ヒーローの世界に生まれました   作:和志1203

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第二話

わたしの個性が現れたのは3歳を過ぎてすぐ…

 

 

(早く個性欲しいなー。できれば後方支援系か遠距離攻撃系)

 

今日も院長先生と柔道か空手か合気道かわからないが体術の練習をしてるみんなを眺めながら先生お手製の『これで君も完璧!人間の急所』を読んでいた。3歳児には教育的によくないですよね、この本。

 

(3歳かーまだデクと爆豪の仲がめっちゃ悪くなる前か。轟くんもお母さんと一緒に住んでいる頃だよね)

 

これからの彼等を考えると悲しくなったが、今の自分じゃ何も出来ない。

 

(先生みたいな個性だったらすぐに会いに行けるのに)

(あの子のように花を出せたら喜んでもらえるかな)

 

先生の個性は『瞬間移動』行ったこと、見たことがある場所、知り合いの居る場所ならすぐに飛んでいける個性。黒霧のワープゲートみたく正確な座標指定はいらないが飛びすぎると飛べなくなるらしい。寝たらリセットだって。

花を出せる子は知ってる植物を出せる個性。花だけじゃなく木も出せるがめっちゃお腹が空くらしい。

他にも力・体力・スピードなどの身体能力ブースト系や、物や自分の重力を倍にするのや、猫や蜘蛛などの個性の子がいる。

 

(どの個性もいいな。ヒーローは夢じゃないけど、人の為になる個性が欲しい)

 

 

先生が元ヒーローであるのと年上組がみんなヒーロー、ヒーロー科の学校に行ってるためまだ個性が出てない小さい子までもヒーローになることを夢見ているが、わたしだけはヒーローを目指してない。

 

毎日テレビで流れるヒーローのVTR。怪我をするシーンも流れるし、犯罪者との戦いで命を落とすヒーローもいる。そんな命をかけるヒーローという職業がわたしは怖い。前世での警察官や消防士などの身を危険にさらす職業とは比べものにならないほど、命の危険がある。

そんな命をかける仕事を目指すことをほとんどの人が褒める。親でさえ自分の子供がヒーローになることを嫌がらない。そんなことが当たり前になっているこの世界が怖い。

 

先生もヒーローの危険を知っているから一度は止めているけど、諦めなかったら、応援するし、厳しい訓練をしている。それが、子供達にできる先生の精一杯なことだと思うが、できればもっと強く止めて欲しい。家族が傷つくのは嫌だ。

 

(まぁ、止められないけどね)

 

みんなデクみたいに目を輝かせてヒーローになるって言ってる。ヒーローの映像が流れるとみんなテレビにかじりついて見るし、特にオールマイトはこの孤児院でも人気だ。

 

だから、わたしはみんなが安心してヒーローになれるように警察官でもいいし、医者でもいい。ヒーローに関わる仕事に就きたい。

だから、

 

「(将来の方向性を決めるために)早く個性出てくれないかなー」

 

「ばんりちゃんまだ出てないもんねー」

 

「みっちゃんは箱出せるからいいねー」

 

「箱じゃないよ!キューブだもん!」

 

「ボックスじゃなくて?」

 

「ボックスはださい!キューブ!」

 

「はいはい笑」

 

隣でぷりぷりしてるのはみっちゃん。ほぼ同い年の子でもう個性が出てる。

 

「みっちゃんの個性いいよねー自分を守れるし他の人も守れるし、箱を硬くしたり柔らかくしたりできるから汎用性があるよねー」

 

「箱じゃない!キューブ!

ハンヨウセイって何?ばんりちゃんむずかしい言葉知ってるねー」

 

「いろんなことに使えるってことだよー」

 

「なるほど!ばんりちゃん頭いいねー」

 

さっきまでぷりぷりしてたのに、笑顔ですごいすごい言ってるみっちゃんが可愛くて思わず抱き付いてちゅーをした。

 

「あーかわいいんじゃー!」

 

「ばんりちゃんもかわいいよ」

 

(なんていい子なの!)

 

みっちゃんといちゃいちゃしてたら庭から大声が聞こえた。

 

「せんせーい!木から降りれなくなった!」

 

みっちゃんと顔を合わせてから見に行くと、猫の個性の子が15mほどの木のてっぺんまで登って降りれなくなったらしい。

 

「先生はどこ行ったの?」

「電話しに行った」

「どうする?どうしよう?」

「ほっとく?」

「可哀想だよ」

「自己責任」

「登れたから降りれるでしょ?」

 

木の下で訓練してた子達が集まってガヤガヤし始めた。そのうち「頑張れー」「やればできる!」「富士山になれ!」と応援し始め、猫の子もやる気になり、慎重に降り始めた。

 

「大丈夫かな?ばんりちゃん」

 

「猫だし大丈夫でしょ」

 

「でも前に先生があの木はおじいちゃんだから登らないようにって」

 

「おじいちゃん?」

 

「うん。弱ってるんだって」

 

「弱ってるって…やばい!」

 

持ってた本をみっちゃんに押し付けて走った。

 

「動いちゃダメー!!!」

 

叫んだが、他の子の声の所為か集中してるからか、反応してくれない。

 

「動くなー!!!」

 

近づいてやっとこっちを向いてくれたがその時、左足を掛けてた枝が折れた。バランスを崩して両手も木から離してしまい背中から落ちてゆく。

 

(どうしよ…他の子らじゃ助けられない、個性があっても反応できない。どうする⁉︎)

 

猫の子から目を離さずにがむしゃらに走った。

 

(あのまま落ちたら他の子も巻き込む…先生の個性があったら)

 

木の下にいる子は驚いて動けずにいる。

 

(お願い、個性出てきて。怪我させたくない……助けたい!!!)

 

助けたい、そう思った瞬間体がグンッと引っ張られ、周りの景色が歪み思わず目を閉じた。手に何か当たり掴んで、目を開けると空しか見えなかった。

 

「ぇえ、そっらあぁぁぁぁーーー!!」

 

場所を確認する前にひゅんっと落ち始めた。落ちる嫌な感覚を耐えながら掴んでいるのを見ると猫の子だった。その子を寄せて抱きしめると下が見えた。

 

(あの広さの庭と建物って家だよね⁉︎なんで空にってこのままだとやばいやばいやばい…)

 

いつのまにか孤児院の上空にいて落ちている状況、落ちてしまえば怪我ではすまない。

 

(やばいやばい…落ちたらミンチ……やばいやばい)

(助けて先生!みっちゃん!)

 

先生とみっちゃんのことを考えるとまた体が引っ張られ、違う場所に移動してた。

 

(ふぇ⁉︎また⁉︎ってさっきよりも地面に近いじゃん!)

 

次に出た場所は孤児院の上だったが、さっきよりも地面に近づいていた。

 

(人がゴミのようだーつぶつぶしてるってそんな場合じゃない)

(場所が移動したからか落ちる速さがリセットされた…もしかしてこれって)

 

(先生の個性に似てる)

 

(とりあえずイメージ…もう少し下……あの場所!)

 

もっと下に行くイメージをしたらまた体が引っ張られ移動してた。

 

(やっぱり…瞬間移動だ、このまま少しずつ下に行けば)

 

なんとなく使い方がわかり、もう一回下に移動した。次は肉眼でも人がしっかり見えるぐらいに。

 

(次は地面!)

 

自分が地面に立っているイメージをするが…移動できない。

 

(うそうそ⁉︎なんで⁉︎)

 

もう一回してみるができない。どんどん地面に近づいてる。

 

(この高さでも無事じゃすまない)

(みっちゃーん!大きい柔らかい箱だしてー!!)

 

届くことはないがみっちゃんに助けを求めた瞬間、ボフン!っと柔らかな何かに当たった。

 

「うわっ⁉︎」

 

そのまま何回もボフンボフンしてると、落ち着き周りを見た。

ポカーンとしてる孤児院のみんなと先生がこっちを見てた。

 

 

 




基本みっちゃん以外の名前は考えてません。院長先生もです。
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