新次元ゲイムネプテューヌ THE UNITED   作:投稿参謀

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第61話 竜帝飛翔

「そこまでだ!!」

「馬鹿な……!」

 

 光のリングのような転送ポータルの向こうから現れたホット・ロッドの姿にアフィモウジャスは驚愕する。

 オートボットの隊長は、サポートメカのファイアローダーと合体したスーパーモードだった。

 ポータルの向こうからバンブルビーらオートボットたち、ミリオンアーサーとチーカマ、さらにはダロスに残ったディセプティコンたち、ワイゲンド卿とその兵士たちが現れる。

 

「まさか本当にこのようなことが出来るとは……」

「反則だよな、色々と」

 

 すでにゴールドサァドと合体した状態のドリフトとクロスヘアーズが呆気に取られたように呻いていた。彼らにしてみても、大規模な装置もなく本当に空間を越えられるかは半信半疑だったのだ。

 事実、スーパーモードになりさらにくろめとパラサイテック融合している状態でなければ、これほど大きなポータルは開けなかった。

 ホット・ロッドはレーザーライフルを構えながら、目だけ動かして相手方を確認した。

 

 トリプルチェンジャー三人と、あの忍者っぽいのは隠密ステマックス。とすると一際大きい白いのは秘密結社のボスがトランステクターにヘッドオンした姿に違いない。

 

 全員が出てくるやポータルが閉じるのを唖然と見ていたマジェコンヌだったが、氷漬けのバリケード共々不意にその姿が消えた。

 いや、目に見えないほどの超高速で動くバンブルビーに助けられたのだ。

 

「ほい! 思わず助け、ちゃった!」

『いいのいいの! 正義のヒーローは助ける相手を選ばない!』

 

 仲間の近くで急停止した情報員は、合体しているビーシャと軽口を叩き合いながらも抱きかかえたマジェコンヌをゆっくりと、小脇に抱えたバリケードをやや乱暴に地面に降ろした。

 すぐさま、ホット・ロッドから分離したくろめが駆け寄る。

 

「マジェっち! 大丈夫かい!? 酷い怪我じゃないか!」

「今回復します! ヒール!!」

 

 因縁深いネプギアに回復魔法をかけてもらったマジェコンヌは、ポカンとしていた顔をやがてクシャクシャに歪め、親友に子供のように抱き着いた。

 

「うずめ、うずめぇ……ガルヴァトロンが、ガルヴァトロンがぁ!」

「ガルヴァトロン殿がなんと!?」

「ガルヴァトロンが……死んだ」

 

 その様子に唯事ではないと察したワイゲンドの問いに答えたのは、ミリオンアーサーの炎属性の魔法剣で解凍してもらったバリケードだった。

 絶望した様子の偵察兵に、ワイゲンド卿は信じられないという目を向けた。

 

「死んだ……だと? 馬鹿な!」

「馬鹿なことなどないわ! この破壊将軍アフィモウジャスが、地獄に送ってやったのよ!! フハハハ!!」

 

 巨体を誇る秘密結社首領は、落ち着きを取り戻したようで高笑いする。

 

「遅かったか……!」

 

 グッとホット・ロッドは拳を強く握る。

 くろめに抱き着いて子供のように泣きじゃくるマジェコンヌを見るに、嘘八百ではないだろう。

 無力感と、怒りで胸の内が煮え滾る。

 

 オンスロートは、動揺が広がっているディセプティコン……この場合はポータルを通ってやって来た方の同胞たちを見回した。

 

「ふん、まあそんなワケである。ガルヴァトロンは死んだ……だから貴様らに選ばせてやる。我輩に付くか、死ぬかだ」

「……ちょっと待て! 俺に付くか、だろう!!」

 

 ホット・ロッドの時止め弾に撃たれて停止していたブリッツウィングが、弾の効力が切れるや騒ぎだす。

 ミリオンアーサーは、鋭くそんな二体を睨んだ。

 

「本当に自分の主君を裏切ったというのか!! なんと恥知らずな……!!」

「恥ってのはな、あんな甘ちゃんに従うことさ」

「ディセプティコンでは下剋上される方が悪いのだよ、お嬢ちゃん」

 

 怒りに身を震わせるブリテン王を、ドロップキックとシャッターが嘲笑う。

 オンスロートはギラリと居並ぶジャールの兵士たちを、彼自身が鍛え、先日は共に戦った人間たちを見回した。

 

「貴様らにも問おう。我輩の下に付く気はないか?」

「おいおい、あんなムシケラどもを手下にしようってのか?」

「貴様は黙っていろ。このシャッターの()()()が」

 

 ドロップキックが小馬鹿にしたような声を出したが、睨まれて黙り込む。

 落ちぶれたとはいえ幹部クラスであるオンスロートには格で劣ってしまうらしい。

 

「せっかく鍛えた兵士だ、殺すには惜しい。我輩の部下となるなら、より強くより洗練された軍隊にしてやろう」

「オンスロート殿……兵を指導してもらったことには感謝しておるし、貴殿の戦術眼には敬意を抱いていたが……もちろん、否だ」

 

 自分よりも大きな金属巨人を真っすぐに睨み、剣を抜いて切っ先を向けた。

 

「我が王はガルヴァトロン殿ただお一人よ」

「ならば仕方がない、交渉決裂であるな……で貴様らはどうするつもりだ?」

 

 オンスロートはこう返されるのが薄々分かっていたようでアッサリと勧誘を諦め、本命であるディセプティコンたちに視線を移した。

 彼らは元々損得からガルヴァトロンに与した無法者。心からの忠誠を誓った者などいないのだ。

 それを理解しているホット・ロッドは、大きく息を吐いた。内心での怒りに呼応するように目の中に赤い光が揺らめいている。

 アフィモウジャスは、ホット・ロッドを睨みつつも冷静に思考を回す。このもう一人のメガトロンの息子もいずれは片付けるつもりだが、この乱入は想定外であり何の準備もしていない。ここでの直接戦闘は避けるべきだろう。

 が、揺さぶりはかけておく。

 

「また会ったな、とでも言うべきかな? 隊長どの……いや今は炎の戦士などと名乗っているのだったかな? 御大層な肩書きよ、名前負けしておるわ」

「ああ、まったく身に余るね」

「くくく、貴様の如き夢想家がメガトロンの後継とは片腹痛いわ! それに相応しいのは、この儂! 破壊将軍アフィモウジャスよ!!」

「……お前はいったい何を言っているんだ?」

 

 その宣言に、ホット・ロッドは怒りを通り越して困惑する。いきなりメガトロンの後継がどうとか言われても寝耳に水としか言いようがない。

 バリケードに視線をやると、偵察兵はギラギラと秘密結社首領を睨みながら口を開いた。

 

「あいつはメガトロン様に憧れているらしい。精神的後継とやらを自称しているんだ」

「…………」

 

 心の奥底に、思いもかけない苛立ちが生まれるのをホット・ロッドは自覚した。

 そんな()()()()()()()理由でこれだけのことを起こしたのもそうだし、なんだか当のメガトロンのことを酷く馬鹿にされた気分なのだ。

 表情を歪める彼をどう思ったのか、アフィモウジャスは見下した調子で言葉を続けた。

 

「しかしガルヴァトロンのカリスマも大した物よな。こうして多くの将兵に見限られた、それもそのはずよ。奴は愚かだった。人を従わせるには欲する物を与えればいい……そんな単純なことすら分からなかったのだからな!!」

 

 確かに、ガルヴァトロンは余りにもディセプティコンたちのことを分かっていなかった。

 無法者に過ぎない彼らに良心を期待し、いつか信頼関係を結べると思っていたのだろう。

 バリケードですらも、彼が甘かったことを否定できなかった。

 しかしマジェコンヌは違った。

 

「愚かなのは貴様だ……」

「あん?」

「ガルヴァトロンは言っていたぞ。ずっと仲間や友達が死んでいくのを見てきて、親も兄弟も失って……そんな時にまた同族に会えて嬉しかったってな!」

「マジェっち……」

 

 半ば泣き叫ぶような声に、くろめは気遣うように肩を抱き、ディセプティコンたちは動揺した。

 マイペースというのも烏滸がましいバーサーカーですら、少し驚いていた。

 

「ガルヴァトロンは凄く嬉しかったんだ。お前らが犯罪者だって分かってた。でもゲイムギョウ界を護るために戦えば、過去の罪も清算できるって、恩赦を貰えるはずだって、そう言っていたんだ! なのに……!!」

 

 もはや声すら上げられずに嗚咽を漏らす彼女の背を、くろめは優しく撫でた。

 ホット・ロッドは軽蔑し切った、底冷えのする目をニトロ・ゼウスら、そして周囲のディセプティコンに向けた。

 

「お前ら、それでいいのか?」

「だ、だってディセプティコン的には下剋上は有りだし……」

()()()()()()()()()どうこうって話じゃあねえんだよ。()()()()どう思ってるかって聞いてるんだよ」

 

 ドスの効いた声でモホークの反論を封じたホット・ロッドの姿は、ダロスの街の時と同じように実際よりも大きく見えた。

 しかし、アフィモウジャスは適当にドローンをけしかける用意をしつつせせら笑った。これは場の空気が変わりつつあることを敏感に察知したからだった。

 

「ふん、くだらんことを……奴は己のお人好しさに付け込まれて陥れられた負け犬よ。あ奴みたいな奴をな、世の中では……馬鹿というのだ! それも救いようのない馬鹿だ!!」

 

 その物言いに、くろめが目を鋭くし他の者たちも怒りを露わにするが、ホット・ロッドはふと奇妙な違和感……というよりは既視感を覚えた。

 前にもこんな言い回しを聞いた。しかしまさか……。

 

「貴様とてそうよ。理不尽をばら撒く怪物になって欲しくないだと? バカバカしい、この世には食われる者と食う者しかおらんのだ! 獣と同じよ!!」

「少なくとも獣に『金』なんて概念はないな」

 

 その既視感のおかげで多少頭が冷えたものの、怒りの収まらぬホット・ロッドが冷徹に返すと、アフィモウジャスはここ一番の嘲けり声を出した。

 

「はん! 今更何を言ったとて奴は死んだ。そこの火口に落としてやったわ! もはや欠片も残ってはおるまい!!」

「……火山の、中に?」

「そう、煮え滾る溶岩の海にな!」

 

 瞬間、ホット・ロッドはこれまでの怒りすら忘れて目を丸くした。それから火口に目をやると濛々と噴き出される煙に、あたかも鼓動しているかのように一定の間隔を置いて稲妻が走っているのが見えた。それは徐々に間隔が狭まっていく。

 

「ああ、それは何と言うか……詰めが甘かったな」

「なに? ……むッ!?」

 

 その言葉の意味が理解できず怪訝そうにしたアフィモウジャスだが、突然地面が揺れ出した。

 

「じ、地震だ!」

「まさか、噴火か!?」

 

 まさかの大災害の予兆かと混乱する場だが、次の瞬間には火口から小規模な爆発と共に何かが飛び出してきた。

 最初それは火の弾のように見えた。しかし空中で制止し、身に纏わりつく溶岩を払ったそれは……。

 

「ば、馬鹿な!?」

 

 その姿を見止めたアフィモウジャスはそれが何であるか理解した。理解したが、現実だと受け止めることが出来なかった。

 

「嘘だろ!?」

「…………」

 

 ブリッツウィングも驚愕に後ずさり、オンスロートは目を剝いて言葉を失っていた。

 ブリテン遠征隊やジャール兵、ミリオンアーサーたちも愕然とそれを見上げた。

 

「ま、まさか、そこまで()()()()()なのか!?」

「ありなんだよ、これが」

 

 くろめが大口を開けホット・ロッドは安堵と呆れに息を吐いた。

 マジェコンヌは、様々な感情が混ざり合った声で、その名を呼んだ。

 

「ガルヴァトロン……!」

「ふむ、これはまた可笑しな状況だな」

 

 破壊大帝メガトロンの息子、ガルヴァトロンが火口に墜ちる前とまったく変わらぬ姿で宙に浮かんでいた。いや、アフィモウジャスたちに負わされた傷が綺麗に癒えている。

 そればかりかタイヤなどトラックのパーツが消えていることから、ビークルモードが代わっていることが分かる。

 

「馬鹿な……馬鹿な! 有り得ない! 確かに火口に沈んだはず!! いかな金属生命体とて生きていられるワケがない!!」

「俺を誰だと思っている? 不死身のガルヴァトロン様だぞ?」

 

 混乱し狼狽えるアフィモウジャスを見下ろし、ガルヴァトロンはゴキリと首を回す。

 

「久しぶりの溶岩風呂を楽しませてもらった。実にいい湯加減だったぞ」

「ば、化け物め!!」

 

 常識外の答えに、アフィモウジャスはこれまでになく狼狽する。

 策を尽くして万難を排した秘密結社首領だったが、彼のミスはガルヴァトロンの底力を甘く見ていたことだった。

 

 タリの四兄弟。

 

 破壊大帝メガトロンとタリの女神レイの直系の子供たち。彼らは皆、それぞれがトランスフォーマーの範疇に収まらぬ、新世代としても特異な能力を持っていた。

 

 四男、ロディマスは空間を超えるポータルを開く力を。

 三男、スカージは分身を生み出す能力を持っていた。

 次男、サイクロナスは他者と合体することが出来た。

 

 そして長兄ガルヴァトロンもまた、あらゆるエネルギーを吸収し己の力とするという能力を有していたのだ。かつて地球でダーク・エネルゴンを吸収したのもこの能力の応用だった。

 

 吸収するにはある種の『溜め』が必要であるため、ブラスター砲などによる攻撃を吸収することは出来ないしキャパシティの限界もあるが、条件さえ揃えば状況をひっくり返すことが出来る力だ。まさに今のように。

 

 ガルヴァトロンは溶岩の持つ膨大な熱エネルギーとプラズマ、さらに含有されていた重金属を取り込むことで傷を完全に癒したのだ。

 

 リーダーの復活に、ディセプティコンたちはいよいよざわめく。

 それらに構わず、ガルヴァトロンはマジェコンヌとバリケードの傍に舞い降りた。

 

「二人とも、大丈夫か?」

「ガルヴァトロン……本当にガルヴァトロンなのか?」

「ああ、もちろんじゃないか」

 

 信じられないという顔のバリケードに、ガルヴァトロンは微笑みかけ、それから駆け寄ってきたワイゲンド卿に視線をやった。

 

「ワイゲンド卿、来てくれたのか」

「無事で何よりだ、我が王よ。この身は微力なれど貴方の危機なら如何なる場にも駆け付けよう」

 

 胸に拳を当てて、ワイゲンド卿は忠誠の意を示す。その友情を嬉しく思うガルヴァトロンは大きく頷き、回復魔法をかけて貰ってもまだダメージのあるマジェコンヌの傍に屈みこんだ。

 

「マジェコンヌ、無事でよかった……」

「ガルヴァトロン……まったくなんという奴だ、お前は」

 

 目の前の相手の不死身っぷりに、マジェコンヌは嬉しいと同時に少し呆れてしまった。こっちはらしくもなく、泣いてしまったというのに。

 そんな彼女に、ガルヴァトロンは優しく笑むと手を翳した。手のひらから赤い光が放たれマジェコンヌの心身を癒していく。

 自らの持つエネルギーを分け与えているのだ。

 

 一通り傷が癒えたのを見たガルヴァトロンは立ち上がって、こちらを見ているホット・ロッドを睨んだ。

 

「それで? これはいったいどういう状況だ?」

「あんたを助けに来た。もっとも、その必要は無かったようだが」

「いや、おかげで二人が助かった。礼を言う」

 

 因縁重なる相手とはいえ、ガルヴァトロンは軽く頭を下げ、首を回し問題の一団を睨む。

 秘密結社と裏切り者の一団を。

 

「オンスロート、ブリッツウィング……何か弁明はあるか?」

「ない。さっき言った通り貴様には付いていけない」

 

 空陸参謀は言葉に詰まるが、攻撃参謀は言い切った。

 ドロップキックがチラリとシャッターに視線をやると彼女は冷静に思考を回しているようだった。

 彼女はすでに、展開次第ではアフィモウジャスを売ることまで考えていた。

 

「将軍、ここは撤退を……」

「……うむ」

 

 忠実な隠密ステマックスに耳打ちされて、アフィモウジャスは鎧の下で歯噛みした。悔しいがこの状況で無理に戦うのは危険だと分かっていた。

 ドローンを囮にして、グランドブリッジの開ける場所まで退かなくては。

 

「な、なあどうすんだよ!」

「いや俺たちは別に合体パーツにされただけだし……」

「言って聞いてくれるか、そんなの?」

「ワイは……まあどうでもええわ」

 

 一方、ニトロ・ゼウスやモホーク、ドレッドボットらは自分たちがどういう立ち位置にいるべきか迷っているようで、バーサーカーは棍棒を握りウズウズとしていた。

 ガルヴァトロンはそんな彼らを見て、失望と無念を込めて深く深く排気した。

 

「ならばもういい。俺たちの前に二度と現れず、邪魔もしないというのなら、この場は見逃そう」

「……どこまでも甘い」

 

 この期に及んで有情な言葉に、オンスロートは感情の読めない低い声を返した。その手に握られていたのは、調和のエニグマの複製品であるクインテッド・エニグマだった。

 ハッとバリケードが自分の装甲裏に手をやるが、エニグマはない。凍っている間に取られたようだ。

 

「その甘さが命取りだと、いい加減に学ぶがいい!!」

「ちょ、オンスロート!?」

「おい、せっかくなんやからワイは普通に殺し合いを……!」

「いやまてホントおいぃぃ!!」

「……あ! 今回は俺を入れて五人か!」

 

 口々に文句を言うニトロ・ゼウスたちだが、彼らが何をするより早くエニグマの目がギョロリと動き、赤い光を投射した。

 その光に当てられたニトロ・ゼウス、バーサーカー、ドレッドボット、そしてモホークの四人は次々と手足やパーツに変形し、オンスロートが変じた胴体に接続される。

 

「五体合体! ブルーティカス!!」

 

 現れた合体兵士は、右腕がなく、いつもならそれになるバーサーカーがバリケードが欠けた穴を補うように左脚になっていた。

 

「グおおおおッ!!」

 

 叫びと同時に、肩のミサイルが発射される。

 殺到するミサイルをガルヴァトロンは稲妻は全身から稲妻を発して撃ち落す。

 

「な!?」

 

 これに驚いたのは、むしろブリッツウィングやシャッターだった。

 この状況でこちらから戦いの口火を切るなど、不利なことだからだ。それを分からぬオンスロートでもあるまいに。

 

「それが答えか……ならばもはや、容赦はせん!! ディセプティコン、攻撃開始だ!! 人間の兵は下がって援護に徹してくれ!!」

 

 ガルヴァトロンはこれを離別の挨拶と受け取り周囲に攻撃を指示する。

 従わぬ理由はないと、ディセプティコンもジャール兵も動く。

 

「マジェコンヌ、下がっていてくれ」

「いやだ」

 

 念のためマジェコンヌを退かせようとするガルヴァトロンだが、にべもなく断られた。

 

「言っただろう? 守られてるお姫様なんぞ柄じゃないんだよ!」

「しかし……!」

「ああーもう!」

 

 心配してくれているのは分かるが過保護になりかけている()()に業を煮やし、マジェコンヌは精神を集中する。

 その体がオーラと共に大きくなり、再びドラゴンの姿になった。ガルヴァトロンからエネルギーを分けて貰った影響か、暴走する様子はない。

 さらに。

 

「アーマーアップ!!」

 

 マジェコンヌが叫ぶと、ドラゴンの身体がいくつかのパーツに別れ鎧としてガルヴァトロンに合体していく。

 背中には大きな翼を備えたバックパック、鋭い爪や突起の生えた肩当てや脚甲、ドラゴンの頭部が変形した兜。胸には特大の宝玉が輝く。

 だが何より目を引くのは右腕に合体している、尻尾部分が変形した巨大なキャノン砲だった。

 

 これぞドラゴン・マジェコンヌを『スパークアーマー』として身に纏ったガルヴァトロンの新たなる姿、ドラゴン・ガルヴァトロンである。

 

「おお……!?」

「これでそう簡単には離れんぞ! さあさっさとあの自意識過剰なサソリを叩き潰すぞ!」

「フッ……いいだろう! 共に行くぞ!!」

 

 マジェコンヌのコピーした強者たち、その因子が齎すかつてない力が全身に湧き上がり、ガルヴァトロンは翼を羽ばたかせて飛び上がった。

 稲妻のみならず炎までも纏い、口からも炎を吐く。

 その姿はドラゴンの意匠を持つ鎧を纏っているというよりは、ガルヴァトロン自身が竜に変身したようにも見える。

 

「竜……!」

「竜の戦士! いや竜の王だ!!」

「イカス……!」

 

 空を舞う竜の力を得たガルヴァトロンの雄姿を見上げ、ジャール兵やレーシングカーディセプティコンが歓声を上げた。

 

「くそ……ドローンども! 応戦せよ!!」

 

 いきなり動いた状況に、アフィモウジャスは毒づきながらも配下に指示を出す。戦うにせよ、逃げるにせよ、この場を切り抜けなけらばならない。

 KSIセントリーやタンク・ドローンが攻撃を始め、たちまちのうちにスラルの山は光弾が飛び交う戦場となった。

 

「あーもう! こうなりゃ自棄だ!!」

「あの馬鹿……仕方ない行くぞ!」

「応よ!!」

 

 続いてブリッツウィングも飛び上がり相手に向けて熱線を撃つ。シャッターも覚悟を決め、ドロップキックと共に変形する。

 戦いが始まったことに、クロスヘアーズはヤレヤレと首を横に振った。

 

「あー、結局こうなるかー……どうするよ隊長?」

「秘密結社の連中はこの場で押さえたい。俺たちも協力するぞ」

 

 ディセプティコンへの対処以外は禁じられているが、()()()()ディセプティコンと戦い、その過程で()()()()秘密結社をふん縛っても言い訳は立つ。

 クレバーな思考を読んだのか、クロスヘアーズはニヒルに笑うと空に舞い上がった。

 

「くろめ、融合だ!!」

「ああ……マジェっちの借りはタップリ返してやる!!」

 

 くろめは大きくジャンプして差し出された相棒の手に飛び乗った。

 そのまま顔の位置まで抱き上げてもらって唇にキスすると、その体がホット・ロッドの身体に溶け込むようにして融合する。

 全身に力を漲らせた炎の戦士は、背中のウィングを広げて地面を蹴ると、キャノン砲でドローンを蹴散らすガルヴァトロンの隣に並ぶ。

 

「そんなワケだ。呉越同舟と行こうぜ」

「……いいだろう、今回はそうしよう。足を引っ張るなよ」

「そっちこそな!」

 

 メガトロンの息子二人は揃って、メガトロンの後継を騙る敵へと向かっていくのだった。

 




後書きに代えて、今回のキャラ紹介。

ドラゴン・ガルヴァトロン
復活したガルヴァトロンが、ドラゴン・マジェコンヌと合体した姿。
分割されたドラゴン・マジェコンヌを『スパークアーマー』として鎧のように纏っている形。
主な武器は右腕のキャノン砲『ドラグーン・キャノン』と、翼の一部が分離した二振りのブレード、口からの火炎放射など。
マジェコンヌがコピーしたザ・フォールンやダイノボットの力を彼女以上に引き出している。
詳しいスペックと実力は次回で。

最初はガルヴァトロン単体でドラゴンに変形出来るようになる(ビーストⅡ版ガルバトロンの姿にリフォーマットする)というのを考えていたんですが、マジェコンヌがドラゴン属性を持っていることに気付き、せっかくならとこういう形に。
期待されてくださった方々は申し訳ありません。

でもドリル要素は残されていたり。
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