新次元ゲイムネプテューヌ THE UNITED   作:投稿参謀

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第31話 コンバイナー

「ああ、まったく……」

 

 バリケードは大きく排気せざるを得なかった。

 オートボットたちにゴールドサァドなる小娘たちが合体し、アンチ・エレクトロンの影響下でも動けるようにしたばかりか、新しいパワーを与えた。

 ハウンドはいつにも増して景気よく銃を撃っているし、クロスヘアーズは空を飛び、ドリフトは二人になった。そしてバンブルビーは……。

 

「バリケード!!」

 

 黄色い閃光を追っていたと思ったら、眼前にバンブルビーが現れた。青いオプティックが怒りに燃えている。

 

「今度こそ、捕まえて、やる!」

『やっちゃえ、バンブルビー! 正義の力を見せてやれ!!』

「熱烈だねえ……だが、後方不注意には気を付けた方がいい」

 

 バリケードがニヤリと笑った瞬間、再加速しようとしたバンブルビーをオンスロートが鋏状武器デカピテーターで掴もうとする。

 しかし間一髪で加速したバンブルビーはその場を離脱。ついでにオンスロートの顔を蹴るのも忘れない。

 

「おのれ、あの餓鬼! バリケード、まだグランドブリッジとやらは開かんのか!!」

「……の、ようだな」

 

 チラリとマーカーを見れば、先端部が赤く点滅している以外に変化はない。それからバンブルビーがインフェルノカスを翻弄しているのと、ネプギアが戦線に復帰しレギオンにビームをお見舞いしているのを見た。

 

「仕方ない、()()()()を使うか……」

「何をブツブツ言っている! さっさとガルヴァトロンに連絡を付けて指示を仰げ!」

「ああうん、大丈夫だ。()()()()()()()()()()()()()()

「なに……?」

 

 言うや、バリケードは胸部装甲の内側から掌大の装置を取り出した。

 装置は球形だが、円形の赤い発光部があり、目玉のようにも見える。

 

「なんだそれは?」

「『クインテット・エニグマ』だそうだ」

 

 言うや、バリケードはそのエニグマなる物体を起動する。

 するとエニグマがブルブルと振動し、さらにギョロギョロとまさしく目玉のように動く。さらに各所からクモの足のような物やサソリの尻尾のような物が飛び出したかと思うと、バリケードの胸に飛びついた。

 節足や尻尾の先端がパーツの隙間に入り込み、ガッチリと張り付く。

 

「何をしている!?」

「ちょうどいい、お前が()()()になれ」

「何を言って……ぐおおおおおっ!?」

 

 驚愕していたオンスロートに向け、エニグマの目のような部分から赤いレーザー光が発せられた。

 その光に当てられたオンスロートが見えない糸で吊り上げられたかのように空中に浮かぶ。

 さらにドリフトとその分身と戦っていたバーサーカーとドレッドボット、クロスヘアーズを追いかけていたニトロ・ゼウスに光が照射されるや、彼らの体は意思に反してオンスロートの周りに引き寄せられた。

 

「なに!?」

「なんにせよ、止めて、やる!」

『駄目だ、加速し過ぎたよ! ちょっと休まないと!』

 

 異常事態にネプギアが引き金を引く手を止め、バンブルビーは加速しようとするが、上手くいかない。

 他のオートボットたちも阻止に向かおうとするが、分離したインフェルノコンたちに阻まれる。

 

「な、なんやこれッ!?」

「おい、なんのつもりだ!!」

「降ろせ、降ろしやがれ!」

「何の真似であるか!!」

 

 空中に吊り上げられてディセプティコンたちに向かって、バリケードは皮肉っぽい笑みを浮かべてから、オートボットたちを見回した。

 

「お前らが余計なことをするからだぞ……強制合体(ユナイト)!!」

 

 叫びと共に、バリケードが宙に浮かび上がりパトカーに変形したかと思うと、さらにギゴガゴと変形していく。

 その形は、巨大な左足だ。車体が真ん中から前後に分かれて、フロント側が下腿、車体後部側が大腿を構成している。

 

()なんだってんだぁあああ(ノ エンティエンドォォォ)!?」

 

 ドレッドボットも錆塗れのトランスポルターに変形し、そこからフロント側を下側にして右足に変形する。

 

「なんでやねええんっ!」

 

 バーサーカーは左腕だ。手首からロボットモード時の肩の突起がカニの鋏のように飛び出している。

 

「どうなってんだよ、こりゃあああッ!?」

 

 絶叫しながら、グリペン姿のニトロ・ゼウスは機首側が上腕、翼を畳んだ機体後部側を前腕にして右腕になる。

 

「おのれ、バリケードォッ!!」

 

 そしてオンスロートは複雑に変形して、手足のない胴体になった。

 

 それぞれパーツに変形した5体のディセプティコンは、オンスロートが変形した胴体部を中心に、轟音を立てながら結合していく。

 背中には二門のキャノン砲が天を突くようにして備えられており、オンスロートの銃機関砲、ニトロ・ゼウスのキャノン砲とミサイルや、バリケードのガトリングといった各員の武装があちこちから飛び出している。左腕にはニトロ・ゼウスのジェットノズルが火炎放射器として備えられていた。

 そして両の手首からは鈎爪のように尖った五指を備えた手が、胴体からは凸の字を逆さにしたようなバイザー状のオプティックの他には口も鼻もない鉄仮面のような顔を持った頭部が飛び出した。

 

『ブルーティカス、誕生(オンライン)!!』

 

 新たに誕生した巨人は、バリケードの声で咆哮を上げた。インフェルノカスよりも、さらに一回り以上大きい。

 

「なんだよ、こりゃあ……!」

合体兵士(コンバイナー)だと……!」

 

 その巨大な姿に、クロスヘアーズやハウンドが圧倒される。

 オートボットたちを抑えていたインフェルノコンたちも再度合体し、ブルーティカスなる巨大兵士の傍に並ぶ。

 合体兵士が二体も並んでいる姿は、それだけであらゆる勇気を打ち砕かんとするかのようだ。

 

「おーい、俺は~? 合体できてないんですけどー! 仲間外れは酷くねえ!?」

『悪いなモホーク。このエニグマは五人用なんだ』

「ええー! 必然的に一人余るじゃん、それー!」

 

 一人合体できなかったモホークは、ブルーティカスを見上げて喚くが、素っ気なく返されて消沈する。

 

「臆すな! 行くぞ!!」

『恐怖など、ない』

「ビーシャ、加速は、使える?」

『うん、もう大丈夫だよ!』

 

 そんなやり取りに構わずドリフトは分身と共に飛び掛かり、バンブルビーは再加速して巨体に登ろうとする。

 ブルーティカスが再度咆哮を上げ、一歩踏み出すだけで大地が揺れる。その右腕のグリペンのジェットノズルだった部分から強烈な火炎が噴射された。

 

「散れ!!」

 

 ハウンドが叫び、全員が各々の方法で散開した瞬間、一同がいた場所に火炎が吹き付けられる。高熱で地面が焦げるのを通り越して熔解している。

 

 クロスヘアーズとネプギアは飛び回りながら銃撃を浴びせるが、まるで効いている様子はない。

 

『かったいなあ……!』

「へ! のろまなデカブツめ……うおっ!?」

 

 挑発するクロスヘアーズだが、ブルーティカスは巨体からは想像も出来ない速さで右手を伸ばし、鋏でクロスヘアーズを掴む。

 

「ぐッ……!」

「クロスヘアーズさん! M.P.B.L、最大出力!!」

「放しやがれ、デカブツ!!」

 

 そのまま胴を千切らんばかりに挟み込む力を強めていくブルーティカスだったが、ネプギアの銃剣からのビームと、ハウンドのロケット弾をありったけ受けて、僅かに力が緩んだ。

 

『危ないとこだった! ありがと!』

「ケッ! 俺一人でもなんとかなったぜ!!」

 

 その隙に、クロスヘアーズは何とか脱出する。

 さすがにあれだけの火力を受ければダメージがあるようだが、逆に言えばあれだけの火力でも力を緩ます程度。

 

 その耐久力といい、飛行しているクロスヘアーズを捕まえた素早さといい、単純にディセプティコンが五体くっ付いただけのデカブツではないようだ。

 

「というか、なんだか五人分よりも体が大きいような……」

「大きさの、概念を、捨てるんだ!」

 

 どう見てもパーツ毎に巨大化していることに思わずツッコミを入れるネプギア。

 よく分からないことを言ったバンブルビーは、加速した状態でまずは膝関節部に飛び蹴り、そのまま胴体をよじ登り、顔面に思い切り拳を叩き込み、ついでに背中のキャノン砲の砲口にブラスター弾をお見舞いしてやる。

 

 地面に着地してから加速を止めるが、蹴りと拳は効いている様子がなく、砲口内部でブラスター弾が爆発したにも関わらず、僅かに身じろぎしただけだった。

 

「なんつう、頑丈な……!」

『今のはバンブルビーか? 少し痛かったぞ』

 

 ブルーティカスはバンブルビーを見下ろし、バリケードの声で言う。言葉の割りに痛がっているようには見えない。

 加速中のこちらを視認はできないようだが、これでは決定打にならない。

 

「バリケード、右足のクセに、センター気取りとは、生意気な」

『そうだよ、そういうのは普通胴体か頭部担当がリーダーでしょ!』

 

 ややメタい調子のバンブルビーとビーシャに答えず、ブルーティカスは全身に備えた火器を発射する。

 左腕の火炎放射器はもとより、ブラスター、ガトリング、ミサイル……中でも背中のキャノン砲は、発射されては迫撃砲のように地上に降り注いでくる。ついでとばかりにインフェルノカスも両腕のキャノンを発射している。

 廃村を更地にするような勢いで巻き起こる爆発に、ハウンドやドリフトは逃げ惑うことしかできない。

 

「ええいくそ! 基本火力が違いすぎらあ!!」

『状況はかなり不利だ。撤退すべきか』

「二人に増えてもこれはどうにもならんか……」

『…………』

 

 一挙手一投足がいちいち必殺級の破壊力を持つブルーティカスの前に、オートボットたちも攻めあぐねる。

 

『もう! ヒーローが新たな力を得たら、悪役はアッサリ負けるのがお約束でしょ!』

『知るか、そんなもん』

 

 メタいビーシャの声をバッサリと切り捨てたブルーティカスは、さらなる攻撃を繰り出そうとする。

 だが、そこで聖堂前の地面に突き立てられたマーカーが起動した。

 

 赤く点滅していた部分が青く輝き、マーカーの刺さった地点と聖堂の間に光が溢れる。やがて光は渦を巻いて、どこに繋がっているとも分からぬトンネルを形成した。

 

『やっとグランドブリッジが起動したか……ならば。ディセプティコン! 渦の中に進め!!』

 

 光の渦を見たブルーティカスは、右腕を振り上げる。

 その号令に反応して、村の各所に停泊していた降下艇や戦闘艇が飛び立ち、こちらに集まってきた。

 

「なんだ、あの光の渦は……?」

『旅の扉か、デビルロードか……いずれにせよ、転送系の何かだろうな』

 

 目を凝らすドリフトに対し、エスーシャは平坦な調子で言う。実際、その推測は当たっていた。

 我先にと光の中へ飛び込んでいく降下艇や戦闘艇が、クロスヘアーズが追おうし、ハウンドが撃ち落そうとするが、いずれもブルーティカスの弾幕に阻まれる。

 

『インフェルノカス、お前も先に行ってろ』

 

 インフェルノカスは一つ唸ると、五体に分離して渦の中に入っていく。

 全ての船が転送されたのを確認したブルーティカスは、右腕の鋏を収納し拳にエネルギーを込めていく。

 

「奴だけでも止めろ!!」

 

 ハウンドの号令に、オートボットたちは一斉に合体兵士に飛び掛かろうとする。

 だが、ブルーティカスが右拳を思い切り地面に叩き付けると、凄まじい衝撃波が発生し、彼から見て前方にあるほとんどの建物を粉々に破壊した。

 オートボットたちも後方へ吹き飛ばされ、地面や辛うじて残った建物に叩き付けられる。

 

『わあああああっ!!』

『きゃああああッ!!』

『思ってたより威力がデカかったな。……まあ死んではいまい』

 

 強制スリープに入ったオートボットたちを見て、ブルーティカスは首を傾げる。

 合体が解かれ胴体と手足が崩れる積み木のようにバラバラと地面に転がって、それぞれロボットモードに変形した。

 

「な、なにがどうなったんや……」

痛ててて(ドゥエレ)……」

「くそう! ワケが分からねえぞ!」

「お~いニトロ~、大丈夫か~?」

 

 バーサーカーとドレッドボットは頭を振って立ち上がり、ニトロ・ゼウスは今まで隠れていたらしいモホークに心配されていた。

 そしてオンスロートは怒りを滾らせて、何食わぬ顔をしているバリケードを睨みつけていた。

 

「…………」

「そんな顔をするな。さあ、俺たちも行くぞ」

 

 ディセプティコンたちは顔を見合わせつつも、グランドブリッジを潜っていく。

 オンスロートも後に続くが、最後までバリケードのことを疑いの眼で見ていた。

 

 彼には分かっていた。あの合体の本来の目的は敵と戦うことではない。ディセプティコンたちがガルヴァトロンに逆らった時、問答無用で意思を奪い従わせることだ。

 オンスロートはいよいよガルヴァトロンへの不信を深めるのだった。

 

 そのオンスロートも光の中へ消えると、バリケードは自分もグランドブリッジの中へ入ろうと歩き出す。

 

「待て! バリケード!!」

 

 しかし、その背を呼び止める者がいた。

 ダメージを負いながらも何とか立ち上がった、バンブルビーだった。しかし動くこともままならず、睨むことしかできない。咄嗟に庇ったのだろう、ネプギアも大きなダメージを負いながらも彼の隣に立っていた。

 バリケードは怒りに燃える情報員の顔を見た。

 

「じゃあな。……追ってくるなよ?」

 

 手元のリモコンのような装置でアンチ・エレクトロンの散布を止めたバリケードは、それだけ言うとグランドブリッジの中へと消えた。

 同時に光の渦も霧散する。

 

 バンブルビーはついに片膝を突く。

 痛みではなく、悔しさ、無念さに震えながら地面を拳で叩いた。

 

「くそう……くそうっ!!」

「ビー……」

 

 痛ましげにネプギアがその膝に手を置く。悔しいのは彼女も一緒だった。

 バンブルビーの胸からキューブが転がり落ち、ビーシャの姿に戻る。

 彼女は、黄色いオートボットを見上げた。

 

「バンブルビー……ううん、まだだよ! ヒーローは一回負けてからが、本番なんだよ!! 次こそ必ず、ディセプティコンをやっつけよう!」

「ビーシャさん……」

 

 グッと拳を握るビーシャに、ネプギアは何とも言えない顔を向ける。

 何と言うか、あまりにも無邪気に過ぎる気がしたのだ。

 しかしバンブルビーは、強い決意の宿った表情を浮かべた。

 

「ああ、そうだね」

 

 彼のセンサーは、他のオートボットたちの無事を確認していた。

 ハウンドも、ドリフトも、クロスヘアーズも、他のオートボットたちも生きている。生きているのなら、反撃できる。戦争(あの)の頃のように

 

「バリケード、必ず、捕まえてやる……! ビーシャ、力を、貸してほしい」

「もちろんだよ! そうこなくっちゃ!」

 

 決意を固めたバンブルビーと、はしゃぐビーシャ。

 しかしネプギアは、そんな二人に対して寂しさにも似た不思議な痛みを感じていた。だが、すぐにやるべきことを思い出す。

 

「そうだ! ……こちら、ネプギア! オートボット本部、応答願います!」

『……こちらオートボット本部、オプティマス・プライムだ。ネプギア、状況を報告してくれ』

「オプティマスさん……すいません、作戦に失敗しました。脱走者たちは、逃亡。こちらは怪我人多数です。すぐに救援を送ってください」

 

 ややあって、通信の向こうのオプティマスは答えた。驚いてはいるようだが、冷静な声だ。

 

『分かった。詳しいことは、戻ってから報告してくれ。……こちらも、色々と込み入ったことになっている。話し合いが必要だ』

「司令官、それは……?」

 

 バンブルビーは、何とか立ち上がって通信に割り込む。

 対して返された言葉は、ネプギアとバンブルビーに衝撃を与えるには十分だった。

 

『プラネテューヌで戦いがあった。ホット・ロッドとガルヴァトロンが対決したのだ』

 




合体兵士ブルーティカス
バリケード、オンスロート、ニトロ・ゼウス、バーサーカー、ドレッドボットの五体が、何者かが合体を司る神秘のアイテムを模倣して造った『クインテッド・エニグマ』を使って強制合体したことで誕生した巨大兵士。
デバステイターやインフェルノカスを上回る圧倒的なパワーと火力を持つ。
その意識はバリケードの物であり、実質彼が他のメンバーの体を乗っ取っている状態。

オンスロートの登場が発表された時に、こんなのをみんなちょっと期待したんじゃないかなあって。
バリケードが主導権を握っているのは、スーパーリンクに登場するオンスロートの海外名がバリケードだったことにちなむと言い張ってみる(ついでにボルターの海外名はブラックアウト)
ついでに、頭部はユナイテッドEXのコンバットマスタープライムモードがモチーフ。
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