ーーーちひろsideーーー
「っ!!!」
ダダダッ
友奈さんが走り去る。
「友奈ちゃん!」
「ゆーゆ!」
ダダダッ
須美さんと園姉もそのあとを追う。
「うっ…うう…」
「っ…」
「友奈先輩が追い詰められてるのもわかる…わかるけど…!」
「くそっ!こんなとき、どうするのが正解なのよ。」
「さあね…私も冷静さを欠いてたわ…ごめんね、ちひろ。」
「いいですよ、べつに。」
ピロリン
(ん?メール?)
「…これは…!」
ーーー東郷sideーーー
(校内のどこにもいないわね…どこにいるの…?)
「あ、そのっち!」
「わっしー!いた?ゆーゆ。」
「いなかったわ、そっちは?」
「こっちも。隠れちゃったのかな?」
(そうだ!レーダー!)
「レーダーを見たら自宅に反応があるわ!」
「おお!行こう!」
ーーー友奈家ーーー
(友奈ちゃん…友奈ちゃん!)
「ただ、一気に話すとゆーゆが落ち着けないだろうから、冷静に話そう?」
(そのっち…さっきは私も冷静さを欠いてた。それが友奈ちゃんを傷つけてたのなら…申し訳ないわ…)
「そうね。」
ガチャッ
「よし、入りましょう。」
「あれ〜?なんか今手慣れてたような〜?気のせいかな…」
「いない…」
「あ、ゆーゆのスマホ…」
(ほんとね…)
「反応はこれだったの…」
「横には勇者御記…意味あるだろうね。」
(そうに違いない…)
「開いてみましょう。」
そこには一文のみ書かれていた。
『みんな、色々ごめんなさい。私は行きます。』
「っ!ゆーゆ…」
(そんな…)
そのとき
ブーブー
「ん?誰だろ〜?」
『大赦本庁』
(え!?)
「大赦!?」
「…もしもし。」
ーーーちひろsideーーー
「英霊碑に!?わかったわ。」
「誰だったんですか?」
「園子よ。大赦が英霊碑に来いって。」
(っ!?大赦が!?)
「行きましょう。そこに友奈がいるかもしれない。」
「…そうですね。行くしかない。樹ちゃん、大丈夫?」
「うん…いつもと立場逆になっちゃった…」
「いや私いつも泣いてないよ…」
「あはは…」
「そうね。行きましょう。竜治はどうする?おんぶしてくか?」
「ええ!?電車乗っていくんで先に行っててください!おんぶは恥ずかしいです!」
「あ、そう…よし、行くわよ!」
「「「はい!」」」
ーーー英霊碑ーーー
奥には神官が…安芸先生がいた。
(…!安芸先生…!)
「勇者様に最大限の敬意を。」
「やめてください。」
「ここは、歴代の勇者と巫女が祀らている場所。」
「友奈がここに居るっての?」
「まさか!?神婚がもう…」
「友奈様はここには居ません。この場所は話をするには静かだと思ったので。」
「なんだ…ヒヤッとしたわ…」
「私たちは友奈ちゃんに会いに来たんです!」
「友奈さんはどこにいるんですか?」
「今は大赦に居られます。」
(そういうことなら…)
「大赦に乗り込もうそうしよう。」
「そうだね、ちっひー。」
「友奈様から話を聞かれたかと。世界を救う方法は神婚しか残されていません。」
「ええ! 聞かされたわよ!」
「友奈を追い詰めるのはやめて!友奈を返しなさい!」
「私たちが追い詰めたわけではありません。ただ、急ぐ必要があった。ご存知かと。友奈様の寿命はあと僅か。」
「友奈さんの祟りを祓う方法は本当に無いんですか?」
「我々は探りました。友奈様を救う方法を…しかし、無かったのです。外の炎がある限り、友奈様は祟られたまま。」
「調べ不足とかじゃなくて?本当に?」
「もちろんでございます。」
「じゃあ、外の炎をどうにか出来ないの!?」
「いくつかのプランはありました。」
「ならそれをやりなさいよ!」
「しかし、不可能だとわかったのです。」
「なんでそう勝手に決めつけるんですか!」
「もう時間が無いのです。」
(なによ…それ…)
「友奈様はこれより神婚の儀に入ります。」
「ふざけるな!」
「そんなの止めるわ!」
「歴代の勇者様の多くが、お役目の中で命を落とされました。2年前には人類を守るために、三ノ輪銀様が落命。」
「「「っ!!」」」
(…違う。)
「銀様は人類を守ろうと懸命に戦い、見事お役目を果たされ、英霊になられました。」
(違う…)
「友奈様もまた、戦い方は違えど皆のためにその身を捧げようとされています。」
(違う…!)
「それこそが勇者であると理解して…」
「違う!」
「ちっひー…」
「銀さんはそれだけのために戦ってたわけじゃない!みんなの日常を、笑顔を守るためだ!それをそんな風に言わないで!」
「友奈様も同じです。あなた方の日常を、笑顔を守るために戦うのです。」
(違う!絶対!)
「そもそも神婚で私たちはどうなる!?今まで通り行くわけないよね!?あんたらは友奈さんを騙してるだけだ!」
「友奈様には真実のみを述べております。友奈様はそれを理解し、自身で決断なされたのです。」
「それを…私たちに納得しろと…」
「歴代の勇者も巫女も…私たちと同じくらいの年齢なんでしょ…?いつだって子どもたちを犠牲にして生き延びて来たってことじゃない。そんな歪な世界ってあるの!?」
(…そうだ。ずっとこの世界は、子供を犠牲にしてきた…満開なんかより…火の海なんかよりイカれた真実はこんな近くにあったんだ…それに存在すら抹消された勇者だっている…どこまで…腐ってるんだ…)
「それしか方法が無いならば…全てを生かす為にはやむを得ないのです。それが、この時代における人の在り方。」
「そんな…」
(はぁ?そんなことない。)
「やむを…得ない…?」
「そうです…」
「それだったら、ちひろさんのお母さんや春信さんのことはどうなるんですか?今の大赦の在り方に疑問を持って、変えようとしてるじゃないですか!」
「彼女らやあなた方のような考えのものはごくわずか…少数では人の在り方を変えることはできません。」
「そんな…」
「ピーマンが嫌い…」
「っ!園姉…」
「そのっち…」
「だったよね?」
「…」
「すっごく厳しいけど、ふとした時に見せるチャーミングな所が…私は大好きだったよ…」
(園姉…)
「でも今は…もう昔の安芸先生じゃないんだね…」
「そうよ…銀のとき、一緒に悲しんでくれたのに!」
「満開のときだって…反対してくれたんですよね…?あの安芸先生はどこに行っちゃったんですか…」
「東郷…」
「ちひろちゃん…」
「その辛さを知っているなら…」
「もう一人も犠牲なんて求めないよね…安芸先生…」
「あなた達のクラスメイトは、その友達は、家族は…もうすぐ来る春を待ち遠しく思いながら、家でうどんを食べて、温かい布団で寝て、今日も平和な日常生活を送っている…少々の犠牲。このやり方で大部分の人たちが幸せに暮らしているのです。」
「そうですか…もう…あの安芸先生は…どこにもいないんですね…残念です…前のあなたなら…このやり方を最も嫌っていたはずだから…」
「人に押し付けないで、あんたらが人柱になればいい!」
「出来るものなら、そうしています。だが、私達では神樹様が受け入れない。」
「でも、ちひろちゃんのお母さんは今でも!」
「彼女は特例です…もしかしたら、こういうことに怒れるあなた達だから、受け入れているのかもしれませんね…」
そのとき、
ブーブーブーブー
(っ!?これって!?)
「特別警報!?なんで!?」
さらに文字がブレて視認できなくなる。
(なっ!?これって…一体…)
ゴゴゴゴゴゴ
「きゃっ!」
ドテッ
(地震!?)
「樹ちゃん!大丈…うわっ!」
ドサッ
「樹!?ちひろ!?大丈夫!?」
(いったー…)
「おっとっと…」
「なんで急に地震が…?」
「もう来るとは…」
「これは一体なんなんですか!?」
「あなたたちの出番です。」
「なっ!?」
(そんな!?まさか…)
「はめられたのか!?」
「天の神は、人間が神の力に近づいたことに怒り、裁きを下したと言われています。人間が神婚するなど以ての外…」
(まさか…)
「バーテックスが来るの…?」
「いいえ。」
だんだんと空が暗くなっていく。
「これって…なに…?」
そして空が焼け、割れる。
(違う…バーテックスじゃない…)
外の世界から巨大ななにかが進行してくる。
「現実の世界に敵!?」
「そもそも…敵なの…?」
「今まで見たどれよりも…禍々しい…」
ーーー友奈sideーーー
(あれが…天の神…)
「怖くない…怖くない…!」
ーーー竜治sideーーー
「なんだありゃ!?せっかく大橋市ついたってのに…!」
『ーーーーー』
(ん?なんだ今の…なんか思い出しそうな気が…気のせいか。)
ーーー???sideーーー
(いよいよ来たな…)
「安心しろ…みんな…絶対私が全員守る…」
(たとえこの命尽きようと、な…)
ーーー春信sideーーー
「ついに来やがったか…」
(そもそも神婚なんてしなけりゃもう少し時間はあったんだ…とんだ馬鹿野郎どもだと実感したわ…)
「これで我ら一同。神樹様と一つになる。神の眷属として迎えられる。何と幸せなことでしょう。」
(少しも幸せじゃねぇ…)
「隙みて抜け出すか…」ボソッ
(待ってろ…勇者部…夏凜…!)
ーーーちひろsideーーー
「神婚は、友奈様が神樹様の元へ行き、人々の願いの礎となることで契られ、成立します。神婚が成立すれば、人はもう神の一族。人で無ければ襲われない。これで皆は神樹様と共に平穏を得ます。」
(こんなの…友奈さんは望んでない…)
「やっぱり…友奈ちゃんが言ってたことと違うわね…」
「これが最後のお役目。敵の…天の神の攻撃を、神婚成立まで防ぎ切りなさい。」
(…上等だ。)
「やるわ。でも友奈も返してもらう!」
「神婚なんかさせない!」
「好きにしてください。それができれば、の話ですが。」
世界の命運をかけた最後の戦いが、始まる。
最後にお知らせについてですね。実はこの度、Twitterにて小説用の垢を作りました!!@utiyu_yuyuyu です!一応これから投稿のタイミングであちらでも告知する予定ですので…フォローしてもらえるとありがたいです(´・ω・`)
あとできれば感想も…「モチベも何も無いpixivからのコピペっていうこんな単純作業ですら失踪してた人が言うことじゃないと思うの私だけ?」グサッ!!