目が覚めたら、病院にいた。
おじいちゃんおばあちゃんが手を握ってくれてて、起きたことに気づくとおじいちゃんは走ってどこかに行き、おばあちゃんは泣いていた。
おじいちゃんが呼んできたお医者さんに簡単な診察といくつかの質問をして問題なかったみたい。念の為もう一日入院だと。
「お大事に」
そう言って出て行ったお医者さんの顔が何かを耐えるように歪んでいた。
「万里…あのな…」
いつも元気にハキハキ喋るのおじいちゃんが口ごもりながら教えてくれたのは
孤児院がヴィランに襲われたと。
先生もみっちゃんもしぃちゃんもみんな死んでしまったと。
ヴィランが孤児院に爆発物を仕込んで、その爆風で飛ばされたわたしは頭を打って意識を失ってたと。
「今日何日?」
「…12日」
「誕生日…みんなと楽しみたかった」
「万里ちゃん…」
「みんな…もういないんだ…会えないんだ…」
「っ万里!」
おじいちゃんがぎゅっと抱き締めてきた。おばあちゃんは手を強く握りしめた。
わたしは自分が泣いているのかもわからなかった……
次の日退院したわたしはマンションに戻った。おじいちゃんはわたしの頭を撫でてから出掛けて行った。
後から知ったんだけど、孤児院のみんなの葬儀の手続きとか、昔の伝手をつかってみんなを殺したヴィランの情報を集めてたんだって。
おばあちゃんはずっとわたしの側にいてくれた。
みんなの葬儀は事件の捜査の為数日後に行われた。
たくさんの人が来た。先生やヒーローになったお兄ちゃんお姉ちゃん達の仕事仲間、ブレザーや学ランを着たしぃちゃん達のお友達、親と一緒に来た小学生や近所の子達…みんな泣いていた。
立派なヒーローだった、将来有望なヒーローの卵だった、明るくていい子だった、優秀な子だった、正義感の強い子だったと。
喪主をしているおじいちゃんの元にみんながやって来て言った。
そして、わたしの頭を撫でたり、抱き締めたり、一言何か言ったりしてから去って行った。
わたしはそれを眺めているだけだった。
何処からか聞こえてきた。
"優秀な子を育てるからあの孤児院は目を付けられたと"
葬儀から1週間経った…
(いつまでも落ち込んでたらダメだよね…)
パンッ!と自分の顔を叩いて気合を入れた。
(まずは腹ごしらえから…)
「おばあちゃん!お腹すいた!ご飯食べたい!」
寝室のドアを勢いよく開けて言うと驚いた顔のおじいちゃんとおばあちゃんがいた。
無理もないよね。葬儀からずっと塞ぎ込んでて、唯一の形見であるみっちゃんのぬいぐるみを抱き締めて寝室に閉じこもってたから。
ご飯もうさぎの餌以外しか食べなかったしね。
おばあちゃんはすぐに台所へ行って料理をし始め、おじいちゃんは恐る恐るわたしに近づいてきた。
「ば、ばんり…元気か?」
「元気になるよ、おじいちゃん」
「おぉ…」
「みんなの分まで元気に生きる!」
「そうか…そうか!」
おじいちゃんはにかっと笑ってわたしを抱き上げた。
「おじいちゃん後で聞きたいことがあるの。あとわたしの話も聞いて欲しい」
「わかったぞ」
おばあちゃんはご飯をあまり食べてなかったわたしのことを考えて、柔らかく煮込んだうどんを作ってくれた。
「美味しい!」
一口食べたらそれが呼び水となり、あっという間にうどんはなくなった。子供の体は元気で1週間ほとんど食べてなかったのにも関わらず2杯もおかわりしてしまった。
「はい、万里ちゃん」
「ありがとう、おばあちゃん」
食後のデザートのフルーツも食べ、一息ついたところでおじいちゃんが、
「話って何かな?万里。おばあちゃんも聞いていいのかい?」
「うん。おばあちゃんも聞いて欲しい」
おばあちゃんが3人に温かいお茶を出して座ったところで話し始めた。
主人公の誕生日は9月12日です。