ヒーローの世界に生まれました   作:和志1203

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第八話

「おじいちゃんおばあちゃん、心配かけてごめんなさい」

 

「…いいのよ、万里ちゃん。元気になってくれて良かった」

「おう、いい食べっぷりだったな」

 

2人は微笑んで言ってくれた。

 

「おじいちゃん、皆んなのお葬式で聞いたの。ヴィランに狙われてたって…なんでか知ってる?」

 

「知っているが…万里にはまだ「わたしなら大丈夫。教えて欲しい。お願いします」

 

じっとおじいちゃんの目を見つめた。

おじいちゃんも渋い顔をしながら見てきて、お互い視線を逸らさずにいると、バシッとおばあちゃんがおじいちゃんを叩いた。

 

「教えてあげて、あなた。万里ちゃんは大丈夫よ」

 

「痛い……万里今から話すことは小さなお前に話していいことではない。辛くなったら言うんだぞ」

 

「うん」

 

 

 

 

孤児院『日だまり』は優秀なヒーローを輩出するとヒーロー界で有名になっていて、その名前がヴィランの間にも流れてたんだって。

わたしが孤児院に来る少し前からヴィランの襲撃は何回もあったが、全部おじいちゃん達やマンションに住んでる元ヒーロー達によって未然に防いでた。お兄ちゃん達もよくパトロールしてたんだって。

襲ってくるヴィラン達はほとんど下っ端みたいな弱い奴らで、先生だけでも捕まえられるぐらい。

でも、あの日襲ってきたヴィランは違っていた。

誕生日会の準備の様子を撮っていた映像が残っててそこに映っていた。

そいつは突然現れて"大人しくしているなら殺さないでやる。そのかわり個性は貰っていくよ"と…

その後のことは教えてくれなかった。

 

「…おじいちゃんはそのヴィランのこと知ってる?」

 

「…知ってる。ある人から個性を奪う個性のヴィランがいると聞いた。わしの個性を狙うだろうから出会ったら戦わずに逃げてくれと」

 

「…みんな、みんなの個性は取られちゃったの?」

 

「…わからない。今そのヴィランを知ってる人に確認してもらってる」

 

「その知ってる人ってオールマイトでしょ?」

 

「「⁉︎」」

 

「ヴィランのことも知ってる。『オール・フォー・ワン』」

 

「…どうして」

「………」

 

おばあちゃんは呆然とした顔で呟き、おじいちゃんは怪しんだ顔でわたしを見てきた。

 

「わたしの話を聞いて欲しいの。信じられないと思うけど…」

 

 

 

 

 

この1週間、ただ塞ぎ込んでいただけじゃない。

始めの頃は何も考えられなかった。でもそのうち何で孤児院のみんながあんな目に…何で殺されたのか。

小さい子までみんなわかっていた…先生はヒーローの良い所だけじゃなく、制約が多く自由に動くことはできないし、法律を犯すヴィランに圧倒的に不利だと、危険な職だと…ちゃんと教えてた。それでもみんなヒーローを目指していた。多くの人を救いたい、安心して暮らせる社会にしたい、平和な世の中にしたいと。みんな全部わかっていながらあんなにキラキラした目をしていたんだ…だから、わたしは決めた。みんなの夢を叶えると。

 

 

 

 

わたしは全部打ち明けた。

前世の記憶があり、"個性"がなく今より犯罪が少ない世で生きていた。そこにヒーローを目指す男の子を主人公とした作品があって、オールマイトやエンデヴァー他に何人も作中に出ていた。その作品とこのヒーロー社会は同じ世界だとわかっていたと。

登場人物の敵役でオール・フォー・ワンがいて、オールマイトとの関係のことも知っていると。

だから…

「これからもオール・フォー・ワンは何度も大犯罪をする。わたしはそれを止めたい。あいつのことは許せない。…みんなヒーローになるために頑張ってたんだ…それをあいつはっ」

 

目が熱くなって涙が出てきたのがわかった。

 

「わたしはみんなの為にヒーローになる。みんなが目指してた平和な社会にする為に……あと、あいつを捕まえる。捕まえて罪を償ってもらう!そのためにも」

 

わたしは頭を下げた。

 

「おじいちゃんおばあちゃんの持ってる知識を教えて下さい。今のわたしじゃただ強い個性を持て余してるだけ。強くなりたい。人を守るにも、自分を守るにも力が足りない。お願いします!」

 

下を向いてるから2人の顔はわからなかったが、動揺してる気配は伝わってきた。

頭を下げ続けるとおじいちゃんが声をかけてきた。

 

「万里、顔をあげなさい」

 

顔をあげておじいちゃんの顔を見ると苦い顔をしていた。

 

「万里の話は理解できた。できたんだが…ちょっと信じられんくて「わたしは信じるわよ」の…」

 

その言葉におばあちゃんを見るといつもと変わらない笑みを浮かべてた。

 

「万里ちゃんの話聞いてしっくりきたわ。見た目よりお姉さんってことよね?難しい言葉も知ってるし、大人な子だなぁと思ってたのよ」

「院長先生もたまに大人の女性と話しているようですと言ってたわー」

「気配りがよく出来るし、他の子の面倒もよく見てたし、お姉さんだったのね〜」

 

おばあちゃんはわたしの涙を拭いながら教えてくれた。先生そんな事言ってたんだ。

 

「おばあちゃんは信じるわよーね?あなた」

 

おじいちゃんはオロオロしてたけど、おばあちゃんに言われて頷いた。

 

「そうだな…万里大人っぽいもんなぁ」

 

おじいちゃんはわしゃわしゃと頭を撫でてきた。

 

「わしも信じるぞ…万里言ってくれてありがとな」

 

ニカッと笑っておじいちゃんは言ってくれた。

あぁ、また涙が…

 

「おばあちゃん!おじいちゃん!ありがとぉぉーー」

 

わたしは2人に抱きつき涙が出なくなるまで泣いた。

 

 




おじいちゃんはおばあちゃんにめっちゃ弱いということで。
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