新次元ゲイムネプテューヌ THE UNITED 作:投稿参謀
時間は僅かに遡る。
ホット・ロッド、ウルトラ・マグナスとガルヴァトロンの戦いはお互いに決め手に欠け、膠着状態に陥っていた。
左右から襲い掛かってくるウルトラ・マグナスとホット・ロッドの攻撃をかわしながら、ガルヴァトロンは両手から電撃を放つ。
状況を動かすべく、ホット・ロッドはとっておきを使うことにした。
「サム! 俺が時を止める! その間に仕掛けろ!」
『え? そんなこと……できるから言ってるんだよね。分かった!』
ホット・ロッドは盾をしまうと素早く銃を抜き、それの引き金を引く。
ドラム式の弾倉のように見える部分から、時間を止めるエネルギー弾が放たれガルヴァトロンに向かっていく。
「甘い!!」
しかし、ガルヴァトロンはホット・ロッドとの間のちょうど中間あたりの地面に向かって雷撃を放つ。
舞い上がる土砂に時止め弾が当たり、球形のフィールドを作るが、ガルヴァトロンには届かない。
「な!」
「このひよっこめ! お前の戦い方は嫌というほど、知っているぞ! いったい誰がお前の特訓に付き合ってやったと……ん?」
大ジャンプしてフィールドを飛び越したガルヴァトロンは、そのまま後退しようとするホット・ロッドに電撃を放とうとしたが、異変を察知して振り向く。
ダークメガミが巨大な球体に飲み込まれるのが見えた。
「あれは、結界の類か? マジェコンヌ、勝手にダークメガミを進めたのか……」
「どうやらあんたら、信頼し合っているとは言えないみたいだな」
体勢を立て直したホット・ロッドの軽口に、ガルヴァトロンは眉を顰める。
「少なくとも、地球人どもよりは信頼している」
『……よく分からないけど人間が君に何かしたなら、僕が変わりに謝るよ。……もし、何か力になれることがあるなら……』
サムは何とか説得を試みるが、相手はそれを受け入れようとはしない。
「力になるだと? ならば、今すぐ死ね! 大人しく滅び去れ! 塵も残さず消えてなくなれ!!」
あまりの憎しみに満ちた声と目に、サムは画面越しであるが、この敵が『前』のディセプティコンたちとは違うと理解し始めていた。
ホット・ロッドはガルヴァトロンの目を睨んで吼える。
「いい加減にしろよ! テメエの言ってることは何から何まで滅茶苦茶なんだよ!! なんだよ、殺すとか滅ぼすとか、同じようなこと何回も言いやがって! なんでそんなに、憎むんだよ。……俺たちの関係が、本当にアンタの言う通りなら、教えてくれよ!!」
言葉の意味は分からない。しかし画面越しとは言え、サムの耳には最後の方の言葉は泣きそうな声に聞こえた。
前世では縁のなかったこのオートボットは、記憶を失っているという。
そして、メガトロンの子供たちの中に確かガルヴァとロディマスという子供がいたはず。
ならば、もしやこの二人は……。
有り得ない、なんてことは有り得ないということは、トランスフォーマーたちと付き合っていれば、嫌というほど思い知らされる。
ガルヴァトロンは、ホット・ロッドの声に攻撃の手を緩め、やがて言葉を絞り出した。
「ロディマス……俺たちの父上と母上のことを思い出さないか?」
「…………」
「やはり、思い出せないか……いいか、ロディマス。二人はな……地球人どもに殺されたんだ……!!」
それを思い出すことは、彼にとって何よりも苦痛なのだろう、目から止めどなくエネルゴンの涙が流れだし、表情は哀しみと怒りが混じり合ってグシャグシャに歪んでいた。
「強かった父上、優しかった母上……サイクロナスも、スカージも……他の皆も! オートボットも、ディセプティコンも、女神たちすらも!! 奴らは化け物と呼んで、殺し尽くしたんだ!!」
悲痛なその声に、その内容に、ホット・ロッドとウルトラ・マグナスは、凍りつく。
有り得ない、とサムは言い返すことができなかった。
『前』の世界では、人類はトランスフォーマーを敵視し、狩り立てた。
ここでも同じことが起きないと、言い切ることはできない。
人間は、自分と違う物、理解の及ばない物を極端に嫌い、恐れ、そして憎む。
「だから俺は、この時代の地球人どもを滅ぼし、未来を変える! それが俺の使命だ!!」
『そんなことは、させない』
だからこそ。
『君にも、人間にもだ。オートボットは……いや、トランスフォーマーは僕が守る!! 女神も、ゲイムギョウ界も、守ってみせる!!』
サムは強く宣言した。
前と同じ悲劇は起こさせない。
もしも生まれ変わった理由があるとしたら、きっとそのためだ。
少なくともサムは、そのためにこそ行動する。
「口では何とでも……む!」
割り込んできた地球人に、再び顔を憤怒に染めるガルヴァトロンだったが、その時シェアリングフィールドが、ガラスが割れるようにして消滅し、その中から三筋の閃光と一つの機影が飛び出してきた。
女神たちとオプティマスだ。
その向こうでは、ダークメガミがゆっくりと崩壊していく。
同時に、今だ多く残っていたテラーコンたちは活動を停止し、ただの機械へと戻っていった。
各地に残された空間の裂け目も、順次閉じていく。
「……これで、お前のバカげた計画も終わりだ」
ホット・ロッドは静かに言うが、ガルヴァトロンの目は今だギラギラと光り、そこに諦めの文字は無かった。
「マジェコンヌ、敗れたか……! こうなれば、やはり俺が手ずから地球人どもを皆殺しにしてくれる!」
言うやガルヴァトロンは全身から稲妻を放つ。
それにホット・ロッドたちの目が眩んだ瞬間、ガルヴァトロンは宙に浮かび上がり崩れ去ろうとするダークメガミに向かって飛び去っていった。
「ガルヴァトロン……!」
「追おう!!」
うずめたちはシェアリングフィールドから脱出し、落ちていくダークメガミを見下ろしていた。
「終わったね~」
「いや、まだだ。皆、こちらは状況終了だ。各員、報告せよ」
女神態のままシミジミと呟くうずめだが、オプティマスの顔はまだ険しいままだ。
『ドリフト……今少しの時間をいただければ、必ず……!』
『こちらハウンド、オンスロートの奴逃げ出そうとしてやがるぜ!』
『クロスヘアーズだ! ドレッド野郎は片付けたが……おい、誰か空飛べる奴いねえのかよ!!』
『バンブルビー……みんな、手を、出さないで! こいつは、オイラが!』
仲間たちの報告から、オプティマスはディセプティコンたちがまだ戦っていることを把握し、指示を飛ばす。
「よし、手分けして、皆の応援に……」
『オプティマス! ガルヴァトロンがそっちに行ったぞ!!』
「なに!? ッ!」
ホット・ロッドからの通信が来た瞬間、オプティマスの横を当のガルヴァトロンが閃光のように通り過ぎた。
「往生際が悪いよ~!」
「ダークメガミ墜つるとも、このガルヴァトロンがいる! まだまだ勝負は一回の表だぞ!」
「いやいやすでに9回表まで終わってるでしょう!」
「9回裏からが、本当の勝負というもの! ここから逆転サヨナラホームランだ!!」
うずめとネプテューヌのツッコミに、意外とノリよく答えたガルヴァトロンは、猛スピードでダークメガミに近づくと、その胸に手を翳した。
すると、崩れゆくダークメガミの体が、エネルギーに分解されてガルヴァトロンの体に吸い込まれていく。
「何!?」
オプティマスたちが止める間もなく、ダークメガミ……その体を構成していたダークエネルゴンを、ガルヴァトロンは残さず吸収し尽くした。
残されたのは、意識を失いかけていたマジェコンヌだけだ。
空中に投げ出され落ちていこうとするマジェコンヌを掌で受け止めたガルヴァトロンの体には紫色に発光する細かい罅のような模様が入り、目や口、装甲の隙間から禍々しい紫色の光が漏れている。
それに合わせるようにして、テラーコンたちが息を吹き返した。
「ううん……ッ! が、ガルヴァトロン!? き、貴様ダークエネルゴンを喰ったのか!?」
意識を取り戻し、状況を理解したマジェコンヌは目を剝く。
対し、ガルヴァトロンはニヤリと口角を吊り上げた。
「最初からこうするべきだったな。ダークエネルゴンの力は素晴らしいぞ……!」
そして首を回し、一点を見つめる。その先にあるのは、フーバーダムだ。
「感じるぞ、さらなるダークエネルゴンの波動を……!!」
「ええい、仕方がない!」
マジェコンヌはターゲットマスターの姿になってカノン砲に変形し、ガルヴァトロンの右腕に合体する。
こうなったら、これに賭けるしかないのだ。
ガルヴァトロンはそのままカノン砲にエネルギーを溜め、フーバーダムの方向に向ける。
まずは、上の構造物を破壊せねば。
「させん!!」
発射の直前、オプティマスがガルヴァトロンに組み付いた。衝撃で狙いがそれ、光弾はフーバーダムの脇にある送電施設に命中し、それを跡形もなく吹き飛ばした。
そのまま二人は錐もみ回転しながら地面に落ちていく。
「ガルヴァトロン! ……いや、ガルヴァよ。こんなことをして何になる! お前の父と母が悲しむだけだぞ!」
オプティマスは、目の前の敵が、宿敵であり今は盟友となった相手と、その妻の息子であることに気が付いていた。
今だ確証はないが、その名前と姿から、もしやとは思っていたのだ。
そしてそれは銀と青のディセプティコンの顔を見るに間違っていないようだった。
「それでも、やらねばならんのだッ!! 家族を守るために!!」
ガルヴァトロンは大きく咆哮すると、全身からさらに強化された稲妻を発して、相手を振りほどき、オプティマスの体を地面に向かって叩き付けた。
「うずめ! もう一度、シェアリングフィールドで……」
「無理だよ~、シェアクリスタルは、あれで最後だもん……」
援護に向かおうとするネプテューヌの頼みに、うずめは首を横に振る。
シェアリングフィールドを張るには、大量のシェアエナジーがいる。
信仰のないこの世界では、それはシェアクリスタルからしか得ることが出来ない。
「……それなら! ネプギア、いーすんに連絡は取れる?」
「できるけど……お姉ちゃん?」
「何か思いついたの?」
「ええ、イチかバチかだけどね。……大丈夫よ、私はこういう時の賭けは、外さないの」
戸惑うようなネプギアとうずめに、紫の女神は悪戯っぽくウインクして見せた。
地上に降りたガルヴァトロンに、オプティマスがベクターシールドの裏のブラスターを撃つ。
しかし今やダークエネルゴンによって強化された肉体はこれを受け付けない。
「ッ!」
「無駄だ!」
向かってくるオプティマスをさらに強力になった電撃で吹き飛ばし、今は紫に光る眼で上空のうずめの方を見たが、それも一瞬だった。
「天王星うずめ、貴様を料理するのは後だ……!」
『そうだ、ガルヴァトロン。今は一刻も早くフーバーダムに向かうのだ!』
右腕に合体しているマジェコンヌも、やや焦った調子で急かす。
それに答えるわけではないだろうが、飛び上がろうとした。
『させないよ!』
近くの建物の影からウルトラ・マグナスが素早く近づきハンマーを振るう。
「無駄なことを!」
『どうかな?』
もはや防御すら必要ないウルトラ・マグナスを遠隔操縦しているサムはニヤリと不敵な笑みを浮かべて操縦桿のスイッチを押す。するとハンマーの片面からジェットが噴射された。
「なに!?」
推進力を得たハンマーは加速し、速度は重量とウルトラ・マグナスの腕力と合わせて破壊力となってガルヴァトロンの体に襲い掛かり、その金属の体を近くのビルの壁まで吹き飛ばす。
「ぐわッ!」
『ははは、昔チラッと見た日本のアニメの女の子がやってた技さ! 最近だとゲームのキャラも似たようなことしてたかな!』
「おのれ、ふざけた真似を!」
すぐさま反撃に移ろうとするガルヴァトロンだが、この隙をオプティマスが逃すはずもない。
敵に掴みかかり、握りしめた拳でその顔面を殴り飛ばすが、オプティマスの剛腕を持ってしても今のガルヴァトロンには効果がなく、逆にエネルギーを纏った拳を喰らって大きく飛ばされる。
「無駄だ! ダークエネルゴンの力ある限り、貴様らに勝ち目はない!!」
「それはどうかしら?」
急に聞こえた声に空を見上げれば、ネプテューヌとネプギア、そしてうずめが舞い降りてくる。
その上空には、光の渦のような物が見えた。
異なる次元を繋ぐ、スペースブリッジの光だ。
あの渦の向こうに、ゲイムギョウ界があるのだ。
一瞬だが、ガルヴァトロンの眼差しに郷愁の色が宿る。
彼にとっては、あの世界は故郷と呼べる地だった。
「来た……私たちの国、プラネテューヌのシェアだわ」
「うん、何だか少し懐かしく感じる」
渦から漏れ出してくるシェアエナジーを浴び、ネプテューヌとネプギアの体に力が張る。
そして、二人はうずめの両側から彼女の肩に手を置いて意識を集中させる。
「いくわよ、うずめ」
「う、うん」
三人の間に、見えない糸のような繋がりができ、それを通じて紫の姉妹のシェアがうずめの中に流れていく。
「させるか!」
「こちらの台詞だ!」
彼女たちが何をしようとしているか理解したガルヴァトロンはカノン砲を撃とうとするが、またしてもオプティマスに、さらにはウルトラ・マグナスに組み付かれて、またしても狙いがそれる。
何もない場所に放たれた光線は、そこに空間の裂け目を作る。
「貴様らぁああ!!」
「むう!」
『う!』
全身から電撃を放って二人を振りほどき、今度こそ飛び上がる。
そこへ、近くの背の高いビルからジャンプしたホット・ロッドが飛びついた。
「ロディマス!!」
「言っただろ! 俺はホット・ロッド、うずめを守る
「騎士だと?」
そのままの状態で背中のホット・ロッドを振り落とそうとしながらも、ガルヴァトロンは思わず、せせら笑う。
「ひよっこめが……何のために俺たちが別々の時間軸に跳んだと思っているんだ?」
「へ、知るかよ!」
「ならばよく聞け、そして思い出せ。この俺が地球人を滅ぼすことを使命としているように、お前にもまた使命があるのだ。お前自身が自分に課した使命がな。それは……」
勝気な笑みを浮かべ、ガルヴァトロンの言葉を笑い飛ばそうとしていたホット・ロッドだったが、最後に聞こえた言葉に笑みが凍り付く。
「う、嘘だ! 嘘に決まってる! で、出鱈目を言うな!」
「出鱈目ではない。お前自身が、一番よく分かっているはずだ」
動揺するホット・ロッドを、ガルヴァトロンは容易く振り払った。
自身の体から離れて地面に向かって落ちていくホット・ロッドを、ガルヴァトロンは本来の獲物に向かう前に一瞥する。
ホット・ロッドの顔は、果てない疑問と、混乱、それから絶望に歪んでいた……。
「我が弟ながら、哀れな……」
『おい、それどころではないぞ!』
マジェコンヌが叫ぶのと、光がガルヴァトロンの体を飲み込むのは、ほとんど同時だった。
再び、時間は僅かに遡る。
身内に流れ込んでくるシェアの暖かさに、うずめは懐かしいような、悲しいような、不思議な感覚を覚えていた。
不意に、その脳裏に映像が過った。
未来的な建物の並ぶ、何処かの街並み。
自分と笑い合う、背の高い男女……だが顔は見えない。
あれは、誰だ?
「うずめ!」
「! シェアリングフィールド、展開!!」
ネプテューヌの声にハッとなったうずめは、今一度シェアリングフィールドを展開する。
今度は先ほどのよりもずっと大きな光が巻き起こり、さっきよりもずっと広い範囲を取り込んでいった。
光が収まるとやはり先ほどと同じ、岩塊が無数に浮遊する神秘的な空間が広がっていた。
しかし違うのは、今度は街で戦闘をしていたほとんどの者が巻き込まれたことだ。
「なんだこりゃあ!? 何がどうなってんだよ!!」
「分からん、全然分からん!」
「おお、ブッタ!」
オートボットとディセプティコン。
それに合流して共にテラーコンに対処していたレノックスとエップスら米軍と、サヴォイにサントスたちセクター7の戦闘部隊もだ。
「な、何が起こったんだよ、おい!」
「俺に聞くな!」
混乱しながらのエップスの質問に、サントスは怒鳴り声で返す。
彼らは、一際大きな浮き岩の上にいた。
周囲にいたテラーコンたちは、糸の切れた人形のように崩れていく。
「まるで太陽の光に当たったグレムリンだな」
「どっちかっつうと、細菌に感染した火星人じゃねえか? ほら、トム・クルーズが主役のやつ」
「油断するな、まだ動ける奴らが向かってくるぞ!!」
ごちゃごちゃと言い合うエップスとサントスを怒鳴りつけ、レノックスはパーツをボロボロと零しながらも迫ってくるテラーコンに銃撃する。
「にしても、あれがあのお嬢さんたちかよ! マジで女神みたいなべっぴんさんじゃねえか!」
「女神みたいな、じゃなくて本当に女神らしいぞ! マイティ・ソーもビックリだ!」
「どっちかつうとワンダーウーマンだろ、あれ!」
それでも軽口を叩き合う副官二人。彼らは意外と気が合うらしい。
他方、サヴォイは何処か複雑そうにうずめを見ていた。
「神ね……そんなもん、いないとばかり思っていたが」
「君たちの神は知らんがね」
誰にともないサヴォイの呟きに、近くでテラーコンを殴り倒しているキャノピーが答えた。
「少なくとも、私たちにとって彼女は女神だよ」
「……ふん」
鼻を鳴らしたサヴォイは、指揮に戻るのだった。
浮遊岩を跳躍で渡りながら、クロスヘアーズはニトロ・ゼウスの攻撃から逃れていた。
「しっかし、変な空間だな、おい」
「喋ってるとは、余裕じゃねえか! この空間でも……いや、この空間だからこそ、俺の絶対有利は変わらんぜ!」
言わば360度全て空中であるようなこの空間は、確かにこの空飛ぶディセプティコンにとっては有利な状況であるらしい。
「チッ、確かにこのままじゃ埒が明かねえな……お!」
何かを思いついたクロスヘアーズは、手近な大き目の浮き岩に飛び移る。
その岩に向け、ニトロ・ゼウスはグリペンの姿に変形してミサイルを撃った。
「こいつで吹き飛びな!」
「吹き飛ぶのは、テメエさ!」
岩からジャンプしてミサイルを躱したクロスヘアーズの後方で、岩に命中したミサイルが爆発を起こす。その瞬間、クロスヘアーズは背中からパラシュートを出した。
パラシュートは爆風を受けて大きく膨らみ、そのまま空挺兵の体を勢いよくニトロ・ゼウスに向かって宙に舞いあがらせる。
「イヤッハー!」
「んな!?」
そのまま向かってくる緑のオートボットを、機体を傾けて躱したニトロ・ゼウスだが、その機体にパラシュートが絡まる。
バランスを崩したマルチロール機は、そのまま錐もみ回転をしながら明後日の方向に飛んでいった。
一方、クロスヘアーズはパラシュートを切り離し、適当な岩に捕まって事なきを得たのだった。
「あばばば!」
「なんだと!?」
ニトロ・ゼウスは、そのままハウンドと撃ち合っていたオンスロートに突っ込む。
「グワーッ!」
「な、なんやて!? アバーッ」
衝突した二体のディセプティコンは真下の岩の上でドリフトに襲い掛かろうとしたバーサーカーの上に落ちた。
三体のディセプティコンは、揃って
「あれまあ……」
「…………」
突然のピタゴラスイッチ的な顛末に、ハウンドは葉巻代わりの実包を口から落とし、刀を振り上げていたドリフトは目を丸くするのだった。
「こ、これは……力が抜けていく!」
『シェアの共鳴に、こんな使い方が……!』
ガルヴァトロンの体の紫の光が弱まり、ダークエネルゴンによるブーストが抜けていく。
あちこちにカノン砲を撃つが、空間の裂け目が出来るばかりで結界を破壊することはできない。
彼の中の冷静な部分が、再度のシェアリングフィールドの発生を防げなかった時点で、勝敗は決したと伝えてくる。
しかし、だとしても。
「天王星うずめ! せめて、貴様だけはあぁぁぁ…ぁ……ぁ……ッ!?」
うずめに向けて手を伸ばすガルヴァトロンだが、球形のフィールドに包まれて動きが遅くなっていく。
近くの浮き岩に乗ったホット・ロッドが、悲しみとも怒りとも付かぬ感情に揺れるオプティックと、時止め弾を発射した拳銃をガルヴァトロンに向けていた。
停止したガルヴァトロンに向け、オプティマスが背中から抜いたレーザーライフルからスラッグ弾状の実体弾をありったけ発射する。
超重合金製のスペシャルなスラッグ弾の群れは、フィールドに到達するや停止し、そして時間が動き出すと同時に、ガルヴァトロンの体に襲い掛かった。
「ぐ、おおおおお!?」
一発でもトランスフォーマーに大ダメージを与えうる弾丸を何発も喰らったガルヴァトロンは、その衝撃で悲鳴を上げながら後方に飛んでいった。
このままいけば、大きな浮き岩に叩き付けられるはずだったが、途中で流れ弾に当たって進行方向が変わる。
自分が作った、空間の裂け目に向かって。
「! しまった!」
ガルヴァトロンを救うべくジェットを噴射するオプティマスだが、間に合わない。
そのままガルヴァトロンは、裂け目の向こうの異空間へと吸い込まれていった。
「ロディマス、必ず後悔することになるぞ! ロディマァァァスッ!!」
何処へつながっているとも分からぬ異空間に消えゆく叫びを、ホット・ロッドは、複雑そうな顔で聞いていた。
オプティマスが突入するより早く、裂け目は閉じてしまう。
「…………」
悔し気に目を閉じるオプティマスを遠目に見ていたホット・ロッドは、今度こそ戦いが終わったことにホッと胸を撫で下ろしているうずめをチラリと見た。
ブレインに、空中で組み合った時にガルヴァトロンが言った内容が甦る。
『ひよっこめが……何のために俺たちが別々の時間軸に跳んだと思っているんだ?』
『ならばよく聞け、そして思い出せ。この俺が地球人を滅ぼすことを使命としているように、お前にもまた使命があるのだ。お前自身が自分に課した使命がな。それは……』
『
バンブルビーの予告を見ました。
まさか、ビートルに変形する実写ビーが見れるとは……。
空陸参謀ブリッツウイング、実写シリーズの実質的な最終作(予定)に満を持しての登場。
予告編ではジェット機から変形してたましたけど、残る二体のディセプティコン、シャッターとドロップキックもトリプルチェンジャーのようだし、やっぱり戦車形態になれるんでしょうかね?
G1スタイルのTFたちが実写で見れるのは嬉しいけど、なんだかんだ実写シリーズの姿に慣れ親しんだ身としては、ちょっと寂しくも思えてしまう、そんなめんどくさいファン心理。
それにしたって……海外公開は12月、日本公開が来春ってあーた……(絶望)