上里ちひろは勇者である   作:☆ここな☆

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14話 わかれ

ーーー7月11日、麻里sideーーー

麻里「…遅いなぁ。遠足だったわけだし銀ちゃんや園子ちゃんはまだ寝坊したとかありえるけど…須美ちゃんがそんななるとは思えないし…」

学校、朝礼のチャイムがなっても銀ちゃん達は来ていなかった。

安芸「みなさん、おはようございます。」ガラガラ

クラス『おはようございます!』

麻里「先生!須美ちゃん達が来てないのななん…で…」

…先生の手には、花束が持たれていた。

安芸「その事も含めて、みなさんにほうこがあります。

…先日、三ノ輪さんがお役目の最中に亡くなりました。」

クラス『っ!?』

麻里「…っ!!!!」

安芸「明日、告別式があります。授業は休みで、そちらに参加します。」

(…銀ちゃん…!!)

 

ーーーここなsideーーー

先生「…また、上里さんも大怪我のため、しばらくは学校に来ません。帰ってきた時は、暖かく出迎えましょう。」

ここな「…嘘…だよね…?」

天音「銀さん…!」

楓「とりあえず早退しよう、今日は。ちひろや須美先輩達のところに行かなきゃ。」

天音「当たり前ですわ…身体面も精神面も相当に傷ついてるはずですもの。」

ここな「学校なんかより友達の方がはるかに優先度は高いっての!」

 

ーーー翌日、告別式場ーーー

ーーー須美sideーーー

須美「…」

大神官「本日ここに哀悼の意を捧げます。今、わたくし共は深い悲しみのうちに、勇者様にお別れを告げようとしております。

三ノ輪銀様の天性の才能、剛毅不屈の精神。それに、人間味豊かな性格をもって神樹様の重大な任務に務められていました。

その輝かしい偉業は永久に我々の指針として残ることでしょう。

どうか神樹様の元で安らかに。そして末永く、わたくし共の行く手をお見守りください。

また、この場にはいらっしゃりませんが、上里ちひろ様もまた、身を━━━━━━━」

 

ーーー控え室、麻里sideーーー

麻里「2人とも!!」

園子「まりりん…来てくれてたんだね。」

麻里「来ないわけがないじゃん…6年生は全員来てるよ。あと伊予島ちゃん達も見た。」

須美「あの3人は昨日学校早退してまで病院来てくれてたもの、来てると思ってたわ。」

 

女性A「銀ちゃん、お役目受けてらっしゃったんですね。」

男性A「我々には到底想像もつきませんが、大変だったんでしょうね。」

 

男性B「神樹様のお役目で逝かれるとは…大変名誉な事じゃないか。」

女性B「とは言っても…自分の子供がと思うと、ねぇ…?」

 

女性C「鉄太君、銀ちゃん、よく頑張ったね。」

女性D「銀ちゃんはね、英霊になられたの。羨ましい限りだわ。」

鉄太「…」

男性C「三ノ輪家はこれから法外な援助が受けられる。銀も親孝行ができて本望だろう。上里様m「少し、黙ってください。」…!?」

月夜「黙ってくださいと、言ってるんです。それとも理由まで聞きたいですか?」

男性C「…」

金太郎「あー。あぁー。あー…!!」

月夜「よしよし、何がいいの?あ、もしかしてこのオモチャかな?」

 

(…さすがに腹たってくるね。)

麻里「…ねえ、殴り飛ばしてきていい?今ならすごい楽しそう。」

須美「ダメよ…銀がそんなことして喜ぶわけがない。」

麻里「だよね…でもさ…!!」

神官A「勇者様。」

園子「あ、はい…分かりました。」

須美「ごめんね…またあとで。」

麻里「大丈夫、問題ナッシング。

…つらかったら相談してね。一応経験者だから。」

園子「…うん。」

(…やっぱり、お祈りなんかするべきじゃなかったんだ。神樹様なんかに。)

 

北条父『…済まないな…お前を…ひとりぼっちにすることになって…』

麻里『父様!死んじゃ嫌だよ!!』

北条父『麻里…神樹様を、悪とは言わない…だが、危険だ…あまりに…危険すぎる…』

麻里『神樹…様が…?』

北条父『ああ…これだけ伝えておく…隠れた真実を…見逃すな…

カタキは取らないでくれ…私たちは…お前が幸せに生きてれば…それで十分…だ…』

麻里『父様…?父様ぁぁぁぁぁぁ!!!』

 

麻里「…父様。」

心を落ち着かせるために、もうこの世に存在しない名を口ずさむ。

 

ーーー会場、須美sideーーー

男性D「えー、お役目とはいえ、子供の大切な命が失われ、また傷つくのは友人やご遺族の方々にとって大変な苦痛です。皆様方の心痛、いかほどのばかりかと案じています。三ノ輪銀様の━━━━━━━━━━━━━」

 

大神官「献花。」

神官様から花を受け取り、あゆみ出す。

園子「ミノさん…」

…寝ている、ようだった。

自身の命すら燃やし尽くすような戦いをしたとは思えないくらい、銀の顔は安らかで…

…それでも、二度と、目覚めることはないのだ。

須美「っ…」

手が止まる。

…これ以上、進めたら、銀が死んだのだと、確定してしまうようだった。

わかってる。心の中では分かってても…

…ソッ

…手が、添えられた。

(安芸、先生…)

それは、安芸先生のだった。

須美「…っ。」

献花を、果たす。

その、時だった。

鉄太「うわああああああ!!」

(あれは…鉄太君…)

鉄太「神様だったらなんで助けてくれなかったんだよ!!姉ちゃんはずっと頑張ってきてただろ!!なのに!!なんで姉ちゃんなんだよ!!」

三ノ輪父「やめなさい、鉄太!」

鉄太「姉ちゃんを連れてかないでくれよ!!こんなの神様なんかじゃない!!」

鉄太君が連れてかれていく。

鉄太「姉ちゃぁぁぁぁぁん!!」

大神官様が前に出て、礼をする。そして…

…チリン

鈴が、鳴った。

園子「っ!?こんな時に…」

(ふざけるのも…たいがいにしろ…!!)

生きてた頃の銀の顔と、病院のちひろちゃんの顔が浮かんだ。

(お前らが…銀を奪ったのに…その別れすら…させない…?)

須美「…ざ…るな…」

園子「…わっしー?」

須美「ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」

 

ーーー樹海ーーー

須美「うおおおおああああっ!!」ビュビュビュビュン!!

とんでくる爆弾を同時に出した5つの矢で撃ち落す。

ズバンッ!!

もう片方はそのっちが突き進みながら破壊。

 

園子「じゃあ今は戦えないちっひーのため、そしてミノさんのために戦おう。

2人ならきっと、そう言うよ!」

ボンボンボンッ!!

再び爆弾が飛んでくるが、これはそのっちが盾で。

園子「こんなのちっひーなら…」

須美「銀なら、突破する!!」ダッ

跳躍、接近する。

ブンッ!

須美「きゃっ!」

しかし、空中で布らしきものの攻撃を受け、さらなる追撃も…

 

銀『須美!』

 

須美「…はっ!」サッ

受けずにかわす。

そしてそのまま…

須美「これが!銀仕込みの根性ってやつよ!!」グサッボガンッ!!

直接矢を叩き込む。

須美「そのっち!」

園子「気合ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃい!!!」ドッガァァァァァァン

さらにそのっちが突撃で追撃。

(まだっまだ!!)

さらに矢をチャージ。

園子「もう1発ぅぅぅぅぅ!!!」

さらにそのっちも再び構え…

ドガンッ!!ズガンッ!!

ボッガァァァァァァァァァァァァァン!!!

同時攻撃、完全にバーテックスにヒットし、大爆発が起こる。

そして、鎮魂の儀。

(倒…せた…?2人で…)

須美「はぁ…はぁ…やったわよ…ちひろちゃん…」

園子「ミノさん…見てくれてるかな…」

須美「…ええ。見てくれてるわよ。きっと。」

 

ーーー大橋ーーー

びしょ濡れになって、横たわる私たちに、傘がさされる。

須美「…先生…」

 

ーーー車、園子sideーーー

安芸「…2人とも、つらい中お役目ありがとう。」

須美「いえ…」

園子「今、何もできなかったらそれこそミノさんに怒られちゃう。ちっひーにも…今は、そんなことできそうにないけど…」

安芸「…あのね。」

須美「…?」

安芸「いえ…こんなに怖い思いをたくさんして、悲しいこともあったのに…あなたたちや上里さんはしっかりと大変なお役目と向き合ってる。3人とも、まさしく勇者だわ。」

須美「…」

園子「…あはは、先生にこんなに褒められたの初めてだよ。」

(…でも、こんなに嬉しくないのも、初めてだ…)

園子「…ただね、ちっひーやミノさんの方がすごいんだよ。」

安芸「っ!」

園子「ちっひーは自分の格上に勝ったし…ミノさんは、三体撃退したんだよ?たった1人で、戦い続けて。…だから、ミノさんを忘れないであげて。」

安芸「っ…」

園子「すごい…強くて…優しくて…カッコよくて…っ!!

私たちは3人でじゃない…4人で勇者なんだからっ…!!うっく…あああん…!!」

涙が、溢れて止まらなかった。

安芸「…ごめんなさい、訂正するわ。4人とも、立派な勇者よ。誰よりも近くで見てきた私が保証するわ。」

 

 

 

 

 

 

 

ーーー告別式場、ここなsideーーー

大神官「今情報が入りました。鷲尾須美様、乃木園子様両名様ともに、たった今お役目に出向かれたようです。」

ここな「こんな…時まで…!!親友に別れも告げさせないっていうの…!?」

仕方ないのはわかってる。

それでも、拒否権なく選ばれ、戦わされ、友を失い、その別れすらさせない…

とてもムカついた。

…ただ、それ以上に。

 

女性A「まぁ…こんな時にまで?」

男性A「言われただけなら信じられないが…目の前で消えてる以上、事実なんだろう。」

 

男性B「仲間の死にめげずにお役目を果たすとは…なんと立派なことか。」

女性B「でも少し冷静すぎない?ずっとともに戦ってきた子が死んじゃったんだからもう少し戸惑うものだと思うのだけど…」

 

女性C「…こんなの、あんまりじゃないですか…」

女性D「そうかしら?お役目のタイミングを神樹様が選ぶ以上、仕方の無いことだと思いますわよ?」

男性C「そうですな。何より大切なのは神樹様ですから。」

男性D「その通り。上里様もそれがわかってるからこそ神樹様の守りを優先させたんでしょう。」

 

…「人生の大先輩達」の、「無知の悪意」に、吐き気がした。

ここな「…もう、限界だ!!」ダンッ!!

思いっきり立ち上がり、ステージに向かう。

神官B「ちょ、君!?」

そしてマイクを奪い取る。

ここな「いい加減にしてくださいよ、このダメ大人ども。」

神官C「なっ…何を言い出してるんだ!?あの子は!?」

男性E「おい!どうなっている!?なんだあれは!?」

女性E「明らかに私たちを侮辱したわよ今!」

ここな「ええ!そりゃ言いますよ。笑えるくらいの勘違いでただでさえ傷ついた心をエグってたらね!!」

神官D「どこの誰かは知らないが、今すぐに取り押さえろ!!」

ダダダッ

神官どもが向かってくる。

(まだ全然言いたいことは言ってな…)

楓「…いや、お待ちください。」

…楓が、立ち上がった。

楓「彼女の演説を続けさせてください。責任なら、桐生家が。」

会場『なっ…!?』ザワザワ

ここな「楓…っ!?」

 

ーーー楓sideーーー

桐生父「楓!お前は何を言い出しているんだ!!なぜあんな不届き者を庇う!」

楓「なぜか…と。彼女は私の親友です。それに…あの言い方が悪いだけで、私も賛成なので。」

桐生父「だからといってなぜ桐生家全体を巻き込む…ふざけるのもたいがいにしろよお前…いつもいつも迷惑ばかりかけて…少しは親孝行をしたらどうだ!!」

楓「してもらえるようなことをしてから言えば???クソ親父。」

桐生父「こんの…!!お前など娘では…!!」

楓「知ってるよそんなこと。…私が尊敬する銀さんが言ってたもの、子に迷惑かけられて嬉しくない親はいないって。あなたは私みたいな問題児を子と思ったことは無い。私もあなたみたいな…いや、権力だけを大事にして他を二の次にするあなたがたを家族と思ったことは無い。

でも…いいの?私がいなくなれば桐生家の跡取りは誰もいなくなる。英霊すら排出した桐生家を絶やしたいなら、家族の縁を完全に切るなりお好きにどうぞ?」

桐生父「こ…いっつ…!!」

楓「改めて言います。

彼女、星空ここなの演説の責任は、桐生家が負います!!ですので途中で止めることのないようにお願いします。」

 

銀『家族のことを好きになる方法?』

楓『はい。実は私、権力があまり好きじゃなくて…うちの家族はみな権力第一主義だから現状、実質の絶縁状態なんです。ちひろから銀さんは家族と仲睦まじいと聞いて…』

銀『そっかぁ…でもそこまでダメなら無理に仲良くしようとしなくてもいい気もするな。』

楓『え?』

銀『どうしても仲良くできない人はいるよ。それは仕方ない。で、どーせ仲良くできないならむしろ利用して、自分で変えればいいんだよ!』

楓『り、利用??』

銀『そう。目には目をって聞いたことあるだろ?要は行き過ぎた権力乱用をどうにかしたいってこったろ?あと権力第一主義。』

楓『…つまり、家族の持ってる権力を利用して、てっぺん上り詰めて自分で変えろっていうことですか…?』

銀『そそ。大丈夫!なんだかんだ言って、子にかけられる迷惑が嫌な親なんていないからさ!』

 

(…そう、言ってましたよね。銀さん。)

神官B「…たかが、子供1人、それも家族関係崩壊寸前の子の言うことを聞くと?」

(…ダメか…)

天音「ならば、伊予島家もその責任をおいましょう。」

 

ーーー天音sideーーー

神官C「伊予島天音様!?」

神官D「初代勇者の家系の…!!」

ザワ…ザワ…

楓「天音!?」

ここな「天音…まで…」

伊予島母「天音…理由を聞かせてちょうだい。」

天音「もちろんです、お母様。

まず、今壇上にいるここな、そして先程発言した楓は私の親友です。人格のできた、素晴らしい人物であると私が保証させていただきます。

そして、私は生前の銀さんに、数ヶ月の間ですがよくしてもらいました。だからこそ…今、ここにいる方々の抱いている考えと、銀さんの人柄に、大きな違いを感じました。

偉大な功績を残した英雄である銀さんが、勘違いであらぬ事を言われるようになるなどあってはいけないことです。

…これでも、ダメでしょうか、お母様。」

伊予島母「わかったわ、この1件に限り、あなたに伊予島家の全権限を委託します。おのれのやるべきことをなしなさい。」

天音「ありがとうございます。

お母様の許可を得られたため、改めて言わせてもらいます。

これより先、星空ここなの発言に関しましては、桐生家と伊予島家がその責任を負います。」

楓「天音…あなた…!!」

天音「正しいことをしている友を助けない人などおりません。当然のことをしたまでです。」

 

天音『で、ここはこうです。』

銀『なるほどなぁ…しかしまさか学年上の私が教えられる立場になろうとは…』

天音『歴史だけならちひろにも勝ります。』

銀『マジか…博識だなぁ。』

天音『少し照れます…』

銀『これなら司書にも余裕だろ。』

天音『ちひろから聞いたんですか?』

銀『うん。私が応援する、だから頑張れ!』

天音『そう言って貰えると2人力です。頑張ります。』

銀『百人力ではないんだな…』

 

(…銀さん、あなたの人間性、誰にも汚させはしません。)

 

ーーーここなsideーーー

楓「ここなー!私たちがいる!遠慮なくぶちかませー!!」

(2人とも…)

ここな「…ありがとう…!!」

神官E「これは…どうすれば…!?」

神官F「桐生家に伊予島家…どちらも英霊を排出してる大家…!」

大神官「構わない、つまみだせ。」

神官D「大神官様!?」

大神官「今は偉大なる英霊様の告別式だ。たとえそれが英霊を排出している2家だとひても…」

「なら、私も負っちゃいましょうか。」

神官B「っ!?!?!?!?」

神官C「乃木…ひかり様…」

ひかり「銀ちゃん、よくうちに園子が連れてきてたのよ。その度に仲睦まじく遊んでたわ。園子は生きてるからいくらでも弁明できるけど、銀ちゃんはもういない。弁明をしようにもできない。…だから、ね?」

神官D「どう…すれば…乃木家まで…」

「さらなるダメ押し入りまーす。」

「焔ほどではないが控え室の時からだいぶ腹が立ってたところだ。気持ちは痛いほど分かる。」

神官E「…15年前の英雄…犬吠埼焔様に海様…!?」

焔「正式には17年前ね。とはいえあまり銀ちゃんと話したことがあるわけでもなかったからどうしたもんかと思ってたけど…友を失って傷ついてる子供の事すら見逃せないほどカッチカチなの?」

海「まあだいぶ言葉は荒かったから仕方はないとは思うが…俺らも支援させてもらう。」

大神官「…っ。」

月夜「…私と、和斗もです。」

神官F「…十五年前の…四英傑…全員…それに最高位家も…」

月夜「…これでも、ダメと言いますか?大神官様。」

大神官「…特別だ、特別に許可する。」

ここな「…ありがとう、ございます。」

(…こんなに、たくさんの人に支えられて、やっとなんだ。

…これが、ちひろ達の背負ってるお役目の重さ。)

凄まじいくらいに重い。でも。

ここな「まずは私が話せるようにしてくれた多くの人達に感謝を。

…私の名前は星空ここな。神樹館小学校5年。

真っ先に責任を負おうとしてくれた楓や天音、そして…勇者の1人、上里ちひろの親友です。

ちひろを架け橋としてほかの勇者の人達…それこそ、銀さんとも数ヶ月の間交流してました。

…そりゃ神樹様に選ばれるのはすごいことですよ。ホントにすごいことです。ただ、選ばれた人が特別だとか思ってるなら、今すぐ捨てやがれください。

…目を離したら眠ってたり、着せ替えで尋常じゃない量の鼻血を出したり、ナデナデされるだけで喜んだり、ひたすらに運がなかったり、そんな、普通の少女達なんですよ。…決して、死んで親孝行するような人じゃないんですよ。」

男性C「っ!?」

ここな「そんな簡単に親友の死を割り切れるほど、冷静じゃないんですよ。」

女性B「っ…」

ここな「…最後に、誰だっけ…そうだあなた、神樹が一番だからちひろが防衛を優先させたって言ってましたよね。」

男性D「…あ、ああ。」

 

ここな『ちひろ!!』ガラガラ!!

楓『大丈夫!?』

ちひろ『あ…3人とも…来てくれたんだ…授業は…?』

天音『早退してきました。1日くらいの遅れはいつでも取り返せますので。』

楓『それより怪我よ…重症って聞いたけど…』

ちひろ『あはは、大丈夫大丈夫。ちょっと左腕がボキボキに折れただけだから。』

ここな『全然よくないよ…』

ちひろ『いい。確かに本来なら2、3ヶ月はかかるらしいんだけど、神樹様のおかげで半月あれば治るらしいし。』

天音『そうですか…』

ちひろ『…うん。…銀さんに比べれば、遥かにマシだよ。』

楓『…銀さんのことは…仕方ないよ。ちひろだってこんな怪我するまで頑張ったんだもん。』

ちひろ『仕方なくない。』

ここな『須美さんと園子さんだって気を失ってたんでしょ?2人でいつもよりもはるかに過酷なお役目を果たしきったんだもん…仕方ないことだったんd』

ちひろ『仕方なくなんかないんだよ!!』

ここな『っ…!』

ちひろ『私しか、助けられなかった!私がもっと強ければあんなやつさっさと倒して、助けに行けた。銀さんは死なずに済んだ!!私が…弱かったから…!!』

天音『…落ち着いてください。絶対銀さんはそんなこと思ってないですよ…』

ちひろ『だけど…だけどさぁ…!!怪我は治っても…亡くなった命は…もう戻らないんだよ…銀さんは…もう帰ってこないんだよ…!!』

楓『ちひろ…』

 

ここな「もし、そう考えてたんなら…

うちの親友は、泣いてないんだよ。泣いて、自分のこと責めたりなんかしないんだよ。二度と言うな。」

男性D「…っ!!」

ここな「心の傷ついた人のことも考えずにやれ名誉だの、やれ羨ましいだの、そんな傷口にマグマ塗りたくるようなことはしないようにしてください。変にオーバーに解釈して銀さんを勝手に高めるのもやめてください。

他人の気持ちも少しくらいは分かれるようになってください。あなたがたの多くは私より大人なんですから。ありがとうございました。」

果たして、これが正しかったのかなんて分からない。

ただ、悔いはない。

(銀さん…今までありがとうございました。

ちひろ達は任せてください。

…どうか安らかに。)

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