新次元ゲイムネプテューヌ THE UNITED 作:投稿参謀
ダークメガミとテラーコン、そしてディセプティコンは、フーバーダムに向けて一直線に進んでいた。
軍団の先頭をそれぞれのビークルモードでディセプティコンたちが走る。
「ああー……つまらんわー」
黒塗りのサバーバン……バーサーカーは、これ見よがしに大きく排気した。
暴れ者の彼からすれば、現状は退屈であるらしい。
隣を走る錆だらけのトランスポルターことドレッドボットが軽い調子で答える。
「いいじゃねえかよ。
「それがつまらんゆうとんねん。オートボットもけえへんし」
「ふん! それより我輩はあの女がデカい面してるのが気に食わんのである!」
レッカー車姿のオンスロートも、不満を口にする。
その意見に、グリペンに変形して低空を飛行するニトロ・ゼウスも同調する。
「まったくだぜ! あの女、すっかりボス気取りでいやがる!」
「いいじゃん、楽しいし!」
一方、その相方のモホークの意見は、あっけらんとしたものだった。
狂暴そうなテラーコンをからかいながらバイクの姿で走っている。彼は細かいことは気にしない性質らしい。
不満が噴出している部下たちを他所に、ガルヴァトロンから変形したノーズフラットのトラックは、同じくバリケードから変形したパトカーを従えて疾走していた。
『ガルヴァトロン、ちょっといいか?』
『なんだろうか、バリケード?』
秘匿回線での通信に、ガルヴァトロンは可能なら首を傾げただろう。
バリケードは並走しながら、視覚センサーをダークメガミの肩に乗ったマジェコンヌに向けた。
破壊の本能しかないテラーコンたちは、より上位のテラーコンであるダークメガミに従っている。
ダークメガミはテラーコンであると同時に、マジェコンヌが魔術で生み出したモンスターでもあり、故に彼女に従う。
つまり、ダークメガミはテラーコンを操るコントローラーであり、それを使えるのはあの女のみなのだ。
『あまり、あの女を信用しない方がいい。あれは、何か自分の目的のために俺たちを利用しようとしている』
『まあ、そうだろうな……しかし、それでもいいさ。この星に巣食う癌細胞どもを消し去れるなら、それもいい』
言い切るガルヴァトロンに、危うい物を感じるバリケード。
何と言うか、この憎悪は破滅願望と紙一重な気がするのだ。
止めるべきなのだろうが……。
(それで止まるとも思えんしな)
走りながらも黙考するバリケード。
やがて一団は、新たな街に差し掛かった。かなりの規模の都市で、ここを抜ければフーバーダムまであと少しだ。
住民は避難しているのか、人っ子一人いない。
「ッ! 全隊、止まるのである!!」
街の大通りで、オンスロートが急に号令をかけた。
別に彼がリーダーなワケではないが、ガルヴァトロンが止まったので他も止まる。
「どうした、オンスロート?」
「……敵の気配がする」
ギゴガゴと立ち上がったガルヴァトロンが問えば、オンスロートはごく真面目に答えた。
バーサーカーとドレッドボットは顔を見合わせて、辺りを警戒する。
他の者たちもそれぞれに変形した。
ダークメガミがマジェコンヌの手ぶりに合わせて静止すると、同時にテラーコンも動きを止める。
「敵つったって、何処にいんのよー!」
電柱によじ登ったモホークが吼えるが、返事はない。ニトロ・ゼウスも変形しながら降り立ち、辺りを見回す。
「臆病者な奴らめ! 俺らに恐れをなしやがったな!」
「出てこいよー!」
モホークが変わらず大声を出すなか、ガルヴァトロンは大通りの端に積まれた廃材の裏に、隠れている影に気が付いた。
「そこの奴。こっちに来い」
低い声に当てられて物陰から現れたのは、ロボットモードのスクィークスだった。
怯えた様子の小さな姿を見て、モホークとニトロ・ゼウスは嘲笑を浮かべる。
「ショボいな! 青いダンゴ虫か!」
「震えちまって、情けねえの!」
「止めないか! ……どうした、チビ助。こっちに来い」
そんな二人を叱り、穏やかな声色でガルヴァトロンは手招きする。彼にオートボットに対する敵愾心はないらしい。
しかし、周りのディセプティコンたちはその限りではない。
オンスロートが前に出て、スクィークスの体をつまみ上げる。
「人間の臭いをプンプンさせているのである!」
「反吐が出るぜ!」
ドレッドボットもペッと唾のような粘液を吐き捨てる。バーサーカーは例によって興味なさげだった。
マジェコンヌは、ダークメガミの肩からわざわざ降りてきて怒鳴る。
「おい、そんな奴は放っておけ! 先を急ぐぞ!!」
「ふん! 誰が貴様の言うことなど聞く者か!」
当然の如く、オンスロートは拒否してスクィークスの頭をもごうとする。
「おい……」
「スクィークスを放しやがれ!」
止めようとしたガルヴァトロンだが、そこに何処からか声がした。
建物の影から、ブラッドオレンジの髪の少女が大股に姿を現した。
「な!?」
「あれ? あいつ……」
その少女を見止めたマジェコンヌはギョッとし、ドレッドボットは首を傾げた。一方で、ガルヴァトロンは怪訝そうな顔をする。
「貴様は……あの時の女神か。こいつはお前の仲間か?」
「そうだ! スクィークスは俺の大切な仲間だ!」
髪色と同じブラッドオレンジの目に睨まれて、ガルヴァトロンはニヤリと笑う。
「そうだな。誰だって仲間は大切だ……オンスロート、放してやれ」
「へ? しかし……!」
「放すんだ」
ガルヴァトロンに強く言われて、オンスロートは渋々ながらスクィークスを乱暴に放り投げた。
2、3回地面をバウンドしたスクィークスは慌てて態勢を起こすと電子音で悲鳴を上げながら、うずめの後ろに回り込む。
うずめはガルヴァトロン以下ディセプティコンたちを鋭い目つきで見回す。
「地獄に落ちろ、クソッタレ!」
「この星こそ、地獄だ。……物は相談だが、仲間のオートボットたちともども、ゲイムギョウ界に退避してもらえないだろうか?」
「なに……?」
思いもかけぬ敵首魁の言葉に、今度はうずめが怪訝そうな顔をするが、構わずガルヴァトロンは続ける。
「俺としては、無駄な争いは避けたい。もはや手を貸せとはいわん。邪魔しないでくれるだけでいい。同じトランスフォーマーで……」
「あ! そうだ思い出した!!」
説得を続けようとしていたガルヴァトロンだったが、これまで悩んでいたドレッドボットが急に大声を上げた。
「確かその
ピタリと、ガルヴァトロンの動きが止まる。
そして、震える声でたずねた。
「貴様が……貴様が、『天王星うずめ』なのか……?」
「へ! ばれたとあっちゃあ、仕方がねえ! その通り、俺が天王星うずめだ!!」
「そうかそうか……やっと、やっと逢えたというワケだ……!」
堂々と名乗り上げるうずめに対し、ガルヴァトロンは金属の体を震わせる。
やがてその震えが大きくなるにつれて、全身に小さな稲妻が走る。
「お、おい、落ち着け!」
「ガルヴァトロン!」
これはまずいとマジェコンヌとバリケードがそれぞれ声をかけるが、ガルヴァトロンは止まらない。
「怨敵、天王星うずめッ!! 覚悟ぉおおおおッッ!!」
オプティックを憤怒と憎悪で真っ赤に燃え上がらせ、絶叫と共に両腕から電撃を放とうとする。
しかし、その時である。
「今だ!」
『了解!!』
うずめの腕のヴィジュアルラジオから声がしたかと思うと、ディセプティコンたちのいる辺りの地面や周りの建物が爆発した。
「なっ……!?」
「危ない!!」
激しい爆発から咄嗟にマジェコンヌを庇ったガルヴァトロンだが、その間にうずめは隠れてしまった。
ディセプティコンたちは大したダメージもなく立ち上がる。
「追え! 追うんだ!! 何としてでもあの女を見つけ出せ! 邪魔する者は皆殺しにして構わん!!」
「おー! 楽しゅうなってきたで!」
「やっと暴れられるぜ!!」
「俺らの力、見せちゃうよーん!」
憎悪に燃えるガルヴァトロンの命令に、バーサーカーは待ってましたとばかりに走っていき、ニトロ・ゼウスもジェットを吹かして飛び上がり、モホークがバイクに変形する。
ドレッドボットやオンスロートも、それぞれに散っていく。
マジェコンヌは、何とか怒れる破壊大帝を宥めすかそうと試みていた。
「落ち着け、ここまで来て……」
「マジェコンヌ! テラーコンどもも動かせ!!」
「生憎だが、こいつらは個人を探すなんて細かい真似は……」
そこまで言ったところで、急にテラーコンたちが騒ぎだした。
獣その物の唸り声を上げて、街に散らばっていく。
「コントロールが効かない? 馬鹿な、こいつらはダークメガミを介した私意外の命令を受け付けないはず……」
唖然としかけるマジェコンヌだが、すぐに頭を回転させて、仮説を立てる。
女神たちのシェアエナジー……信頼や友情の力が、トランスフォーマーに影響を及ぼすように、その反対の力、つまり恨みや憎しみが、テラーコンに影響を与えているのではないか?
だとすれば、何という激しい憎しみだろうか。
(これは……手に余る、か?)
ならば、ダークメガミを無理矢理にでも進めた方が、得策かもしれない。
マジェコンヌはうずめを探して飛び上がるガルヴァトロンを捨て置いて、ダークメガミのもとへと戻るのだった。
「上手くいったぜ! 奴ら分かれたぞ!」
『そうか、ここまでは作戦通りだ』
うずめはビルとビルの合間をビークルモードのスクィークスに乗って走りながら、ヴィジュアルラジオで海男と連絡する。
この街で決戦を挑むにしても、どうやってディセプティコンを足止めするかが問題だった。
ダークメガミの破壊力とテラーコンの物量で力押しされれば、足止めなど出来るはずもない。
だから、うずめ自身を餌にしてディセプティコンをここに引き留めたのだ。
スクィークスが見つかったことと、ドレッドボットがうずめのことを覚えていたことこそ予定外だったが、それ以外は概ね海男の描いた図の通りに動いていた。
『うずめ、君はオプティマスやねぷっちたちと合流するんだ。敵に見つからないようにな。この作戦は君が要なんだ』
「おう!」
「よし、上手くいったみたいだ! 後は我々で、出来るだけ敵を引き付けるぞ!!」
レノックスは部下たちに号令を出し、戦闘を開始する。
街の中に入ってきたテラーコンたちに向け、物陰から攻撃する。
アサルトライフルや重機関銃程度では傷つかないのは、実証済みだが……。
スナイパーライフルによる、遠距離からの狙撃を顔面に喰らえば、さすがにその限りではないらしい。
仰け反った瞬間にグレネードランチャーやロケットランチャーの弾を受けて、頭が吹き飛ばされては、さすがに沈黙する。
これらの銃器は、やはりサムが独自ルートで手に入れていた物だった。
「目だ! 目を狙え!!」
「足を止めるな! いけいけいけ!!」
物陰に隠れ、常に移動しながらの攻撃は、テラーコンとしてもやりにくいらしく、次々と撃破されていく。
「危ない!」
「すまん、キャノピー!」
それでもやってくる攻撃は、キャノピーが全力を尽くして防ぐ。
戦闘は不得手な彼だが、それでも盾ぐらいにはなれると意気込んでいた。
「レノックス大佐!」
「なんだ!!」
「なんか、本当の居場所って奴に来たって感じがしません?」
こんな状況なのに笑ってみせるエップスに、レノックスは笑い返す。
事実、レノックスはオートボットと共に戦えることが何故か嬉しくてたまらなかった。
サヴォイ隊は、レノックス隊以上に順調にテラーコンを狩っていた。彼らは対トランスフォーマー用の装備を持っていたからだ。
「ふん、狂暴性はともかく、知恵はまるでないな。……これなら、問題はあるまい」
何体目になるか分からないテラーコンを葬ったサヴォイ達の前に、路地から新たな敵が姿を現した。
テラーコンではなく、ディセプティコンのバーサーカーだ。
満面の笑みを浮かべ、両手の棍棒を振り回しながらサヴォイ隊に向かって走ってくる。
「おお! やっと人間がおったわ! ぶっ殺したるでえッ!!」
「撃て!」
サヴォイの号令の下、隊員の銃から特殊ボルトが発射され、少なくない数がバーサーカーの体に命中した。
ボルトからはトランスフォーマーの体を麻痺させる特殊な電磁波が流れる……だが、バーサーカーは一切怯まない。
「なんやこれ、痒いわ!!」
「! ロケット弾!!」
すぐさま出された指示に、隊員の一人がロケットランチャーを発射する。
撃ち出されたロケット弾は、狙い違わずバーサーカーに命中するが、それでも狂戦士は構わず突っ込んでくる。
「死に晒せやぁあああッ!!」
「させん!」
そのままサヴォイ達に踊りかかろうとするバーサーカーだが、そこへドリフトが割り込んできた。
刀と棍棒がぶつかり合い、火花が散る。
「お、お前が相手やな、デッドロック!」
「私はドリフトだ!!」
一旦距離を取り、ニヤリと笑うバーサーカーに、ドリフトは怒りのままに斬りかかった。
クロスヘアーズは、コート状パーツをはためかせながら通りを悠々と歩いていた。
近寄ってくるテラーコンを片っ端から早撃ちで片付け、ガンスピンをしてからコート裏に収納する。
やがて、その前に一体のディセプティコンが立ち塞がった。
錆塗れのドレッズ、ドレッドボットだ。
二体は遭遇するや、お互いに静止した。
両者の手がジリジリと得物である拳銃に近づいていく。
「先に抜きな」
「テメエこそ、抜けよ」
西部劇よろしく二人のガンマンは睨み合ったまま動かず、ただ緊張と殺気だけが高まっていく。
街中の広場で、テラーコンの群れが暴れていた。
いや正確には暴れられていた。
「ハッハー! どうだ、この動き!!」
ハウンドが三連ガトリングを撃って近づいてくるテラーコンを薙ぎ払う。
それが弾切れすれば、ショットガンを抜き、近くの敵の上半身を吹っ飛ばしてやる。
さらに肩に下げたロケット弾を手に取り、点火。敵が密集している場所に撃ち込んでやる。
「蝶のように舞い、蜂のように刺す! 俺はデブのバレリーナだぜ!!」
「ならば、死の舞踏を躍らせてやる!!」
そこに、重機関砲の弾が飛んできた。
いくらか当たりつつも軽やかな動きで建物の影に隠れるハウンド。
その視線の先には、緑色のずんぐりとした巨体のオンスロートが左腕の重機関砲をこちらに向けていた。
「へッ! デブ同士でやり合おうってのかい、大将!」
「吾輩はデブではない! ぽっちゃり系である!!」
ハウンドが影から飛び出してサブマシンガンを撃つのと、オンスロートの重機関砲が火を噴くのは、ほぼ同時だった。
スクィークスはうずめと分かれた後、仲間たちと合流するために一人で裏路地を走っていた。
「見ぃつけた!」
「!」
急な声に上を見ると、モヒカン刈りのような頭のモホークが、非常階段の上からこちらを見下ろしていた。
「また会ったな、青いダンゴ虫! 他の奴は何処いった?」
歯を剥き出しにして笑うモホークに、スクィークスは震える。
「ま、いいや! とりあえず、お前からだ! 切り刻んでやるから、いい声で泣けよ!」
悲鳴を上げて、スクィークスは逃げ出した。
非常階段から飛び降りたモホークは危うげなく着地し、両手にナイフを握ってその後を追う。
たっぷり楽しむためか、ゆっくりとした足取りだった。
一方、サムとケイド、海男は街の端に置かれたトレーラーのコンテナの中にいた。
このコンテナの中は様々な機器やコンピューターが置かれ……もちろん、いずれも何らかの形でサムの手が入っており、テラーコンに変異する心配はない……小さな研究室のようだった。
ケイドはそれらの機器を操作し、サムは何故か設置されている椅子に座っていた。椅子は何かの操縦席であるかのように手すりにレバーがあり、足元にはフットペダルがあった。サム自身もコードが繋がれたバイザーのような物を被っている。
「すまない、ケイド。巻き込んじゃって……」
「いまさらだっての。……にしても、よくこんなの作れたな。ホント、才能って怖いわ」
「いやいや、こんなのズルだから。僕なんかあれだよ。いわゆる転生系チートだから。オールスパークさまさまだよ」
苦笑するサムに、ケイドは不貞腐れたような顔をする。
「あー、俺にもオールスパーク宿らねえかなあ!」
「止めといたほうがいいよ、大変なことの方が多いから。主にディセプティコンに追い回されたりとか」
「そうかい! ……準備できたぞ」
「了解、サポートを頼む」
サムはレバーを強く握り、腹に力を入れる。
彼の……オールスパークの知恵を大いに借りて造った……発明品がその全貌を明かす時が来たのだ。
しかし、サムたちが潜んでいるトレーラーを発見したディセプティコンがいた。
黒いパトカーから変形した、バリケードだ。
バリケードは左腕のバルカンでトレーラーを撃とうとするが、その瞬間バンブルビーのタックルを喰らった。
もんどりうって転がる二体だが、すぐに立ち上がって拳を構える。
「またお前か……そろそろ長い付き合いだな」
「あんたが、何を考えてるのか、分からない。だから、とりあえず、ぶっ飛ばす!」
オートボットとディセプティコンは一瞬にらみ合い、次の瞬間には両者の拳が交錯した。
「何処だ! 天王星うずめぇええええ!!」
ガルヴァトロンは電撃を振りまきながら空を飛び、うずめを探し回っていた。
しかし、見つからずに怒りがさらに高まっていく。
「出てこいぃいいい!!」
「ガルヴァトロン!!」
急に呼び止められて、その声の方向を見れば、ホット・ロッドが建物の屋上に立っていた。
ガルヴァトロンは道を挟んで反対のビルの上に降り立つ。
「ロディマス……!」
「言ったはずだぜ、俺はホット・ロッドだ!」
弟の姿を見て……その言動に対する怒りはともかく……僅かに冷静になったガルヴァトロンは、静かに問う。
「ロディマス……どうしても、俺の邪魔をするのか?」
「あんたがうずめを傷つけるなら……そして、地球を滅ぼそうっていうなら!」
「……そうかよ。ならば、少し痛い目を見るがいい!」
言うや、ガルヴァトロンはホット・ロッドに飛び掛かる。
これをヒラリと躱し……切れなかったホット・ロッドは諸共地面に落ちた。
「グッ……」
しかし銃を抜いて撃とうとするが、それよりもガルヴァトロンに首根っこを掴まれる方が早かった。
「…………!」
バタバタと四肢を振り回し、体をよじって何とか抜け出そうとするが、ガルヴァトロンの怪力の前にホット・ロッドはあまりに非力だった。
「愚かな弟よ。少し、眠れ。その間に俺が全て終わらせておいてやる……む!」
そのままホット・ロッドの首のケーブルやパイプを圧迫して締め落とそうとするガルヴァトロンだが、路地の向こうから走ってくるトレーラーキャブに気が付いた。
その青と白のファイヤーパターンのトラックは、オプティマスのかつてのビークルモードによく似ていて、後ろにコンテナを牽引していた。
ガルヴァトロンはそのトラックに向けて余った手で電撃を放つが、トラックは構わずクラクションを鳴らしながら突っ込んできた。
飛び退いたガルヴァトロンだが、トラックは急旋回した。
「グッ……!」
振り回されるコンテナに激突し、ホット・ロッドを落としてしまう。
態勢を立て直したガルヴァトロンとゲホゲホとせき込むホット・ロッドの前で、トラックはギゴガゴと音を立てながら変形する。
ややゆっくりとではあるが、パーツが寸断され、移動し、組み変わる。
現れたのは、やはりかつてのオプティマスによく似た姿のトランスフォーマーだった。
しかし、カラーリングは青と白であり、両肩から上に向かってパーツが突き出ているなど、差異も多い。
ガルヴァトロンはその何者かを睨み、吼える。
「何者だ? 名を名乗れ!」
『何者って言われても……そうだな』
そのトランスフォーマーは、コンテナを開いて中から長柄のハンマーを取り出しながら、答えた。
若い男の……サム・ウィトウィッキーの音声だった。
『この機体の名前なら……ウルトラ・マグナス!』
これこそが、サムが開発したコンセプトモデルの正体。
ゲイムギョウ界における人造トランスフォーマーに近い存在である、ウルトラ・マグナスだった。
後書きに変えて、キャラ(?)紹介。
ウルトラ・マグナス
サムが設計、製作した人造トランスフォーマーのコンセプトモデル。
この地球においては人造トランスフォーマーの第一号である。
外見上のモデルは言うまでもなくオプティマス。
脳波コントロールとマスタースレイブ方式のハイブリットによって操縦される(本当はサムは搭乗型にしたかったが、技術的な問題により遠隔操縦になった)
なお、本来は災害や事故の現場での人命救助を目的に造られたため、武装らしい武装は部下がいつの間にか趣味で作ってたハンマーのみ。