ーーー4月某日ーーー
ーーー竜治sideーーー
(たしか今日は…)
「今日は転校生がいます。」
「誰だろうね、樹ちゃん。」
「そうだね、ちひろちゃん。」
ガチャ
「はじめまして!国土亜弥です。これからみなさん、よろしくお願いします!」
『よろしく!!』
「え…?」
「あやや?」
(ん?あやや?)
「あ、ちーちゃん!!」
「あややじゃん!元気にしてた?」
「うん!私は防人の巫女しててね…」
「ん?ん?ど、どういうこと…?」
「あ、あややはね、巫女だったからよくお母さんに教わりにきてたの。それで仲良くて…」
「そうなんだ。私は犬吠埼樹、よろしくね、亜弥ちゃん!」
「は…いや、うん!よろしくね、樹ちゃん!」
・・
(…そこ繋がりあったんだ…てかここに亜弥が来ることなったのね…了解了解っと。)
なぜおれがそんなことを知ってるのかというと…
ーーー数日前ーーー
「こんにちわー、またきましたー。」
最終決戦で防人隊と仲良くなった俺は、ちょくちょく「千景殿」に遊びにきていた。
「あ、竜治君!いらっしゃい!!」
(雀先輩も昔と比べてだいぶ慣れてくれたからよかった…)
「あ、竜治君。少し話したいことがあるのだけどいいかしら?」
「え?はい…」
ーーー個室ーーー
「で、話って…?」
(わざわざ個室に呼ぶようなこと…?一体なんだ…?)
「ええ、実はね…防人隊は事実上解散するわ。」
「…ええ!?」
(はい!?解散!?なんでそうなった!?ん?でも事実上って…)
「見ての通り今世界は無茶苦茶、復興の全盛期は私たちの世代になる。」
「は、はい…」
「そこで、防人や補欠だったメンバーが四国の学校に散って、そういうのに備えられるようにするの。だからよ。」
(な、なるほど…それでみんなバラバラなっちゃうのか…)
「寂しい、ですね…」
「まあね。で、これが最後なのよ。どこに行くかはこれから決めるけど。楽しんでってね。」
「…はい!」
ーーー今ーーー
(ここ俺いるから人気出そうなのに…すげぇな。)
「あ、竜治君!お元気でしたか?といっても数日前に会いましたけど…」
(あ、そのこと言ったら怒られそうだから言ってねえのに!?)
「そうだったんだ。」
「ま、まあ一緒に戦ってたからね…」
「へー、つまりカラオケ早期離脱はそれが理由か〜♪」
(うっ!?)
「少し覚悟いいかな?竜治君♪」
(アハハ…オワタ。)
ーーー部室ーーー
ーーーちひろsideーーー
「もー、せめてそのこと言いなさいよ!」
「すいませんでした!!」
今部室では見事に黙ってた竜治君が風さんからお叱りを受けていた。
(てか…)
「そもそもなんで風さんここにいるんですか?」
「ん?私?私はこいつを連れてきたのよ!」
「連れてきたという言い方はおかしいのでは?ついてきてくれた、ですわ!」
「んなわけないでしょ!連れてきてあげたよ!」
「いいえ!ついてきてくれた、ですわ!」
「連れてきてあげた!」
「ついてきてくれた!」
「はわわわ!?け、ケンカはダメですよ〜!」
険悪になる風さんと夕海子さんを雀さんがなだめる。
一方で…
「わざわざ何の用かしら?芽吹。」
「さっきも説明したよね?私たちは派遣されたの。何回言ったらわかるのかしら?夏凜。」
ビジビジッ
こっちでも静かに火花が散っている…
(せっかくの新入部員なのにこんなんでどうするんじゃ…ま、仲良くしてる人もいるけど…)
「須美さん、園子さん、銀さん、ずっと憧れてました。」
「普通に東郷とか須美でいいわよ?そんな憧れるようなことしてないし…」
「園子!憧れられるってなんかいいな!」
「そうだね〜よろしく〜シズオモ〜」
「シズオモ??」
「おい、園子、今までにないほどおかしいぞ?そのあだ名。」
(はあ????)
「園姉、いくらなんでもそれはおかしい。」
「だってシズオモの中にはシズウラもいるんでしょ〜?だからなんよ〜!」
「そのっち…さすがにそれは…」
「いいですね…」
「「「え?」」」
「だって、二人のうちのどっちを呼んでるかがすぐわかる…」
「私たちを一人としてでなく、二人として見てくれてんだから、ありがてぇ。」
(え、ええ…たしかにそうだけど他にいいようあるよ?多分…)
「雀ちゃん!ぼた餅食べる?東郷さんの!」
「ええ!?い、いいんですか!?」
「もう入部したからいいんですよ、自信持ちましょうよ、雀さん。」
「そうですよ、お姉ちゃん今ケンカしてるけど…」
(そうそう…)
「二人とも〜♪あなた方は部員じゃないんだからそろそろやめないと追い出しますよ♪」
「ひぃ!それやばい笑顔!絶対ダメな笑顔!」
「風さん!私たちはケンカなどしてませんね!」
「そうよ!私たち仲良し!」
「「アッハッハ♪」」
(…プフッ。)
「おもろ。」
「ちーちゃんその反応は…性格少し変わった?」
「まぁ、いろいろあったからね。」
「本当に、いろいろあったよね。」
「たしかに…いろいろあったねぇ。」
「でも竜治君は生まれたてホヤホヤでは?」
(あ、たしかに。)
「さすがあやや、観点がいいね。」
「褒められることはしてないよ…」
「まさかあのドSがこんなにいいやつになるなんて…以外だわぁ。」
「え?そんなことで悟られても困るんですけど…」
「あんた入ったばっかだし帰ってもいいのよ?」
「あんたこそ部長なれなかったんでしょ?休んでもいいのよ?」
「あんたに言われる筋合いはないわよ?」
「私こそあんたに言われる必要を感じないんですけど?」
…ピキッ
「ん?今ちーちゃんの方から何かが…」
「…あのお二人気づくといいけど…」
「…ああ、死に足一本踏み入れてんな。」
「これはおもしろいことになりそうなんよ〜!」
「おい、これ止めた方がよくないか?」
「いいのよ、銀。あの二人が悪いわこればかしは。」
「ん?どういうこと?」
「「仲良くっ!踊ろうっ!」」
「いい加減帰ったら??」
「遠慮するけど??」
ピキピキッ
「帰りなさい?てか帰れ???」
「そっちこそ帰れ???」
ブチッ
「「「「「「あっ、お二人ともオワタ。」」」」」」
(あーもうアッタマにキタァーーー!!!)
ドスッドスッ
「「えっ??」」
「回し蹴り!!!」
ドガァン
「っ!?いった!?」
「まずい!?これはまずいわよ!?」
「足払い!!」
ドサアッ
「うっ!?ちょ…強すぎない!?」
「当たり前でしょーが!?ちひろは東郷と並んでうちの部で最も怒らせてはいけないやつなのよ!?」
「てかなんでこんなキレてるのよ!?」
「知らないわよ!?」
(まだ気づかないのか〜♪)
「両袈裟固め!!」
ギュウウウウ
「うっ…キツ…すぎ…」
「意識…とぶ…わ…」
(まだ気絶させないよ〜♪)
「手刀!!」
ズシャアン
「「ヘブシッ!!」」
(目はすぐに覚まさせてあげるから心配無用だね〜♪)
「一本背負い!!」
ボガァン
「「っ!?!?!?痛いっっっっ!?!?」
(そしてトドメの…)
「脳天割りぃぃぃぃ!!」
ドグシャァン!!!!!!!!!!!!!!!
「「ギャッ!!」」
バタバタッ
「ふぅ…スッキリした…」
「「「あーあ…」」」
「夏凜ちゃん!?芽吹ちゃん!?大丈夫!?」
「園子、あたし本当にちひろを怒らせないようにしようと決めたよ。」
「それが賢い判断なんよ〜!」
「ひぃぃぃぃぃぃ!!!」
「防人ではトップクラスの芽吹さんが…こんないともたやすくなんて…」
「そうよ…これがちひろよ…」
「…強さ序列…2位…」
「あら?一位は誰なの?」
「…三好…春信さん…」
『なるほど。たしかにね。』
ーーーかめやーーー
ーーー亜耶sideーー
無事に入部できた私たちは歓迎会として、勇者部イチオシの「かめや」に来ていました。
(風さんも高校で勇者部を作って、夕海子さんもそこに入られたようですし。そして…)
「おいしいです!ちーちゃんに聞いてはいたけど…ここまで美味しいなんて!」ズルルッ
「でしょ?私も最初食べたときびっくりしたもん。」ズルルッ
「だよな〜!!」ズルルッ
「夏凜…私は今、生きる喜びを噛み締めてるわ…」ズルルッ
「奇遇ね…私もよ…」ズルルッ
「おい…芽吹があんなこと言うってどんだけやばかったんだよ…」ズルルッ
「私でさえ死へのラインが見えましたわ…」ズルルッ
「あんたたち、ちひろ割と寛大だから気をつけなさいよ。」ズルルッ
「というか…前と比べて…変わった。」ズルルッ
(たしかに…前より冷静というか…)
「変わったと思います。前より優しくなったよで。」ズルルッ
「え?そう?性格ねじ曲がったとおもうけど。」ズルルッ
「自分で言うことじゃないよそれ…でも、優しいよ、ちひろちゃんは。」ズルルッ
(樹ちゃん…)
「樹ちゃん…二人が言うならそうなのかも。わからないけど。」ズルルッ
「そうなの?みんなそんなことに気づくなんてすごいなぁ。」ズルルッ
「私たちはこれより前に会ってるから気づいただけだから、落ち込まなくていいのよ。友奈ちゃん。」ズルルッ
「そっか!よかった!私まだまだだなーって思ってたから…」ズルルッ
「もう、友奈ちゃん…そんなこと思わなくてもいいのよ。」ズルルッ
「…須美さんも変わった…」ズルルッ
「あはは…」ズルルッ
「創作意欲が湧いてくるんよ〜!!」ズルルッ
「園子さんは…変わらない…」ズルルッ
(あ、変わらないんですか…)
「しかし、うどんを食べる風景がこんな絵になるなんて…すごいです。」ズルルッ
「まあ、三人ともキレイだったからな。」ズルルッ
「てか普通は叩き込まれねえか?」ズルルッ
「うち庶民派なので。」ズルルッ
「そういう問題かしら…」ズルルッ
「ま、私が一番キレイですわ。」ズルルッ
「それはないんじゃ…」ズルルッ
「それは…ない…」ズルルッ
「ないわね。」ズルルッ
(うーん…)
「たしかにキレイですけど…」ズルルッ
「亜耶ちゃん遠慮しなくていいんだよ!?」ズルルッ
「そうだそうだ。ズバッと言っちまえ!」ズルルッ
「亜耶、嘘はよくないわ、この嘘はいらないから本当のことを言ってしまいなさい。」ズルルッ
「そーよそーよ!!」ズルルッ
「なっ!?みなさんそこまで言います!?風さんも便乗しないでもらいたいですわ!」ズルルッ
(…どうしよう…)
「「「「さあ!!」」」」
「…ちーちゃんとかの方がキレイだと思います。」ズルルッ
「そ…んな…」
バタッ
チーン
「あ、倒れちゃった…」
「別にほっとけばいいだろ。」
「そうね。」
「ちゃんと回収してくださいよ?」
「「「はい!!!!!!」」」
「鬼教官みたいになってるよちひろちゃん…」
ーーー夜ーーー
ーーーちひろsideーーー
「スピー!スピー!」
「すぐ寝たね…」
「まあね…さすが園姉だよ…」
かめやの歓迎会後、あややはうちに泊まることになった。
そして今に至る。
「そういえばあややはどこに住むの?」
「私は夏凜さんと同じマンション。他に芽吹さんも住むけど…で、夕海子さんやしずくさんたちは駅近くの。」
(駅近くか…前園姉が住む予定だったとこかな?)
「ちょっと心配してたよ…あやや少し方向音痴だから。」
「うっ…私だって心配してたよ?生きて帰ってきてくれるか…」
「むぅ。信用してないの?」
「信用はしてたよ、でも相手は今までとは違う。だから…」
(あやや…)
「うん。てか麦のは聞いてびっくりしたよ…あのままだったらどっちにしろバッドエンドだったね…」
「そうだよね。月夜さんとかは大丈夫だった?」
(あ…それは…)
「じいじとばあばが…ちょっと…」
「そんな!?あんないい人だったのに…」
「なんかばあばが神託で世界を戻すためには人の力が必要だって受け取ったんだって。だから…」
「…最後までいい人だったんだね。」
「うん…あやや。」
「なに?ちーちゃん。」
「私たちで神樹様が残してくれた世界を、よくしてこうね。天の神だって、人の可能性をしんじてくれたんだから。」
「…うん。そうだね。」
今は神世紀301年、世界がどうなるかは、神様ではなく、今を生きる人々に託されていた。