ネコ艦!   作:梶田リク

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どうぞー。


第二話 出撃

 猫の司令官、そして仲間たちと初対面を果たしてから一週間。

 鎮守府での生活にもだいぶ慣れてきた。

 今日はついに初出撃の日だ。

 

「司令官に挨拶を……、ってあれ?」

 

 私が執務室に向かうと、ドアの前にはすでに望月さんと島風さんが立っていた。

 

「うーす」

「おっはよー!」

「おはよう。二人とも早いね」

「なんたって今日は大事な日だからね! 気合満々だよ!」

「……あたしはもうちょっと寝たかったんだけどな。島風に無理矢理起こされて……」

「あはは……」

 

 どうやら望月さんは朝が苦手らしかった。

 

「とりあえず、司令官に朝の挨拶しよう?」

「そうだな」

 

 ノックをして、三人揃って執務室に入る。

 

「おはようございます、司令官! 本日はよろしくお願い……ってあれ?」

 

 司令官の姿が見えない。

 

 部屋の中を探してみると、椅子の上で丸まって眠っていた。

 

「司令官……?」

「!」

 

 私が声をかけると、司令官はハッとなって飛び起きた。

 

「す、すまん! 朝の日差しが気持ちよくて、ついウトウトしてしまった」

 

 日向ぼっこにしか見えなかったけど……。

 

「ごほんっ。さて、いよいよ今日がお前たちにとっての初陣だ。気合い入れて行けよ!」

「はい!」

「おー」

 

 元気に返事する島風さんと私。しかし望月さんだけはどこか不満げだった。

 

「……何か言いたげだな? 望月」

「出撃とかマジめんどくせー」

「ちょっ……、望月さん!?」

「司令官が行ってきてよ」

「なんで俺が行かなきゃならんのだ」

 

「『なんとか肉球!』ってやれば、敵をぶっ飛ばせるでしょ」

「それは違うネコだろ! ってか、俺をネコ扱いすんな!」

 

 

 司令官は自分がネコ扱いされるのが嫌いなようで、そういった話題になると極端に怒り出すところがある。

 

 人間だった頃のプライドもあるんだろうけど、どこからどう見てもネコだからなあ。

 

「はあ……。吹雪、とりあえずお前が旗艦な」

「わ、私ですか!?」

「ああ。三人の中でお前が一番しっかりしてるからな」

「そんな事……」

 

 司令官が私の事を褒めてくれてる。ちょっと恥ずかしい。

 でも、それだけ私を信頼しているってことだよね。

 

「わかりました。頑張ります!」

「よし」

 

 すると、また望月さんが不満を漏らした。

 

「あたしたちがしっかりしてないような言い方じゃんそれ」

「うん。なんかムッとくるよねー」

 

 島風さんまで口をとんがらせる。

 

「今までの態度見てたら当たり前の結果だろうが。お前らのどこがしっかりしてるというんだ」

「…………志?」

「してるかっ!」

 

 司令官の全力ツッコミが、鎮守府中に鳴り響いた。

 

 

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

 

 

 今回の任務は鎮守府近海の防衛。

 この近辺で悪さをする小型の深海棲艦の退治が、私たちに与えられた使命だ。

 

(旗艦を任せてくれた司令官の為にも、頑張らないと)

 

 私たち艦娘は、自身の名前の由来となった船艇の装備『艤装』を装着することにより、水上を自由に行き来することができる。

 私を先頭に隊列を組み、敵が現れるポイントまで移動する、が。

 

「おっおー! みんなおっそーい!」

「島風さん勝手に先行しないで!」

 

 私の注意をよそに、島風さんはどんどん先へ行ってしまう。

 

 するとそこへ艤装に内蔵されたセンサーが反応し、警告音が鳴り響いた。

 

「前方に敵艦の反応あり!」

「! 島風さん、一旦戻って!」

 

 私は遥か前に行ってしまった島風さんに呼びかけるが……。

 

「おうっ!?」

「島風さーん!」

 

 言ったそばから目の前の深海棲艦と激突してしまった。

 

「だ、大丈夫?」

「何とか……」

 

 目の前には、魚雷のような形をした深海棲艦が二体並んでいる。

『駆逐イ級』と呼ばれている個体だ。

 戦闘能力はそんなに高くなく、普通に戦っても負けることはない相手。

 ただそれでも、実際に遭遇すると妙な威圧感がある。

 

「うう……、やっぱり怖い……」

「いや、あたしにいい考えがある。行くぞ島風!」

「ガッテン!」

 

 望月さんと島風さんは威勢よくイ級たちのいる方へ突っ込んでいく。

 

「「うおおおおお!」」

「望月さん! 島風さん!」

 

 一体どんな攻撃を……!?

 

 

「「まあまあ一杯」」

(接待!?)

 

 なんと、二人はどこからか取り出したボトルを差し出し、深海棲艦相手に接待を始めたのだ。ちなみに中に入っているのはお酒ではなくただの飲料水のようだ。

 

(でもそんな攻撃、通じるわけが……)

「ア、アリガトウ」

「頂クヨ」

(通じた!? しかも、喋った!?)

 

 驚く私を尻目に、イ級たちは二人が差し出した水をゴクゴクと飲み干していく。

 

「おお、いい飲みっぷりだねーお兄さん!」

「もっと行こうもっと行こう!」

「「飲ーんで飲ーんで♪ 飲んでっ♪」」

 

 コールをする二人。戦場であるはずの海上は、最早一種の飲み会のようになってしまった。

 

「イヤー、ナカナカ面白イ奴ラダナ」

「マア頑張レヨ。俺タチモ応援シテルカラサ」

「「あざ~す」」

 

 艦娘と深海棲艦が仲良く談笑する様子に、私はただ、唖然としているだけだった。

 

 

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

 

 

 数時間後。

 

「おっ、戻ってきたか。お疲れ様」

 

 鎮守府に帰ってきた私たちを、司令官が玄関で迎えてくれた。

 

「初戦で無傷とは優秀じゃないか。一体どうやったんだ?」

「良かったよ。なかなか話の分かるやつでさ」

「ん……? どうゆうことだ!?」

「……」

 

 これは、説明がマジめんどくさいな。

 そう思う私でした。

 




島風「私たちって駆逐艦とか戦艦とかあるでしょ? それぞれどれだけ強いの?」
望月「分かりやすくまとめてみました」

駆逐艦  強い。
軽巡洋艦 絶対に強い。
重巡洋艦 めちゃくちゃ強い。
潜水艦  鬼強い。
空母   究極に強い。
戦艦   ムテキに強い。

望月「こんな感じかな」
島風「なるほどー」
ネコ「なんか違うと思うなー……?」
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