上里ちひろは勇者である   作:☆ここな☆

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13話 最終決戦 "願い"

ーーー竜治sideーーー

「壁が…消えてく…」

そしてその先には…陸が見えた。

(みんな…やったんだな…!)

「みんな!おつかれ!私たちは…勝ったのよ!!」

『…やったーーー!!』

「戻らないのですか?」

「戻るってどこにですか?」

「勇者部…」

「もうすぐ樹海からもももどってくるでしょう!」

(そうか!)

「ありがとうございます!すぐに!」

「俺が乗っけてってやるよ!」

「春信さん!」

(みんな…!すぐ行く…!)

 

ーーーちひろsideーーー

「はあ、はあ…」

地面に着地する。

(みんな…ありがとう…!)

もうすっかり変身もとけていた。

花びらが世界を再生していく。

(これって…神樹様の…散華?)

ふと見ると、銀さんが消えかかっていた。

「っ!?銀さん!!」

急いで駆け寄る。

「どうしたんですか!?一体何が!?」

「天の神は死んだんだ…私も消えるんだ…」

(そんな!?)

「バーテックスなら消えないらしいけど…私は違う。これは決まってたんだ…」

「ダメです!銀さんまだ須美さんに会ってないじゃないですか!」

「須美…会いたいなぁ…でも…無理みたいだ…ごめんな。」

(嫌だ!嫌だよ!)

「嫌ですよ!せっかく会えたのに!こんなことって…こんなのって!!」

(あんまりだよ…!)

「上里ちひろ、三ノ輪銀。」

(この声って…)

「天の神…?」

「私はその中枢、アマテラス。あなた方勇者には何度も驚かされました。私が作り出した精霊の心を変え、蛇遣竜治の覚醒。そしてついには私やゾディアックを倒した。神樹の心をも動かした。死ぬ寸前になって初めて実感しました。人の力を。」

(…)

「あなた方なら…この世界を任せても、大丈夫かもしれません。なら…」

銀さんが光りだす。

「っ!?何をするつもりですか!?」

「っ…おはよう!」

「銀さん!?よかった…!!」

「私の残る力で銀を完璧な人間にしました。」

「ええ!?そんなことしなくても…!」

「あなた方なら世界をよりよくできる。先人たちの二の舞にはならない。そう信じてます。頑張ってください。今を生きる勇者たち。」

「「…はい。任せてください。」」

 

ーーー友奈sideーーー

(やった…の…?)

神樹様が散華する。

そのときに出た花びらは、世界を火の海から海や地面へと戻していっていた。

「「っ?」」

「これ…」

「いつもと…違う…?」

そして神樹様が崩壊していく。

(私…どうなるんだろう…?)

気づくと目の前に牛鬼がいた。

「…牛鬼ってさ。」

そこまで言うと、牛鬼が光って、花びらになって散っていく。

「ありがとう…さようなら…!」

(牛鬼…!)

そして、樹海化はそこでとけた。

 

ーーーちひろsideーーー

(ここって…讃州中学の屋上だ…)

見ると勇者システムのスマホは割れていた。

「帰って…きた…世界は…?」

「ちゃんとあるね…」

「神樹様は…?」

「散華した…かと。」

「消えたってこと…?」

「たしかにあれは…満開に近かった…ものね…」

「いつもの空…うっ…うう…っ!うっ…」

「どうしたの、友奈ちゃん! 具合が悪いの?」

(もしかして…いやもしかしなくても…!)

「消えてる…」

「なくなったの?紋章。」

「なくなったんですね…よかった…!」

「みんな…みんな、ごめんね…!」

「私の方こそ…ごめんね…」

「夏凜ちゃぁぁぁぁぁん!」

「おかえり、友奈。」

「ただいま。」

「みなさーん!!」

「「竜治君!!」」

「よかった…誰一人欠けずに帰ってきてくれて…本当に…よかった…!」

(竜治君が泣くなんて…)

「私、初めて見た。竜治君の泣き顔。」

「私もだよ、樹ちゃん。レアだね。」

「そうだね。」

「よかった…本当に…!」

「勇者部のみんな、お疲れ様です!」

「ん?誰?」

「っ!?」

「あ、この人はみ…「銀…なの…?」あ、そう

…「そうだよ。ただいま。須美。」中断するのや…「ううっ…ぎぃぃぃぃぃん!!!」「おー、よしよし。」…人のセリフを遮るんじゃないわよ!!」

「ミノさん…よかったね…!」

(須美さん…よかった…)

「スルーすんなぁぁぁぁ!!」

「まーまー、落ち着きなさいにぼっしー。」

「にぼっしー言うな!!」

「場をわきまえてください。」

「夏凜さんこれはさすがに…」

「樹まで!?」

こうして、私たちはありえなかったハッピーエンドへと進んだ。

 

ーーー高嶋sideーーー

(やったね。さすがだよ。結城ちゃん。)

神樹様が散華する。

そのときに出た花びらは、世界を火の海から海や地面へと戻していっていた。

「「っ?」」

「これ…」

「いつもと…違う…?」

そして神樹様が崩壊していく。

(私もほとんど力、残ってないや…でも。)

「牛鬼、お願い。最後に結城ちゃんを地上に送り届けて。」

コクッ

(バイバイ。世界。)

そして私は…

ある場所にたどり着いた。

「ここは…?」

「英霊の広場です。やっとですね。いらっしゃい、友奈さん。」

そこにはひなたちゃんがいた。

「ひなたちゃん…」

さらに

「お疲れ様です。友奈さん。」

「ハロー。300年遅れとは…遅刻しすぎですよ。」

「全くだ!人に頼みごとするときくらい自分ででてきタマえ!」

「球子さんそんなこと言わないであげてください。友奈さんも望んでやってたわけじゃないですから。」

「みーちゃんがそう言うなら私はやめるわ。」

「おい!?歌野裏切るなー!!」

「相変わらず元気だわ…」

「ああ…いつも感心させられる…」

「タマちゃん…アンちゃん…みんな…!」

「ふっ、待ってたぞ。友奈。」

「お疲れ様。よく頑張ったね。」

「おかえりなさい。高嶋さん。」

「若葉ちゃん…オーちゃん…ぐんちゃん…!…ただいま!」

300年、神の役目に縛られていた少女は友との再会を喜んだ。

「ふふ、泣くな。英霊うどん食べるか?」

「若葉さんそれは飲み込めませんね!ここは英霊そばです!」

「うどんだ!」

「そばです!」

「また喧嘩してる…」

「ソーキそば…」

「棗さんもヒートアップさせないで…」

「友奈!あいつらは置いといてお団子あるぞ!食べるか!?」

「うん!」

「土居さんそれは高嶋さんのよ…」

「ひい!なんでもないぞ!」

神樹の加護がなくなった今、彼女たちにはここを相続させるために何度も試練が立ち塞がるだろう。

だが、彼女に今まで以上につらいことは起きないはずだ。

かけがえのない、仲間がいるのだから。

 

 

 

 

 

ーーー数週間後ーーー

ーーー英霊碑ーーー

ーーー安芸sideーーー

『山間部から市街地にかけて発生した大規模火災は…1万ヘクタールにも及び…』

『長引く避難所生活で住民の疲労が蓄積しており、大赦側で今後の対応が問われ…』

『では、壁の外のことを大赦は昔から知っていたと?』

『ご覧ください! 本土は廃墟! 廃墟です! 人の気配がありません!』

『この先人間は限られた資源だけで生きていかねばなりません。』

『…は、神樹様の亡骸だという説もあります。』

『子どもたちに罪はありません。』

(神々は消えた。天の神も、神樹様を形成していた地の神も。加護を失った人類は限られた資源で生きていかなければならない。混乱が訪れる。しかし、これでいいのだ…私は、彼女らの選択を誇らしく思う。新しい時代は子どもたちの為のものだ。大人たちは責任を背負っていく。そうでなければならない。)

もう見えない右目を見る。

(大赦の職員のほとんどは神婚にあわせ、神樹様の眷属となり、死んだ。残ったのは大赦のやり方に疑問を持ったものたち。大赦も変わらなければならない。)

ちょうど今、鷲尾さんたちが三ノ輪さんの墓参りに来ていた。

「大人は…私は、ここにいるべきでは、ないですから。」

そう言って立ち去ろうとしたとき、

「いつまでそこに隠れてるんですか?安芸先生♪」

「っ!?」

「最初から気づいてましたよ。」

「そーそー!いつ出てくるのかな〜って思ってたけど全然でてこないんだもん。待ちきれなくなっちゃった!」

(…ですが…)

「私は…あなた方と顔を合わせるような人間ではもう…」

「春信さんからなにもかも聞きました。安芸先生がここにいるのは、私たちのことを思ってくれてたからじゃないんですか?」

「…」

「そーれーに!まだ私たちの目的は果たされてないんよー!」

(…!?)

「それって…一体…」

「遅れてすまーん!」

「もう!いつも遅刻するんだから。」

(っ!?この声は…!?)

「ごめんごめん!迷ってる人がいてさ、ついつい…」

「変わらないですね。」

「どやー!」

「褒められてるのかしら…」

「三ノ輪…さん…!」

「ん?ってうお!?安芸先生!?びっくりしたー…」

「なんで…あなたは前に…」

「天の神に実験的な感じで生きかえらされてたんですよ。」

「ふっふ!勇者は不滅なり!」

「どや〜!」

(三ノ輪さん…!)

「私たちの誰も安芸先生を恨んでませんよ。」

「安芸先生のことは好きなままなんよー!!」

「好きなだけ泣いていいんですよ?」

「ん?なんだなんだ?」

(…!)

ギュッ

「よかった…みんな無事で…本当に良かった…!」

 

ーーー友奈sideーーー

「勇者部は勇者部に戻りました!竜治君がバーテックスだったりとか、びっくりすることはたくさんあったけど、今も元気に活動中!

風先輩は高校に合格!でも部員は銀ちゃんが入ったことにより変わらず8人に!

そして部長は樹ちゃん、副部長はちひろちゃんになりました!

勇者部五箇条もあれからあらたに「無理せず自分も幸せであること」が加わり六箇条に!

今日を頑張ること。もちろん、無茶のない範囲で。

そうすると未来が素敵になって…振り返ってみても全部が素敵だったことになるんじゃないかな。

皆が居るから、皆が居てくれたから…皆が好きだから…

私、勇者部で良かった!

そっか、これが…

私の願いなんだ!」

 

どうか平穏な日常を

              〜勇者の章・完〜




ということで勇者の章、完結です!ここまで見ていただいた方、ほんとに感謝です…!次からは日常編、忘れないように頑張ります!
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