ーーー四月中盤ごろーーー
ーーー夕海子sideーーー
私は昼休みだと言うのに部室に呼び出されていた。
(風さんがエマージェンシーと言ってましたが、なにごとなのでしょうか…)
「このままだと…」
「なんなのですか…」
「勇者部が事実上、廃部になるわ。」
(なるほど…事実上の廃部ですか…え?)
「は、廃部…ですと…?」
「そうよ…実際はそうじゃないけどね…このままだと…」
「こ、このままだと…?」
「このままだと…」
「こ、こ、このままだと…?」
「勇者部が勇者同好会になってしまうのよ…」
(…え?)
「…それだけでしょうか?」
「それだけって言いかたはないわ…」
「それの…それのどこが異常事態なのですか!?期待っていうか、心配して損したじゃありませんか!!」
「なんでそんなことが言えるの!?同好会になるのよ!?」
「同好会だろうが活動続けられるじゃありませんか!!」
「続けらんないのよ!!」
「そうなんですか!!…ってなんでですか!?」
(はぁ!?さっきから言ってることがなに一つ理解できませんわ!!)
「あのね…同好会は部と比べて色々規制がつくのよ…校外での活動は禁止、とかね…」
(ふむふむ…校外は禁止?となると…)
「部の助っ人以外無理ですわね、それ。」
「そーなのよ!!このままだと!勇者部の形だけが残ってしまう!それだけは防がなくては!!」
「で、でもどうするのですか…」
「やることは決まってる…部員を増やすのよ!」
(なるほど…逆にそれしかないのですね…)
「部活加入期間終了まで残り一週間!!その間に部員をあと8人増えれば勇者部は存続よ!!」
「なるほど…それならやるしかないですわね。」
「勇者部…」
「「ファイトォォォ!!」」
「…二人だと虚しいですね。」
「…そうね。」
「ところで、プランはあるのですか?」
「ええ。もちろんよ。」
ーーー残り一週間ーーー
ーーープラン1・美貌作戦ーーー
「み・な・さ・ん〜!!」
「勇者部に入れば私たちのようなかわいい女の子と触れ合えますわよ〜!!」
「さあ〜!ぜひ勇者部に〜!!」
シーン
「「…」」
「ミスったわ。」
「ミスったどころではありませんね。イメージ最悪ですわよ。」
「よし、なら次のプランいくわよ。」
「そんなサクッと切り替えていいものなのですか…?」
「過ぎたことは気にしない!!明日、やるわよ!!」
「え、ええ…」
ーーー残り6日ーーー
ーーープラン2・お菓子作戦ーーー
「さあさあ!!皆さま!!このお菓子、おいしそうでしょう?」
「勇者部に入れば、これがタダ、タダなのです!」
「部活のあとのお菓子はうまい!」
「ぜひ勇者部に!」
「まずは試食からどうぞ!!」
ワーワー
パクパク
風(これは…)
夕海子(きましたわね。)
ーーー1時間後ーーー
シーン
「「…試食だけかい!!」」
「あんなせっかく作ってきたのに!!ふざけんじゃないわよ!!」
「全くですわ!食い意地だけの豚め!!」
「どうする!?いまんとこ体験入部者すら0人よ!?」
「今度は私に従ってもらえますか?考えがあります。」
「わかったわ。」
ーーー残り4日ーーー
ーーープラン3・お小遣い作戦ーーー
シュバッ
「勇者部に入れば毎月お小遣いが支給されますわ!」
「部費はなしなのにお小遣い!?なんて嬉しいのかしら〜!」
「さあ!さあ!ぜひ勇者部へ!」
シーン
トコトコ
「「…まずいわね。」」
「どうしましょう?まさかお小遣い作戦すら効かぬとは…」
「そもそも毎月お小遣いはどうやっても渡せないわ。少し冷静になりましょう。」
「風さんの言うとおりですわね。ですがどうしましょうか?もうプランがないですわよ。」
「いや、まだあるわ。一つだけね。」
「…それに賭けましょう。」
ーーー残り3日ーーー
ーーープラン4・ふれあいプランーーー
「なんと!勇者部に入ると、中学生と部活を行うことができます!!」
「しかも部活で幼稚園に行ったり…」
「みんなに慕われる先輩になれるかも!?」
「「ぜひ!勇者部へ!!」」
ガヤガヤ
風(これは…!!)
夕海子(反応がいい…!!ついに来ましたわね…!!)
「勇者部って怖そうだよね…」コショコショ
「だって毎日言ってること違うよ?きっと行ったら洗脳とかされちゃうんだよ!」
「うわー、てか小さい子とふれあえるってまさか…誘拐!?」
「やー、こわいこわい…」
「「…そんな…」」
ーーー夜ーーー
ーーー樹sideーーー
「た…だいま…」
「おかえり…ってお姉ちゃん!?」
そこには屍のようにやせ細ったお姉ちゃんがいました。
(お姉ちゃん…屍みたくなってるけど一体…)
「ど、どうしたの?お姉ちゃん。なにかあった?」
「あ、樹…まずい…あと…2日…なのに…0人だなんて…アハハ…あははは…」
「お姉ちゃん!?戻ってきて!お姉ちゃん!」
のちに聞くと部員が10人じゃないと部が同好会になり、校外での活動ができなくなるらしい。
それで二人で部員集めに奮闘したものの、全て空回りしたそうだ。
(でも…なんでそんな集め方なんだろう…ここは…)
「お姉ちゃん!!明日学校終わったら中学の部室集合ね!!」
「え!?すまないけど今そんな暇は…」
「ダメ!!絶対来て!!わかった!?」
「え、ええ…」
ーーー残り2日ーーー
ーーー風sideーーー
(こんな…もう終わりね…あはは…)
「ところで…芽吹さんたちは…どうしたのですか…?」
「今日は3年生の方々は活動でいらっしゃいません。」
「で…なんの…ようなの…?」
「本当に屍みたいなってる…気持ち悪っ。」
「おい、そんなこと言ったらダメだろ…」
「あのね、お姉ちゃん。」
「なんなの…ですか…?」
「シャキッとしてよ!!」
(…え…?)
「今のお姉ちゃん、らしくないよ。このままだと勇者部の活動ができなくなって焦ってるのはわかる。でも、そのせいで一番大切なことを見失ってるよ。だから、誰も来てくれない。」
(一番大切なこと…?)
「勇者部の活動は何?」
(あ…)
「人のために…なること…」
「そう!今は大変な時!!だからこそ活動も増える。活動のことは何も言わないで、利益しかわからない謎じみた部に入りたい人いる?」
「それは…」
「要はそれを言えばいい。それだけなんですよ、風さん。全く、いつから鈍感になったんだこの人。」
「あ、今三年生組が行ってる活動はPRですよ。」
「え…?なんで…」
「風さんのクラスメートさんからの依頼です。風さんの部活勧誘を助けてほしいって。」
(クラスの…みんなが…?)
「今日抜いてもあと2日ある。明日、みんなでPRしに行こう?お姉ちゃんたちには、私たちがついてるから。」
(樹…いつからそんな…)
「もう…すっかり部長らしくなって…!」
「夕海子さんもですよ?私たち防人にとって、夕海子さんは大切な仲間ですから。」
「亜耶さん…」
「やっと正気戻ったっぽそうだ。全く…」
「よぉーし!やってやるわよー!!」
「自分が不甲斐ないですわ!」
「勇者部…」
「「「「「「ファイトォォォ!!」」」」」」
「…いいわね。」
「しっくり来ましたわ。」
「何を言ってんだこの人たち…」
ーーー残り1日ーーー
ーーープラン5・勇者部作戦ーーー
このプランはまず、
「チラシいかがですかー!?」
「こちらをどうぞ。」
「勇者部は人がためらうことを勇んでやるということがもとでできましたー!!」
「こちらのVTRをご覧になってください!」
「これがホームページのURLです!」
「まずは体験入部から…ぜひ。」
中3組がチラシや映像などで部室へ誘導し…
「これらが主な活動となります。」
「今の世界を元に戻すのは私たちの世代です。」
「今のうちからボランティアを進めても遅くはありません!」
「勉強も上手な人が教えてくれます!」
「息抜きも!」
「ぜひ!入部をお願いします!!」
私たち高1組や中2組が部室で詳しい内容を話し、部員を引き込む。
(すごい…どんどん来てる…)
「これならきっといけるよ。お姉ちゃん。」
「…そうね。ありがとう、樹。」
「あ、次の人来ましたよー。」
「よしきた!今日は…」
ーーー数時間後ーーー
「あー、疲れた〜!!」
「どれくらい来たんですか〜?フーミン先輩〜!」
(んー、どのくらいかしらね…)
「入るといいっすね!」
「そうね。あと8人、くるかしら…」
「かなり微妙ですわよね…」
「来ないんじゃない?」
「ちひろお前なぁ…」
「そう言いながら一番心配してたのはち…」
「園姉?なんか言った?」
「なんでもないんよ〜!」
「…なんで園子はあんな風に返せるのよ…」
「さあ…さすがレジェンド、だからじゃないのかしら…」
「夕海子さんも風さんも大丈夫です!!最悪活動じゃない形で加わればいいんですから!!」
「それはそうなんだけどね…」
「大丈夫。お姉ちゃんいい人だもん。」
「樹…当然のこと言わないの。」
「へへっ!!」
「果たして当然かねぇ…」
「ん?ちひろ嫉妬してるのか?」
「…」
ドガァン
「ヘブシッ!?」
バタッ
「あ…倒れた…」
「大丈夫!?竜治君!?」
「あらら…」
「りゅーくんどんまい!!」
ーーー翌日・残り0日ーーー
「来てくれるかしらね…」
「あれだけしてくれても、私たちが作り上げたイメージは最悪ですからね。8人は…かなり望みは薄い、ですわ…」
(そうよね…)
「みんな、ごめんね…」
そのときだった。
「あの…」
ガチャ
扉から入ってきたのは10人前後の集団。
「ん?どうしたの?依頼?」
「えーと…私たち8人、勇者部に入部届け出したんですけど…」
(そうなのね…っえ!?)
「入ってくれるの!?」
「はい!!」
「わからないことだらけですけどよろしくお願いします!」
『よろしくお願いします!!』
「ねえ、夕海子…何人いる…?」
「8人…ですわ…!」
「同好会に…ならないわよ…!」
「やったんですわ…私たち…!」
「「やったー!!!」」
「ようこそ勇者部へ!さっそく歓迎会よ!!」
「どこにしましょうか!?」
「そんなものかめやに決まってはでしょ!!夕海子、さっそく中学組に連絡入れなさい!!」
「もちろんですわ!!」
「え?え?今日の部活は?」
「歓迎会よ!大丈夫!最初は軽いのから入れてくから!さあ、かめや行くわよ!!」
「こちらですわ!!」
『は、はい…』
こうして私たち、讃州高校勇者部は危機を乗り越えた!!
ーーー後日ーーー
「ところで樹。あんたたちの方はどれくらい入ったの?」
「うーんとね…20人くらい。」
(…え?)
「に、ににに20人????」
「うん、中学では活動は知られてるし、入ってる人みんな人気あるからね。だからじゃないかな?」
「恐ろしいわ…」