ネコ艦!   作:梶田リク

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第三話 新たな仲間

 初出撃の翌日。

 本部から新たな艦娘が派遣されることになった。

 私たちは、鎮守府の門前でその到着を待っていた。

 

「ううっ……。緊張するなぁ……」

「司令官でも緊張する事があるんですね」

「そりゃそうだろ。俺だって人間なんだから」

「「「いや猫」」」「でしょ」「じゃん」「だろ」

「皆まとめて猫扱いすんなっ!」

「大体、司令官が緊張してどうするんだよ」

「いやだってさ。第一印象って大事じゃん? もしそれが原因で冷たい態度なんか取られたりしたら、俺寂しくて泣いちゃうよ」

「うわめんどくせー」

 

 そんなやりとりをしながら、待つこと数十分。

 私たちの目の前に黒色の外国車が止まった。

 

「黒塗りのベンツだ!」

「追突しないのか?」

「おい。やっていいネタと悪いネタがあるぞ」

「「ごめんなさい」」

 

 司令官に本気のトーンで叱られた二人は素直に謝った。

 

「あ、出てきますよ?」

 

 車の後部座席のドアが開くと、中から出てきたのは駆逐艦の私たちより背の高い女性だった。

 

 紺色のセーラー服に身を包み、赤いラインが施されたスカートを穿いている。

 しかし、それ以上に特筆すべき点は――。

 

 

((((で、でけえ……)))) 

 

 

 誰もが一瞬見惚れるほどの、美しいプロポーションだろう。

 

 特に胸部装甲の大きさは群を抜いている。それはもう、自分のそれが空しく思えるほどには……。

 

「お、そこにいるのはここの鎮守府の奴らか?」

 彼女は私たちに気づくと、傍まで駆け寄ってきた。

 

「よぉ、アタシは重巡洋艦の摩耶ってんだ。よろしくな!」

 

 彼女――摩耶さんはふっと笑って私に握手を求めてきた。

 その笑みからは、彼女の気の良さが見て取れる。

 良かった。そんなに怖そうな人じゃなさそうだ。私は喜んでそれに応じた。

 

「はい、よろしくお願いします」

「それにしてもこんなちっちゃな嬢ちゃんがアタシの提督とはな。びっくりしたぜ」

「え?」

 

 耳を疑った。どうやら摩耶さんは、私が司令官だと勘違いしているようだ。

 

 その発言に本来の司令官は愕然としており、島風さんたちは笑いを堪えている。

 

「いやあの、司令官は私じゃなくて……」

 

「そうなんすよ~。この娘が私たちの提督で~」

「真面目で頼りになるんですよ~、ちょっとドジなんすけど~」

「ちょっ……! 二人とも!」

 

 ここぞとばかりに勘違いに乗っかる島風さんと望月さん。完全な悪ノリだ。

 

 と、ここでフリーズから立ち直った司令官が二人を止めようとする。

 

「はっ!? おい、お前らいい加減に……」

「ん? なんだ、お前たちの飼い猫か? おーよしよし可愛いなー。名前はなんていうんだー?」

 

 摩耶さんがその豊満な胸に司令官を抱きかかえた。

 

「むぐっ!? むぐーーーーっ!!!(猫扱いすんなーっ!)」

 

 胸の圧力にのまれながら、司令官は思い切り叫んだ。

 

 

 

「悪い! アタシってばとんでもない勘違いを……!」

 

 しばらく経って、執務室に入った摩耶さんは両手をついて司令官に謝った。

 

「もう気にしてないよ。確かに傍から見たら完全に猫だし、提督としてのオーラ的なのもなかったみたいだけど。別にっ、全然っ、気にしてないから……っ」

「めっちゃ気にしてるじゃないですか」

「それでもだ。このままじゃアタシの気が済まねえ。せめてもの詫びとして、雑用でもなんでも申し付けてくれ」

「……わかった。そこまで言うなら……」

 

 そう言って司令官は、私たちにある任務を下した。

 

 

--------------------

 

 

「バリバリヨロシクー!」

「パラリラパラリラー!」

 

 特攻服を身に纏い海面を走り回るイ級たち。

 大勢で騒音を掻き鳴らすその姿は、さながら暴走族だ。

 この集団の撃退。それが今回の任務である。

 

「おー、こりゃまた派手にやってるなー」

「摩耶さん! みんな! 行くよ……ってうわあっ!?」

 

 私たち四人の前に、突然一体のイ級が猛スピードで突っ込んできた。

 

「危ない!」

 

 すんでのところで摩耶さんが私を抱え横にすっ飛んだ。

 もう少しで轢かれるとこだった。

 

「大丈夫か?」

「は、はい。ありがとうございます……」

 

「オラオラドケドケ! ボーットシテタラ怪我スルゼ!」

「危ない! 危ない!」

 

 その後も何度も突っ込んでくるイ級たちの猛攻に、私たちは手も足も出ない。

 何より、避ければ避けるほど体力が削られていく。

 

「はぁはぁ……、やべえ。あいつら加減ってもんを知らない……」

「ううっ……、危険運転禁止~~……」

 

 望月さんたちもその場にへたり込んでしまった。

 

「ハッハー! 何人タリトモ俺タチノ前ハ走ラセネエ!」

 

「ずいぶん威勢がいいな。肩慣らしにはもってこいだ」「摩耶さん」

 

 私たちの前に、摩耶さんが立った。

 あれだけ動いたのに、息一つ切らしていない。

 

「後はアタシに任せて休んどけ」

「フン。女ナンカニ俺タチハ止メラレナイゼ」

「ヤッチマッテクダセエ! 総長!」

 

 リーダー格であろうイ級が摩耶さんに向かって飛び掛かる。が!

 

「でりゃあっ!」

 

 摩耶さんは攻撃を避けず、そのままイ級の身体に砲弾を撃ち込んだ。

 

「ギャアアアーーッ!!!」

 

 砲撃を受けたイ級は大爆発を起こして、その場に倒れた。

 

「「「「「総長―ッ!」」」」」

「凄い……」

 

 たった一発でイ級のリーダー格をやっつけてしまった。

 これが重巡洋艦の力……。

 

「ソンナ! 俺タチノ総長ガ一撃デ……」

「ヤベエヨ……、マジ半端ナイッテ……」

「さーて。次の相手はどいつだ?」

「「「「「!?」」」」」

 

 頼みのリーダーがやられ、萎縮してしまった様子のイ級たちは……。

 

「「「「「スイマセンッシター!!!!!!」」」」」

 

 倒れた総長を抱きかかえると、速やかに逃げて行った。

 

 

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「……どーだ。アタシってすげえだろ?」

「すごかった!」

「全くだ!」

 

「「揺れるおっぱいが!」」

「そこじゃねえだろ!」 

 

 的外れの感想を告げる望月さんと島風さんに、摩耶さんは顔を赤らめながら突っ込んだ。

 この二人は相変わらずだなー……。

 

「ったく……」

「あの、すみません。あの二人いつもこんな感じで……」

「別にいいよ。賑やかな方が好きだし。それより、これから一緒に頑張ろうぜ」

「……はい!」

 

 新たな仲間を迎え、ネコ艦隊はもっと強くなる。

 私はそう確信しました。

 

 




ネコ「お前ら摩耶の胸の話ばっかするなよ」
望月「そういう司令官だってあんな大きな胸に押し込まれてラッキーとか思ってるんだろ」
ネコ「そそそそんな訳ないじゃん……」
吹雪「めっちゃ動揺してるじゃないですか」

大きい胸には、男のロマンが詰まってるんだよ。


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