「――ということで、ここ一週間はどの授業も今までの復習になる思います。ですからみなさんにとっても比較的楽な授業になると思いますので、眠ったりしないことですよ? この一週間はこの学校に慣れてもらうためのものだと考えてくださいね? ―――」
…教壇でこの学校のことについて語る先生。いままであったことのある先生とは違う。なかなか親しみやすい先生だ。話し方も、長い話でもなんとなく人を惹きつけるような、それでいてわかりやすいものだ。いい先生にあたってラッキー。
…この教室に集まった新入生は例外なくそう思っているはずだ。そしてなにより、新入生の心を掴んだのは…
(…え?…子供?)
その先生の身長である。
月詠 小萌。
ピンクのショートヘアをしたただの
「―――以上です。何か質問はないですか?」
全員が手を挙げる。
「おお…」
その先生は少し圧倒されると、笑顔で返した。
「みなさん、好奇心旺盛でいいですね! 先生なんでも答えちゃうですよ!」
その言葉に、一同、心を揃えて…
「「「「「先生って(ほんとに大人)(いくつ)(飲酒可能)(車の運転って大丈夫)(好きな男性のタイプってなん)なんですか!?」」」」」
「―――っな!?―――」
ーそのクラスは1時間近く下校の時間が遅れたのであったー
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数十分後。
「ハァハァ…で、では…自己紹介と行きましょう。名前と、あと目標とか夢とか…あと…」
少しの間を空けて
「レベルですね。あ、言いたくない人は無理に言わなくてもいいですよ」
レベル。能力のレベル。幸いこの学校はそもそも高レベルな能力者が通うような学校ではないので、レベル3がいれば十分なところだ。しかし中には、無能力者や低レベルなものをあからさまに差別するような奴もいる。故に先生はワンクッションおいてから話したのであろう。
「それでは、こっち側の席の人からどうぞ―――」
~~~
そして、ついに窓側の列の番。優馬は後ろから二番目だ。二つ前の男子が自己紹介を終える。次に、優馬の前の席の男子生徒が立つ。
「え~と…
(どんだけ後ろ向きだよ! 能力者自体このクラスじゃ2、3人だろ…あ、俺入れて3、4人か)
「能力者じゃなくても喧嘩は御法度なのですよ~。じゃあ、次の人!」
ついにきた! 落ち着いて、ハキハキと…。
「下崎 優馬でしゆっ!」
「「「「でしゅ?」」」」
「あ、いや…」
噛んじまったあああ!
「ゴホン! ………下崎 優馬です。レベルは1なんの能力かは弱すぎてわかんないらしいですよろしくお願いします!」
焦りと恥ずかしさで最後の方は早口になっちまった。最悪だ。
今すぐこの場で悶えたい気持ちを抑えるのに精一杯で、自己紹介が終わったことにすら気づけなかった。
「はい!それでは充実した学生生活を過ごしてくださいね! じゃあ今日はこれで終わります! 」
その言葉を皮切りに、各々席を立ち帰りの支度を始める。しかし、俺はまだうつ伏せになっていた。
「ハァ…」
誰にも聞こえないようなため息をつく。
「あ~…えっと…。大丈夫か?」
ふと、自分に声をかけるものがいた。ゆっくり顔を上げると、そこには上条 当麻と名乗った男がいた。
「ああ…いや…なんでもないんだ…」
「まあ…やっちまったことはしょうがないって…」
「え?…ああ…」
「…」
「…」
((気まずい))
(あまりの落ち込みように話しかけてみたけど、これ以上会話が続かん!)
(慰めてくれてるんだろうが、これ以上話しかけられても会話が続かん!)
「あ~っと…」
それでも、礼は言っておくべきだろう。
「ありがとな」
「ん…。それほどでもねえよ」
「そうか…」
「ああ…」
「…」
「…」
沈黙。ひたすら沈黙。この空気に耐えられるものはいないだろう。
「なんだこれ」
「ハハッ!」
顔を向かい合わせ、笑い合う。二人共、少しだけ目の前の相手と距離が縮まったような気がして、さっきより気が楽になった。
「たしか…上条 当麻…だったよな?」
「ああ。えっと、下崎 優馬だよな?」
「優馬でいいぜ」
「じゃあ俺も当麻で」
「おう、なんか飯でも食ってこうぜ」
「そうだな、今、1時くらいか?」
当麻はポケットから携帯を取り出し、時間を確認しようとした。
が、
「あああ~~~~~!!」
「ん!?」
「じ…充電切れてる…」
「…ほら」
「え?」
「俺の貸してやるよ」
「まじか!? サンキュー!!」
「お…おう。で、どこ行くよ? ってか寮は同じだよな? 駅前のところでいいか?」
「おう。じゃあ行こうぜ」
「ああ」
「ところであの先生ってさ―――」
「ああ、俺も―――」
とりあえず、友達が一人できたことに、下崎 優馬は安堵する。これから先、これの何十倍も騒がしい日常を送ることになるとは知らず。
上条さん登場!
不幸成分が足りないな。
次からは、デフォで泣き顔にしよう(ゲス顔)
次回も日常回。
まだまだ導入。
本編はあと2,3話後かな(^^;)