新次元ゲイムネプテューヌ THE UNITED   作:投稿参謀

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第16話 シェアリングフィールド

 フーバーダム手前の街で、ガルヴァトロンは、サム・ウィトウィッキーが郷愁と敬愛を込めて制作したウルトラ・マグナスと対峙していた。

 ガルヴァトロンの後ろでは、ホット・ロッドも立ち上がり、今度こそ背中から二丁の銃……ではなく、手作りの剣とオートボットのエンブレムの描かれた盾を取り出し構えた。

 

「まがい物が……!」

『そりゃあ、まがい物だけどね! 特許は僕持ち!』

 

 ウルトラ・マグナスが先手必勝とばかりにハンマーで殴りかかるが、ガルヴァトロンは軽くこれを躱し、お返しとばかりに電撃を放とうとする。

 だが、それより早くホット・ロッドが背中に斬りかかる。

 

「でりゃあああ!!」

「温い!!」

 

 後ろ回し蹴りでホット・ロッドを道路脇のビルまで蹴り飛ばしたガルヴァトロンだが、今度はウルトラ・マグナスのハンマーが襲い掛かる。

 さすがにこの質量は雷のバリアーでは防げず咄嗟に両腕をクロスさせて防ぎ、そのまま力任せに押し返すと、怯んだ敵に掴みかかる。

 

「神の真似事か、地球人!」

『まさか! 僕はそこまで傲慢になったつもりはないね!!』

 

 後ろに回り込んで首に腕を回し、そのままへし折ろうとするガルヴァトロン。

 ウルトラ・マグナスの肩や脚部に仕込まれた消火銃から液体窒素が噴射され、ガルヴァトロンは怯んでしまう。

 金属生命体は、極低温を苦手とするのだ。

 

(大振りではなく……確実に当てる!)

 

 その瞬間、ホット・ロッドが接近し、横薙ぎの一撃をガルヴァトロンの腹に浴びせる。

 

「一太刀! 入ったぞ!!」

「グッ……! 舐めるな!!」

 

 さらに間髪入れずにウルトラ・マグナスのハンマーが上段から殴りかかる。

 怒りに満ちるガルヴァトロンと、ホット・ロッド、ウルトラ・マグナスのコンビの戦いは続く。

 

 

 

 

 

 クロスヘアーズとドレッドボットは、今だ睨み合っていた。

 その殺気と緊張が最大限まで高まり……そして弾けた。

 

『ッ!』

 

 銃声は、一発。

 倒れたのは……ドレッドボットだ。

 

「こ、こんなバカな……な、なぜ?」

「おめえがスローだからさ」

 

 仰向けに倒れ伏し驚愕と苦痛に顔を歪めるドレッドボットに、クロスヘアーズは銃口から昇る煙を吹き消しながら、答えた。

 

「大したことねえな」

「それなら、次は俺の相手をしてくれよ!!」

 

 そのまま次の敵を歩み去ろうとするクロスヘアーズだったが、上空からニトロ・ゼウスのミサイルが襲い掛かってきた。

 間一髪、建物の影に入ったが、爆風が容赦なくコートの裾を焼く。

 

「あー! これ一張羅なんだぞ!!」

「安心しろ、次は丸焼きにしてやる!」

 

 変形して空中を飛び回りながらニトロ・ゼウスがばら撒くキャノン砲と機関砲の弾から、クロスヘアーズは身を隠す。

 

「やっかいなもんだな! 飛べないってのはよ!!」

「まったくだ、コンチクショウ!」

 

 

 

 

 

 ドリフトは裂帛の気合を込めて、バーサーカーに斬りかかる。

 この相手が多少のダメージを気にしないことは分かっていた。

 故に一撃で葬るつもりで斬撃を繰り出すが、敵もさるもの。ヒラリと躱し、あるいは棍棒で受け流す。

 

「おーおー、ええ面するようになったやないかい、デッドロック! それでこそ、ディセプティコンや!!」

「何度言えば分かる! 私はドリフト! オートボットだ!!」

 

 剣劇を続けながら、バーサーカーは嘲笑を浮かべた。

 

「ハハハ! まあええわ、やっと楽しゅうなってきたんやからな!!」

「楽しいだと!」

「せや! 戦争が終わってからこっち、どいつもこいつも仲良しこよしで、つまらへん! せやから、最後に大暴れして死のう思ったちゅうのに、逮捕なんて温いことしくさって! ほんま、つまらへんわ!」

「貴様……そんな理由で!」

 

 切り結びながら語るバーサーカーに、ドリフトは改めて怒りを強くする。

 そんな理屈で虐殺を行おうとする相手を許してはおけない。

 

「それがディセプティコンや! 暴れて戦って殺して、最後には殺される! デッドロック、あんたかて、そうやろ!」

「違う!」

「違わへん、あんたはワイが知る中で、最も殺しが好きなディセプティコンや! 今も、殺し合いに興奮しとるんやろ? 体は正直やでぇ?」

「違う! 断じて、違う!」

 

 鍔迫り合いに持ち込みながら、バーサーカーはニヤァっと笑って見せる。

 必死に否定するドリフトだが、事実、戦いの最中に体内を循環するエネルゴンが熱く滾るのを感じていた。

 それはディセプティコンなら誰もが持つ、当然の(さが)で……。

 

「私は……私は、オートボットだ!!」

 

 憤怒に顔を歪め、迷いを断ち切ろうとするが如く、ドリフトは刀を振る。

 バーサーカーはそれこそが望みとばかりに、笑みを大きくするのだった。

 

 

 

 

 

「くたばれ、このデブ野郎!」

「じゃかわしい! このデブ!!」

 

 ハウンドとオンスロートは、熾烈な銃撃戦を続けていた。

 お互いに広場に置かれた屋台の影に隠れて相手の銃弾を凌ぐ。

 

「ヘッ! この戦争中毒者が!」

「それは貴様もだろう、ハウンド! なぜ、貴様は体中に銃器をぶら下げている? 平和の世というなら、そんな物は必要なかろう!」

「ッ!」

 

 少しだけ苦い顔をするハウンドに、オンスロートは言葉ではなく手榴弾を投げる。

 素早く逃げるハウンドの後ろで、手榴弾が破裂した。

 

「我々は、銃器と同じである! 平和な世界に、存在する意味がない!!」

「そうかもな……だが、テメエと俺じゃあ、違うことが一つある! それは、他の奴を巻き込まねえってことだ!!」

 

 撃ち尽くしたショットガンを捨て、サブマシンガンを抜いてハウンドはオンスロートに向かっていく。

 銃は、まだまだあるのだ。

 

 

 

 

 

 バリケードはナックルダスターを嵌めた左拳を、連続で突き出す。

 

PUNISH(罰する)!」

 

 それを交差させた両腕で防御するバンブルビーに、すかさず右拳をお見舞いする。

 

ENSLAVE(服従させる)!」

「こなくそ!」

 

 顎に突き刺さる鋭い拳に対し、バンブルビーはカウンター気味に蹴りを相手の脇腹に叩き込む。

 

「テメエ、何でこんなこと、してんだ!」

「俺は俺なりに、色々あるんだよ」

「じゃあ、話せよ! ワケわかんないんだよ!!」

 

 何度も何度も敵として戦った仲だが、バンブルビーにはバリケードが何を考えているのか分からなかった。

 情報員の必死の声に、バリケードは皮肉っぽい笑みを浮かべた。

 

「じゃあ言うぜ。……ガルヴァトロンは未来からきたらしい。その未来では、地球人がトランスフォーマーとゲイムギョウ界を滅亡に追いやるんだと」

「はあ!?」

「信じられないだろ?」

 

 皮肉っぽい顔のまま、バリケードは腰に下げた警棒を抜く。

 アメリカの警官が使うのと同じ、トンファーだ。

 

「まあ、俺だって半信半疑だ……だが、俺はガルヴァトロンが嘘をついているとも思えんのだ」

「人類、皆殺しとか、言い出す奴だぞ! マトモじゃ、ない!」

 

 振るわれる警棒を掲げた腕で防ぎ、回し蹴りを相手の腹に打ち込んでやる。

 しかし、バリケードはなおも笑みを崩さなかった。

 

「確かにマトモじゃないかもな……しかし、()()()

「面白いだと……!」

 

 結局は快楽なのか。

 バンブルビーの中に怒りが燃え上がり、とにかく、まずは敵を叩きのめすことに決めた。

 

 

 

 

 スクィークスは悲鳴を上げながら逃げ惑っていた。

 その足元に、モホークの投げたナイフが突き刺さる。

 

「ほ~ら、逃げろ逃げろ! 早く逃げないとバラバラにしちゃうぞ~」

 

 嗜虐的な笑みを浮かべて青い小オートボットを追うモホークだが、より長い時間いたぶれるようにと手を抜いているようだった。

 やがて袋小路に追い詰められたスクィークスは、恐怖に震える。

 しかし、そろそろ興味が他に移ったらしく、大振りなナイフを両手に持つ。

 

「あーなんか飽きたわー。てなわけで、そろそろ死んどけ」

 

 そのまま、相手に飛び掛るモホークだが、そのときスクィークスの丸い目がキラリと光った。

 突然、上からワイヤー製の網がモホークに被さった。

 

「え? ちょ、なにこれ!?」

 

 慌ててナイフで網を切ろうとするモホークだが、この網はセクター7謹製の対トランスフォーマー用特殊合金製なので、上手くいかない。

 

「やったのです!」

「討ち取ったり、なのです!」

 

 周囲の建物の屋根の上から、ひよこ虫たちが雨水の排水パイプを伝って降りてきた。

 彼女たちが、網を投げたのだ。

 スクィークスはまんまと自分に誘導された敵の周囲を、得意げな顔でグルグルと回る。

 ひよこ虫たちも、ピョンピョンと飛び跳ねて喜ぶ。

 

「わーいわーい!」

「僕らも、頑張ったのです!!」

「……舐、め、ん、なぁああああ!!」

 

 しかし、モホークは頭部のモヒカン状の刃物や手足のナイフを振るって網を切り裂いた。

 これは刃物の扱いに長けた彼なればこそ出来る技だ。

 

「きゃああああ、なのです!」

「このモホーク様に盾突く奴は、ボッコボコのギッタギタのケッチョンケチョンにしてやるぜい!!」

 

 泡を食って逃げ出すスクィークスとひよこ虫だが、一匹が恐怖から硬直して、逃げ遅れてしまう。

 

「食べないでほしいのです……!」

「!」

 

 その時、モホークに電流走る!

 丸っこい造形に、円らな瞳、そして頭のトサカ。

 

「ふつくしい……」

「へ?」

 

 思わず、呟いたモホークは跪いて大きく腕を広げた。

 

「地上に舞い降りた天使とは、まさにこのこと……俺は今、猛烈に感動している! この気持ち、まさにあ……」

 

 盛大にキャラ崩壊しつつ何か言おうとしたモホークだが、言い終わるより前に何処からか円柱状の物体が飛んできて、それが噴き出す白い気体がその体を一瞬で氷漬けにする。

 ちょうどこの時、建物の向こうで戦っているウルトラ・マグナスが投げた液体窒素入りのボンベを使った簡易な冷凍爆弾である。

 

 大きく腕を広げたポーズのまま、氷のオブジェと化したモホークも、ひよこ虫は唖然と見上げるのだった。

 

 

 

 

 

 戦い続けるオートボットとディセプティコンを放って、ダークメガミは移動を再開した。

 その肩に乗ったマジェコンヌは、建物の間で光る稲光をチラリと見た。

 

(悪いな、ガルヴァトロン……こんな所でもたもたしているワケにはいかんのだ)

 

 彼女とて、手を組んだ相手を見捨てるのは心苦しいが、しかしそれでもやり遂げると決めたことがあった。

 

(あと少し……あと少しなんだ!)

 

 不断の決意を胸に、真正面を睨んだ時、何かが遠くからこちらに飛んでくるのが目に入った。

 飛行機やヘリの類ではない。

 この世界に、人型で赤と青のファイヤーパターンで、人を腕に抱えて飛ぶ機械などあるはずがない。

 予想は出来ていた。最強の敵に最強の手札を当てる。単純なことだ。

 それでもマジェコンヌはギリリと歯を食いしばり、憎々し気な声を発した。

 

「やはり来たか……女神ども!」

 

 

 

 

 

「気付かれたか……もう少し接近したかったな」

 

 ネプテューヌ、ネプギア、うずめの三人を抱えて、脹脛からのジェット噴射で空を飛ぶオプティマスは、ダークメガミが咆哮を上げたのを見て、目を鋭くする。

 

「三人とも、しっかり捕まっていてくれ。少し揺れるぞ!」

「うん!」

「はい!」

「おう!」

 

 三者三様に女神たちが返事をしたのと、ダークメガミの放った光線がオプティマスの脇をかすめたのは、ほぼ同時だった。

 女神の姿をした怪物は、手から光線を、翼からミサイルのような羽根を撃ち出してくる。

 

「もう! わたしの真似なら、もっと未来に生きてる攻撃してよ! あれじゃ怪獣じゃん!」

「そういう問題かな?」

 

 ネプテューヌがよく分からないことに文句を付け、ネプギアがツッコミを入れる。

 その間にも司令官は弾幕をかいくぐり、敵に近づいていく。

 何やら鞄を抱えているうずめは、まっすぐにマジェコンヌを見た。

 

「お前が何をしようとしてるのかは知らないけど、これ以上はやらせない!」

 

 十分に近づいたと確信したうずめは、手の中で小さな結晶……シェアクリスタルを握りつぶす。

 結晶が砕け散ると同時に、眩しい光が発せられ、うずめの体を包み込む。

 ブラッドオレンジの髪が、鮮やかなオレンジ色に変わり、目の色も青になる。

 纏う空気が、男勝りな物から柔らかく元気な物へと変化し、衣装はレオタード状。

 

 オレンジハートへの変身が完了した。

 

「さあ~いっくよ~!」

 

 オプティマスの腕から飛び出したうずめは、光の翼を広げてダークメガミの眼前に躍り出る。

 

「何をするつもりだ!」

「オプっち、お願い!」

「了解だ!!」

 

 驚愕するマジェコンヌの声に構わず、うずめの指示を受けたオプティマスが女神をたちを抱えていない方の手で装甲の裏から何かを取り出した。

 それは淡く虹色に光る結晶、シェアクリスタルだった。

 だが、さっきうずめが砕いた物よりも、かなり大きい。

 

 これは、うずめたちがセクター7の基地から逃げ出す時に持ち出したシェアクリスタルだった。

 普段うずめが携帯している結晶は、これから削り取った物だ。以前はもっと大きかったが、今はバスケットボールほどしかない。

 

 それを見て危機感を覚えたマジェコンヌは、急いでダークメガミに指示を飛ばそうとする。

 

「ッ! ダークメガミよ、オプティマスからやれ!」

「遅い!」

 

 オプティマスは、そのシェアクリスタルを思い切りうずめに向かって投げた。

 うずめは、左手に装着した円盤状の装置を掲げる。

 

「いっくよ~! シェアリングフィールド、てんかーい!!」

 

 装置が四つに割れるようにして展開し、シェアクリスタルと共鳴して大きな光を放つ。

 

「なんの光ぃ!?」

 

 叫ぶマジェコンヌも、ダークメガミも、近くを飛ぶオプティマスたちも光に飲み込まれる。

 眩しさのあまり目を瞑っていたネプテューヌが目を開けると、そこには広大な空間が広がっていた。

 

 辺り一面に宇宙のような星空が広がり、空中に岩塊がいくつも浮かんでいる。

 

 一見して、尋常でない空間であると分かる。

 今、彼女たちのいる場所を離れた所から見れば、巨大な球体に包まれているのが分かっただろう。

 もちろん、これはただ美しいだけの空間ではない。

 

 これまで、無敵であるかのような威容を誇っていたダークメガミが突然、苦し気な呻き声を上げる。

 その力が落ちていることを察知したマジェコンヌは、すぐにこの空間の正体を察した。

 

「これは……そうか、シェアを使った結界か!」

 

 大量のシェアエナジーを使った特殊な空間で、ダークメガミを包み込むことで、その力を削いでいるのだ。

 それはかつて、彼女が女神を倒すために使ったアンチクリスタルの結界にも似ていた。

 

(それはそうだ。この技は元はと言えば、私が()()()に教えたのだから……!)

 

 昔、自らの特異な力に悩む()()()を救うために、その力を封じ込めるべく模索した手段の一つ。

 結局それは失敗に終わったが。

 

 それを知っているのは、マジェコンヌと()()()の他には、ゲイムギョウ界に一人と、そして……。

 

 

 

 

『海男の言う通り、デカブツの力が弱まってるみたいだよー!』

「上手くいったか……」

 

 通信越しのうずめの声に、海男は真顔のまま息を吐く。

 ダークメガミ、いやテラーコンがシェアの力に弱いことは、以前にうずめが暴走車と戦った時に分かっていた。

 もし弱体化できなくてもデカブツを孤立させることは出来る。それだけで勝率はグンと上がる。そういう策だった。

 

(しかし、何故俺はシェアリングフィールドのことを知っていたんだ?)

 

 海男は、()()()()()()()()()()()()()()()()。今まで一緒にいて、一度もそんな場面を見ていないのにである。

 

(いや、今は考えている場合ではないな)

 

 気持ちを切り替え、仲間たちに指示を飛ばす。

 

「うずめ、それにねぷっちたちも。あのデカブツが弱っている今がチャンスだ。シェアクリスタルを使い切ってしまった以上、これを逃せば機会はない。何としてもここで倒すんだ!」

 

 

 

 

「オッケー! よーし、いよいよ主人公のターンだよ!!」

「うん、いこう! お姉ちゃん!!」

 

 海男の言葉を受けて、オプティマスの腕の中のネプテューヌとネプギアが懐からシェアクリスタルの欠片を取り出した。

 さっき砕いた物からあらかじめ削り取っておいた、本当に最後の欠片だ。

 

「満を持して……刮目せよ!!」

「見ていてください、私の……変身!」

 

 オプティマスの腕から飛び出した二人が手を強く握って結晶を砕くと、うずめの時と同じように体が光に包まれる。

 

 ネプテューヌは、黒いレオタードに豊かな姿態を包み、長い紫の髪を二つの三つ編みにした妙齢の美女に。

 ネプギアは、白いレオタードに少女と女性の間の体を包み、桃紫の長い髪の美しい少女に。

 それぞれに姿を変える。

 

 二人とも、光の翼を背に、青い瞳には女神の証たる円と一本線を重ねた紋章が浮かび上がっていた。

 

 プラネテューヌに咲き誇る女神姉妹、パープルハートとパープルシスターが神無き地球に降臨した。

 

 二人は、適当な浮き岩の上に立ちテメノスソードとベクターシールドを構えたオプティマスの両隣に並ぶや、それぞれの得物である太刀バージョンのオトメギキョウと、ビームランチャーと片刃剣が一体化したM.P.B.L(マルチプル・ビームランチャー)を召喚する。

 

「どうだ、二人とも。行けそうか?」

「ええ、合体は出来そうにないけど……十分に戦えるわ!」

「私も、問題ありません!」

 

 自身の問いに凛とした表情で答えた女神たちに、オプティマスは力強く頷く。

 一方、マジェコンヌは足を止められたこの事態に怒りを強めていた。

 

「おのれ……おのれおのれ! 何をしているダークメガミ! こんな結界など破壊してしまえ!!」

 

 ダークメガミは咆哮を上げて掌からのビームを放つが、しかし光線は結界の端の壁に当たると霧散してしまう。

 うずめはネプテューヌたちの近くに並び、勝ち誇った顔をした。

 

「このシェアリングフィールドから、逃れることはできないよ~! このデカブツを倒すのを、特等席で見学しててよ~!」

「そういうワケにはいかん……! ここまで来て諦めてなるものか!!」

 

 吼えたマジェコンヌは、ダークメガミの胸のマークに沈むようにして一体化する。

 こうすることで、あたかもロボットを操縦するかのように、より迅速かつ正確にダークメガミをコントロールすることが出来るが、代わりにマジェコンヌの心身に大きな負担をかける奥の手だった。

 

『だが、今回ばかりは負けるワケにはいかんのだ!! 喰らえ、女神ども!!』

 

 マジェコンヌが吼えると、ダークメガミはその腕をオプティマスが立っている浮き岩に向けて振り下ろす。

 弱っていてなおも凄まじい力の前に岩塊は粉々に砕け散るが、ネプテューヌたちは方々に飛んで躱し、敵に殺到していた。

 

 まずはうずめが先陣を切り、ダークメガミに突っ込んでいく。

 

「咆哮夢叫!! ほにゃあああああッ!!」

『ぐっ!』

 

 敵の顔面に強烈な飛び蹴りを叩き込み、その反動で距離を取ってメガホンを使って大声を上げる。

 増幅された音波が衝撃波となってダークメガミの巨体を揺さぶる。

 

「M.P.B.L!!」

 

 ネプギアはダークメガミの頭部に向けて、銃剣から光線を撃つ。

 ダークメガミは腕を掲げてそれを防御すると、お返しとばかりにもう一方の手からビームを撃とうとする。

 

「クロスコンビネーション!」

 

 その腕に、ネプテューヌが連続で斬撃を叩き込んだ。

 痛みに呻くような仕草をするダークメガミだが、一瞬後には鋭い爪を備えた腕を伸ばし紫の女神を捕えようとする。

 

「させん!」

 

 敵の真後ろに回り込んだオプティマスが思い切り後頭部に剣を振り下ろした。

 苦痛に鳴き声を上げたダークメガミは、翼を思い切りはためかせダークエネルゴンの羽根を撒き散らして敵を撃墜しようとする。

 

 女神たちとオプティマスは、それを縦横無尽に飛び回ってよけながら、それぞれに遠距離攻撃を叩き込む。

 ネプテューヌが作り出したエネルギーの剣が、ネプギアの銃剣から放たれる光線が、うずめのメガホン越しの衝撃波が、オプティマスの盾の裏に仕込まれたブラスターの弾が、巨大な女神擬きの体に当たって爆発を起こす。

 

『ええい、鬱陶しい! 一気に片付けてくれる!!』

 

 マジェコンヌの声が響くと、ダークメガミは両腕を掲げた。

 その頭上にエネルギーが収束し、とてつもない大きさの光球が生まれる。

 ダークメガミがそれを投げつけるような動作をすると、光球は女神たちに向けて動き出した。

 しかしそれで臆する女神たちとオプティマスではない。

 

「新技いくわよ! デルタスラァッシュ!!」

「ビット、コンビネーション!!」

 

 ネプテューヌが太刀を三度振るって、三角形を描くようにエネルギーの刃を飛ばし、ネプギアが召喚した二つのビットが強力なビームを発射する。

 しかしそれらが向かう先はダークメガミでも迫りくる光球でもなく、オプティマスが掲げたテメノスソードだ。

 

 二人の技を受けたテメノスソードは強く光り輝き、その光はオプティマス自身よりも大きなエネルギーの剣を作り出した。

 オプティマスは眼前まで迫った光球に向けて、愛刀を思い切り振り下ろす。

 

 光の刃と光球がぶつかり、凄まじいエネルギーが火花のように飛び散る。

 

「う、おおぉぉおおッ!!」

 

 オプティマスの裂帛の気合と共に光球が真っ二つに断ち切られ、やがて四散していった。

 

「よーし、いっくよ~!」

 

 花びらのように舞い散るエネルギーの欠片の中を、うずめはオレンジ色の弾丸の如く飛んでいく。

 狙うは一つ、ダークメガミのみ。

 

 迎撃しようとするダークメガミだが、それよりもうずめの方が早い。

 

「必殺!」

 

 メガホンを使って放たれた衝撃波が、ダークメガミを怯ませ、

 

「列波!」

 

 懐に飛び込み連続で叩き込んだ拳が、確実にダメージを与え、

 

「夢双!」

 

 うずめの左右に展開された魔法陣から発射された二筋のビームにより、両の翼を破壊し、

 

「絶掌ッ!!」

 

 最後に拳による渾身の一撃が、ダークメガミの胸の発光部に突き刺さった。

 その一撃によって、ついに蓄積したダメージが限界を迎え、全身にヒビが入り、内部から血のように光が漏れ出す。

 

『ば、馬鹿な……! 私は、まだ……!』

 

 崩れゆくダークメガミの中で、マジェコンヌは愕然としていた。

 女神やオートボットにまたしても敗れたばかりか、止めがよりにもよって……。

 

『…ずめ……!』

 

 伸ばした手は何処にも届くことなく、口の中で小さく呟いた言葉は誰にも届くことはなかった




今回のキャラ紹介

ひよこ虫
人間を女神にしようとする実験の失敗によって生まれたモンスター。
丸っこい体に円らな瞳と猫口、八本の足とそして立派なトサカが特徴。
子供のように無邪気で愛嬌のある性格をしている。
元ネタはアイディアファクトリーのマスコットキャラ。

作中に出てくる個体は、その発生方法の都合上全員雌。
うずめのもとにいるのは全6匹で、名前はアイ、アレクサ、ミーシャ、ローリ、サリ、ミコ。

今後、しばらく忙しくなる上にネット使えない環境へいくことになるかもしれないので、更新が遅れそうです。
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