ーーー翌日ーーー
ーーー風sideーーー
(私たちの戦いは夢物語だったわけじゃない。それは、実際に大きな被害が出てることからもわかる。)
「起立!礼!神樹様に!拝!」
(だがたしかに、私たちが取り戻した日常だ。)
ーーー1週間後ーーー
ーーー東郷sideーーー
「ふぁああ…」
(?脚に違和感を感じる…)
スタッ
フラッ
バタッ
「…!」
(少し…動かせた?)
ーーー風sideーーー
(さて、おいしくな〜れ〜おいしくな〜れ〜!お、樹?一人で起きれるなんて珍しいわね。)
「もうすぐできるからねー、座って待っててー。」
「お…」
「っ!?」
(今…声…)
「お、おね…お姉…ちゃん…」
「っ!!」
(樹の声が…!)
「本当に…本当に…取り戻した…治るんだ…私たち…!」
「ぅん…うん…」
ーーーちひろsideーーー
(さて、犬吠埼姉妹を迎えに行きますかね。)
そのとき、隣のドアが勢いよく開いた。
「!?」
「ちひろ!!見なさい!!」
「ち…ひろ…ちゃん…ぉは…よう…」
「!!」
「戻った!戻ってくるのよ!」
(そうか…戻って…くるんだ…)
「よかった…樹ちゃん…本当に…」
「うん…!」
「で一つだけ、いいですか?」
「な、なに…?ちひ…ろちゃん…」
「ん?なんか変なとこあった?」
「…私、両耳散華してるんでさっぱりわからないんですけど。」
「…ぁ。」
「そうだったぁぁぁ!!じゃなんでこんな普通に会話できてんの!?」
「読唇術です。」
「普通の人使えないわよ!?」
「小6のとき学校行ってないで暇だったから覚えました。」
「学校行こうよ!?」
「まだ住民票出てなかったんで。」
「そうだったー!!」
「ということでできればスケッチブックが好ましいな、樹ちゃん。」
「ゎかった…!」
「ということで、私は樹ちゃんと話しながら行きたいので車イス押してください。風さん。」
「なんでそうなるのよ!?」
「暴走。」
「うっ…わかったわよ!やりゃあいいんでしょ!」
『ヤケクソみたいになってるよ、お姉ちゃん…』キュッキュッ
ーーー1週間後・夕方ーーー
ーーー風sideーーー
「夏凜あんた、樹や東郷よりも早く治ってきてたのね、目と耳。」
「まだ本調子までは行ってないけどね。大赦からの連絡もあれから一方通行。返信もできない。どうなってるんだか…」
「私たちは神樹様に解放してもらえたのよ。」
「もう必要ないのね…」
「不安?」
「全然。」
「なにそれ。」
「笑うな!」
「だけど、外の世界があんななのは変わらないわ。私らの戦闘データが役に立ってればいいけど…」
「私たちの戦いは無駄じゃなかった。だから神樹様は供物を求めなくなったんだしね。」
「あとは後輩たちを信じて任せるしかないのね。」
「でも「勇者部は不滅、でしょ?」言われたー!!」
「「あはは…」」
ーーーちひろsideーーー
「だいぶ耳聞こえるようになって助かったよ〜、本当に。」
「わたしは…脚からの方が…よかったとおもうけど…」
「いいの、だって樹ちゃんの声が聞けるもん。」
「そっか…」
「なんで…友奈さんだけ…」
「…」
ーーー風sideーーー
「ねえ…?」
「なに…どうして…友奈だけ…目を覚まさないの…」
「友奈は…一人で頑張りすぎたから…」
「自分を犠牲にしていいなんて…そんなの嫌だ…」
「私もよ…でも友奈がいなかったら…」
ーーー東郷sideーーー
松葉杖で病院を訪れる。
「あ…」
(まだ…戻らないの…?)
「ねえ、友奈ちゃん…外…連れてってあげるね…?」
「今日はね、風先輩がまた変なこと言い出して、ちひろちゃんにしばかれてたの。それで私ね…」
「おーい!」
「みなさん!」
「ごめんごめん、遅くなった。」
「だって風さんと夏凜さんが随分話し込んでるから…」
「うっ!」
「大丈夫ですよ。」
「こんにちは、友奈さん…これ…押し花…」
でも、友奈ちゃんは返事をしてくれない。
「…ちくしょう…」
「私は…一番大事な友達を…犠牲に…!私があんなことを…」
「言うな!」
「須美さん!」
「言うな…誰も悪くないってみんなで話しあったでしょ…」
(友奈ちゃん…)
ーーー文化祭30日前ーーー
「さて、もう文化祭までまもなくね。今後のことなんだけど…」
「あの…友奈ちゃんの役、そのままにしておきたいです。」
「東郷…」
「私の脚だって治ってきてるんです!友奈ちゃんもきっと…」
「東郷の言うとおりだよ。なんか、割り切っちゃうのは私も嫌だ。」
「私だって割り切ってなんか…」
「お、お芝居の…練習を続けよう。友奈さんなら、っと、きっと…」
「いざって時は私が代役務めるんで、私が友奈さんだって想定で練習すれば万事解決ですから。」
ーーー文化祭25日前ーーー
ーーー東郷sideーーー
「勇者は傷ついても傷ついても決して諦めませんでした。全ての人が諦めてしまったら、それこそ世界が闇に閉ざされてしまうからです。勇者は自分がくじけないことが皆を励ますのだと信じていました。」
ーーー風sideーーー
家で眼帯を取ると…
(見える…!両目とも…ちゃんと…!)
「大丈夫?見える?お姉ちゃん。」
「うん!戻った…戻ったよ…!」
ーーー文化祭20日前ーーー
ーーー東郷sideーーー
「そんな勇者をバカにするものもいましたが、勇者は明るく笑っていました。意味のないことだと言うものもいました。」
友奈ちゃんへのしおりは3枚になっていた。
ーーー夏凜sideーーー
「はあっ!てやっ!」
(私の体だってもうほとんど治ったんだ!友奈だって!)
ーーー文化祭15日前ーーー
ーーー東郷sideーーー
「それでも勇者はへこたれませんでした。みんなが次々と魔王に屈し、気づけば勇者はひとりぼっちでした。勇者が一人ぼっちであることを誰も知りませんでした。」
ーーー樹sideーーー
「〜〜〜♪♪♪」
カチッ
「どうだった?」
「バッチシグー!だよ!」
「やった!」
ーーー東郷sideーーー
「面会終了時間です。」
「はい…」
(友奈ちゃん…)
ガチャ
「ひとりぼっちになっても…それでも勇者は…」
ーーー文化祭10日前ーーー
友奈ちゃんへのしおりは6枚になった。
「それでも勇者は戦うことを諦めませんでした。諦めない限り、っく…希望が終わることはないから…っです…ひっく…何を失っても…ひっく…それでも…それでも…ひっく…私は…一番大切な友達を…失いたくないっ!嫌だ…嫌だよ…寂しくても…辛くても…ずっと私と一緒にいてくれるって言ったじゃない!ううっ…」
ーーーちひろsideーーー
「須美さ…須美さん…」
須美さんは…泣いてた…台本に顔を埋めて…
「ちひろちゃん…また今度来よう…」
「うん…そうだね…」
そのときだった。
「とう…ごう、さん。」
「っ!!」
「!今の声って…」
「一緒にいるよ…ずっと…」
「友奈ちゃん!」
「友奈さん!」
「東郷さん…聞こえてたよ…東郷さんの声…みんなの声…」
「友奈ちゃん…おかえり、友奈ちゃん。」
「ただいま。」
「…樹ちゃん、このまま帰ろっか!」
「うん、友奈さんと東郷さんだけで過ごさせてあげよう。」
ーーー文化祭8日前ーーー
ーーー東郷sideーーー
「じゃーん!結城友奈、ご心配おかけしました!」
「友奈!」
「「友奈さん!」」
「ちょ、早くない!?」
「友奈ー!」
「わっ!いたた…」
「あ、ごめん…」
「くすっ。」
ーーーいつもの道ーーー
「みんな無事でよかったねー。」
(もう、友奈ちゃんが一番無事じゃなかったのに…)
「心配したんだから。もう目覚めないんじゃないかって…」
「わ、私は心配してなかったけどね。」
「ふふふっ!」
「ツンデレだ〜にぼっしーがツンデレ発動してる〜」
「ちひろうっさい!!」
「私ももう無理だと思ったんだけどね。そこは…えっと…」
「えっと?」
「根性で!」
「根性?」
「えへへー。」
(ふふっ、友奈ちゃんらしい。)
「神樹様が助けてくれたんでしょうか?」
「…」
(違う、きっと…)
「東郷さん?どうしたの?」
「それは、きっと違うよ。」
「「え?」」
「友奈ちゃんは自分の力で戻ったんだよ。奇跡や神の力なんかじゃない。友奈ちゃんは自分の意思で、根性で戻ってきたんだよ。」
「うん。そうだね。ありがとう。」
「っ!!」
(友奈ちゃん…!)
「私を待っててくれて。」
「…うん!」
(こちらこそありがとう…戻ってきてくれて。)
「さあて!みんな揃ったことだし!久しぶりにかめや行こう!いい加減そろそろ食べたかったのよ!」
「「風さん(お姉ちゃん)1週間前にも行ってたよね…」」
「ギクッ!なぜそれを!?」
「「偶然通り過ぎたときに見た。」」
「あんたねぇ…」
「ふふっ」
「あははっ!」
ーーーかめやーーー
「はーい、おまちどうさまでーす。」
「ありがとうございます!」
「じゃ!いただくとしましょう!」
「「「「「いただきます!」」」」
「はむっ!あ…味が…する…!」
(そっか…味覚…戻ったんだね…)
「美味しい!うん!美味しいよ!」
「あ、ところで友奈。」
そういって風先輩が取り出したのは台本。
「もうすぐ文化祭だけど劇、出る?」
「!ズルリュリュッ!はい!もちろんです!」
ーーー文化祭6日前ーーー
ーーー部室ーーー
「こんにちはー!あれ?樹ちゃんとちひろちゃんは?」
「ああ、あの二人?今日は来ないわよ。」
「どうしてですか?練習合わせていきたいところなのに…」
「ちょっとね…」
ーーーちひろsideーーー
「まだー?樹ちゃん。」
「着いた!もう目隠し取っていいよ、ちひろちゃん。」
私は今目隠しをつけられ、どこかに連れて来られていた。
そして、目隠しを取る。
「え…ここって…私の家…」
なんとそこは私の家でした。
「失礼しまーす。」
「えっ!?ちょっ…」
・・・・・
「ちーちゃん…!」
「ちひろ…!」
「えっ…?」
そこには両親がいた。
当然ではあるが。
(ちーちゃんって私が小さい頃に母さんが呼んでた名前…)
さらには…
「「「「「「ちひろちゃん!」」」」」」
「「「「「「ちひろ!」」」」」」
「え…?なんで…?」
神樹館の時に友達だったみんなもいた。
「ちひろちゃんが忘れられてたのだって供物だったんでしょ…?そしたら戻ってきてるんじゃないかって思って月夜さんに協力して集めてもらったの。」
「母さん…父さん…みんな…私のこと…覚えて…るの…?」
『もちろん!!』
(そうか…戻って…来たんだ…私にも…戻ってきたんだ…!)
「みんな…ひっく…ただいま…!」
『おかえり!』
ーーー樹sideーーー
「うわぁああん!!ひっく、うあああん!!」
「ちひろ!泣いてないで何で遊ぶ?色々持ってきたよ!」
「忘れて…ごめんなざいー!!」
「もーみんな落ち着いて!」
(ちひろちゃん…よかったね。)
「あなたがちひろのこと助けてくれてたんですよね?ありがとうございます。」
「いえ…私も助けられてばっかだったので…」
「あなた…本当に良かった…!」
「おまえまで泣くな。今は喜ぶ時間だろ?」
「はい…でも…でもぉ!」
「まあまあ。」
ーーー文化祭当日ーーー
ーーー友奈sideーーー
今は劇の真っ只中!
お客さんもいっぱいです!
「がーはっはっはっ!結局世界は嫌なことだらけだろう!辛いことだらけだろう!お前も見てみぬフリをして堕落してしまうがいい!」
「嫌だ!」
「あがくな! 現実の冷たさに凍えろ!」
「そんなの気持ちの持ちようだ!」
「なに!?」
「大切だと思えば友達になれる。互いを想えば何倍でも強くなれる。無限に根性が湧いてくる!世界には嫌なことも悲しいことも自分だけではどうにもならないこともたくさんある!だけど、大好きな人がいれば挫けるわけがない! 諦めるわけがない!大好きな人がいるのだから!何度でも立ち上がる!だから!勇者は負けないんだ!」
剣を構えて私は走り出し、風先輩に振り下ろす。
それに合わせて風先輩も倒れる。
(よし!うまくいっ…)
クラッ
(あれ…力が抜けて…)
「友奈ちゃん!」
「友奈!」
「友奈さん!」
「友奈!」
「友奈さん!」
「あ、あれ…?ごめん!ちょっと立ちくらみ。もうだいじょう…」
パチパチパチパチ
「「「「「「っ!!」」」」」」
(良かった!劇、成功した!!)
ギュッ
(東郷さん…!)
ギュッ
(そう。なんだって乗り越えられるんだ。大好きなみんなと一緒なら!)
その後発行された讃州中学新聞。
その見出しには、
『怪我にも負けない不屈の勇者。』
という文字とともに大きく一枚の写真が載せられていた。
その写真でみんなが持ってる看板にはこう書かれていた。
明日の勇者へ
讃州中学勇者部
ーーー結城友奈の章・完ーーー
はい、これにて結城友奈の章完結です。
超蛇足更新なってしまいました…楽しみにしていただいた方々には申し訳ない…
…というか見てくれてる方いるのだろうか…笑
これからも忘れなければちゃんと投稿する予定です…忘れなければ。
日常編を少し挟んで勇者の章へと参ります。
疑問に思ったことも多くは解消されるかと思うのでお楽しみに…