園子の帰還
ーーー文化祭から1週間後ーーー
ーーー通学路ーーー
ーーー友奈sideーーー
あれからみんなの体はほとんど完治しました!(私は少し戻ってくるのが遅かったから今でも立ちくらみしたりするけど!)
「んー!気持ちのいい朝だね!東郷さんのフットワークが機敏になったから朝起きがはかどるよ!」
「友奈ちゃんにはいっぱい助けてもらったから…少しでもお返ししないと!」
(東郷さん…私の方こそたくさん助けてもらってるよ…)
「いや〜昔も今も助けられっぱなしだよ!」
「友奈ちゃん、体、今日は大丈夫?」
「うん、今んとこ元気そのものだよ!」
「何かあったら言ってね。悩んだら相談、だから。」
「うん!東郷さんも、悩んだら相談!だよ!」
(…やっぱり東郷さんって…)
「?どうしたの?友奈ちゃん。」
「東郷さん私より身長が高いから…ときどきドキッとするんだよね!立って並んだときの目線が斬新っていうか…」
「わかるわ。私も時々ドキッとするもの。」
(東郷さんも?息合った!)
ブウゥゥン
「!?これって大赦のマークがついた車…?」
「…お咎めなしだったのが都合良すぎたのよね…」
(そんな…)
「き、きっと違うよ東郷さん!これは…」
でも、車からは私たちのそんな心配をかき消すような声が聞こえてきました。
「こんにちは〜二人とも〜」
(あれ?この声どっかで聞いたことあるような…?)
「この声って…」
そして中から出てきたのは…
「じゃじゃ〜ん!乃木さん家の園子で〜す!今日から同じクラスだよ〜!よ〜ろし〜くね〜!」
くるくるっ
園子ちゃんが回転する。
(えっ?えっ!?どういうこと!?)
「そのっち…」
「へいへい、わっしー!園子だよ〜!」
「そのっち…!!」
「驚いてる驚いてる〜!サプライズ大成功〜!」
「そのっち!!」
ギュッ
「わっ!?ちょ、ちょっと、わっしー…みんな見てるんよ…」
ーーー教室ーーー
「スピ〜スピ〜」
「転校初日に寝てるとか本物のそのっちね…」
「え?え?どうなってんのよ、これ…」
「おはよう!夏凜ちゃん!東郷さんも知らなかったんだって。」
「それにしても美人よね、お人形さんみたい。」
「だって小学校は神樹館でしょ?お嬢様よ。」
「それでいったら、この学校3人も神樹館出身がいるってすごいよね…」
「たしかに…」
(園子ちゃん…すごい人気…!)
ーーー部室ーーー
ーーーちひろsideーーー
(今日は2年組遅いな…どうしたんだろう?)
「友奈!ただ今到着しました!」
「勇者部入部希望の園子だぜー!!」
「風先輩、遅れました。」
「普通掃除中に寝ないでしょ…」
「はーい、べつにいいわよー…って乃木園子!?」
「よかった…なにかあるかと…って園姉!?」
「2年前に大橋の方で勇者やってたんだぜ〜!
改めてよろしくお願いしま〜す!」
(え?え?園姉!?なんで!?)
「あ、ちっひー…ひっく、ごべんねー!!!」
ギュッ
「!?園姉!?」
「そのっち!?」
(なんで抱きついてきたの!?てかなんで泣いてるの!?)
「わだし…あのとぎちっひーのぎもち…わがっでだきでいだ…でも全然わがってながった…あんなわずれてたなんで…全然わがってながったよ…ごべんね…ちっひー…」
(園姉…)
「もう…思い出してくれたんだったらいいんだよ…園姉が泣くからこっちまで涙出てきたじゃんか…」
「…よかったね、二人とも。私もまたそのっちと勉強できるから嬉しいわ。」
「授業中に寝てたら注意してね〜」
「切り替え早っ!?」
「寝ないように注意しなくちゃダメよ。」
「東郷さんがお母さんみたいになってる…」
「お願いします須美さん、私学年違うんで…」
(ていうかすぐ泣きやめれるんだったら…)
「わざわざ泣くなっ!」
ゴーン
「ヘブシッ!」
私の手刀を食らって園姉は倒れる。
「いやこれいいの!?」
「いいです。もう起き上がってるんで。ほら。」
「リハビリが済んでかなり動けるようになったから通学することになったんだ〜でどこ行くかって聞かれたから当然わっしーとちっひーがいる讃州中学に決まってるよね〜!」
「ほ、ほんとだわ…先代勇者恐るべし…ま、偉大な先代勇者を歓迎します、乃木さん。」
「乃木とか〜園子でいいですよ〜部長〜」
「もう部長と呼んでくれるのか!誰かさんとは大違いね。」
「誰かって私のことかしらぁ?」
(事実じゃない。)
「ま、事実ですけど。」
「ちひろは黙ってなさい!」
「三好さん、お兄さんとは何度か会ったよ〜」
(あ、あの完璧超人。)
「え!?えっと…兄がお世話になりまして…」
「敬語じゃなくていいよ〜同級生だし。私もにぼっしーって呼ぶから〜」
「誰!それ教えたの!」
「私に決まってるじゃないですか〜にぼっしーさん♪」
(ま、私じゃないけど。)
「ちーひーろー!」
「なんつって♪」
「いや、二人ともここで会ったばっかなんだから言えるわけないでしょ。東郷しかいないしょ。」
「しっかし乃木か。あえて苗字呼びがしっかり来そうね。東郷がいるんだし。乃木と東郷とか、なんだかカッコいいわ。」ボソボソッ
「お姉ちゃん心の声漏れてるよ…」
「…確かに似てるね、ミノさんに。」
「散華した時も、自分より私のことを心配してくれてたって…そういうところも似てるわ。」
「…?そこまで似てますかね?戦いのときのとことかはそっくりさんだと思いますけど…銀さんツンデレじゃなかったですし。」
「ま〜ま〜ちっひー。」
「言葉のセレクトが明らかにおかしいですけど?」
「い、犬吠埼樹です!よ、よろしくお願いします!」
「樹が自分から挨拶に行った!見た?見た!?」
「はいはい、いちいち騒がないの。」
「第一それ樹ちゃんに失礼です。」
「こうして妹は大きくなっていくのね…よよよよ。」
「何言ってるかわかります?夏凜さん。」
「さっぱりだわ。」
そんな一方で…
「よろしくね、乃木園子だよ、いっつん。」
(あー、いつものアレか…)
「い、いっつん!?」
「ごめん樹ちゃん、恒例行事だから。」
「そのっちは変なあだ名をつけるのよ。」
「いいじゃない、いっつん。」
「マシな方だね…」
「他にもイツキチとか、イツエモンとか…」
「いっつんでお願いします!」
「友奈ちゃんはゆーゆかな。」
「素敵!じゃあ私は園ちゃんとか。」
「おー、それでお願い!」
「うん!」
(この二人波長合っとる…)
「友奈さんと園子さん、息合ってる…」
「でも乃木は勉強大丈夫なの?ずっと学校から遠ざかってたんでしょ?」
「数週間で取り戻すので大丈夫です。部長〜」
「取り戻せるもんなんだ。凄いわね。」
「ん?園姉どこ住むの?」
「…」
「おーい、ちひろが聞いてるわよー!乃木ー!」
「あ、これぼーっとしてるだけです。そのっち、そのっち!」
「ああ、わっしー、ちょっと考えごと〜昇降口で飼ってる魚たちとお話しできたら面白いな〜って。」
(くだらないこと考えてないでさっさと答えてほしいな〜♪)
「そんなこといいからさっさと答えて♪園姉?」
「乃木ー!逃げなさーい!ちひろがやばい笑顔なってる!あかんやつなってる!」
「駅前に大赦がマンション借りてくれたからそこに住むよ〜」
「ひ・と・り・で?」
「うん〜」
(いや、絶対。)
「無理でしょ。」
「ちっひーひどい〜!」
「だって園姉いっつも私に起こしてもらってたよね!?てか家事できないじゃん!無理でしょ!」
「ひどいな〜料理とかできるよ〜」
「どっちにしろ栄養のこととか考えないよね!?不安しかないから!」
「じゃあ〜どうしろって言うのさ〜♪」
「そのっちわざとね…」
(そんなの一つしかないよ。)
「私と住めばいい。」
「えっ!?」
「想定外だったのね…」
「ということでものずらすのよろしくねー。うん、じゃ、切るから。」
「ちひろちゃんいつのまに電話してたの…」
「しまった!?」
「そのっち…」
「ということで風さん、樹ちゃん、お隣さん一人増えるから。」
「うん!よろしくお願いします!園子さん!」
「よ、よろしく…」
「いっつん適応早い〜ここでは新入りなので頑張りま〜す。」
「あんたも切り替え早いわよ…」
「分からないことがあったら聞いてね!園ちゃん!」
「ゆーゆ〜」
「園ちゃん〜」
「ゆーゆ〜!」
「園ちゃん〜!」
ツッタタツッタツッタッタ
何故か踊っていた。
(この二人波長合うのは完全に想定外だった…)
「これはまた濃い新人が入ったものだわ…」
「…」
(?夏凜さん?あ、友奈さんと園姉が仲良くしてるから羨ましいのか。)
「どうしたの?夏凜ちゃん。」
「べ、べつに!?なんでもない。」
「「ツンデレってるわね〜(ますね〜)」」
「ちょ!?」
「よーし、今日はかめやで歓迎会よ!」
「スルーすんな!」
「うどんですよね〜?部長〜」
「もちろん!部員が増えたから店員さんも喜ぶワ。」
ーーーかめやーーー
「うっ…園子さんの所作はちひろちゃんや東郷さんのそれにも匹敵する優雅さです…」
「うどんを食べる日常風景がここまで絵になるって凄いよね。」
(そうなの…かな?神樹館では普通だった気がするけど。)
「え、えっと…そ、園子は…」
「うん、その呼び方でお願い〜にぼっしー。」
「実家は大橋の方なのよね…?上里家と同じで。」
「うんうん、てかお隣さんだね〜小さい頃からちっひーとはよく遊んでたんよ〜」
「お姉ちゃん感覚でしたね。」
「だから園姉なんだ…」
「そのっちは供物も返ってきたし、もう祀られることはないんでしょ?」
「もっちろん!でも家が家だし大赦の人はとてもよくしてくれるよ〜」
「乃木は上里と並んで最高位家の1つだからね。」
「今度誰か祀ったら速攻で潰すけどね♪」
「ちひろちゃんそれはマズイよ…」
「大赦から何かメッセージはある?」
「今まで通り生活してだって。」
(怪しい…)
「みんなの奮闘のおかげで2、3年くらいはバーテックスが来ないと考えられてるからね〜心配ないよ〜ちっひー。」
「さすが園姉。」
「嘘!?私なんか50回に一回当たるかどうかだってのに!?」
「時間が違うよお姉ちゃん…」
「今は溜まってる依頼片付けちゃいましょう!」
「ま、そうね。乃木は何が得意なの?」
「…」
「またぼーっとしてるわね…」
(いや、夏凜さんこれは…)
「考えてますね、ぼーっとはしてない。」
「嘘!?」
「わっしー、ちっひー、私って何が得意なの〜?」
「文章系とかじゃない?考え方が独特だけど。」
「芸術方面に強いと思うわ。ただとんがってて一般的に通じるかわからないけど。」
「あたしタイプか…」
(それは絶対。)
「「違うと思います。(思うよ…)」」
「「あ、息合ったね!イェーイ!」」
「そういえば、園ちゃんの精霊はなんだったの?」
「鴉天狗とか〜枕返しとか〜いろいろいたね〜」
「ふっ!人型はわたしだけだったようね。」
「外道め。」
「友奈ちゃんそれ似てる。」
「甘やかしすぎでしょ!風、お手本を見せてやりなさい。」
「唐突に振ってこないでよ…こほん、諸行無常。」
(えっ!?)
「似てる…」
「お姉ちゃんすごい似てるよ!」
「ふん!どんなもんよ!」
「嘘…恥かかせようと思ってたのに…」
ーーー夜ーーー
ーーーちひろ家ーーー
「ほんとにずらされてる〜!」
「当たり前でしょ。全く、めっちゃびっくりしたんだから。」
「でも、嬉しかったんだよね?」
「…そりゃそうだけど…」
(お姉ちゃん来たら誰だって嬉しいもん…)
「はいこれちっひーに。」
「これって…勇者システムのスマホ!?」
「ちっひーのだけアップデートもうまくいかなくて他のより強化されたんだって〜勇者アプリは自分でアンロックしない限り樹海化にも巻き込まれないらしいし大丈夫だよ〜あ、これ春信さんが言ってたから。」
(春信さんなら納得。)
「アン!」
「ウー!」
「チュッ!」
「も〜も〜」
「ガウ!」
「キャッ!」
「リュ〜」
「シャ?シャッ!」
「ヒヒン!」
「メ〜」
「みんな!って増えてる!?」
「謎だね〜」
「ま、餌また買わないと…」
「みんな〜乃木園子だよ〜よろしくね〜!」
『ハウ!』
「なに今の〜?」
「全員が息合ったときの声。」
ーーー翌日ーーー
ーーー東郷sideーーー
今日はそのっちが遊びに来ていた。
今日は気を使ってくれたのか友奈ちゃんも遊びに来ない。
「う〜ん、なんともわっしーらしい和風たっぷりなお部屋だね〜」
(だって…)
「和であればあるほど落ち着くのよ。」
私たちは積もる話をした。
大切な友の話やこれからの未来についての話など、たくさん、たくさん語り明かした…
ーーー風sideーーー
(うーん、どうしたもんか…)
「お姉ちゃんどうしたの?」
「ああ、樹?ちひろとマイハザしてなかったっけ?」
「私は途中でやられたの。ちひろちゃんはまだやってる。で、どうしたの?」
「このお皿、もういらないかなって。」
「なんで急に?」
「昨日精霊の話が出たからね…供物にされるのは困るけど精霊は私たちを守ってくれてたのよね…」
「仲よかったもんね、お姉ちゃんと狗神。」
「これから役立ちそうなのよね…モフモフだし…戻ってきて欲しいわけではないけど寂しいって複雑だわ…」
「お姉ちゃん、わたしモフモフしてないけどあっためることならできるよ。」
「…ありがと。樹、少し背、伸びた?」
「伸びてましたね。」
「ちひろちゃん?マイハザは?」
「ボスで死んだ。ということで今度は3人でクリアしましょう!」
「うん!」
「足手まといなりそうだけど頑張りますわ…」
ーーー夏凜sideーーー
(たしかにもうお役目は終わったのかもしれない。でも私は大赦の人間。)
「いつお呼びがかかるか!分からない!壁の外が!あんなである以上!じっとしてなんかいられない!」
「夏凜ちゃーーん!!」
「友奈!?」
ズルッ
「うわ!?」
また転びかけるが
ガシッ
そこはきちんと私がキャッチする。
「今度は受け止めてあげたわよ。」
「えへへ、ありがとう。ちょっと立ちくらみ。」
「また?気をつけなさいよ。もう。」
(友奈だけはまだ完治しきってないんだから。)
「ねえ、今日夏凜ちゃん家遊びに行っていい?明日お休みだし。」
(え!?えっ!?それって泊まる前提ってこと!?)
「しょ、しょーがないわねぇ!!」
神世紀300年・秋 勇者部は休息の時を迎えていた。
園子が来たッ!!