上里ちひろは勇者である   作:☆ここな☆

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結城友奈の章
1話 戦いの始まり


ーーーちひろsideーーー

「いやー、劇大成功でしたね!」

「いや、あれ成功とは言わないから。」

「どちらかというと失敗だと思うんですけど…」

「友奈ちゃんのアドリブのおかげで盛り上がりましたね。」

「東郷、それを人は無茶苦茶と言うんだ。」

今は幼稚園で人形劇を披露してきた帰り道、失敗というのは劇の途中で枠組みが倒れて演じてた風さんと友奈さんが丸出しになってしまったからである。

(ま、東郷さんの言った通り、友奈さんのアドリブでなんとかなったけど。)

入学後の私は同じマンションだったのもあり、友達になり、彼女のお姉さんの風さんが所属する「勇者部」に入った。

本当は誰とも友達になるつもりはなかったけどよく考えたらもう私が生きてるうちにバーテックスは来ないだろうし、別にいいだろう。

私も人助け好きだし。

部員はムードメーカーでフレンドリーな友奈さん、技術・お菓子(っていってもだいたいぼた餅)担当でなぜか須美さんに似ている東郷さん(最初は間違えたけど性格まで似てるんだよなぁ…)、部長で女子力王(自称)の風さん、そして私と樹の5人だ。

活動はボランティア、ゴミ拾いや迷子の猫の飼い主探しetc…。

まあ、正直言って楽しい。

全員に心を開いてるつもりはないけど、お陰で学校生活充実してるし、大赦の100倍はマシだ。

「ちひろちゃん、ぼーっとしてる?」

「ん?別に大丈夫だよ?ところで昨日新しいゲーム買ったけどやる?」

「うん!お姉ちゃん、ご飯の前ちひろちゃん家行ってくるね!」

「はーい、ちひろ、なんならうちでご飯食べる?今日うどんにする予定だけど」

「ぜひ!」

(うん、やっぱりこの部いいわ。)

ーーーそんなある日ーーー

ーーー樹side ーーー

「この問題を…樹、解きなさい。」

「え、あ、はい!」

(どうしよう、難しくて分かんないよ…)

そのとき。

ピロッ

「じっと見てたら怪しまれるから早く覚えて。」ボソッ

「ありがとう、ちひろちゃん。」ボソッ

「よし、せいかーーー」

ビービービー

「あれ、スマホ鳴ってる!?すみません!って先生?」

先生は動いてませんでした。

いやそれだけではないです、クラスのみんなも動かなくなっていました。

「これって…一体?」

 

ーーーちひろsideーーー

「あれ?スマホ鳴ってる?マナーモードにしたけどなー?ってこれって樹海化警報!?どうして!?」

(嘘!?よく見たら時も止まってる。まだ2年しか経ってないのに…しかももう一回選ばれるとは…って勇者システム持ってたら当然か。)

ただ、現実は甘くなかった。

「ちひろちゃん!よかった!これって一体…」

「さ、さあ…スマホの画面には樹海化警報って書いてあるけど…」

(樹ちゃんまで!?勇者部以外は別によかったのによりにもよって一番巻き込まれて欲しくない人が…)

ダダダッ

「お姉ちゃん!よかった!無事で!私とちひろちゃん以外のみんなが…」

「ごめん、二人とも、私たちが当たりだった。」

「え…?なんのこと?」

「なに…あの光…」

(バーテックス?上等だ。何度きたって返り討ちにしてやる、私がいる限り!)

 

 

 

 

ーーー友奈sideーーー

「どこだろう?ここ、もしかしてまた私居眠り中?」

「それはないわ、友奈ちゃん。私もいるもの。」

「ホントだ!そうだね!」

「でもこれって…?私たち教室にいたはずなのに…」

そんなときでした。

「友奈、東郷!」

「風先輩!樹ちゃん!ちひろちゃん!」

「よかった…スマホを持ってなかったら見つけられなかった。」

「これって…入部したときにダウンロードしてって言われたアプリですよね…?風先輩、なにか知ってるんですよね?その感じだと…」

「さすが東郷ね…、みんな落ち着いて聞いて、私は…大赦から派遣された人間なの。」

「大赦って神樹様を管理してる…、樹ちゃん知ってた?」

「いや、知らなかったです。」

「言ってなかったからね、当たらなければ黙ってるつもりだったんだ。今見えてる世界は神樹様が作った結界、神樹様に選ばれた私たちは、世界を殺すために攻めてくる敵、バーテックスと戦わなければならないの。」

「この乙女座って表示されてるやつのことですか?」

「その通りよ、ちひろ、あれね。」

「そんな…あんなのと戦えるわけが…」

「アイツらの目的は神樹様にたどり着くこと、そうなったとき、世界が終わる。そして私たちは戦う意思を示したとき、アプリがアンロックされて神樹様の勇者になる。」

(勇者…)

「みなさん!なんかきます!」

「友奈、ここは任せて東郷を連れて避難して!」

「はい、分かりました!」

(先輩、頼みます!)

 

ーーーちひろsideーーー

「樹、ちひろも!」

「やだよ!私も一緒に戦うよ!」

「私も。散々世話になってる先輩や友達置いてけるほどビビりじゃないので。」

(それにアイツは銀さんの葬式邪魔したし、ボコボコにしないと気が済まないしね。)

「頼もしい後輩たちね。」

「で、どうすればいいの?お姉ちゃん。」

「私たちは神樹様に守られてる、ふたりとも、続いて!」

「「はい!」」

 

(この服、久しぶりだなー。)

「すごい、変身しちゃったよ!」

(わ、この反応フレッシュだ、さすが樹ちゃん!)

ポンッ

「わ、なにこの子?」

「この世界を守ってきた精霊よ。…ってちひろ多!?何体いるのよそれ…」

「6匹です。」

「計算早い…さすが成績ナンバー1だね。」

(樹に褒められると少し嬉しいかも。)

「戦い方はアプリが教えてくれる。いくよ、二人とも!」

「あ、ちょっと待ってお姉ちゃん〜!」

「いや、私もいるからね〜樹ちゃん。」

 

ーーー友奈sideーーー

「風先輩!大丈夫ですか!バーナントカと戦ってるんじゃ…」

「こっちは3人でなんとかなってる!友奈は出来るだけ離れて!」

「二人とも…ごめんなさい…私…怖くて…」

「誰だって怖いよ!早く安全なところに行こう!」

(私だって怖いもん、東郷さんが気にすることじゃない!)

「二人とも、黙っててごめん、必ず助けるから。」

「風先輩は私たちのことを思って黙っててくれたんですよね…勇者部の活動通りじゃないですか!だから風先輩は悪くない!」

「友奈…うあ!」

「お姉ちゃん!きゃっ!」

「しまっ…あうっ!」

「風先輩!樹ちゃん!ちひろちゃん!」

「あいつ…こっちに来る!友奈ちゃん!私といたら危ない!私を置いて逃げて!」

(嫌だよ…)

「お願い逃げて!友奈ちゃんが死んじゃう!」

(東郷さんを置いて逃げるなんて…)

「絶対に嫌だ!」

ボカンッ

「友奈ちゃ…えっ!?」

(東郷さんも驚いたよね、私のパンチが爆弾を粉砕していたんだから。)

「ここで友達を見捨てるやつは勇者じゃない!」

「友奈ちゃん…どうして…」

「嫌なんだ!誰かが傷つくこと、辛い思いをすることが!みんながそんな思いをするくらいなら、私が頑張る!」

勇者部の部活動は人のためになること。

だから私は勇者部が好きなんだ!

私は進んでこの部に入ったんだ!

(だから…)

「私は勇者になる!」

 

ーーーちひろsideーーー

(迂闊だった…布攻撃のことを忘れてたなんて…しかも受け身も中途半端だったし…ネーさんがガードしてくれたけど全身が痛い…)

「樹ちゃん、風さん、大丈夫ですか?」

「体が動かないよ…先にいって…ちひろちゃん…」

「ごめん、ちひろ、まだ私も動けなさそう…二人をお願い!」

「はい。」

(そうは言ったけど痛い…そもそもなんでまた私?神樹様は私にばっか…もうなにも残ってないのに…)

『嫌なんだ!誰かが傷つくこと、辛い思いをすることが!みんながそんな思いをするくらいなら、私が頑張る!』

そう、声が聞こえた。

そちらを見たら勇者に変身した友奈さんがいた。

(なにも残ってない?違う、今の私には勇者部のみんながいるんだ!こんなところであきらめてられない!もう、二度と、大切なものを失わないために、守るために…)

「私は、戦うんだ!」

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