新次元ゲイムネプテューヌ THE UNITED   作:投稿参謀

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プロローグ2 混沌の大地へ

「今、行方不明になった護送船を探して全力疾走している(ビークルモードの恋人に乗った)わたしは、プラネテューヌに住まう普通の女神。強いて違う所をあげるとすれば、オートボットの恋人がいるってことかな……名前はネプテューヌ!」

 

 冒頭からワケの分からないことを言い出すネプテューヌ。

 今のネプテューヌは人間の姿を取っており、白いパーカーをワンピースのように着た小柄な少女の姿をしている。

 薄紫の短い髪があちこち跳ねていて、十字キーのような髪飾りを二つ着けているのが特徴的だが、なによりも大きな深紫の瞳と全身から放つ元気が印象的な、可愛い女の子だった。

 

 そしてここはプラネテューヌ近郊のとある山中。さっき本人が言った通りネプテューヌたちは消息を絶った護送船を探しているのだった。

 

「バリケードの連絡が途切れたのはこの先か……」

 

 一方でネプテューヌの乗る、三連二対の煙突マフラーが目を引く赤と青のファイアーパターンに塗装されたトレーラートラック……ビークルモードのオプティマスは、山道を走りながら冷静にセンサーを働かせていた。

 

(スルー……さすがに慣れたんですね、オプティマスさん)

(さすが司令官)

 

 恋人である女神のボケを慣れた様子で聞き流すオプティマスに、ネプギアと彼女を乗せた黒いストライプの入った黄色いスポーツカーの最新モデルの姿をしたバンブルビーが内心で少し驚く。

 

 彼らの後ろには、深緑の角張った六輪の軍用トラック、可動式のリアウィングを持つ青い超高級スポーツカー、鋭い吊り目のようなヘッドライトが特徴的な鮮やかな緑のスポーツカーの三台の車が続く。

 やがて彼らはある地点まで来ると、停車した。

 

「オートボット、トランスフォーム!」

 

 そしてオプティマスの号令と共に、ギゴガゴと音を立てて変形する。

 車のパーツが寸断され、移動し、組み変わる。

 

 軍用トラックは肥満体で濃い髭を生やした男性を思せる姿のハウンドになった。

 ヘルメットを被り、全身に銃器をぶら下げ背中には三連ガトリング砲まで背負った姿は、見るからに物々しい。

 葉巻のように咥えている実包も、それを助長していた。

 

 青い超高級スポーツカーは、ラジエーターグリルが胴体に配置された鎧武者そのものの姿のドリフトに変形する。

 以前は二本だった背中に差している刀が、今は一本になっている。

 

 そして緑色のスポーツカーは、コート状のパーツを持ち、飛行ゴーグルを付けた皮肉っぽい表情のロボット、クロスヘアーズになった。

 やる気なさげに腕を組み、その辺の木に寄り掛かる。

 

「でよ、疑問なんだがなんで俺らがわざわざディセプティコンを探さなきゃいけねえんだ?」

「何でって、ちょうど三人が暇だったからでしょ。他の皆は忙しいし」

 

 ネプテューヌが窘めようとすると、クロスヘアーズはケッと吐き捨てた。

 ちなみにオプティマスは本来今日は休日だったのだが、自らネプテューヌたちに付き添いを申し出た。

 

「クロスヘアーズ、貴様無礼だぞ!」

「ああん? やるってのか!」

「止めねえか、お前ら!!」

 

 激昂したドリフトが刀を抜き、クロスヘアーズもマシンピストルにてをかけるが、ハウンドがやはり機関銃を二人の頭に突き付けて止める。

 そんな一同を見て、さすがのネプテューヌも苦笑気味だった。

 

「この三人は相変わらずだねー」

「馬鹿、ばっか」

「ええと、それでもう少し行った所ですよね。バリケードさんが消えたのは」

 

 バンブルビーが呆れた調子で言うが、ネプギアは話を戻す。

 真面目な性格の彼女は、もう敵対していないディセプティコンを『さん』付けで呼ぶようになった。

 

「そのはずだが、さて……む!」

 

 オプティマスが辺りを見回すと、少し先の地面に大きな穴が空いているのが見えた。

 

「何これ? モグラ怪獣でも出たの?」

「そこはドリラーじゃねえのか? トランスフォーマー的に……ってのはともかく、周囲の土砂からして地中から上に向かって何か突き上げた感じだな」

 

 呑気な調子のネプテューヌとは裏腹に、ハウンドはさすがの冷静さで分析する。

 オプティマスは厳かに頷くと大穴を覗きこんだ。

 

「つまりこの下に何かがあるワケだな」

「あ! オプっち。あんまり穴に近づかないほうがいいよ! 信頼と伝統の崖落ちフラグだから!」

「はっはっは。いくら私でもそう簡単には落ちないさ!」

 

 からかい混じりながらも心配するネプテューヌに、オプティマスは快活に笑ってみせる。

 戦争の重責から解放された総司令官は、以前よりよく笑うようになった。

 

「ではまず、この穴の調査を……ほわああああ!!」

「フラグ回収はやッ!?」

 

 しかし言っている傍から足元が崩れ、オプティマスは穴の底に落ちていく。

 慌てて、ネプテューヌとネプギアは女神化して後を追い、残ったオートボットたちも顔を見合わせた後で、下に降りるのだった。

 

 

 

 

「ッ! ……ここは」

 

 幸いにして穴にそれほどの深さはなく、オプティマスが頭を振って立ち上がると、そこは広大な地下室のような場所だった。

 部屋の中にはいくつかの機材が置かれ、中央には柱のような機械が円陣を組むように数本、立てられていた。

 その正体を、オプティマスはすぐに察する。

 

「センチネルのスペースブリッジ! まだ残っていたのか……」

 

 かつて、オプティマスの先代の総司令官(プライム)のセンチネルがゲイムギョウ界に持ち込んだ、柱型のスペースブリッジ。

 センチネルがディセプティコン……のザ・フォールン派に寝返ったことで、この世界に危機を呼び込んだそれは、大戦終結時に全て破壊されたはずだった。

 

 しかし、ここにまだ無事な物があったのだ。

 

「使われた形跡もある。……そうか、護送船が消えたのは、これのせいか」

 

 立ち上がってスペースブリッジに近づいたオプティマスが柱をスキャンすると、まだエネルギーが残っているのが感じられた。

 

「だとしたら、いったいどこに……」

「オプっち! 大丈夫?」

「ネプテューヌ! ああ、私は平気だ。それよりこれを……」

 

 疑問に思っていると、恋人の声が聞こえたので振り向く。

 その瞬間、柱が発光を始めた。

 

「ッ! しまっ……」

「え……?」

 

 そして溢れる光が、オプティマスはもちろん、ネプテューヌやネプギア、そしてオートボットたちを全員飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん! お姉ちゃん、起きて!」

 

 妹の呼ぶ声にネプテューヌはうっすらと目を開けた。

 

「う~ん……あと十分だけ」

「お姉ちゃんってば! 呑気に寝てる場合じゃないよ! 周りを見て!!」

 

 必死な妹の声に目を開けて回りを見回せば、どこかの森の中らしい。

 

「皆、大丈夫か!」

「なんだ、なにが起こったんだ!?」

「面妖な……!」

「変な、気分……」

 

 ハウンド、クロスヘアーズ、ドリフト、バンブルビーも混乱しているが、無事なようだ。

 

 そしてオプティマスは少し離れた所に立っていた。その先は崖になっているようで、そこから下を眺めているようだ。

 

「うーん。シリーズ伝統、気付いたら別次元?」

「お姉ちゃん……」

「いやだって、この作者展開がワンパターンだし。別次元とか、何回目?」

 

 メタなことを言い出す姉に、ネプギアは溜め息を吐いてから小さく笑む。

 この能天気さが、今は頼もしい。

 

「ねえお姉ちゃん、気付いてる?」

「うん。……シェアエナジー、感じないね」

 

 シェアエナジー。

 それは女神の力の源。

 人々の祈りや信頼が、オールスパークの力によって実態的なエネルギーとなった物。

 

 女神とは、それが一つの所に集まって人型の実体になり、オールスパークの力で生命を得ることで生まれてくる非金属性トランスフォーマーなのだ。

 

 故にゲイムギョウ界や惑星サイバトロンでなら、どんな場所にいてもシェア感じ取ることが出来た。

 

 しかしこの場所ではそれを全く感じない。

 やはり、未知の異世界であると考えるのが自然だった。

 

 ネプテューヌはオプティマスの隣まで歩いていくと、彼の見ている景色を見た。

 

 近くの大きな河の向こうに街があるのが見えるが、その町並みはゲイムギョウ界で見られる様式とは大分違った。

 プラネテューヌのように未来的ではなく、ラステイションのように活気に溢れてはおらず、ルウィーのように古風でもない。

 敢えて言うならリーンボックスが近いが、何と言うか随分と雑然としているのが遠目にも分かる。

 大河に張り出した島には、大きな女神像があった。

 

「オプっち、ここは何処だろう?」

「どうも、未知の惑星であるらしい。次元座標は惑星サイバトロンと同一の次元であると示しているが……距離が遠い。ここからサイバトロンまでは、何千光年も離れている」

 

 難しい顔で、オプティマスは答える。

 

「しかしオプティマス。軽く調べてみたが国が50以上、言語は非統一……かなり混沌とした星だぜ、ここは」

 

 近くに来たハウンドは何とも言えない顔だった。

 

「とりあえず、この『イエス・キリスト』と『ブッタ』なる人物に会いに行くのはどうだろうか? この世界で一番信仰を集めているようだし、こちらの資料ではニホンなる国のタチカワなる街に住んでいるようだ」

「バーカ、そりゃ漫画だ、漫画! その連中は実在しねえんだよ!」

 

 大真面目な顔のドリフトに、クロスヘアーズがツッコミを入れる。

 

「なに? 実在しない者を何故崇めるのだ?」

「知らねえよ、そういう文化なんだろ!」

 

 言い合う二人に、ハウンドが溜め息を吐く。

 とりあえず、この世界はゲイムギョウ界ともサイバトロンともだいぶ違うらしい。

 

「それで、どうします? 司令官」

「オートボット、とりあえず情報収集だ。この世界の乗り物に擬態(ディスガイズ)するとしよう」

『了解』

 

 バンブルビーが問うと、オプティマスが答え、一同はそれに応じた。

 ネプテューヌは、慣れ親しんだ姿から変わってしまうことに一抹の寂しさを感じたが、顔には出さなかった。

 

「いやー、それにしても変なトコに来たねー。女神がいない世界なんて、わたしには想像も付かないよ!」

「うん、そうだね。……ところでお姉ちゃん。気付いてる? その、体のこと……」

 

 明るい声を出す姉に、妹が困ったような曖昧な笑みを浮かべる。

 はて?とネプテューヌは首を傾げて、それから気付いた。

 

 視線が妙に高い。

 

 普段なら自分より高い位置にあるはずの妹の顔が、今は少し低い位置にある。

 これではまるで、女神化した時のような……。

 

「え?」

 

 慌てて体を見下ろすと、胸の谷間があった。

 普段はささやかな膨らみが、女神化時ほどではないもの中々に大きな果実になっている。

 

 髪の毛も普段はベリーショートだが、今は腰まで伸びていた。

 

「な、なんじゃこりゃあああああッ!?」

 

 そう! シェア不足の影響か未知の要因があるのか、ネプテューヌの体はあどけない少女のそれから大人の物になっていたのだ!!

 

 女神化した時と違って人間態の面影を強く残しており、顔は童顔だった。

 しかし服装はパーカーワンピのままなおかげで、胸やら脚やらけしからんことになっていた。

 

「お姉ちゃん、その姿も素敵だよ! ねえオプティマスさん!!」

「あ、ああ。その、とても魅力的だと、私は思う」

 

 仰天しているネプテューヌに、ネプギアは力強く、オプティマスはらしくなく照れた様子ながらもフォローを入れる。

 

「うん、ありがとう! でも、そういう問題じゃないから! なにこれ、青いキャンディでも舐めさせられたの? あるいは謎の黒の組織に薬でも盛られたの? 身体は大人、頭脳も大人、みたいな感じで!」

「どっちかっつうと頭脳は馬鹿じゃねえの?」

 

 ツッコミと言うにはあんまりにも無礼な物言いのクロスヘアーズをオプティマスが睨むが、本人はどこ吹く風だ。

 

「……とにかく移動しよう。さしあたっては、あの街へ行ってみよう。ネプテューヌ、ネプギア、人間との接触は任せても?」

「オッケー!」

「はい」

 

 ムッツリと言うとオプティマスは向こうに見える街を指差す。

 あそこなら、スキャンする車にはことかかなそうだ。

 

「それで、ここは何て世界なの? ゲイムシジョウ界? アルスガルド?」

「……地球、それがこの星の名だ」

 

 地球、その名を聞いた瞬間、ネプテューヌの中に言い知れぬ感情が湧きあがった。

 恐ろしいような、懐かしいような。

 

 オプティマスもまた、理由は分からないが、その名に言い知れぬ不安と期待を感じていたのだった。

 こうしてオートボット総司令官オプティマス・プライムとプラネテューヌの女神パープルハートことネプテューヌは、神無き混沌の大地、地球へとやってきた。

 

 だがこの物語の主人公は彼らではない。

 

 彼らではないのだ……。

 




簡単な登場人物説明

オートボット総司令官 オプティマス・プライム
ご存知司令官。
ディセプティコンとの戦争を終え、忙しくも平和に暮らしている。ネプテューヌとは前作の戦いを通じて恋人同士となり、相思相愛。
戦争がないので厳格な面や勇猛な面よりも、惚けた部分が目立っている。
ネプテューヌに言わせれば彼は本来心優しく繊細な性質で、顔面破壊大帝とも呼ばれる獰猛な部分はその本質ではないらしい。

プラネテューヌ女神 ネプテューヌ
ご存知主人公(?)
底抜けに元気でマイペースなボケ役系女神。
前作で目出度く恋人同士となったオプティマスのことを深く想っており、その愛はやや重め。
地球においてはシェア不足の影響か、原作ゲームにおける大人ネプテューヌの容姿になっている。
なんやかんやあって、オプティマスのかつての恋人……になるかもしれなかったエリータ・ワンの生まれ変わりというトンデモ設定が付与されている。

他のメンツはいずれ。
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