上里ちひろは勇者である   作:☆ここな☆

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紅きたましいが、燃える。


13話 たましい

ーーー樹海、ちひろsideーーー

ちひろ「…かは…は…」

死力を尽くして、バーテックスを1人で撃破した。

でも、まだ終わりじゃない。

(これを…銀さんは三体同時に相手してるんだ…早く…助けに行かないと…!)

すでに限界を超えた身体にムチを打つ。

しかし…視界が、揺らぐ。

グラッ

ちひろ「ぁ…」

 

ーーー時は遡り、須美sideーーー

須美「っ…?」

(あれ…?私は…確か…)

須美「いっ…」

身体を動かそうとすると、あちこちが痛む。

銀「須美!?起きたのか!?」

須美「ぎ…ん…?ちひろ…ちゃんは…?」

銀「めちゃくちゃ早いやつが別にいたからそっちの迎撃に向かってもらってる。私はこれからあの三体を。」

(…ダメ…それは…)

須美「無茶よ…ダメ…」

銀「…ああ。無茶だしちょっと怖い。でも、ちひろだって頑張ってる。怖くてもここが頑張りどころだろ?須美と園子は休んでて。すぐに終わらせてくるから。

…またね。」

ダンッ!

(ダメよ…ぎ…ん…)

そう思いながら、意識は再び奥底に沈んだ。

 

ーーー銀sideーーー

さっきの三体を捉える。

銀「見つけた…!」

(…そういえばあの高速のやつに尻尾による近接が得意なやつ、防御と援護のやつ、遠距離射撃のやつ…私たちのこと真似たのか?)

銀「…だとしたら不完全もいいところだな。

…須美は、絶対私たちを巻き込んで攻撃なんかしない。」

前に立ち、武器を出す。

(この先には須美も、園子も、戦ってるちひろもいる。絶対に通しちゃいけない。)

銀「…はあ…!見ないうちに随分と前に進んでくれたみたいだけどなぁ…!!こっから先は!!通さないっ!!!!」

ダッ

シュババババババババババババ

ガキキキキキキキキキ

走り出す。遠距離型がとばしてくる大量の矢は斧で防ぎつつ。

いくつかは防げず傷になるが…

銀「知るかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

ズドンッ!!

ダンッ!

ユニットが飛んでくるがジャンプして回避、そのまま援護型に迫る。

(その攻撃は…)

銀「もう覚えたんだよ!!」

ズバッ!!

一撃を与え、崩す。

ドドドドドドドド

(見えてんだよ!!)

横から来た近距離型の尻尾も回避、そのまま…

銀「それも見たわ、園子との戦いでな!!」ズバッ!!

ぶった斬る。

シュババババババババババババ

再び遠距離型が空中から矢をとばしてくる。

銀「うぉらぁぁぁぁ!!!」ブォンッ!!!!

ガガガガガガガガガガ!!!!!

斧を思いっきり投擲、矢を破壊しながら進み、遠距離型に突き刺さる。

(地上に引きずり下ろす!!)

タンッ

ドガンッ!!

バッ

着地して、すぐとんできた尻尾に乗っかり、そのまま駆け上がる。

銀「何上から見てんだ!!」ドガンッ!!

そのまま一撃。さらに刺さった斧を回収してもう一撃加えようとするも…援護型のユニットが潰そうとしてくる。

銀「チッ!!」バッ

仕方なく下りて回避するも、さらにそこに近距離型の尻尾が迫る。

(回避は間に合わない…!)

ギギギギギギギギギギ

斧を重ね、ガードするが…

ブチッ

遠距離型から最初に受けた傷が開く。

銀「や、やったなぁ!!」

シュババババババババババババ

ブォンッ

銀「痛かったんだぞ!!自分たちで受けてみろ!!」ドガンッ!!

三度、矢が降り注ぐがそのまま疾走、向かってきた尻尾も弾いて援護型に刺さる。

銀「お前たちはここから…」

そして、斧に炎が灯る。

銀「でていけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!」

ガンガンガンガンガンッ!!!

回転しながら援護型を切り刻む。

(よし!このまま…!)

…ザクッ

…身体を、矢の1つが貫いた。

銀「ぐっ!?」

落下、矢は消えてそこの傷から赤いものが吹き出す。

ドガンッ!!

…そして、近距離型の空中追撃。

銀「がっ…はっ…!!」

口から、出ちゃいけないものが出る。

銀(…こいつらが…神樹様を壊せば…クラスのみんなは…ちひろの友達の3人は…先生は…麻里は…ちひろは…園子は…須美は…父さんや母さん、鉄太、金太郎は…!!)

銀「絶対に…させるもんか…」

体の痛みを我慢しつつ、立ち上がる。

銀「…させるもんか!!絶対に!!」

再び、走り出す。

シュババババババババババババ

ガキキキキキキキキキ

とんでくる矢を片方の斧でガードする。

銀「帰るんだ!!」

ズバンッ!!

迫る尻尾を両断する。

銀「守るんだ!!」

目の前にあるハサミを破壊する。

そのまま援護型に攻撃を加えようとするものの…

シュババババババババババババ

ザクザクッ

再び遠距離型の矢が身体に突き刺さる。

銀「ぐっ!!」

そして、その怯んだ一瞬に、ユニットが身体を断たんと突撃してくる。

銀「このぉ…!がっ!!」ドガンッ!!

片方の斧だけではガードできず、再び地面に。

身体中の傷から、身体を回す重要なものが漏れ出す。

そこに、巨大な矢が装填…

(まずい…もう体が…!!)

放たれ…

…なかった。

銀「…どうなってるんだ…?」

…形成されたはずの矢が、消えかかる。

(エネルギーが足りなくなったっていうのか…?なんで…)

遠距離型だけじゃない、本来すぐさま追撃してくるはずのほか二体の動きも鈍っていた。

(…これ…鎮魂の儀…!?)

そこで、気づく。

鎮魂の儀の発動により、撃破とはならずもバーテックスに悪影響を与えてるのだと。

銀「…ってことは、ちひろは…やったんだな…はは…ホントにすごいな…自分の武器はタイマンに向かないって言ってたのが懐かしく思える…

…後輩が、ちひろだって…1人で勝ったんだ…先輩の私が…負けてなるものかぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!」

斧が大火を、神炎を纏う。

矢も、尻尾も、ユニットも、全てを破壊して進む。

銀「化け物には分からないだろ!!この力!!」

どれだけ、攻撃を受けようとも、止まらない。

銀「これが!!人間様の!!」

守るべき者を、守りきるまでは。

銀「きあいと!!!」

気合を絶やすな

銀「こんじょうと!!」

根性を持ち続けろ

銀「たましいってやつよぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉおぉぉおぉぉぉおぉぉぉおぉおぉおぉぉおっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

魂を、燃やせ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーちひろsideーーー

…トサ

誰かに、持ち上げられる。

ちひろ「…ぅ…?」

園子「大…丈夫…?ちっひー…」

須美「ひどい怪我だけど…無事でよかった…」

ちひろ「…園…姉…須美さん…も…」

見ると、辺りは淡い光に包まれていた。

(まさかもう…戦いは終わって…!?)

ちひろ「早く…銀さんのところに…行かないと…!」

園子「わかってる…1人で三体なんて…絶対…重症だもん…」

須美「ええ…急ぎましょう…血の跡があるから…それを追えば…!」

 

ーーー数分後ーーー

(…だんだん…跡の量が増えてく…銀さん…!!)

須美「…っ!あれ…!!」

その先には、立っている銀さんがいた。

園子「あ…!ミノさ〜ん!!」

ちひろ「銀…さん!!」

須美「銀ー!!」

近づく。

須美「やっぱり銀がやってくれたのね!」

園子「すごいよミノさん!勲章間違いなし!!」

ちひろ「私なんか一体に手こずっちゃっ…て…?」

…銀さんは、動いてなかった。

…さらに、近づく。

須美「銀…もうすぐ樹海化が解けるわ…そしたら病院に行きましょう…?」

園子「そうだよ…弟さんにもお土産、渡さなくちゃ…!」

ちひろ「遠足の話…私まだ聞かせてもらってませんよ…?」

…なお、銀さんは動かない。

…すぐそばまで、近づく。

…右腕は、なくなってた。

園子「…あ…」

須美「…っ…!」

ちひろ「銀…さん…!」

園子「私…焼きそば…教えてもらうって…!」

銀「そうよ…次の日曜日に…って…」

ちひろ「ここな達も呼んで…みんなでやるんじゃ…!!!」

…それでも、返事は帰ってこない。

須美「銀…ねえ…銀ってば…!!」

園子「返事してよ…ミノさん…お願いだから…!」

ちひろ「あの時…約束したじゃないですか…生きて戻ってくるって…!!」

…返事は、ない。

…永遠に、ないのだ。

ちひろ「銀さん…銀さん…!!!」

3人「「「うああああああああっ!!!」」」

 

7月10日、バーテックス4体同時侵攻発生。

4体、撃退成功。

鷲尾須美、乃木園子、多数の切り傷と身体中の打撲の軽傷。

上里ちひろ、左腕骨折、出血多量の重症。

…三ノ輪銀、死亡。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー撃退直後、銀sideーーー

(…身体が、動かないや…)

全身に傷を負った。毒を回さないために右腕も斬った。

(…でも、帰らなきゃ…)

 

ちひろ『…はい。後で会いましょう。』

銀『お互い、生きて敵を倒して、な!!』

 

(約束…したんだ…絶対…生きて戻る…って…)

意識が…生命が消えゆく中…かすかにしか残らない力を振り絞り、立ち上がる。

銀「今、行く…ぞ…ちひろ…園子…須…美…」

…そして。

事、切れた。

 

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