ーーーちひろsideーーー
私たちは今海に来ていた。
大赦からのご褒美らしい。
(ご褒美というより「祀られてる」ってことなんだろうけど。)
満開に隠された機能、「散華」。
神樹様に供物を捧げるということは裏を返せば神に近づくということなのだ。
なぜこんな人道からはずれたことを平気でできるのか。
現に20回もの満開をした園姉は今でも祀られている。
(ま、少しくらい楽しんでもいいよね!)
「さあ!瀬戸の人魚と呼ばれるあたしに向かってくるやつはいるかしら!?」
『自称です。』
「だと思った。」
「私の体は出来上がってるわ!泳ぎで勝負よ!風!」
「望むところよ!」
「いや、着替えましょうよ。」
(あなたまだ私服でしょーが。)
「ふふっ、甘いわね、ちひろ!」
「きゃっ!」
ーーー風sideーーー
(あらかじめ中に水着は着ていたわ!)
「驚いたでしょ!?ちひろ!」
「…」
ちひろは無言でそこら辺にある木の棒を手にすると…
「し・ね♪」
ブンッ!
「うぉい!」
ものすごい勢いで投げてきた。
(あれはまずいあれは!やばい笑顔!まじでまずい!)
もっとまずかったのはその木の棒が岩に刺さっていることなんだけど。
「ひえぇえ!どうかお許しください!」
「や・で・す♪」
「ぎゃあああ!」
『お姉ちゃん前にも似たようなことあったのに…』キュッキュッ
ーーーちひろsideーーー
(はぁ…風さん許すまじ…)
「風が死んだ今私は誰と泳げばいいのよ?」
「私とやりましょうか?」
『ちひろちゃん泳ぐの早いもんね。』キュッキュッ
「!いいわ!アンタは一度コテンパンにしたかったのよ!」
「いいですよ!返り討ちにしてやる!」
ーーー終了後ーーー
「はぁ、はぁ、早すぎるでしょ…」
「返り討ちにしてやったぜ!」
『東郷さん何作ってるんですか?それ…』キュッキュッ
「ああ、樹ちゃん。これは丸亀城よ。」
「うますぎでしょ…」
(何このクオリティ。再開してから須美さんいろいろおかしいよ?)
一方で…
「な!?そんなに一気に!?」
「さ!次夏凜ちゃんだよ!」
「うぐぐ…そ、そーと…あぁ!」
「わーい!勝った!」
「なんでそんな持ってけるのよ!」
「あのね、砂が私に語りかけてくるんだよ…」
「何よそれ!?」
あちらは棒倒しをやってて友奈さんがプロじみたことを言ってる。
(楽しいな。)
「スイカ持ってきたわよー!」
ブンッ!
「危なっ!?」
「ちっ…もう復活したか…」
「ひどくない!?」
『自業自得だよ…』キュッキュッ
「あ!スイカ!どうしたんですか?それ?」
「スイカ割りやろうと思ってね。だれか割りたい人いる?」
『私やりたいよお姉ちゃん!』
「おお、さすが我が妹!他は…いなさそうね。よし、準備するわよ!」
「「「はい!」」」
ーーー数分後ーーー
「そのまま!前進よー!」
「あ!ちょっと向きずれてる!左にちょっと向き変えてー!」
「友奈ちゃん、そっち右だよ。」
「あ、そっか!」
「今だよ樹ちゃん!振り下ろして!」
「あはは、なにその構え!」
「あんたの真似でしょ。」
「え、あたしあんなん?」
(自覚なかったんかい!でもあの構えだからこそあんだけの威力が出るんだからいいか。)
バン
「さすが樹ちゃん!」
『ありがとう、ちひろちゃん。』キュッキュッ
「遊びまくったしそろそろ旅館行って夕食食べる?」
「そうね。もうこりごりだわ…」
「負けまくったから?」
「うっさい!」
ーーー旅館ーーー
「「「「『わー!すごいご馳走!?』」」」」キュッキュッ
「美味しそうですね。」
『カニだ!』キュッキュッ
「樹カニ好きだからね〜」
「そういえば最近カニうどん作ってなかったような…」
「しゃーないしょ!?カニ高いんだから!?てかいくらなんでも豪華すぎません!?間違ってないですか!?」
「滅相もございません。どうぞごゆっくり。」
「私たち、高待遇みたいですね。」
「ま、なんたって世界を救ったんだからね!」
「つまり食べていいと…グフフ…」
「気持ち悪いです風さん。」
『でも友奈さんが…』キュッキュッ
「んー!この刺身のコリコリとした歯ごたえ、たまらないですねー!お!こっちのシラスのツルッとした喉越しもたまらない!」
(すごい…)
「もう…友奈ちゃんったら…いただきますが先でしょ。」
「ああ!そうだった!ごめんごめん…」
「「「あらゆる手段を使って味わおうとしている…」」」
『友奈さんにはいろいろ敵わないね、ちひろちゃん。』キュッキュッ
「そうだね、樹ちゃん。」
(私もこんなポジティブにいられた時期もあったな…)
「「「「「『いただきます!』」」」」」
「はむ!はむ!うまーい!」
「って風!?はやっ!?」
「そうだ!写真に撮っておこう!家族に見せるんだー!」
『なるほど!』キュッキュッ
「じゃ、私も撮ろーっと。あとで思い出して味わえるように。」
(家族…そういえばこっちに来てから全然母さんとかに連絡してないや…送ってあげようかな…)
「場所的に私がお母さんするから、おかわりしたい人は言ってね。」
(…須美さんがお母さんって絶対地獄だ…)
「東郷が母親か…厳しそう…」
「門限を破る子は柱に張り付けます。」
「ひっ!!」
(やっぱり…)
「まあまあ、お前、そこまでしなくても…」
「あなたが甘やかすから…」
「夫婦か!」
「夫婦だね。」
『夫婦の会話だよね。』
「時々言ってるけどさ。いつかこういうのを日常的に食べられる身分になりたいわね。自分で稼ぐなり、いい男見つけるなりで。」
『後者は女子力が足りてませぬ。』
「そだねー。」
「そう?この浴衣から匂ってない?」
そんなバカなこと言ってるあいだに夏凜さんが風さんの刺身をパクリ。
「ちょっと夏凜!刺身人数分なのよ!?勝手に取らないでよ!?」
「ふん、ぶつぶつ言ってるのが悪いのよ。第一女子力だかなんだか言うんだったらちひろとか東郷見習いなさいよ。」
「わあ!ちひろちゃん。普通に食べてるだけなのに…」
『東郷さん!美しいです!』キュッキュッ
「私は東郷さんのはいつも見てるから言ってないだけだよ!」
『私はちひろちゃんの。』キュッキュッ
「さすがお嬢様ーズね。」
「そんなに見られると…恥ずかしいです。友奈ちゃんは大丈夫ですけど。」
「やった!」
「私もお母さんとかの見てただけだから別にすごくないよ。」
『いや、何度見てもキレイだよ。』キュッキュッ
(樹ちゃんがそこまで言ってくれてるならそうなのかな…?)
「ま、私もマナーにはうるさいからね!っと。」
ブスッ
(いや、それ刺し箸。)
「『その時点でアウトです。』」キュッキュッ
「『あ、息あったね!』」キュッキュッ
「なっ!?嘘でしょ!?」
「まあ、あまり気にしなくていいかも…」
「そうだそうだ!食は楽しむものだー!」
「そーだそーだ!最低限のマナーさえ守ってりゃあいいのよー!」
「おー!そだーそだー!」
『こういう時は団結するんだ…』キュッキュッ
「友奈ちゃん、かわいい…」
「まったく、この人たちは…」
「ん。ぐあああ!私の邪眼がさらなる生贄を求めている…」
『ご飯おかわりだそうです。』キュッキュッ
「すごい!通訳した!」
「つーか普通に言え。」
「余計な手間かけさせんな!」
ドゴォン
「いった!?3杯目だから遠慮してただけなのにぃ…」
「居候か。」
「おかずも減ってきましたね。」
「そうね…はっ!?」
風さんが見たさきには神棚が。
(まさか…嘘でしょ?この人。)
「確かお供えものって時間さえたてば…」
『やめといた方がいいよ、お姉ちゃん。』
「食べたらドン引きしていいですか?」
「確かにいいですけどやめましょうよーーー!」
「冗談よ冗談。」
(…いや。)
「「あんた(風さん)が言っても冗談に聞こえないのよ(んですけど)。」
「ひどすぎない!?」
「あはは…樹ちゃん、風さんがお供えものに手を出す前に次行こう次!…って次なんだっけ?」
(友奈さん…忘れん坊だからなぁ〜)
『次はお風呂です!』
(…ナイス樹ちゃん!)
ーーー風呂ーーー
ーーー樹sideーーー
「はぁ〜…」
「いいお湯だね〜東郷さん!」
「疲れが吹っ飛ぶわ〜」
コクコク
「そうですね、だそうです。」
「な!?なんでわかんの!?」
「ここに来る前に暗号的なの決めてきました。ね?」
(あの時は気が利くと思ったな〜)
コクコク
「確かに、生き返るわね。」
「…なんでそんな遠くにいるの?」
「…!べつに!ぐぐぐ偶然よ!」
「ははーん…!」
「な、なによ…」
「女同士で何照れてんだか♪」
「て、照れてなんかないし!」
(夏凜さん…どうして照れてるんだろう?)
「こんなに広いと泳げたくなっちゃうよね〜」
「ダメよ、友奈ちゃん。」
そう言って東郷さんは水鉄砲を友奈さんに当てる。
「はーい…ブクブクブク…」
「ぐへへへへへ。」
「ど、どうしました?二人とも?」
「風さん、目がキモいんですけど?」
「いやー、二人ともどうすればそんなメガロポリスな感じになるのか〜。」
コクコク
(確かに気になる。私の場合東郷さん限定だけど。
…プチッ
「ちょっとだけでもコツとかを教えていたたければと…グフフ。」
ブチッ
「ふ、普通に生活してるだけです…」
「ご謙遜を〜…ちひろも早く言いなさいよ〜」
ブチブチッ
「もむわよ〜」
ブチブチブチッ
(やばい、そろそろレッドライン超えちゃう。)
「______!」
(あ、今声出ないんだった!まずい!)
「もう、ほれほれ!」
ついにお姉ちゃんがちひろちゃんの胸を揉もうとしますが…
ガシッ
ちひろちゃんがお姉ちゃんの頭をわしづかみにします。
(あーあ、手遅れだった…ごめんね、お姉ちゃん…)
ちひろちゃんは自分の胸の大きさをそこまで快く思ってなく、イジりすぎるとブチギレると前に言ってたのです。
ギリギリギリギリ
「ちょ!?痛い痛い痛い!誰かー!ヘルプー!」
(ちひろちゃん落ち着いて〜!)
ーーー夏凜sideーーー
(あんな奴らのトークに巻き込まれるのは嫌よ!?早めに脱出させてもらうわ!あいにく今はちひろが暴走中!)
「今のうちに…」
(さっさと体を洗ってあがろ…)
「はーい!お背中流しまーす!」
(え!?友奈!?)
「ひゃあああああ!」
「背中流すの上手いって、お母さんに褒められたこともあるんだよー!。ま・か・せ・てー!」
「ちょ、くすぐったいってばー!」
ーーー部屋ーーー
ーーーちひろsideーーー
(あのバカ部長、私のコンプレックス攻撃しやがって…)
「私は端っこ。」
『私お姉ちゃんの隣がいいです。』キュッキュッ
「私は部長だからまんな…「いや私樹ちゃんの横がいいので端っこ行ってください。」はい!わかりました!」
「じゃあ私反対の真ん中がいいー!」
「私なら友奈ちゃんの隣ならどこでもいいわ!」
「女6人集まって旅の夜…なにを話すと思う?夏凜。」
「え?そうね…辛かった修行は何か、とか?」
「違う。」
「はい!正解は日本という国の在り方について存分に語る、です。」
「それも違う。」
(そこの二人はマニアックなんだよね…ここはオーソドックスに…)
「オカルト話?」
「絶対ない!じゃ、正解をお願い、樹。」
『コイバナ…?』キュッキュッ
「そう!さすが樹!恋の話よ!」
(…めんどくさっ!?)
「で、では…誰かに恋をしてる人〜…」
「「「『…』」」」キュッキュッ
「ま、まあみんな勇者とかだ忙しかったし…」
「そういう風はなんかあるの?」
「あれは2年生のときだったわ…!」
(それか…)
「!」
「私がチア「それ私でさえもう5回も聞いたんでいいです。」なっ!?」
「それだけしかないのね…」
「あるだけいいでしょ。」
『告られたとかなら、ちひろちゃん結構告られてるよね。』キュッキュッ
「なんですと!?」
「そうなの?ちひろちゃん。」
「…まあ、はい、5回ほど。」
「すごいわね。」
「ありがとうございます、東郷さん。」
「ま、あんた勉強も運動も完璧だからね。」
「それ夏凜さんが言うことじゃないと思いますけど。」
『でもそれだけじゃなくて、学級委員長もやってて、美人で、教えるのもうまい上に人助けが趣味だったら人気出るよ。』キュッキュッ
「ありがとう樹ちゃん。」
「ついでにそれ全部どうしたの?」
「全員興味ないので1秒でフリました。」
『それからちひろちゃんには氷の女王の異名がついたとさ…』キュッキュッ
「一件落着…コンビネーションプレイ!イェーイ!樹ちゃん!」
『そうだね!ちひろちゃん!』キュッキュッ
(ま、ぶっちゃけどーでもいーからね…)
「すー…」
「夏凜ちゃんもう寝てる。」
「昼はしゃいでたからね、夏凜ちゃん。」
『かわいい寝顔です。』キュッキュッ
(ふふっ、戦い方や勇者服だけじゃなくて
「私たちもそろそろ寝よっか。夜更かしは乙女の敵よ。」
(わたしも眠いし…そろそろ寝よ…)
「フッ。」
(んん?今何か寒気が…)
「何か言った?東郷さん?」
「なんでもないよ。友奈ちゃん。」
「それじゃ電気消しますね。」
「はーい、おやすみー。」
『おやすみなさい。』キュッキュッ
「おやすみー。」
「おやすみなさい。」
カチッ
(さて、さっさと寝よ…)
「あの日も、こんな感じの暗いジットリとした夜でした・・・。」
「「「「!」」」」
「東郷さん!?」
(そうだ!東郷さん=須美さん、須美さんも合宿のとき怖い話してたー!!)
「その男は帰りを急いでいました。でも、家への近道をしたのが間違いだったんです…。お墓のところを通った辺りから自分をつけてくるような足音が聞こえてきて…。」
「はわああっ! 何でこのタイミングで怪談を!?」
「ちょっ! そういうの私苦手なのよ!」
「私は平気ですけど…ふぁああ…」
「男は思い切って後ろを振り返ることにしたんです。すると・・・!」
そのとき、下半身になにかが突然抱きついてきました。
(ナニコレムリーーー!!!)
「ひゃあああああ!!!!」
「「「きゃあ!」」」
「どうしたの!?ちひろちゃん。」
「なにかが突然下半身に〜!!…樹ちゃんか!よかった〜!怖かったよ〜!…いいよ!樹ちゃんはあの話が怖かっただけでしょ?悪くないよ〜!風さんなら蹴り飛ばしてるけど〜!!」
「ちょ!?ひどくない!?」
(無理!一人じゃ眠れない!)
「怖いから抱き合って寝ようよ〜!樹ちゃん〜!」
コクコク!
「仲間はずれにしないで〜!」
「うぇあぁ! うるさい…。」
「「「すいません〜…」」」
ーーー真夜中ーーー
ーーー夏凜sideーーー
(ん?あれ…いつのまに寝てたのかしら…私…)
「ん…?風…人の腹枕にするって…どんだけ寝相悪いのよ…自分の布団に戻りなさい…」
「…女子力コンビニで売ってないかな…?」
「まったく…」
ギュッ
「うわっ!?」
「むにゃむにゃ…樹…治ったんだね…よかった…」
「っ!…仕方ないわね…」
(でも…布団向かい合ってるのに横に来るってどんだけ寝相悪いのよ!?)
ーーー翌朝ーーー
ーーー友奈sideーーー
「ふわぁ〜あれ…?」
(東郷さん…どこだろう…?)
周りを見回すと夏凜ちゃんと風先輩、樹ちゃんとちひろちゃんがそれぞれ抱き合って寝ていました。
「くすっ、みんな仲良しだね。」
(あ、東郷さん。窓際にいる。きれいだな〜。)
「東郷さん、おはよう!」
「友奈ちゃん、おはよう。」
「肌身離さず持ってるよね、そのリボン。」
「私が事故で記憶を失った時に握りしめていたものだって…。」
「誰のものかもわからないけど、とても大切な物。そんな気がするから…。」
「そっか…。」
「海を見てたの?起こしてくれれば良かったのに〜」
東郷さん
「考え事をしていたの。ねえ、友奈ちゃん。」
「ん?」
「バーテックスって十二星座がモチーフなんだよね?」
「そう聞いたよね。」
「でも星座って他にもいっぱいあるでしょう?」
「ああ、夏の大三角形座とか!」
「そんな星座ないよ、友奈ちゃん。」
(あれ?なかったっけ?)
「えへへ…」
「ねえ、本当に戦いは終わったのかしら…?」
(髪型整えてあげよっと!)
「考えてもしょうがないと思う。なにかあったらその時はその時。大赦の人たちが大丈夫って言ってくれたんだもの。なにより神樹様がついてるし。」
「そうよね。一人でいると、つい悪い方向に考えちゃって…みんなといると、そんなことも忘れられるんだけど。」
「悩んだら相談!だよ!」
「でも、こんなこと相談されても困っちゃうでしょ?」
「そんなことないよ!一人でいると悪いこと考えちゃうなら、今日はずーと東郷さんといよっと!」
「ふふっ、ありがとう、友奈ちゃん。」
よし、髪もできた!
「東郷さん、この髪型どう?」
「わぁ…今日この髪型で行こうかな。」
「お、気に入ってくれた?」
(やった!嬉しいな!)
「ふふふっ!」
「あははっ!」
「朝ごはんまでまだ時間あるけど、友奈ちゃんどうする?」
(そうだな〜)
「私も起きてるよ。ここにいる。」
「うん。」
ーーー夜ーーー
ーーー樹sideーーー
今は久しぶりのうどんを食べてます。
「ご馳走もいいけど…」
『うどんが恋しくなるね。久しぶりのうどん、おいしいよ。』キュッキュッ
「ありがと。家に帰るまでが旅じゃないね。うどん食べて初めて締めに…」
プルルルル
「お?」
メール…のようなのですが…見たお姉ちゃんの顔から笑顔が消えます。
(大赦からかな?でもなんで?)
「あらら、ごめん、樹。ちょっと行ってこなくちゃ。先食べちゃっててね。」
『いってらっしゃい。』キュッキュッ
ーーー部室ーーー
ーーー風sideーーー
私は今、大赦から呼び出され、部室に来ていた。
(もーう、久しぶりだからあと5杯は食べようと思ってたのにぃ…)
「あ、風。」
「ん?夏凜じゃない。あんたも大赦に?」
「ええ。」
置かれているバッグを開ける。
中にはスマホが入っていた。
そしてその瞬間、待ってましたと言わんばかりに狗神が飛び出してきた。
「わぷっ!?ちょ、くすぐったいって!」
「まったく…どれどれ…『敵の生き残りを確認。次の新月より四十日の間で襲来。部室に端末を戻す。』だって。」
ビュオオオオ
(ん?やっと狗神を引き剥がしたのに…)
「今度は何?」
でてきたのは尻尾が鎌になっているイタチの精霊だった。
「なによそれ。風。」
「私の新しい精霊…?」
コク
鎌鼬が頷く。
「左目が疼いてきそうね…」
「あんた本当に中二病なんじゃない?」
「違うわよ!」
そして、私はこう言った。
「まだ戦いは…」
ーーーちひろsideーーー
「マジか…」
今は誰もきてない。
さっきお母さんからメールが返ってきた。その内容が…
『ちひろ。元気にしてますか。風邪ひいてませんか?私たちは今でも何かちひろとの思い出を思い出せないかと頑張ってます。そしたらなんと!あなたが小さい頃に「ちーちゃん」と呼んでいたことを思い出すことができました!他のも思い出せないか努力を続けます。』
「ふふっ、思い出すとこ他なかったのっつーの。」
『本題に入るけど、どうやらバーテックスに生き残りがいたらしいの。無茶しないでね。あ、あと今度またお友達との写真送ってね!』
「まだいるなんて…」
(双子座がもとから2体いたとかそういうオチだろうな…ていうか本題の方が他より少ないし。母さんらしいや。)
「ともかく…戦いは…」
「「まだ終わってなかった。」」