新次元ゲイムネプテューヌ THE UNITED 作:投稿参謀
ビーシャが変身した『ゴールドコア』から力を得たバンブルビーは、まるで止まっているかのような時の中で、機敏に動き回っていた。
敵を叩きのめす以外にも、やることは多い。仲間に向かっていく銃弾や砲弾を叩き落とすのは、中々に大変だった。
『気を付けてね! 加速できるのは一分間が限界だから! 小まめに休憩を入れて!』
「了、解!」
ビーシャの助言に従いに、細かく加速を止め、また加速するを繰り返す。
『すごいすごーい! 初めて合体したのに、もう能力を使いこなせてる! やっぱりバンブルビーはすごいよ!』
「まあ、ね!!」
『よーし、無敵のBBコンビの結成だー!』
「いや、その、コンビ名は、どうだろう?」
「何が起こっている?」
バリケードは目の前の光景が信じられなかった。
息も絶え絶えだったバンブルビーに、あのゴールドサァドとかいうのは合体したかと思えば、一瞬でニトロ・ゼウスを殴り倒した。両者は10m近く離れていたのにだ。
かと思えばインフェルノカスの背中に登って後頭部にブラスターを撃ちこみ、次の瞬間にはドレッドボットに飛び蹴りを叩き込んでいた。
止まっている時以外は、センサーでも捉えきれず一瞬黄色い閃光が走ったようにしか見えない。
「仕方ない……レギオンども、来い!」
腕を掲げると、何処からかガルヴァトロンの分身である騎士……この言葉の響きからは想像できないほどに獣染みているが……レギオンたちが集まってきた。
こんなこともあろうかと、あらかじめ待機させていたのだ。
レギオンたちの指揮は、装甲の裏に仕込まれた円卓模型という装置のさらにレプリカで、バリケードが行っていた。
「お前らが悪いんだぞ。余計なことをするから、こっちだって対処しなけりゃいけなくなった」
誰にも聞こえないように、バリケードはぼやくのだった。
「どうなって……やがるんだ?」
何とか上体を起こしたハウンドは、状況を飲み込めていなかった。
「あれが我々ゴールドサァドの力だ。合体することであなたたちトランスフォーマーに新たな力を与える」
「!」
いつの間にか眼帯の少女、ケーシャがハウンドの脇に立っていた。
彼女は、黄金色の冷たい瞳でハウンドを見ていた。
「状況判断だ。あなたに協力を要請する。戦力は過多ということはない」
「俺と……合体するってか? あんな風に」
「そうだ。見たところ、あなたと私の能力は相性がいい」
淡々と言う少女に、一瞬面食らったハウンドだが、すぐに決断する。このまま這い蹲っているのは性に合わない。
「分かった。やってくれ」
「了解だ」
言うやケーシャは目をつぶって胸の前で両腕をクロスさせる。
すると、ビーシャがそうだったように光に包まれ、黄金のキューブに変身した。
ただし一面に埋め込まれている結晶はルビーのような真紅で、そこに描かれた模様は歯車のようだった。
『ゴールドオン!』
そしてキューブは、ハウンドの胸に突き刺さるようにして合体する。不思議なことに、ハウンドの体にはこのキューブが収まるように、新たなスペースが再構成された。
本当に、オールスパークのようだ。
『どうだろうか?』
「オーケイ、これならいけそうだ!」
力が体中に広がり、問題なく立ち上がる。
「さあて、お嬢さんはどんな魔法の力を授けてくれるんだい?」
『魔法というほどの物ではない。『弾数無限』ただ、弾が尽きなくなるだけだ』
「は! そいつはゴキゲンだ!!」
ニッと笑ったハウンドは、愛用の三連ガトリングを拾い上げ、こちらに向かってくるディセプティコンに向けて撃つ。
嵐のように吐き出された弾は、違わずレギオンたちを塵に代えていく。
肩のロケット弾を手に取り発射し、胸に下げた手榴弾を手に取り口でピンを抜いて投げる。
爆発でレギオンがバラバラに吹き飛んでから、ハウンドが確認するとロケット弾も手榴弾も数がまったく減っていなかった。まるで最初から使わなかったかのように。
「おお、マジで減らねえ! こいつは十分に魔法だぜ!!」
『いいから、撃ち続けるんだ! 銃身が壊れない程度に!』
「銃その物の耐久力は上がらねえワケか! 了解したぜ!!」
『いくぞ、デストロイ・ゼム・オール!!』
忠告を受けたハウンドは、その意味をすぐさま察し不敵に笑みを浮かべてさらに銃撃する。いくら撃っても、弾が尽きることはなかった。
それをレギオンに足払いをかけたシーシャが見ていた。
「へー、ビーシャもケーシャも合体したかー。それじゃあアタシも……お!」
キョロキョロと辺りを見回したシーシャは、咳込んでいるクロスヘアーズに視線を止めた。
「ねえねえ、そこの緑のお兄さん。アタシと合体、しない?」
「ゲホゴホッ! しねえ、来るんじゃねえやゴホゲハァッ!」
「まあまあ、そう言わずにさあ」
すり寄ってくる女性を手で払おうとするクロスヘアーズだが、咳込んでしまい上手くいかずに接近を許してしまう。
「はな、はなれゲホゲホッ!!」
「ん~? お兄さん、合体は初めてかい? 大丈夫、アタシがリードするからさ♪ ま、アタシも実はしたことないんだけど。……ねえ、アタシの
「き、気色悪いこと言ってんじゃあガッハァッ!」
妙に艶めかしい手つきでクロスヘアーズの体を撫でたシーシャは、彼の反論に構わず腕を交差させて意識を集中させ、獣の爪のような模様が描かれた青い結晶が埋め込まれた黄金のキューブに変身する。
『ゴールドオン!』
「おおい、来るな来るなぁゴヘェッ!」
そのままクロスヘアーズの胸に合体。彼のアンチ・エレクトロンの影響を取り払う。
立ち上がったクロスヘアーズは何とも言えない表情で胸に収まったキューブを見下ろす。
「あ~あ……」
『ふ~ん、これが合体かあ。なるほど、君でアタシの中がいっぱいになってる感じ。……さて』
茶化したようなキューブからの声が不意に真面目な物になると、クロスヘアーズの背中部分がギゴガゴと変形し、新しいパーツを構成する。
それは、ジェットスラスターを備えた翼だった。
「おお!?」
『私が君にあげるのは、『飛行能力』さ! 単純だけど、強いよ!』
そう言われて、試しに飛び上がってみる。
翼の先のスラスターからジェットが噴射され、クロスヘアーズの体はコート状パーツをはためかせて容易く空に舞い上がる。額の飛行ゴーグルを下げるのも忘れない。
最初はバランスを取るのが難しかったが、元々空挺兵だからかすぐにコツを掴んだ。
クロスヘアーズはこの能力を気に入った。
直前まで拒否していたのは何処へやら。
「うおおお! こいつはゴキゲンだぜぇ!!」
『嫌がってた癖に、現金ね。……と、気を付けて! 敵が来るよ!』
キューブから聞こえた通り、後ろからいつの間にか復活したニトロ・ゼウスがグリペンの姿で追ってきた。機関砲とミサイルを発射して、こちらを撃ち落そうとしてくる。
「飛行型でもねえ癖に飛びやがって! オートボットの癖に生意気だぞ!」
「へっ! 知るかよ!!」
身を捻って機関砲の弾を躱し、コートの裏からフレアを撒いてミサイルを誘爆させる。
「……俺、フレアなんかついてたっけか?」
『細かいこと気にしなさんな! さあ、スタイリッシュに決めるよ!』
「あーもう分かったよ! やったらー!」
身に覚えのない装備に首を傾げるクロスヘアーズだが、覚悟を決めて短機関銃を抜くのだった。
『……ところで、どう? 合体した感想は? 飛んじゃうくらい気持ちいいでしょう?』
「だから、気色の悪いこと言ってんじゃねえ!」
クロスヘアーズとニトロ・ゼウスがドッグファイトを始めるのを、吐く物を全て吐き出したドリフトが見上げていた。
「ぐっ……このまま戦わずにいるのはオートボットの名折れ。背に腹は代えられぬか」
仲間たちが戦っているのに、自分だけ何もしないのは使命感とプライドが許さない。
何とか首を回せば、エスーシャがバーサーカーの振るう棍棒をヒラリヒラリと躱しているのが目に入った。
こうなれば、自分も合体してもらうしかない。
「そ、そこの方! 恥を忍んでお願い申す! 私と合体してくれ!」
「…………」
しかし、声が聞こえないかエスーシャは応じない。
「そこの方!」
「興味ないね」
さらに強く呼びかけても、返されたのはそんな言葉だった。単に興味がないと言うよりは、明らかに拒絶を含んだ声色だった。
「壁にでも話してろよ」
「なッ!?」
「アーハッハッハ! なんや、フラれてもうたのうデッドロック!!」
ドリフトは愕然とし、バーサーカーは棍棒を振り回しながらさも愉快そうに嘲笑した。そのどちらにも構わず、エスーシャは目つきを鋭くし、いよいよ剣を構える。
「私は一人で戦う」
「ほーそうかい。ええ度胸や!」
「でも甘いぜい!」
エスーシャの横の建物の瓦礫の中から、両手にナイフを構えたモホークが飛び出してきた。
咄嗟に剣でナイフを防いだエスーシャに、バーサーカーの棍棒が襲い掛かる。
「ッ!」
棍棒の一撃は、エスーシャの左側に突如現れた盾に防がれる。
それでも金属生命体の攻撃の重さに、エスーシャは大きく弾き飛ばされるも、空中で体勢を立て直して着地する。
そこに二体のディセプティコンがにじり寄る。
「さあ、今度こそぶっつぶしたるでぇ!」
「やっぱあれだよね。ナイフ使いの敵は美女が映えるよね!」
「二対一では分が悪い! 私と合体を……」
「嫌だね。この体、穢すワケには……ん? なに?」
その事態に叫ぶドリフトにも、取り付く島がないエスーシャだったが、不意に顔をしかめた。そしてそこに
「しかし! ……ああ、分かった。君がそう言うなら、そうしよう」
呆気に取られているドリフトに向かってエスーシャは心底嫌そうに顔を向けた。
「お前と合体してやる。……足を引っ張るなよ?」
「よ、よく分からんが、承知!」
ドリフトが頷くと、エスーシャはモホークとバーサーカーの攻撃をかわしながら両腕を交差せて、キューブに変身した。
このキューブにはスモークブラックの結晶が埋め込まれ、そこに右下が欠けた太陽を象った模様があった。
『ゴールドオン……』
そのまま、ドリフトの胸部分に合体する。
「おお、力があふれてくる! これで戦えるというもの!」
『あまり調子に乗るな。……来るぞ』
立ち上がり刀を握るドリフトに対し、どこまでも嫌々といった調子のエスーシャだが、バーサーカーとモホークが向かってくるのを警告する。
「なんか知らんが、ぶっつぶしたるでぇ!!」
「そうはいかんぞ!」
ドリフトの刀とバーサーカーの棍棒がぶつかり合い、金属音が鳴り響く。
その隙に、モホークは敵の後ろに回り込んで背中を斬り付けようとする。
「トランスフォーマーに初登場補正はないって教えてやるぜ!」
「それはどうかな!」
ドリフトはバーサーカーの腹を蹴って遠ざけ、振り向きざまにモホークを蹴り飛ばす。
「あがぁあああ!?」
「うむ、二対一程度なら問題ないな」
「じゃあ、三対一ならどうだ?」
その瞬間、後ろから銃撃音がした。
いつの間にかいたドレッドボットが死角から撃ったのだ。
しかし、その光弾はドリフトには届かなかった。
地面に伸びた彼の影が立ち上がり、刀で弾を防いだからだ。
その影は、黒っぽく半透明で目が赤く光っていたが、それ以外は背格好も鎧武者のような装甲も手に持った刀もドリフトに瓜二つだった。ただ胸にあるキューブの紋章は黄金色ではなく白銀色だった。
一見すると幻影のようにも見えるが、弾をはじいたことからも、実体があるのが分かる。
ディセプティコンたちも、ドリフトも、突然のことに呆気に取られてしまった。
「こ、これは面妖な!?」
『これが私の力だ。光が強ければ色濃くなる影、希望が大きいほどに深さを増す絶望、輝く太陽と闇夜に浮かぶ月……』
「すまないが、もっと分かりやすく!」
『……つまり『分身』だ。分身はある程度お前の意思に沿って勝手に戦ってくれるから、上手く使うといい』
それきり、もう十分だとばかりにエスーシャは黙り込む。やはり、この状況が気に食わないらしい。
「なんと身勝手な……まあいい。では頼んだぞ、分身!」
ドリフトは差し当たってもうエスーシャを当てにしないことにし、バーサーカーに向かっていく。ドリフトの分身はニヤリと不気味に笑うと動揺しているドレッドボットに向けて踊りかかった。
色々あって、ちょっとぶつ切り。
最近筆が遅くてごめんなさい。
ゴールサァド ケーシャ
ラステイションの女学校に通う学生で、ゴールドサァドの一人。
普段は楚々とした女の子らしい性格……なのだが、一度銃を握ると歴戦の傭兵が如き冷静沈着な性格に豹変する。色々と複雑な過去がある。
原作と違い、すでにノワールとは親交がある。
合体による能力は『弾数無限』
実体弾だろうがエネルギー弾だろうが手榴弾だろうが尽きることがなくなる。しかし銃の強度を上げるワケではないため、撃ちすぎると銃の方が破損してしまう。
元ネタはメタ〇ギアシリーズの無限バン〇ナ。
余談だが、ノワールに対する感情は友情の域を明らかに超えている。原作ではとある場面で多くのプレイヤーを恐怖のどん底に叩き落とした。
ゴールドサァド シーシャ
モンスター狩り兼格闘家の女性で、ゴールドサァドのリーダー格。
健康的ながら色気もある大人の女性で、人をからかうような言動が多い。
原作と違い、すでにブランと親交が(略)
合体による能力は『飛行能力』
合体したTFの体の一部を翼などに組み替える。
単純であるが故に強力な能力で、特に穴がない。
元ネタはロック〇ンよりスーパー〇ックマン。
ゴールドサァド エスーシャ
クールで高貴な雰囲気を纏った女性で、ゴールドサァドの一人。
しかし重度の中二病で、何事にも無気力無関心。
他人には見えない誰かと会話するような素振りを見せることもあるが……。
原作と違い、すでにベールと(略)
合体による能力は『分身』
文字通り、合体しているTFの分身を作り出す。
分身は幻ではなく実体があり、ある程度状況と本体の意思に沿った行動をしてくれる。一見すると便利な能力だが……。
元ネタはF〇4やド〇クエ6のあるイベント。