新次元ゲイムネプテューヌ THE UNITED   作:投稿参謀

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※2019年9月20日、少し改稿


第58話 トリプルチェンジャーの反乱《改稿》

 宴の夜も明けて、日が昇り始める頃になると、集まっていたアーサーたちがぼちぼち街から引き揚げ始めた。

 だがジャールと同盟諸侯の兵隊たちは、戦闘の片づけをしていた。彼らは自分たちが使う以上の十分な物資を持ってきており、それを街の人々に提供していた。

 こういう細かい配慮もガルヴァトロンの手腕である。

 

 そんな中、インフェルノコンを除く主だったディセプティコンたちは後のことをワイゲンド卿に任せ、オートボットたちに気付かれないようにグランドブリッジを使って街から出ていた。

 このグランドブリッジがあるからこそ、ジャール連合は迅速に集結できたのである。

 彼らが訪れたのはダロスから遠く離れた、ある場所だった。

 

「本当にここに、調和のエニグマがあるのか?」

 

 荒れ果てた大地に立ち、ガルヴァトロンは目の前に聳える山を見上げて呟いた。

 スラル山と呼ばれるこの山はベイドン山ほどの標高はないが尾根から濛々と煙が上がっている。地球に存在するイギリスは火山のない国として知られるが、このブリテンは違うようだ。

 

 むせ返るような硫黄の臭いに、マジェコンヌが顔を顰めていた。

 

「もちろんだとも。ついて来てくれ」

「分かった。ディセプティコン、トランスフォームだ!」

 

 シャッターがニヤリと笑って頷くと、一同は変形する。

 山道はかなり傾斜しているが、走ることは出来そうだった。

 エニグマの有る場所に直接グランドブリッジを開けばいいと思うだろうが、火口から噴き上がる煙と降り注ぐ火山灰にはマグマ由来の大量のプラズマが含まれている。それがグランドブリッジに干渉して不安定にしてしまうため、こうして離れた場所に開かねばならなかった。

 

「さあ、乗ってくれマジェコンヌ。臭いもキツイだろう?」

「あ、ああ……」

 

 トレーラーの姿に変形したガルヴァトロンに、マジェコンヌは何処か躊躇いがちに乗り込んだ。気のせいか頬が赤い。

 そんな彼女を見たモホークとニトロ・ゼウスは奇妙そうにしていた。

 

「……なあ、どうしたんだよあのオバハン」

「知らねえよ、更年期障害じぇねえの」

 

 パトカーに変形してガルヴァトロンの横に並んだバリケードも、そのことには気付いていた。

 

「ガルヴァトロン、何かあったのか?」

「……ま、まあ、ちょっとな」

 

 明らかに()()()()ではないという表情に、バリケードは首を傾げる。

 ガルヴァトロンは誤魔化すように咳払いをする……トレーラー姿なのでマフラーから音が出た。

 

「ん、んん! それよりもだ! シャッター、案内を頼む!」

「ああ、了解だ」

 

 あからさまに話題を変えつつ女兵士に声をかける。

 シャッターはギゴガゴと音を立てて、赤いマッスルカーに変形した。隣のドロップキックも同じように青いマッスルカーになる。

 それを見て、ニトロ・ゼウスはふと思った。

 

「なんかよう、お前たちのビークルモードって古臭くねえ?」

「これがいいんだよ! クラシックってんだ!!」

「馬鹿言ってないで付いてこい」

 

 地球で言う所の80年代なビークルを馬鹿にされたようで気分を害したらしいドロップキックが怒鳴るが、シャッターに言われて走り出す。

 彼らを先頭にディセプティコンたちが山道を登っていくと、最後に残ったのはブリッツウィングとオンスロートだった。

 

 空陸参謀が口角を上げると、攻撃参謀は一つ頷いてからロケット砲を乗せたトレーラーに変形して走り出した。

 

 山道とその周辺は高熱と火山ガスの影響でほとんど草木がなく、所々地面から蒸気が噴き出していた。

 どうやら、地下水が地熱で沸騰しているようだ。

 

「温泉か……」

「好きなのか? 温泉」

 

 マジェコンヌはトレーラー姿のガルヴァトロンが漏らした声に何となく嬉しそうな響きを感じ、たずねた。

 

「ああ、風呂はいい……疲れは癒えるし気分は良くなる。オイル風呂や電気風呂もいいが、やはり天然温泉が一番だ」

 

 どうもこの男、こう見えて風呂好きらしい。

 意外な一面に、マジェコンヌは少し笑みを浮かべた。そして昨晩のことを思い出して真っ赤になった顔を手で覆った。

 なんかこう、なし崩しな感じにアレやコレやしてしまった。(養子だけど)子持ちなのにこんな(未来人だけど)年下の男と……。

 

「ううう、うううー!」

「マジェコンヌ、大丈夫か? 少し休憩しようか?」

「いい!」

 

 心配げな声も今は羞恥心を煽るだけだ。

 だいたい、何でこいつは復讐鬼の癖にナチュラルに優しいんだ。てっきりノワールに化けさせようというのかと思いきや、そのままの貴方がいいとか変身能力持ちにクリティカルなこと言いやがるし。

 

「ねえ、ホントにどうしたのアレ?」

「知らねえよ。そして多分知らねえ方がいい気がする」

 

 ブンブンと頭を振るマジェコンヌを見てモホークとニトロ・ゼウスは不気味そうにしていた。

 そうこうしているうちに一同は山の中腹にある、すり鉢状の谷間にまでやってきた。

 

「おい、いつになったら着く」

「そう慌てるな、もう少しだ」

 

 バリケードが不審げに聞いても、シャッターは平然としていた。

 用心深いバリケードは、常にシャッターたちを先に行かせつつ、最後尾にならないように注意していた。

 当然ながら、彼はトリプルチェンジャーたちを全く信用していなかったからだ。

 

「おい、ガルヴァトロン」

 

 その時、不意にオンスロートが自分たちのリーダーに声をかけた。

 

「貴様、いつも未来から来たと言っているであるな。ならば憶えているか? 我輩が幼い日の貴様とまみえたことがあったと」

「急になんだ?」

 

 怪訝そうな声のガルヴァトロンと、ビークルモードでも分かるほど警戒心を剥き出しにするバリケードに構わず、攻撃参謀は続けた。

 

「吾輩はあの日、幼体の育成施設……今は教会と呼ばれている、あの建物を襲撃した。目的はただ一つ、女神の抹殺だ」

「…………」

「念入りに準備をしてなお、あの警備の隙を突くのは困難だった。加えて、空間を超える能力を持つあの女に向かっていっても逃げられるのは目に見えていた。だから我輩は奴の最大の弱点を狙った。つまり貴様ら幼体だ」

「何が言いたい?」

 

 ガルヴァトロンの声に剣呑な響きが混ざる。彼もまた、その日のことを思い出しているようだった。

 しかしオンスロートはその問いに答えることなく話を続けた。

 

「脱出経路に先回りして幼体を捕えた我輩たちは、メガトロンたちがやってくるよりも、女神が転移してくるよりも早く脱出する必要があった。時間との勝負だ」

 

 バリケードはビークルの姿でも撃てる武装の照準をオンスロートに合わせた。

 

「作戦は上手くいっていた。奴らの裏をかき、もうすぐ脱出できると言う時、一匹の幼体が暴れ出し、我輩の喉に食らいついた。そいつは我輩の気が抜ける一瞬を、ずっと狙っていたのだ」

「…………」

「我輩の喉に歯を立てるそいつの目は、我輩をして飲まれるほどの気迫に満ちていた。そんな時だと言うに我輩はそいつを根性のある餓鬼だと思った……貴様をな」

 

 ピタリと、示し合わせたワケでもないのに全員が走行を止めた。

 ロボットモードに戻ったガルヴァトロンとオンスロートの間にピリピリとした空気が流れ、ディセプティコンたちは息を飲んだ。

 特にブリッツウィングやドロップキックが何やら慌てている様子でシャッターをチラリと見た。彼女は何もするなと言う風に黙って首を横に振った。

 

「結局、その僅かなタイムロスが命取りとなって、我輩は空間を飛び越えてきたメガトロンと女神によって散々に叩きのめされ捕えられた」

「回りくどいぞ、いい加減本題に入れ」

「ああ、そうだな……ようするにだな、ガルヴァトロン。貴様我輩のことを信用していないであろう?」

 

 シンと、辺りが鎮まり返った。

 ややあって、ガルヴァトロンは音声回路を震わせた。

 

「そんなことは……」

「ない、とは言わせぬぞ。別に信頼していないのは構わん。それを無理に隠そうというのが気に食わんのだ」

「おい、それは今ここで言うべきことか?」

 

 バリケードが低い声を出すと、オンスロートは鼻で笑った。

 

「言うべきことだから言っている……ガルヴァトロン、貴様はトップに立つには余りに不適格だ。貴様には野心がなさ過ぎる。『復讐の先などない』だと?」

 

 オンスロートはガルヴァトロンに詰め寄った。

 昨晩のガルヴァトロンの言葉を聞いていたのが自分たちだけでは無かったことに、マジェコンヌとバリケードは目を見開いた。

 あの時、オンスロートもまた柱の陰から話を聞いていたのだ。

 

「支配者の格も求めず、自分の野望もない。貴様はそう言ったな」

「それの何が悪い?」

「大いに悪いともさ! 自らトップ足ろうとしない者に付いてはいけん! そんな奴は破壊大帝の器ではない!」

「くだらん」

 

 目をギラギラとさせながらのオンスロートの言葉に、ガルヴァトロンはつまらなそうに反応した。

 

「この際だ、はっきりさせておこう。俺はな、破壊大帝を名乗る気など毛頭ないのだ」

 

 事実、彼は今まで一回も自分でその称号を名乗ったことはなかった。それは彼の中で神聖不可侵の称号だった。

 

「破壊大帝の名に相応しいのは全宇宙に父上唯御一人。俺では役者不足だ」

 

 オンスロートはガルヴァトロンの胸倉のパーツを掴んで自分に引き寄せた。

 その目にあるのは一種の失望と、僅かな期待だった。

 

「父上父上と貴様はいつもそればかりだ!! メガトロンの尻尾で十分だとでもいう気か!?」

「俺は偉大な父に追いつけるなどいう、思い上がった考えは抱かん」

「…………」

 

 皮肉にもマジェコンヌは昨晩これとほとんど同じ問答を当のガルヴァトロンとしていた。

 過酷な経験故かそれとも生まれついての性か、ガルヴァトロンには地球人への憎悪と父母への敬愛以外にアイデンティティが存在していなかった。

 

(物心ついた頃からだ。俺がロディマスよりも劣っていると感じるようになったのは)

 

 マジェコンヌの脳裏に、昨晩の記憶が甦る。

 色々と()()()()後で、彼は懐かしそうに語った。

 

 自分が誰よりも憧れる父に、兄弟で最もよく似た末弟。

 自分が努力を重ねてようやく手に入れられる物を、最初から持っている癖に、そのことを否定しようとするのがロディマスだった。

 嫉妬や劣等感が無かったと言えば嘘になる、だが彼は末弟を支え、弟が父の跡を継いで創る世界を護るのだと、そう誓ったのだという。

 両親の愛情と期待を一身に受け、それに応えようという決意を抱いていた男がだ。

 

 同時に、だからこそ己の出自を認めようとしない今の弟に腹が立つとも。

 

 それを聞いた時、マジェコンヌは酷く不愉快な気分になった。この男は、余りにも上昇志向が無さ過ぎる。

 

「言いたいことはそれで終わりか?」

 

 その手を振り払って扉を潜るガルヴァトロンの背を見ながら、オンスロートは深く排気した。

 

「ああ、終わりだとも……」

 

 その瞬間、何処からか砲撃がガルヴァトロンの背に振り注いだ。

 足元のマジェコンヌを庇いつつ両腕を交差して防御姿勢を取った彼が辺りを見回すと、高い位置にいくつも影が陣取っていた。

 NESTが持ち込んだドローンだ。タンク・ドローンとKSIセントリーはもとより、ティルトローター機型のエアロ・ドローンも次々と岩陰から飛び上がってくる。

 

「地球人の残党か!」

「残念だが、少し違うなぁ……!」

 

 いったん攻撃を止めたドローンたちの後ろに、二つの影が立っていた。

 一つは藍色の忍者のようなロボット、隠密ステマックス。

 もう一つは白い威圧的な鎧姿、秘密結社首領アフィモウジャスだった。

 彼らを檻に叩き込んだ張本人であるガルヴァトロンは、ギラリと目を光らせた。彼からすればあの二人は、世界に対する許されざる裏切り者だ。

 

「貴様らは……! どうやって逃げ出した!!」

「そんなことは重要ではあるまい。ガルヴァトロン、ここで貴様の命運も尽きるのだからなあ」

「やれると思うのか? 貴様ら如き薄汚い金の亡者がメガトロンの息子である、この俺を!!」

 

 余裕ぶるアフィモウジャスに対して啖呵を切るが、返ってきたのは高笑いだった。

 

「ハハハ、ハァーッハッハッハ!! 嗤わせてくれる、貴様のような奴がメガトロンの息子だと? 馬鹿馬鹿しい! メガトロンの精神的後継に相応しいのはこの儂! アフィモウジャスよ!」

「何を言っているんだ貴様は……」

 

 思わぬ言葉に、マジェコンヌは驚くのを通り越して呆れてしまった。

 同時にあの破壊大帝の影響力の大きさに薄ら寒い物を感じていた。大きすぎる才能やカリスマは人を狂わせると言うことか。

 

 当のメガトロン自身、自分が求めていた物を全て持っていたオプティマスに激しい嫉妬と劣等感を抱いていたらしいとメガトロンの伴侶でありガルヴァトロンの母であるレイから以前聞いたことがある。そう考えると何とも皮肉な話だ。

 

 一方で、ガルヴァトロンは頭からバチバチと火花を散らしていた。

 

「父上の後継だと?」

「そうだ、誰よりも己のために戦い、野望のために世界すら敵に回したメガトロン! その再来となるのは甘ったれの貴様でもあの夢想家のホット・ロッドでもなく、この儂よ!!」

「愚か者めが! 父上は種族の未来のために戦ったのだ! 貴様のようなエゴイストと一緒にするな!!」

 

 何処か自己陶酔した様子のアフィモウジャスの語ることは、一字一句がガルヴァトロンの癇に障るらしく、全身から稲妻が迸らせる。

 マジェコンヌにしてみれば、ガルヴァトロンは父親の良い面しか見ておらず、秘密結社の首領は自分に都合のいい部分を尊敬していると感じた。

 

「もういい! 一度は生かしてやったというに、また立ち塞がるのなら今度は容赦せん!! 全員、攻撃を開始しろ!!」

「ああ、もちろんだとも」

 

 ガルヴァトロンが叫んだ瞬間、先導していたシャッターとドロップキック、ブリッツウィングが一斉に武器を発射した……ガルヴァトロン目掛けて。

 

「なッ!?」

 

 相次ぐ爆発に混乱するも、すぐに状況を理解した。

 最初から、トリプルチェンジャーたちは味方になってなどいなかったのだ。

 アフィモウジャスが手を振ると、ドローンたちも攻撃を再開する。

 

「ガルヴァトロン!!」

 

 バリケードは駆け寄ろうとするが、KSIセントリーたちに阻まれた。

 

 ガルヴァトロンは集中砲火を浴びて、動けないでいた。砲撃その物では大したダメージは受けないが、無理に動けばマジェコンヌが砲撃にさらされる。

 

「おのれ……!」

「言っただろう? 勝ち馬に乗ると。それは貴様ではなかっただけの話だ」

「人間を護ろうなんて腑抜けに俺たちが本気で付いていくと思ったのか?」

「俺たちはな、メガトロンの野郎がとことんまで腰抜けになっちまったから軍団を抜けたんだぜ?」

 

 嘲笑を浮かべるシャッターとドロップキック、そしてブリッツウィング。

 マジェコンヌはガルヴァトロンを見上げて吼えた。

 

「ガルヴァトロン、何をしている! 反撃しろ!!」

「しかし、それでは貴方の身が危ない!」

「ッ! 私を、舐めるな!!」

 

 唯庇われることほど、マジェコンヌのプライドを傷つけることはない。

 一瞬にして四枚の翼を持った女性型トランスフォーマー、ターゲットマスターの姿に変身すると、ガルヴァトロンの陰から飛び出す。

 

「マジェコンヌ!!」

 

 呼び止める声を背に高く舞い上がったターゲットマスター・マジェコンヌは翼で体を包むようにしてキャノン砲に変形すると、ガルヴァトロンの右腕に合体した。

 

騎士(ナイト)気取りもいいがな! 私は守られるお姫様なんて柄じゃないんだよ!! ……一緒に戦うぞ!」

「ッ! ああ、分かった! 頼りにしているぞ!!」

 

 左手で背中からエクスカリバーを抜いたガルヴァトロンは、懐からカードの束を取り出し空中に放り投げた。

 

「レギオンども! やれ!!」

 

 宙に散らばったカードが黒い光を発し、ガルヴァトロンの分身レギオンが現れた。

 レギオンたちは弾雨の中を獣その物の動きで突っ切り、タンク・ドローンやKSIセントリーに飛びかかっていく。

 

 ガルヴァトロンはキャノン砲で崖の上のアフィモウジャスを狙って撃つと同時に地面を蹴って高く飛び上がった。

 光弾は首領には届かず彼を庇うように飛ぶエアロ・ドローンに当たって爆発を起こす。その爆炎を突っ切って、ガルヴァトロンは一気に相手に近づいた。

 

「柘榴のように潰れてしまえ、この売国奴がぁあああッ!!」

「あまり強い言葉を使うなよ。弱く見えるぞ」

 

 白い鎧の脳天に向けて剣を振り下ろそうとした瞬間、真下の地面から土を巻き上げながら何かが飛び出してきた。

 咄嗟にそれを躱したガルヴァトロンの目に映ったのは、巨大なサソリのような姿の機械だった。

 

 彼の知るスコルポノックよりもずっと大きく武骨で、長い尾の先には針の代わりに大剣が生えていた。両の鋏はショベルカーのバケットのようで、節足はなくキャタピラが唸りを上げて動いている。まるで重機の集合体だ。

 そしてこの機械仕掛けの大サソリは、アフィモウジャスと同じ白い塗装に金の装飾が施されていた。

 

「これは!?」

「フハハハ! 金と技術と時間を惜しみなく注ぎ込んだ我がトランステクター! いよいよお披露目の時がやってきたわ!!」

 

 アフィモウジャスが高く跳ぶと、機械サソリがギゴガゴという異音と共に立ち上がり人型に変形する。

 一対の鋏はそのまま太い両腕へ、キャタピラはどっしりとした脚部へ、尻尾は背中から生えているような形になり見ようによってはマントをしているようにも見える。

 肩は横に大きく張り出し、膝や拳の甲には爪、腰部の両側に二連装ブラスター砲、尻尾の先には二門の光子キャノン砲を備えたその姿は、白と金というカラーリングにも関わらず力強く破壊的な印象がある。

 だが首から上が無く、まるで伝説の首無し騎士デュラハンのようだ。

 

 一方、その首無しの上まで跳んだアフィモウジャスは高らかに叫ぶ。

 

「ヘェッド、オン!!」

 

 逞しく刺々しいエクソスーツの手足を背中側に折り畳み、頭部が胴体に引っ込む。背中のマント型パーツは両側に移動して二本の角のようになり、胴体部分に目や口が現れた。

 まるでアフィモウジャスの頭部がそのまま巨大化したような姿だ。

 

 そしてそのまま降下してサソリが変形した首無しに頭部として合体する。

 

 ついに現れたその全貌は、ガルヴァトロンの実に二倍以上はある巨体のトランスフォーマーだった。

 尾の毒針替わりだった大剣『タイラントソード』を手に握り、一度振るうとそれだけで空気が震えた。

 

「フハハハハ!! これぞ破壊大帝を継ぐ者の威容! 破壊将軍アフィモウジャスの雄姿よ!!」

「ほざけ、小物が!! 裏切り者ども諸共、この場で叩きのめしてくれる!!」

 

 極限の怒りと稲妻を全身に漲らせ、ガルヴァトロンは父の後継を自称する不届き者へと向かっていくのだった。

 




今回の副題『メガトロン限界オタクの集い』
なお親父への理解度もホット・ロッドの方がちょっと上な模様。

翻訳アメコミ『ロボット・イン・ディスガイズ』と『モア・ザン・ミーツ・ジ・アイ』読みました。やっぱり戦後復興は大変だ……。
この作品にも無所属トランスフォーマーはいるけど、まあそんなに問題になってない感じ。

今回のキャラ紹介。

破壊将軍アフィモウジャス
秘密結社の首領アフィモウジャスが、サソリ型の大型トランステクターにヘッドオンした姿。ガルヴァトロンの二倍近くある巨体。
そのトランステクターには蒐集したトランスフォーマーの技術が惜しげもなく使われている。
主な武装はGメタルと呼ばれる金属で造られた『タイラントソード』
尻尾の先に備えられた二門の『光子キャノン砲』
両手の鋏の内側にあるミサイル砲と、腰の両側の二連装ブラスター砲。

見た目はスーパーリンク版メガザラックをヘッドマスターにした感じ(つまりパイレーツスコルポノック?)

※肩書きを暗黒将軍から破壊将軍に変更……設定的にこっちのが自然でした。
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