上里ちひろは勇者である   作:☆ここな☆

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11話 苦悩

ーーー翌日ーーー

ーーーちひろsideーーー

「もう戦わなくていいと思うとよく眠れたわー。」

『そういえばちひろちゃんはなんともなかったの?』

「樹ちゃん、その話し方ナイスだね!」

『お姉ちゃんのアイデアだよ。』キュッキュッ

(たしかにいいアイデアだけど…どうしても会話に遅れるのは…私が…責任を…背負わないと…)

「てか…くさっ!」

『本当だ…臭いよ…』キュッキュッ

「…」

「あんたは大丈夫なの?」

「元から私、鼻鈍いので。微かにはしますけど。」

「…へぇ…」

「いいわね…って夏凜!?あんたいつのまにいたのよ!?」

『途中から一緒に来てたよ…』キュッキュッ

「そっちの方が驚きなんですけど…」

(これが樹ちゃんだったらよかったのに…なんで責任を負わなきゃいけない私なの…?)

 

ーーー1週間後ーーー

ーーー東郷sideーーー

病室で左耳にイヤホンをあてる。

(やはり…聞こえない。)

イヤホンからは確かに音楽は流れている。

それは右耳が証明している。

パソコンに「回復の兆しなし」とうつ。

「これが本当なら…」

風先輩は左目、樹ちゃんは声、友奈ちゃんは味覚、私は左耳。

満開をした人はどこかしらがおかしくなっている。

(あと分からないのは…ちひろちゃん。)

今は放課後、風先輩も今日はフリーなはず。

「もしもし、東郷?どうしたの?」

「風先輩、大至急、伝えたいこととお願いしたいことが。」

「ん?真剣な話っぽそうね…で、何?」

「今のところちひろちゃん以外の満開使用者がみんなどこかに異常をきたしています。」

「え!?」

「風先輩は左目、樹ちゃんは声、友奈ちゃんは味覚、私は左耳、逆に夏凜ちゃんは異常なし。」

「っ!そんな…」

「私はこれが満開の後遺症ではないかと考えています。それを確定させるには…ちひろちゃんもわからないと意味がないんです。風先輩は私よりちひろちゃんと関わりが強いので、私が聞くよりもいいかと。お願いできませんか?」

「オッケー、治るものだとわかってても原因ははっきりさせといた方がいいもんね。任せなさい。ただ…」

「?どうかしたんですか?」

「あれから夏凜が学校に来てなくてね…今ちひろと友奈が探しにいってるのよ…」

「聞ける時で構いません。お願いします。」

「…わかったわ。そろそろ切るわね。」

「はい、失礼しました。」

 

ーーー夏凜sideーーー

(土曜日に部活をサボって、休日明けてからは月曜火曜と学校を無断欠席。水曜日の今日もそう。何をするわけでもなく、ただ家に籠って明かりも点けずにベッドに寝転がっているだけ。

唯一満開できなかったのは私。その事が悔しくて、情けなくて、申し訳なくて、部室にもお見舞いにも行けない。私は戦うために来たのに...私だけ傷を負ってない。一番役にたってないじゃない...完成型勇者なんて…名ばかりじゃない…)

おまけにさっき風からメールが来た。

内容は、満開した人の体の調子がおかしく、ちひろにも確かめてほしいと言うものだった。

(私は…なんのために…派遣されてきたのよ…)

「やっぱりここにいたんですね、夏凜さん。」

振り返るとちひろがいた。

「部活のサボりはいけないですよ。」

「私は大赦から派遣されてきた勇者なのよ。戦いが終わった今、行く理由がないわ。」

「ふーん、でも多分もうじき友奈さんもきますよ。」

「…てかいい匂いするわね。」

「…そうですね。少しだけ。」

「…やっぱりあんたもなのね…」

「?」

「あんた…あの戦いのあと鼻の調子悪いでしょ。」

「…まさか。」

「嘘ね。現に今いい匂いなんてしないわ。翌日の登校のときにあんたの反応に違和感を感じてたからね。風のメールで確信を得たわ。」

「樹ちゃん以外に見破られるとは思ってなかったです。」

(えっ…)

「樹には見破られてたんかい!」

「はい、翌日には。」

 

『ちひろちゃん、鼻の調子悪いの?』キュッキュッ

『さすが!そうだよ』

『いや、前タバコは嫌だーー的なこと言ってたから。タバコは嫌なのに肥料の匂いがわからないはずないでしょ?だから。大丈夫、心配かけないために黙ってたんでしょ?』キュッキュッ

『そこまでバレてるなんて…』

『よく遊んでたからね。』キュッキュッ

 

「っていうことです。ところでサボってるのは

 役立たず とか自分で思ってからじゃないですか?」

「…なんでそれを。私だけ満開できなかった。大赦から派遣されてきたのに。役立たずでしかないじゃない!」

「そうでしょうか?夏凜さんがいなければ、牡羊座を止まれませんでしたし、封印の時間も、間に合わなかったと思います。合体バーテックスの。」

(言われてみれば…)

そうだ。合体バーテックスを倒すことに貢献してないだけで戦闘自体には大きく貢献していた。

「それに何勘違いしてるのか知らないですけどケガをしないことはいいことです。その点では一番優秀だったんですよ。夏凜さんは。あと、夏凜さんはもう勇者部の一員ですから、バーテックスとか大赦とかどうのこうのの前に。」

「…あ、ありがと…」

「あ、照れ隠しだぁ〜!」

「な!?////」

(ちひろ…こんな優しいこともできたのね…)

「あんたも、何かあったら相談していいからね。」

「話すこと一生ないと思いますけどね。」

「ふふっ。」

そして…

「夏凜ちゃーん!!」

(ん?この声…友奈?そういえばちひろがそんなことを…)

「わぷっ!?」

ドサッ

「友奈!?」

砂に足をとられて友奈は盛大に転んだ。

「夏凜ちゃん、そこは駆けつけて受け止めてよ〜!」

「無茶言うな...はい。」

「ありがとう!」

手をさしのべると友奈は迷うことなく掴んで立ち上がり、制服についた砂をとった。

いつのまにかちひろはいなくなっている。

「何しに来たの?」

「部活のお誘いだよ。夏凜ちゃん最近サボりまくってるから。」

「っ!」

「このままじゃサボりの罰として腕立て1000回に腹筋3000回、みかん500個収穫にぼた餅1000個作ることになっちゃうんだけど~」

「は?桁おかしくない!?それに収穫とか作るとかなんなのよ。」

「東郷さんの退院祝いだよ!」ドヤァ

「でも、部活にくるとチャラになりまーす!どう?来たくなったでしょ?」

「ならない。」

「部活来ないの?」

「元々私、部員じゃないし、もう理由もないのよ。」

「理由って?」

「私は勇者として戦うために讃州中学に入ったの。部活に入ったのも他の勇者と連携をとりやすくするため...戦うためにいた。それ以上の理由なんてない......大体バーテックス倒し終わったんだから、勇者部なんてもう意味ないでしょ!」

ちひろのおかげで役立つことができていたのはわかった。

でも未だに行く理由を見つけられないでいた。

「違うよ!勇者部は、風先輩がいて、樹ちゃんがいて、ちひろちゃんがいて、東郷さんがいて、夏凜ちゃんもいる。みんなで楽しみながら人のためになることをする部活だよ。バーテックスなんかいなくても、勇者部は勇者部だよ!」

「でも...」

「戦うためとか関係ない。」

「でも私...戦うために来たから、私にはもう価値はなくて、あの部にも居場所はないって...」

「勇者部五箇条!悩んだら相談!」

「え...?」

「戦いが終わったら居場所が無くなるなんて、そんなことないんだよ…?夏凜ちゃんが部室にいないと寂しいし、私が夏凜ちゃんのこと好きだから!」

「っ!!」

(は、恥ずかしい…)

「しょ...しょうがないわね。そこまで言うなら行ってあげるわよ。勇者部!」

「やったー!!じゃあ早速いこう!」

「え!?」

「よしそうしよう。」

「ちひろ!?」

「あ、でもその前に…シュークリーム買っていこう!」

「なんでシュークリームなのよ…」

「でも友奈さん、味覚ないんじゃないんですか?」

「うん、でもなんでそれ知ってるの?」

「夏凜さんのスマホ見ましたから。」

「はあ!?何勝手に見てんのよ!?」

「いいからいこうよ!」

 

『夏凜さんはもう勇者部の一員ですから、バーテックスとか大赦とかどうのこうのの前に。』

 

(もう、バーテックスとか関係なく来ていいとこなんだ…)

「結城友奈、ただいま帰還しました!」

「ちひろ、帰還でーす。」

「おかえりーって、夏凜も来たのね。」

「ゆ、友奈がどうしてもって言うから!」

「あとこれ差し入れです。」

「でも友奈はお菓子の味分からないんじゃ...」

「っ...あれ、気づいてたんですか?」

「てかちひろ、樹から聞いたわよ!あんたもあんたで鼻悪くしてたの早く言いなさいよ!」

「気付かない方が悪い。」

「ぐはっ!ごめん、友奈、ちひろ。樹も...あたしが勇者部の活動に巻き込んだせいで...」

「こんなのすぐ治ります。気にしすぎですよ」

『そうだよ。』キュッキュッ

「べつに話なんて関係ないですし。」

「そういうわけで結城友奈は今後、風先輩の『ごめん』は聞きません!」

『私も!!』キュッキュッ

「...うん、ありがと。

「私は風さんが泣きながら謝るところ見てみたい気もするけど。」

みんな笑顔になる。

友奈は自分が辛いときでも笑って、一緒にいれる。

きっと、だから皆が好きになって…

「それより早く食べましょう!風先輩が飢えで倒れる前に!」

「...ねぇ、わたしいつでもおなかすいてる人だと思われてない?」

「『違うんですか(の)?』」キュッキュッ

「妹も!?」

「ぷっ...そこまで言ってても手は伸ばすのね。」

「アキレルワー。」

「はっ!?静まれ...あたしの右手!あたしの中の獣ー!!」

『獣(女子力)。』キュッキュッ

「そう、それ。」

「それでいいのかしら…」

「いいんでしょう。」

(楽しい。私も、好きになったんだろうな…友奈と、勇者部のみんなと一緒にいることが。)

 

ーーー夜ーーー

ーーー樹sideーーー

(ちひろちゃん…あの戦いのあとから少し様子がおかしい…まるで全て自分に非があると思ってるみたい。そんなことないのに…もしかして秘密のことと何か関係が…)

「よっしゃーー!!」

『どうしたのお姉ちゃん?急に大きな声出して。』キュッキュッ

「ごめんごめん、大赦がなんと2週間後にバーテックス全部倒した褒美として合宿費を出してくれるそうよ!!高級旅館で海の近く!」

『よかったね!』キュッキュッ

「早速NARUKOでみんなに報告を…っておお!さらに朗報が舞い込んだわよ!東郷が明日退院できるのと夏凜がこれからも勇者部残れるって!」

『やったね!』キュッキュッ

(ちひろちゃん…悩みがあるなら…話せない事情があるなら…助けられるように頑張るね。私は勇者部の一員だから。ちひろちゃんの友達だから。)

 




とりあえずここまでですかね…明日と明後日はテストなので許してください…。。。(lll __ __)バタッ
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