そのボーカルの男性は、自分で曲を作ったり、他のアーティストのMVを撮ったり、アニメも作っちゃったりと、とにかくマルチな才能を発揮しまくってるんです。
すげーなー。僕にもその才能分けてほしいなー。マジでー。
八月も半ばを過ぎた。まだまだ暑い日が続いているが、皆さんはどうお過ごしだろうか?
私達ネコ艦隊は金剛さんが加わり(まだ非公認)、深海棲艦討伐に励んでいた。
そんな中、我らが司令官はというと。
「ゴホゴホゴホ!」
風邪をひいてダウンしていた。
「大丈夫ですか、司令官?」
「ううっ……、面目ない……」
私の問いに答えた司令官は、おでこに氷袋をのせて執務室のベッドに横たわっている。
ちなみにそのベッドは普通の成人男性が寝られるほどのサイズなので、猫の司令官にとってはとても大きいものだった。
「油断してた……。ネコも風邪ひくんだな……」
「そりゃ生き物ですからね」
最近、司令官は夜遅くまで作業をすることが多かった。そのせいで生活リズムが崩れ、体調を崩してしまったのだろう。
「気を付けてくださいよ。この時期の風邪は、拗らせると色々厄介ですから」
「だな……ゴホッ」
「そうだ。私司令官のためにお粥作ってきたんです」
「吹雪が?」
「はい。食べますか?」
「そうだな。せっかくだから頂こうか」
ベッドまでお粥を運び、具をスプーンに乗せて、司令官の口に近づける。
「はい司令官。あーん」
体に優しい具材を沢山入れたんだ。一口食べれば、少しは元気になってくれるはず。
「……アッツ!!!」
司令官は猫舌だった。
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あれから十分に冷ましたお粥を食べ終え、熱を測る。
体温計のメモリを確認すると『37度5分』と出ている。前に測った時もこの数値だった。
「熱、下がりませんね」
「そうか……」
司令官が倒れてから三日。お医者さんからもらった薬を服用してはいるが、一向に治る気配がない。
「それなら、私の愛で熱を冷ましてあげるネー!」
「「うわあっ!?」」
すると突然、タンスの中から金剛さんが飛び出してきた。
「金剛さん!? 何でそんなところから……!?」
「テイトクのいるところにワタシありデース!」
「……まさか、三日前からそこにいたんじゃないだろうな?」
「OH! 流石テイトク、ワタシの事ならお見通しってワケデスね」
「やっぱり……」
司令官は大きくため息をつくと、布団を被ってこう言った。
「吹雪、お引き取りしてもらって。今の俺には突っ込み切れん」
「あ、はい」
「What!? テイトク!? テイトクーーッ!?」
さすがにこのテンションには付き合いきれないと踏んだのか、金剛さんは司令官の判断で部屋の外へと出された。
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「見舞いにきたよー!」
「島風さん。望月さん!」
金剛さんが出て行って数分後。今度は島風さん達がやって来た。
島風さんは部屋に入ると、速攻で司令官の傍まで駆け寄った。
「提督大丈夫ー?」
「そんな近づいたら風邪うつるぞ」
直後。島風さんの顔色がみるみると悪くなり……。
「風邪うつった……」
「早っ!!」
そのまた直後。顔色が徐々に良くなり……。
「風邪なおったー!」
「早っ!!」
何というスピード感。即落ち2コマってこういう状況を言うんだろうな。
と、望月さんの方を向くとその手には大きなカバンが握られている。
「そのカバンは?」
「ああ。ずっと寝てるのも退屈だと思ってさ……」
そう言うと望月さんはカバンの中から何冊かの本を取り出して、ベッドの上に置いた。
「ほら。暇つぶしの漫画、持ってきたぜ」
「お、サンキュー」
そこに置かれたのは中高生向けの週刊誌だ。表紙には麦わら帽子の少年が大きく描かれている。私はあまり漫画を読まないが、この雑誌は最近面白いと話題になっているそうだ。
「……あれ? 今週こ〇亀載ってないのか?」
「随分前に終わったよ」
「何ーーっ!?」
司令官はそれを聞いてひどく驚いていた。
「じゃ、じゃあナ〇トは!?」
「終わった」
「〇リーチは!?」
「終わった」
「銀〇は!?」
「もうすぐ終わる」
「マジかー……」
「……提督、全然読んでないんだね」
「バク〇ン始まったぐらいから止まってる」
「それ十年ぐらい前じゃん!」
その発言がよっぽどショックだったのか。司令官はばったりと寝込んでしまった。
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どのくらい時間が経ったんだろう……。
ゆっくりと目を覚まし、ベッドから起き上がる。随分眠っていたおかげか、体のだるさはだいぶ収まっていた。
「あ、司令官。よく眠れました?」
横では吹雪がロッキングチェアに座り、編み物をしている。
「望月達はどうした?」
「司令官が眠った後、自分の部屋に帰っていきましたよ。私はまだやることがあるので、残ってはいますけど……」
あはは……と微笑みながら、吹雪は頭をかく。
もしかして、あれからずっと隣で作業していたのか?
時計の針を見ると、既に七時を回っていた。
「吹雪」
「何ですか。司令官」
「もう夕飯の時間だろ? 望月達とご飯食べに行かないのか?」
「行きますよ? でも、もうちょっとだけ司令官の傍に居させてください」
不思議だ。なぜ、彼女はここまで俺に付き合ってくれるのだろうか。
「あっ、欲しいものあったら言ってくださいね。私持ってきますから」
「いやそれはいいんだけどさ……」
彼女だって休みたいだろうに。俺のせいで時間を潰してしまっていると思うと、なんだか申し訳ない気持ちになる。
「その……、悪いな。俺なんかのために」
「何を言うんですか。司令官は私達の司令官ですから、サポートするのは当たり前ですよ」
「でも」
「いいからゆっくり休んでください。みんな、元気な司令官が好きなんです」
その言葉を聞いて、改めて思った。
ああ。やっぱり吹雪は優しい子だ。
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「俺、ふっかーつ!」
翌日。俺の体調はすっかり良くなっていた。
熱もないし体のだるさもない。もう風邪は完治したといっていいだろう。
一方付きっきりで面倒を見てくれた吹雪の方はというと、顔色が悪く、動きも何やらふらついていた。
。
「大丈夫か吹雪?」
「だ……、大丈夫ですよ、司令官……」
そう言いながら顔面から派手にぶっ倒れてしまった。
「ふっ、吹雪ーーっ!!?」
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司令官の目の前で倒れた私は執務室のベッドで寝かされていた。
ずっと看病してた人が、看病されることになるとは。これでは本末転倒じゃないか。
「すいません司令官」
「いいって。お前今までずっと頑張ってくれたもんな。今度は俺の番だ」
司令官は私の方を見て、ニコッと笑った。
「ゆっくり休めよ。みんな元気な吹雪が好きなんだからさ」
「司令官……」
自分の言葉で恥ずかしくなったのか、すぐに顔を伏せて薬を探し始める司令官。
でも私はその言葉がとても嬉しくて、彼にそっと呟いた。
「ありがとうございます」
「ん? なんか言ったか?」
「……いいえ♪」
私の司令官は、やっぱり優しい人だ。
大井「提督が風邪ひいたそうね」
北上「へーそうなん」
大井「それで吹雪が看病してるそうよ」
北上「ふーん。じゃあもし大井っちが風邪ひいたら私が看病してあげるよ」
大井「北上さんが!?」
その日から大井は何時間も滝に打たれ、エアコンかけっぱなしの部屋でおなかを出して眠った。全ては風邪をひいて北上に看病してもらうために。そしてその結果……!
大井ゾンビ「き~た~か~み~さ~ん~。か~ん~びょ~し……ブハァッ!?(血ドバー)」
北上「うん、とりあえず病院行ってきな?」