…大変誠に申し訳ございませんでしたぁ…
すっかり存在を忘れてましたぁ…
今度からは気をつけます…
…自分で忘れないか心配になる…
ーーー夏凜が転校してきてから数週間後ーーー
ーーーちひろsideーーー
今は音楽の授業の真っ只中。
(私は先生に歌うまでもないって言われてるからいいけど問題は…)
「では次、犬吠埼さんお願いします。」
「は、はい!」
「リラックスリラックスだよ〜」コショコショ
(返事が来ないってことは聞こえてないのか…
やばい、相当緊張してるよ。これは。ん?)
「おーい樹ちゃーん、教科書逆だよ〜。冷静に〜」コショコショ
アハハハハ
樹ちゃんにだけ聞こえるように言ったが本人は慌ててしまい、みんなに気づかれてしまう。
(樹ちゃん、歌は好きなんだけどなぁ…)
先生は樹に優しく微笑むとゆっくりとピアノを弾きはじめるのだが…
「○×△◎$%*@…」
音程はほとんどはずれている。
(やっぱ無理だった。もう一度言うけど樹ちゃんは歌うのは好きだ。ただ、人前で歌うと緊張してできなくなっちゃうけど。)
ーーー部室ーーー
「よし、ここにこの写真を!」
ペタ
友奈さんが壁に勢いよく写真を貼り付ける。
「よし…風先輩、ホームページの更新終わりました。」
一方で東郷さんは勇者部のホームページの更新を終わらせる。
(須美さんいつのまにこんな技術を…)
「ありがとう、東郷。しっかし平和ねぇ〜」
「ま、山羊座以降音沙汰なしですから。」
「全くたるみすぎよ!あんたら!」
「いや、たるむでしょ、これは。てかあんたが一番たるんで…あ、にぼっしーだからしゃーないか。」
「どういうことよ!?てかにぼっしー言うな!」
(夏凜さんと風さんは平常運転っと。うん、いつも通りだ、ある一人を除いて。)
「はぁ…」
「ん?どうした樹、またタロット占い?なに占ったの?」
「今度うちのクラスで歌のテストがあってうまくいくか、なんだけど…」
(どれどれ…これは…)
「死神の正位置って言うんだよね?東郷さん。」
「そうよ、友奈ちゃん、確か意味は…」
「破滅、終局…あぁ…」
(おい神樹様ー!樹ちゃんが歌のテストうまくいくようにしなさいよー!)
「別に気にしない、気にしない!」
「たまたまはずれたのかも!もう一回占ってみようよ!樹ちゃん!」
あ、さすが友奈さんだ、ポジティブの天才。
だが…
「あちゃー。」
「これアウトなんでしょ?相当。」
「夏凜ちゃん!シー!」
「ハウ…」
まさかまさかの4回連続死神の正位置。
(神樹め、許さん。)
「これ気分を入れ替えろって意味じゃないかしら?」
「「それだ!!」」
「???」
「どういうことですか?風先輩、ちひろちゃん。」
「死神の正位置のもう一つの意味です。の状況のままでは何も進展がない。気分を入れ替えた方がいいっていう。」
「てかなんで夏凜がそんなこと知ってるのよ?」
「小さい頃に兄貴とタロット占いに行ったときに言ってたわ。」
(へー、夏凜さんのお兄さんって…あ、春信さんだ。あの人はあの人でなんでその年で知ってるのよ…相変わらずバケモノだわ…)
「だって、樹ちゃん!気分変えていこうよ!」
「でもでもでも〜…」
「あちゃー、別なことを考える余裕すらなさそうね…」
(きっと1時間目のことが響いてるんだろうなぁ〜どうしたもんか…)
カリカリ
バンバン
「こうなれば今日の活動は樹を助けることよ!勇者部の活動は人を助けること!それは相手が部員でも同じよ!誰か!意見どんどん出しましょう!」
(んーどうすればいいかな…?)
「てかちひろは大丈夫なの?同じクラスなんでしょ?」
「私?私は先生に歌うまでもないって言われてるから大丈夫ですが。」
「あー、分かるわそれ。」
「どんだけ下手なのよ…」ボソッ
最初に手を挙げたのは東郷さん。
「ひとまずα波を出せるようになればいいと思います!」
「なにそれ!?」
「いい音楽は大抵α波で説明つきますから。」
「さすが東郷さん!物知りだなぁ〜」
(2年でどんだけマニアックになったんですか須美さん…)
「いや、多分それ間違ってるわよ、東郷。」
(え?)
「小さい頃に兄貴が言ってたけどα波はリラックスしてるときに多く出るだけであっていい音楽からα波が出てるわけじゃないって。」
「そんな…」
「あんたの兄貴何者よ!?」
(さすが春信さんとしか言いようがない…)
「サプリキメればいいと思うわ!」
「わけのわかんないこと言わない!にぼっしー!」
「にぼっしー言うな!」
(はぁ、全くこの人たちは…あ、そうだ。)
「樹ちゃん、私と風さんの前だったら歌えるんだから、次は勇者部のみんなの前で歌えるようにって少しずつ慣れていくのはどうですか?」
「ナイスちひろ!そうと決まれば6時にいつものカラオケ屋集合よ!解散!」
「「「はい!」」」
みんなものすごい勢いで帰っていく。ただ一人を除いて。
(私は無論気づいてるけど言わないよ?)
こうして一人を除いて誰もいなくなった部室で彼女は叫んだのだった。
「…いつものところってどこよーーーーーーー!!!!!!!!」