上里ちひろは勇者である   作:☆ここな☆

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平和が続けと、少女は願う


11話 きあい

ーーー三ノ輪家、銀sideーーー

銀「ふぃー…これで準備OKだな。さすがに須美のしおりは…うん、入らないな。」

夜、いつもの私ならテレビを見てる時間帯。

明日に控える念願の大イベント、遠足を前に、荷物の用意をしていた。

さすがに須美が作った辞書レベルのしおりは入らなかったが…

弟「ブーン…ドゴォン!!」

(鉄太…邪魔するつもりだな?)

銀「ガオー!!」

鉄太「わー!逃げろー!!」

(よし、これで数分は来ないだろう。今のうちに須美に報告っと。)

 

銀『遠足の用意終わりましたわ。』

園子『まあ奥様、私もですわ\(˙꒳˙ )』

須美『ビニール袋もいりましてよ。』

 

(初めの頃と比べると、随分とノリよくなったよなぁ…須美も。)

銀「しっかしビニール袋か…あー、汚れたやついれるためにか。どこにあったかねぇ…ん?」

赤ちゃん「スー…スー…」

銀「…ふふっ。相変わらず可愛い奴。」

鉄太「スキあり!!」ゴンッ

銀「がっ!?」

(こいつ…)

銀「よくもやってくれたな!!」ガバッ!

鉄太「うわ!」

銀「ふっふっふ。なかなか筋はいいがそのていどじゃあ勇者様は倒せないな。」

鉄太「ぐへぇ…なぁ姉ちゃん、お土産頼むよ。」

銀「まーたこいつは…そんなこと覚えよって…だが一撃与えた褒美として許可しよう!」

鉄太「やったー!!」

銀「その変わり、きちんと金太郎の世話をすること。いいね?」

鉄太「分かってるよ!俺だってお兄ちゃんなんだからさ!」

銀「…ああ、そうだな。」

鉄太「いつハイハイするかなー?楽しみだな!」

銀「うん、楽しみで顔がにやけて来そうだ。」

 

ーーー公園ーーー

銀「勇者ならやっぱ、アスレチックで遊ばないと…な!」タッ

クラスメイトA「おお…!」

須美「こういうのもなかなか面白いわね。」タッ

園子「2人とも早すぎ〜ちょっと待って〜…ってわわ!揺れる揺れる〜!?」

麻里「園子ちゃん、そんなビビらなくてもいいんだよ、楽しんでこーぜー!」

園子「でもさ〜落ちたら奈落の底って考えると〜…!!」

クラスメイトB「すごい想像力…」

麻里「何それ楽しそう!!」

クラスメイトA「えっ…」

須美「…フッ。」

(ん?今なんか須美の悪い声が聞こえた気が…)

須美「5本目のタイヤは触ってはいけません。」

園子「えっ?」

須美「触ったら最後、落ち武者の霊が毎晩枕元に〜…」

クラスメイトB、園子「「ひぃぃぃぃ!!」」

麻里「落ち武者!?それもしかしなくても会話とかできたり!?」

(麻里は置いといて…全く…)

銀「逆に怖がらせてどうするんだよ…」

須美「スリルを求めてるならと。」

銀「少しやりすぎだな。園子、もうちょいだぞ。勇者は気合と根性!」

園子「はっ!勇者は!気合と!根性!」バックルクル

園子が一気に進み、ジャンプして落ちてくるので受け止める。

銀「おっと。よしよし、よく頑張りました。」ナデナデ

園子「わ〜ちっひーっていつもこんな心境だったんだね〜!慣れたし次からはもっとスムーズにを目指しま〜す!!」

須美「…

む〜!!」ズイズイ

銀「んお?どうした須美。」

須美が私と園子の間に頭を入れてくる。

須美「仲良くしてるから私もと思って…」

銀「犬か。」

園子「ミノさんは撫でるのが上手いからわっしーも撫でられたいんだよ〜」

銀「なるほど甘えん坊さんか。ちひろもそうだしみんな世話が焼けるなぁ。」ナデナデ

須美「いつもは私が焼いてるからいいの。」フンスッ

麻里「よーし!銀ちゃん、私も受け止めてー!!」

クラスメイトA「私も私も〜」

(うおっ、一気に来たな。)

銀「何人でも受け止めてやる、ドンと来い!!」

須美「ふふ、人気ね。銀は。」

園子「元から人気だよ〜」

 

クラスメイトC「ねえ、銀ちゃん。」

銀「どうしたー?」

クラスメイトC「実は銀ちゃんのサインが欲しいって妹が…」

銀「んえっ!?」

(サ、サイン!?先日和斗さんから初サインを得たばっかの私が!?)

クラスメイトC「多分お役目についてるって聞いて憧れてるんだと…」

銀「マジか!?ついに私も憧れられる側の人間に!」バッ

タンッ

雲梯から飛び降り、我ながら綺麗な着地を決める。

パチパチパチ

須美「時間から逆算して、これが終われば昼ね。」

拓斗「誰も登れないから実質もう昼だな。」

クラスメイトA「はあ!?」

銀「ほーう?言ったな?そういうことなら私が…ほっ!」

拓斗への牽制も込めて、片手で登り始める。

銀「んー、簡単すぎて片手でいけるなー。」

拓斗「うっそだろ!?」

須美「コラ銀、ふざけないの。」

園子「落ちたら危ないよ〜?奈落の底だよ〜?」

銀「へーきへーき。こんくらい。」

その時だった。

ズキッ

(うっ!?マメが痛んで…!)

須美「危ないっ!」

銀「ミノさん!!」

ドサッ

落下するも園子と須美が受け止めてくれる。

麻里「今落ちるの見えたけど大丈夫!?」タタタッ

銀「ああ…ビックリした…」

須美「楽しいのは分かるけど少し浮つきすぎてない?お役目の重要さをもう少し考えて。」

銀「…うん…借りは返す。反省もする…口数減らします。」

 

 

 

 

 

ーーー食事時間ーーー

安芸「そうそう。上手ね、三ノ輪さん。」

銀「時々手伝ってますからね。しっかしいい匂い!絶対美味いやつ!私が作ったんだから当たり前だけど!!」

須美「口数減らすって言葉はどこ行ったのかしら…」

麻里「いいじゃん楽しければ。」

園子「わんぱくだよね〜あ、カブトムシ〜!」

須美「そのっちも十分すぎるくらいわんぱくだと思うけど…あとその虫どっかにやって。」

園子「あ、わっしー虫苦手なんだっけ?」

須美「ええ。絶対無理よ。」

園子「そんなことないよ〜?仲良くなれるから。」

麻里「対決させても結構楽しい。」

須美「…そ、そう?そのっちや麻里が言うなら…ってぎゃああああああああ!!!」

銀「どうした須美!?…ってうお!?」

視線を上げると全身をカブトムシに包まれた園子がいた。

麻里「うっひょぉぉぉおぉぉぉぉ!!!それどうやってやってるの!?気になる!めちゃくちゃ気になる!!」

須美「ごめんやっぱ無理!ゴキブリにしか見えないぃぃぃい!!!」

 

銀「あーん。美味い!最高!!カブトムシ味だな!」

須美「ひっ!?焼いてないからね!?」

麻里「実はこっそり…」

須美「嘘でしょ!?」

麻里「うん嘘。」

園子「美味しいね〜!」

銀「園子は家でもっと美味い肉食べてるだろ。」

園子「高い肉は食べててもこっちの方が美味しさは上〜♪」

須美「みんなで食べてるからじゃない?」

園子「おぉ〜!!」

銀「園子、くちくち。」フキフキ

園子「ありがとう〜はぁ〜…」

麻里「めっちゃテンション変わるねぇ。」

須美「麻里が言うの?」

麻里「私はいつでもハイテンションだよ。」

園子「わっしーもミノさんも、まりりんも、なんならちっひーもちょっとは料理できるのに私はできないから〜…ちょっと恥ずかしくなってきたんだよね。」

麻里「まー私は独り身だし。最初の頃は黒焦げしかできなくて大変だったなー!」

銀「まあ最初はみんなそんなもんだろ。あと焼きそばくらいは練習すりゃ作れるさ。」

園子「じゃあ次の日曜日4人で練習しよ!!」

麻里「おーい、置いてけぼりは許さないぞー?」

須美「わかってるわ。ちひろちゃんに言えば楓ちゃんたちも来そうね。」

銀「うわぁ大所帯。まさかまた私の家でなんて言わないよな?」

須美「え?」

銀「そのつもりだったのか…」

麻里「…ところで先生、さっきからピーマンだけ避けてません?」

安芸「ギクゥ!?ちゃ、ちゃんと食べるわよ!少し苦手なだけで!!」

須美「先生にも苦手なものってあったんだ…」

園子「そういう時は食べるとピーマンの精霊が夜に会いに来てくれると考えるといいですよ〜!」

(…それ逆効果な気が…)

安芸「そ、それはユニークね。ありがとう。スムーズに食べれるわ…」

園子「わ〜い!先生に褒められた〜!」

(顔からして予想通りだけど…)

銀「お手柄だな。ご褒美として園子がベル鳴らしなよ。」

園子「えっいいの?」

銀「ああ!」

 

銀「ここがラストだな…」

園子「勇者は気合、だよね!ミノさん!!」

銀「ああ!その通りだ!」

麻里「じゃ、パパっと終わらせよ!」

須美「いざ、尋常に!!」

 

麻里「ってことでー!」

園子「アスレチック、全制覇ー!!」

須美「成し遂げたわね。」

カンカンカンカン

 

ーーー高台ーーー

銀「うっひょー!いい眺めだなー!」

園子「ねえねえわっしー、大橋市ってあっち?」

須美「ええ。合ってるわ。」

銀「さすがにイネスや大橋は見えないなー。」

園子「ミノさん本当にイネスが好きだね〜」

銀「イネスはいいよ!だって…」

須美「中に公民館もあるから、でしょ?」

銀「げっ、読まれた。」

園子「私も!私もわかったよ!!」

銀「くぅぅ!パターンだいぶ読まれてきたか…」

園子「私は〜!?私は読める〜?」

須美「そのっちは読めないわ。」

園子「え?」

銀「まあ…いつになっても読めないだろうな…」

園子「そんな〜…寂しいよ〜…」

須美「大丈夫よ、今の反応くらいまでは分かるから。」

園子「ホントに!?やったぜフォーーーーーー!!!!!」ババババババババ

銀「…そして、ここからのはね具合が予測不可能なんだよな…」

須美「さすがそのっちだわ…」

銀「あ、ついでに須美に関しては取扱説明書書けるくらいには詳しくなったぞ。」

須美「あら、最初のページにはなんて?」

銀「結構大変な品物のため、くれぐれもご注意ください。」

須美「めんどくさい人みたいな言い方ね…納得できちゃうけど。」

銀「いーじゃん。なんか奥ある感じで。それに比べて私のなんか多分、チラシ並にペラッペラだぞ?」

須美「そんなことはないわ。かなり分かりやすいけど書くことは多いもの。」

(え?マジ?やべっ不意打ちだから少し照れくさい。)

須美「これからも色んな一面を暴いていこうと思うわ。」

銀「うへぇ…お手柔らかに頼むよ…」

園子「…実は私、最初ミノさんのこと苦手だったんだー。」

(…はい!?!?)

須美「実は私も。」

(須美まで!?)

銀「2人とも急になんだよー!?」

園子「だってね、スポーツできる上に明るくて、なんとなく種族が違う気がしたの。でも話してみたらすっごいいい人だし。わっしーもいいキャラしてる。」

須美「私はキャラ扱いなの!?」

(…そっか…そういうことか。心配して損した。)

銀「あはは!確かにそういうのって喋ってみないとわかんないもんな!気に入ってもらえたならよかった。」

そう言いつつ、手を出す。

銀「これからも友達としてよろしく。」

そこに須美が手を重ねる。

須美「ええ、もちろんよ。」

続いて園子が両手を。

園子「こちらこそ!あとこれはちっひーの分!」

銀「だな!」

 

ーーーバス、麻里sideーーー

園子「スピー…スピー…」

須美「スー…スー…」

銀「クカー…」

麻里「…ふふ。みんないい寝顔じゃん。」パシャッ

(お役目は過酷なもの。怪我してきてるんだからそれこそ命の危険だって…

…神樹様。できるなら彼女らが少しでも長く共にいられるように、どうか…)

 

 

 

 

 

 

ーーー帰宅路、ちひろsideーーー

ちひろ「ふんふんふふーん♪」

天音「ご機嫌はいかが…と聞くまでもなさそつですね。」

ここな「今日なんかあったっけ?」

楓「6年生の遠足があるわよ。」

ここな「…ははーん?さてはお土産狙いじゃな?」

ちひろ「そんなちんけなもののわけないじゃん。」

ここな「ち、ちんけ!?」

天音「これは…よっぽどいいことありましたね。」

ちひろ「うん♪だってさー日曜日にみんなで焼きそば作ろーって!」

楓「みんなってことは須美さんも?」

ちひろ「Yes」

楓「行っていい?」

ちひろ「Yes」

楓「やったね。」

天音「なら私もお願いしたいですわ。」

ここな「私もー!!」

ちひろ「いいよいいよー!みんなでやった方が絶対楽しいもん!麻里さんも来るって!」

天音「麻里さん…あの人ですね。いつも楽しそうで地味に尊敬してます。」

ここな「えっ、天音にも尊敬する人っているんだね。すでに人格完成されてるから…」

天音「そんなことはありません。まだまだ学ぶべきことばかりです。」

楓「所詮は私達小五だしね。とりあえず早く日曜日ならないかなー。」

ちひろ「それね!ほんとにすっごい楽しみー!」

ここな「あまり期待高めすぎるといざ当日ってなったらガッカリすることなるよ?」

ちひろ「それを超えるから平気だね!」

ここな「知ってる。」

天音「ふふっ。」

(幸せってこういうものを言うんだろうな〜)

ちひろ「じゃあ日曜日に向けて今日は早めに寝ること!」

楓「今日水曜日だけどね。」

ちひろ「まーまーそう言わずにー」

シーン…

ちひろ「…え?このタイミングで…??」

 

ーーー須美sideーーー

銀「マジかよ…せっかくの遠足だったってのにー。」

須美「まだ遠足中じゃないだけマシね。ちひろちゃんと合流して迎撃しましょう。」

園子「さっさと終わらせてお土産持って帰ろ!!」

銀「ああ!!」

須美「油断は禁物…だけど、勝てるわよ。私たち4人でなら、間違いなく。」

…この時はそう、思っていた。

思って、いたんだ。

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