 そこから天龍達は堰を切ったように語りだした。

 

「最近訓練ばっかで全然出撃させてくれねえし!」

「全然夜戦してくれないし!」

「全然遊んでくれないっぽい!」

「ちょいちょいセクハラしてくるし……」

 

「「「「何より全然働かない」」」」「「「し!」」」「っぽい!」

 

 何やってんだあの人――!

 

 自分が想像していた事態よりもしょうもない問題であった。いや後半二つは全然しょうもなくないが。

 これは離反されても仕方がないのでは……、と提督は思った。

 

「うわーそれは最低だね」

「最低最悪の魔ペンギンだよ」

「だろー? だろー!?」

 

 望月達が同調すると、気を良くしたのかその後も出るわ出るわペンギン提督への文句、もとい愚痴の数々。放っておけば永遠に続くのではないかというくらい、彼女達の勢いは凄まじいものだった。

 

 とはいえあまり熱くなりすぎるのも問題である。とりあえずネコ艦隊のメンバーが四人を隣の部屋に連れていって、落ち着かせることとなった。

 

 

「はぁ。あいつら相当ストレス溜まってるなぁ……」

 皆が移動し一人になった部屋で、提督は静かに息をついた。

 

「でも、四人ともそんなにペンギン提督を嫌ってるわけではないみたいですよ?」

「うわあっ!? ……って吹雪か。皆に付いてったんじゃなかったのかよ」

「あはは……。司令官に伝えたいことがあって」

 

 吹雪は自分の考えを提督に伝えた。

 

「天龍さん達、散々愚痴を言ってましたけど、ペンギン提督の人格を否定するようなことは一言も言いませんでした。それが私には『かまってもらえなくて寂しい』って、言ってるように聞こえたんです」

「……そっか……」

 

 彼女達が抱えている問題は思ってるより複雑なようだった。

 

 

 と、その時である。突然地面がドスンと大きく揺れた。

 

「何だ!? 地震か!?」

「司令官! あれ!」

 

 吹雪の言う通り部屋の窓を開けると、周囲の様子は一変していた。

 

 雲一つない快晴だったはずの空は黒く染まり、ゴロゴロと雷鳴が響いている。

 さらに嵐のような突風が吹き、穏やかだった海は荒れ狂っている。

 

「え? とうとう地球最後の日来ちゃった?」

「マジかよ……。録画溜まってるアニメ、まだ結構あるのに……」

 かつてないほどの異常気象。隣の部屋の窓から覗いていた島風と望月は、いつものノリで互いに軽口を叩く。が、内心は身震いしていた。

 

 しかし、事態はこれだけでは終わらなかった。

 

「おい! あれ見ろ!」

 天龍が指をさす。海上には深海棲艦の大群が押し寄せてきている。こちらから確認しても、百体以上はいるだろうか。

「嘘……。あんな大群、こっちでも中々見かけないわよ」

 多くの激戦をくぐり抜けてきたであろうペンギン艦隊のメンバーでさえも、これには驚きを隠せなかったようだ。

 

「司令官! このままじゃ町が危険です。出撃命令を!」

「ああ。ただ今回の規模は相当やばい。全員で向かってくれ」

「「「「「了解!」」」」」

 

 吹雪達は提督に敬礼すると、寮を飛び出していった。

 

「よし、俺達も……!」

 天龍達もそれに続こうと駆けだそうとした。

 

「待て!」

「「「「「!?」」」」」

 

 しかしその時、謎の声が彼女達を引き留めた。

 

 その声は彼女達にとって聞き覚えのある声だった。

 

 

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「一人で十体……、いやそれ以上倒せばいけるか?」

「そのノルマ若干高くないですかね? 摩耶さん……」

 

 決戦前にそんなやり取りをしていた吹雪達だったが、なんとか百体の深海棲艦を片付けることには成功した。

 

「さ、さすがにこれだけの数は厳しかったデスネー……」

「そうねぇ。ちょっと、疲れたわ」

 

 ペンギン艦隊時代から色々な戦いを経験してきた金剛と如月といえでも、今回ばかりは大変だったようである。

 吹雪達はぞろぞろと撤収を始める……。

 

「オヤオヤ。随分トオ疲レノヨウダナ。艦娘共」

 と、そこへ白衣を着た数体の研究者ロ級がやってきた。

「うーわ。まだいんのー?」

「私モイルヨ。オツカレ」

「空母ヲ級……」

 

 なんとそこにはあのヲ級までいた。

 深海棲艦達のリーダー格。本当ならここで倒すべき相手なのだが、今は相手にしている余裕はない。

 

「あの悪いけど、アンタ達に付き合ってる暇はないんだよね」

「ソウ。デモ、アンタ達ニハナクテモ、コッチニハアルンダヨネ」

 問答無用。と言うようなヲ級の態度に、艦娘達は思わず溜息をついた。

 

「今日ハ部下ノロ級達ガ、アンタラニドウシテモ見セタイ物ガアルッテ言ウカラ連レテキタンダ。トイウワケデ、コッカラノ進行ハコイツラニ任セマ~ス」

「ハーイ任サレマシター! ソレデハ皆サン、向カッテ右手側ヲゴ覧下サーイ!」

「バラエティ番組かよ」

 

 ゆるい進行に困惑しつつとりあえず言われたほうを見てみると、そこから大きな渦ができていた。

 

 そしてその中から、巨大な怪物がその姿を現したのだ!

 

 鷹のように鋭い目つき。鮫のように尖ったヒレ。獅子のように牙。

 そして、竜のように巨大で変怪な姿は、モンスター映画に登場する凶悪な怪獣を思わせた。

 

「何だありゃあ……!?」

 

 怪獣は吹雪達を見つけると、彼女達に向かって吠え立てた。

 思わず顔を伏せたくなる大迫力。その凶暴な唸り声に倒れそうになるものの、何とか持ちこたえる。

 

「あれは一体何なんだよ!?」

 望月の問いに対し、研究者ロ級がくつくつ笑いながら答える。

「フフフ……。イイダロウ。冥土ノ土産ニ教エテヤル。ソウ……。コイツコソガ、我々深海棲艦ガ長年ノ研究カラ創リ上ゲタ最高傑作……!」

 ロ級は短い腕を精一杯掲げ、高らかに声を上げた。

 

「史上最強ノ生物兵器、ソノ名モ《ラグナ郎くん1号》ダ!」

「ラスボスにしては名前がショボすぎないか!?」

「世間ジャ『ダサカッコイイ』ガ流行ッテイルノダロウ?」

「USAダンスと一緒にするな!」

「ちなみにあの曲、洋楽のカバーよ」

「「マジィ!?」」

 マジである。1992年の曲である。

 

「ラグナローだかヌマクローだか知らないが……、この海で勝手な真似はさせないぜ!」

 摩耶の号令で、吹雪達はラグナ郎くんに向かって一斉に射撃する。銃弾はラグナ郎くんに全弾命中し、大爆発が起きた。

 

「やったか!?」

 

 しかし、爆煙の中から出てきたラグナ郎くんの身体には何一つ傷がなく、ピンピンとしていた。

 

「無駄ダ。コイツノ中ニハ、今マデ戦ッタ艦娘達トノ戦闘データガ詰メ込マレテイル。研究サレ尽クサレタオ前達ノ攻撃ナド、コイツニハ通用シナイ!」

「何ぃ!?」

「姐さん落ち着いて。いくら奴らが研究したって言っても、それは過去のデータだよ。命ある者は常に先を行く。つまり……!」

 

 望月と島風はお互いの両手をつなぎ合い、ぐるぐると回り始めた。

 

「今ここにいるあたしらが予測不可能の行動をすればいい!」

「本邦初公開の大技を見せちゃうよー! 秘技“トルネード戦法”!」

 

 回転のたびにスピードは増していき、まるで竜巻のよう。

 二人はぐるぐる回りながらラグナ郎君に向かって突撃する……

 

バンバン!

 

 と見せかけて同時に射撃した。

 

「はっはー! これぞ秘技“トルネードと思わせて実は普通の攻撃だった! やーいビビってやがるぜ戦法”だー! ひとたまりもあるまい!」

 

 とっさの技が決まり、得意げに笑う望月。

 しかし、ラグナ郎くんは放たれた銃弾を両手でがっちりと受け止めていた。

 

「我々ノ分析力ヲ舐メルナ! オ前ラノ行動パターンナド、既ニ予測済ミダ!」

「「うっそーん!」」

 

「ヤレェ! 《ラグナ郎くん1号》!」

 

 ロ級が指示すると、ラグナ郎くんはそれに応えるかのように大きな雄叫びを上げた。

 そして背びれを青白く発光させると、次の瞬間、口から熱光線を発射する。

 

 光線は吹雪達のちょうど真上を越え、陸地めがけて飛んでいき……。

 

「「「「「あ“ーーー!!!」」」」」

 

 ドーーン! と鎮守府の本館に命中した。

 赤く燃え上がる鎮守府。その光景に、吹雪達は呆然と立ち尽くすしかなかった。

 

「フッフッフッ。自分達ノ拠点ガ木ッ端微塵、コレデ奴等ノメンタルハズタボロ!」

「今ガ最大ノチャンス! 《ラグナ郎くん1号》! 艦娘共ニトドメヲ刺セ!」

 

 ロ級の命令に応え、ラグナ郎くんは再び力を溜め、今度は吹雪達に向かってあの光線を発射した。水飛沫をあげながら、辺り一面が大爆発を起こす。

 

 そこに彼女達の姿はない。

 ネコ艦隊は、爆発に巻き込まれて全滅してしまったのだろうか……?




はい! 今回はここまでです!

シリーズ最大の敵、ラグナ郎くん(←我ながらいいネーミングだと思ってる)との決戦。
実はペンギン艦隊の家出も含めて1話でまとめようと思ってたんですが……。

無理でした。
あまりにも長くなるので。

ま、無理にやろうとすると永遠に出せなくなるしねー。うん。
しょうがないしょうがない。切り換えていこう、よし!

というわけですべての決着は次回! お楽しみにして頂ければ!

(あ、平ジェネFOREVER見たよー! 面白かったー!)
(↑いやここで言うことかいっ)
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