上里ちひろは勇者である   作:☆ここな☆

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この時を待ってました
自信作のつもりです()


6話 私タチハ

ーーーボーダー本部ーーー

ーーー東郷sideーーー

修「アステロイド!」

遊真「はあああ!!」ズババババ

千佳「…!」バシュンッ!

遊真「敵が多いな…どうするオサム、このままじゃジリ貧だぞ。」

修「本部である以上すぐ他の人が来るはずなのに…宇佐美さん!援軍は!?」

宇佐美『うーんしばらく無理そう!修君たちのところに繋がる道が全てトリオン兵達に塞がれてるんだって!!』

修「なんですって!?」

友奈「…ねえ、東郷さん。もしかして…」

東郷「私たちが、狙われてる…?」

遊真「うーむ…そうかもしれませんなぁ…オサム、黒トリガー使っていいか?」

修「…ああ!挟み撃ちの状況を打破するために端の部屋に移動する!後方は頼んだ!」

遊真「OK!"レプリカ"起動!!」

修「僕と千佳は前方だ!やるぞ!」

千佳「うん!威力を絞って…ハウンド!!」ドガァァァァァァァァァァァァァン

友奈「すいません、私たちのために…」

修「大丈夫です!僕がそうすべきだと思ったからやってるので!!」

遊真「悪いのは敵さんだしねー。」

(この方向はさっき通ったところ…となると端は…!)

東郷「こっちです!そして次3番目の角を左に!」

遊真「あの1回で構造覚えたのか…なかなかやるなお前。」

東郷「少しでも役に立てば光栄です!」

友奈「東郷さんすごーい!!」

 

ーーー市街地ーーー

ーーー竜治sideーーー

竜治「ダラッセイッッッッ!!!」ズガァン!!

小南「はああああ!!!」ズババババ

レイジ「小南、下がれ!」

小南「ええ!」シュバッ

ドガガガガガガガガガガ

烏丸「竜治君だったか、その腕は?」

竜治「ちょいと化け物やってまして。しかしそれでもダメージ入ってねえのな…」

小南「それがふつっう!!!!」ドガァァァァァァァァァァァァァン

レイジ「できるなら防衛に専念してもらえるとありがたい。」ドガガガガガガガガガガ

竜治「了解です!俺のダチには指一本触れさせねえぞ!!!!」

(…コメッタには入った感じがしたが…まさか、な…?そこまで似てるはずねえし…)

 

ーーー道路ーーー

ーーー迅sideーーー

迅「栞ちゃん!現状はどんな感じ!?」

宇佐美『あまりよくないですね…修君たちは本部で孤立、レイジさんたちも周囲を囲われてます。』

迅「…ほかの部隊は?」

宇佐美『本部は明らかに妨害が入ってる状況ですね…レイジさん達の方は単純に襲撃箇所が多すぎて手が回ってない感じです。』

(…かなりまずいな…レイジさんたちは新型でも来ない限り大丈夫だろうが…孤立させたということは何かしらの意図があるはず…)

宇佐美『…まだ未来視は戻らないんですか?』

迅「メガネ君たちの未来が見えない。そしてこっちも…下手すると死者が出る。」

宇佐美『なっ…くっそぉ!!玉狛も襲撃されてなきゃ私のやしゃまるシリーズを出したのに!!』

迅「気持ちだけ受け取っとく。とりあえずメガネ君たちの方に集中してくれ。」

宇佐美『ラジャッ!!』

迅「…」ズガァァァァァァァァァァン

俺のサイドエフェクト、未来視は見たことさえあれば可能性のある未来が見える。ずっと前から。

しかし、今回この襲撃の未来は直前まで見えることはなかった。

そして今も本部の未来が見えない。

(…サイドエフェクトを超える何かが、干渉してきてるっていうのか…?)

迅「…チッ。やっぱなかなかな数いるねッ!!と。」ズガガァァァァァァァァァァン

《…ドガァァァァァァァァァァァァァン!!!!!》

迅「ッ!!」バッ

ドガァァァァァァァァァァァァァン!!!!!

迅「ふんっ!!」ガキィィィィィィィィィィィン!!!!!

未来視で見えた斬撃を、風刃で受け止める。

林藤「今だいぶ揺れたが大丈夫か!?」

迅「はい!」

(今の斬撃…モールモッドにしては重すぎる…となると…)

迅「…人型がいるかもしれません!注意してください!!」

林藤「やれやれ。わかった!!くれぐれも屋根から落ちんなよ!」

迅「わかってますよ!!」

 

ーーー友奈sideーーー

孤立を確認してから5分、私達は東郷さんの案内と修さんたちの護衛でなんとか出入口がひとつしかない部屋へと逃げ込むことができました。

遊真「ふぃー。これで正面から来るやつを一匹一匹倒してくだけの簡単なお仕事だな。」

三雲「その間に誰か来れるといいんだが…」

東郷「すみません。私たちがいなければ突破もできるんでしょうけど…」

三雲「いやいや、さすがに量が多すぎるので僕達だけでも無理ですよ。遊真だけなら行けそうだけど。」

遊真「そうそう。あとオサムは標準として二人とも敬語だよね。同学年なんだしタメ口でいこーぜー。あ、オサムはこれが標準装備だから。」

東郷「…しかし…」

(…ならば!!ここは私が!)

友奈「わかった!守ってくれてありがとね!修君!遊真君!千佳ちゃん!」

東郷「…よ、よろしくお願いします…

…修さん、遊真さん、千佳ちゃん…」

千佳「私は年下なので呼び捨てでも…」

友奈「あ、年下の子にもこう読んでるから大丈夫!!」

千佳「あ、ならよかったです!」

東郷「う…少し慣れるまで時間がかかりそうです…天の上の存在的なイメージが…」

三雲「一緒に暮らすわけですし、慣れたらで全然大丈夫ですよ。」

友奈「修君の言う通り!自分のペースで行こ!東郷さん!!」

東郷「友奈ちゃん…そうね。わかったわ。」

遊真「…オサム。」

三雲「ん?どうかしたか?」

遊真「…さっきから部屋に入ってこようとするやつがいない。」

三雲「…!!なんで…」

その時だった。

…ボガァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!

突如外壁が吹き飛ぶ。

東郷「きゃっ!?」

三雲「しまった…!外からか!」

遊真「…!こいつは!」

千佳「友奈さんと東郷さんは物陰に!」

友奈「はい!」

…その時だった。

壁を吹き飛ばしたトリオン兵の1部が目に入ったのだ。

それは、ウニョウニョ動いていた。まるで布のように━━━━

(…布?そして今の爆風…)

視線を上げて、全体を捉える。

友奈「…嘘…なんで…」

━━━それは、紛れもなくおとめ座だった。

 

ーーーちひろsideーーー

ちひろ「…林藤さん、人型って?」

林藤「ネイバーは何もトリオン兵だけじゃない。俺たちと同じように人がいるんだ。遊真も一応ネイバーだしな。」

樹「つまり今回の一連の黒幕の誰かが来てるかもしれないと…?」

林藤「んまぁそんなとこだな。」

迅「…ッ!見えました!前方100メートル!」

林藤「突っ切るからしっかり防御すれよ迅!!」

ドガァァァァァァァァァァァァァンドガァァァァァァァァァァァァァン

迅「はあっ!!」ガキィィィィィィィィィィィンガキィィィィィィィィィィィン

林藤「交通法には違反するが…とばすぞ!!」ブォォォォォォォォォォン!!!!!

ドガァァァァァァァァァァァァァンドガァァァァァァァァァァァァァンドガァァァァァァァァァァァァァン

ガキィィィィィィィィィィィンガキィィィィィィィィィィィンガキィィィィィィィィィィィン

そして、すれ違う。

林藤「よし!!」

ちひろ「…ん?」

すれ違った人型、その顔を見たことがある気がする。

(…いやそんなことは…)

樹「ち…ちひろ…ちゃん…」

ちひろ「ど、どうしたの樹ちゃん…そんな…声震わせて…」

ありえない。否、ありえるはずがない。

(後ろ振り返って確認する?)

樹「だ…って…あ…あれ…」

体が拒絶する。

ちひろ「あ、あれ?さっきすれ違った人…型…のこと?」

だからといって口に出すのも体が拒絶する。

(…ええい!勇者部6箇条!!なせば大抵なんとかなる!!)

無理やり後ろを向く。

ちひろ「…は?」

その人型は、キレイな黄色の髪をしていた。

ちひろ「…嘘だ。」

2つに結んで、後ろから下げて。

ちひろ「嘘だ…」

女性にしては少し大きい身長で。

ちひろ「…嘘…です…よね…?」

その顔は━━━━

ちひろ「…風さん!!!!」

━━━行方不明だった犬吠埼風、彼女と全く同じだった。

 

 

 

 

ーーー迅sideーーー

迅「…やはり追いかけてくるな…」

林藤「迅!」

迅「どうしたんすか林藤さん!?」

林藤「…さっきの、ちひろちゃんたちの仲間だと。」

迅「なっ…!!!」

(どうなってる…!?なんで攫われた人が敵に!?洗脳の技術はないはず…)

ドガァァァァァァァァァァァァァン

ガキィィィィィィィィィィィン

迅「…考えてる暇はない、か…とりあえず止める!!」

シュバババッ

ブラックトリガー、風刃。

その能力は壁や床に斬撃を仕込み、任意のタイミングで発生させるもの。

迅「大人しく斬られてろ!」ズバババァァァァァァァァァン

ガキキキィィィィィィィィン

迅「なっ…」

風刃の斬撃はたしかに起動し、彼女を襲った。

しかし、彼女の肩の装甲がひとりでに動き、完璧にガードしていた。

(…自動防御とかか?)

迅「…」シュバババッ

ズバババァァァァァァァァァン

ガキキキィィィィィィィィン

迅「…まずいな…風刃との相性が圧倒的に悪い!」

シュバババッ

ズバババァァァァァァァァァン

ガキキキィィィィィィィィン

シュバババッ

ズバババァァァァァァァァァン

ガキキキィィィィィィィィン

(方法を変えてもダメか…)

《バキバキバキッ!!ジジッ…ボガァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!》

(…ッ!!まずい!!)

 

ーーーちひろsideーーー

(なんで風さんが…いやそれより!)

樹「ねえ…どうしようちひろちゃん…お姉ちゃんが敵だなんて…私…どうしたら…」

ちひろ「そんなことない!!きっと洗脳かなんかされてるんだよ!!じゃなきゃあの人がするはずない…」

林藤「少なくとも俺は洗脳なんて見たことねえが…最近出てきてる新型のこともある、可能性は高いな。何か変わったところはあるか!?」

風さんの全体を改めて確認する。

ちひろ「…!頭に角っぽい何かが!」

林藤「角…アフトクラトルが絡んでることも踏まえてそれだな!おそらく新型の角で何かされたんじゃないか!?」

ちひろ「なるほどです!だって樹ちゃん!!」

樹「…お姉…ちゃん…そんな…」

(…ショックが大きすぎるよねさすがに…風さん…)

ちひろ「…ひとりでに動いてガードした?いや…それよりあれって…」

迅さんのトリガーから放たれた斬撃、風さんはそれを肩の装甲でガードしていた。

(ひとりでに動く少し大きい盾…それにあの大剣の柄…)

ちひろ「…もし、かに座を何かしらの形でトリガーにしたら?」

色、模様、そして自動防御。何よりさそり座がトリオン兵として確認されてる事実。

ちひろ「…迅さん!あれもしかしなくても…」

ズババババ

突如屋根が切り刻まれる。

林藤「迅!?何が…」

迅「もうじき爆発するので脱出します!掴まって!!」

林藤「マジかよ!?」

ちひろ「樹ちゃん!!」ガシッ

迅「ふんっ!!」ブォンッ!!

迅さんが全員を抱えて脱出する。

その直後。

バキバキバキッ!!

例の盾が下からガソリンタンクを切り裂き…

ジジッ…ボガァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!

爆発した。

林藤「まだ買ってから1年も乗ってない新車だったんだがなぁ〜…」

ちひろ「…風さん…」

風さんは迫ってくる。

いつもの豊かな表情ではなく、虚ろで無機質な表情で。

迅「俺が相手するので林藤さんは2人を!!」

林藤「任せろ!二人とも行くぞ!!」

樹「お…姉…ちゃん…」

ちひろ「樹ちゃん、おんぶするからね?」

樹「う、うん…」

 

ーーー迅sideーーー

(さあてどうするか…風刃の斬撃は自動防御で防がれる。かと言ってあの装甲が攻撃もできる以上、スコーピオンだと押し負ける…)

迅「…斬撃を挟んで装甲を剥がしつつ、俺が切り込むしかないか。」シュバッ

風「…」ガキィィィィィィィィィィィン

(未来視がちゃんと働いてるからな…未来が見えるっ!!)

シュバババッ

ズバババァァァァァァァァァン

ガキキキィィィィィィィィン

仕込み斬撃で装甲を引きつける。

迅「そこだ!!」ズバァァァァァァァァン!!!

風「…!!」ガキッ…

ズババババババババ

ガキキキキキキキ

ブゥゥゥゥン!

装甲が攻撃に転じようとするが…

迅「それも、すでに見えてる。」ズバババァァァァァァァァァン!!!!!

ガキキキィィィィィィィィン

仕込み斬撃で引き離す。

(ここで逃せば…ちひろちゃんか樹ちゃん、どっちかが死ぬ未来が確定する…!!)

迅「それだけは!させない!!」ズバァァァァァァァァン!!

風「ッ!!」ガキィィィィィィィィィィィン

そのまま大剣を横にはじく。

迅「終わりd…」

《パキッボゴォォォォォォォォォォォン!!!!!》

(…大剣の一部が離れて自律…!?!?)

思わぬ未来に一瞬動きが止まる。

その一瞬が、命取りだった。

パキッ

迅「しまっ…」

ボゴォォォォォォォォォォォン!!!!!

離れた大剣の面の攻撃を受け、奥のT字路にぶつけられる。

風「…」シュバッ

迅「くっ…あれも装甲と同じだったのか…!!…まずい!!」

 

ーーー東郷sideーーー

突如として破られた外壁。

そしてそれをやったのはまさかのおとめ座だした。

ブォンッ!!!!!

友奈「キャッ!」ザザッ

東郷「くっ!」グキッ

(…!足を…!!)

ボンボンッ!!

さらにおとめ座は爆弾を作り出す。

ヒュウウウウウウウン

三雲「レイガスト!!」

ボガァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!

三雲「大丈夫か二人とも!?」

友奈「なんとか!」

東郷「ありがとうございます!」

遊真「新型まで出てくるとなるといよいよやべえな…強ブースト二重ダブル!!!」ボガァァァァン

千佳「布を…!ハウンド+レッドバレッド!!」ドガガガガガガガガガガ

三雲「僕は守り!遊真は攻め!千佳は守り優先で遊真の援護だ!やるぞ!!」

遊真、千佳「おう!(はい!)」

ブォンッボゴォォォォォォォォォォォン

ボンボンッ!!ヒュウウウウウウウンボガァァァァァァァァン

ドガガガガガガガガガガ

友奈「すごい…」

(強い…でも決定打を与えれてない…新型ってことは最近現れたはず…とりあえず状況を整理しましょう。

なぜおとめ座が現れたのか…バーテックスの生き残りがいた?…いや、それはおかしい…仮に生き残りだとしても…)

 

東郷『しかし随分とでかいですね…一体どんな方法で建築を?』

三雲『あ、これ全部トリオンなんです。詳しいことまでは知りませんが普通の建物よりは耐久性はあるはずです。』

 

(トリオン兵やトリガー使いはトリオンでしか傷つけれないように、トリオンで出来てるこの建物もトリオンを使わないと傷つけれないはず…となると…)

東郷「…まさか。コメッタと同じ人が?私は今まで、コメッタの発案者は天の神支持の過激派かと思っていた…星屑だけなら避難が完了しきってない大橋市で確認されてるもの。…大赦に裏切り者が?」

友奈「東郷さん?大丈夫?」

東郷「ええ。大丈夫。ちょっと考え事をしてたの。」

友奈「あーそっか!おとめ座がいるなんておかしいもんね!ぐぬぬ…なんでだろー…??」

東郷「何も友奈ちゃんまでやらなくていいのに。」

友奈「でも東郷さんだけに負担かけたくないから!!」

東郷「…うん。ありがとう。」

(これ以上はさすがに考察できない…とりあえず攻撃方法だけでも伝えておけば役立つはず…!)

東郷「3人とも!そいつは爆弾と布以外の攻撃方法はないわ!!急所は頭の中に!!」

遊真「…!道理でどこ探してもないと思ったら!!」

三雲「千佳!」

千佳「うん!アイビス!!」ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!

千佳ちゃんの砲撃がおとめ座の頭部を抉る。

遊真「…あれか!ブースト七重セプタ!!」

そして遊真君がトドメをさそうとする。

それを布が狙うが…

三雲「させるか!スパイダー!!」ビュンビュンッ!!

修君のワイヤーが拘束する。

遊真「サンキューオサム!せーn…」

…しかし。

ブォンッ!!!!!

遊真「ッ!?!?!?」ボゴォォォォォォォォォォォン

友奈「…遊真君!?」

遊真君が吹き飛ばされる。その正体は…

(…2本目の布!?)

右の拘束されていた布とは別、左から出ている布であった。

そうしてるうちに頭部が完全回復する。

ボンッボンッボンッ!!!

ブォンッブォンッ!!

千佳「っ!シールd…きゃあ!」

三雲「千佳!!ぐっ!?」ガキィィィィィィィィィィィン

さらに千佳ちゃんが爆弾でふきとばされ、修君はなんとかレイガストで受け止めるものの…

ビキッ…ビキビキッ…バリンッ!!!

三雲「…がっ!!」ボゴォォォォォォォォォォォン!!!!!

東郷「千佳ちゃん!!修君!!!!」

…そして、次の標的は無論…

(…私は足をくじいてる…なら!)

友奈「…東郷さん!にg「友奈ちゃん逃げて!ここは私が!」…え?何言ってるの東郷さん!?」

東郷「私は足をくじいて動けない。だから私が囮になるわ。」

友奈「ダメ!私が背負って逃げれば!!」

東郷「それじゃ追いつかれちゃう!!お願い…逃げて…!!」

逃げて欲しかった。

これが友奈ちゃんの心に傷を残すことだっていうのはわかってる。

それでも…友奈ちゃんにだけは生きてて欲しかった。

…それでも。

友奈「…嫌だ!」

友奈ちゃんは、おとめ座の前に立ちふさがった。

 

ーーー樹sideーーー

林藤「ぐあっ!」ボゴォン

ちひろ「林藤さん!」

少しの時間を置いて追いついてきたお姉ちゃん。

林藤さんが立ち塞がったもののすぐに壁に叩きつけられてしまいます。

(…どう…したら…いいの…?)

そしてこっちに迫ってくる。

(武器なんかない…勝てるわけがない…)

迅さんすら倒した大剣をもって。

(…逃げるしかない…わかってる…お姉ちゃんに殺しなんかさせちゃいけない…わかってる…わかってるけど…!)

 

風『樹ー!ご飯できたわよー!じゃじゃーん!喉にいいもの尽くしうどん!!』

樹『ええ!?それすごい無茶苦茶な組み合わせなんじゃ…』

風『うぐっ…でも味はこだわったから美味しいわよ!!せめて1口!1口!!』

樹『わかったよ…ズルズル…

…美味しい!さっぱりしてる!!』

風『でしょー!?数日前から研究したかいがあったわ!』

樹『そんなに前から!?別にいつも通りでいいのに…』

風『よくないの!明日は待ちに待った樹の歌手デビューじゃない!そのためなら軽いにもほどがある対価よ!!』

樹『ええ…嬉しいけどそんなに期待されるほどのものじゃないよ?』

風『いーや上手いわ!いずれテッペンとして日本、そして世界の未来を背負ってくに相応しいと豪語するわ!!』

樹『そんなー…でも、ありがとう。頑張るね。』

風『…うん!じゃあ私はお風呂わかしてくるわね!今日は明日に備えて早めに寝ないと!』

樹『はーい!でもちょっと過保護だよー…』

 

…体が、言うことを聞かなかった。

樹「…や…だよ…お姉ちゃん…戻ってよ…お願い…だから…」

私の絞り出した願いは、届かない。

今ほど、自分の非力さを嘆いたことはなかった。

その時だった。

ちひろ「…私に任せて、樹ちゃん。」

樹「…ぇ?」

ちひろちゃんが、そう言ってお姉ちゃんの方へ。

林藤「ダメだ…早く逃げろ…!!」

樹「…行か…ないで…」

(ここで…ちひろちゃんまで失ったちゃったら…私は…!!!!!)

 

ーーーちひろ・友奈、同時進行ーーー

ちひろ「…風さん。」

風「…」

ちひろ「…早く戻ってきてくださいよ。」

風「…」

ちひろ「あなたは、絶対にこんなことしたくないはずです…」

 

東郷「…ここで共倒れになっちゃ…!!」

友奈「…勇者部6箇条、なるべく諦めない、なせば大抵なんとかなる、だよ。」

 

ちひろ「…私は知ってます。あなたは頼まれたら断れない優しい人だって。

いつも、みんなが笑顔になるように頑張ってて、そうなった時に誰よりも嬉しそうにすること。」

 

東郷「勇者部6箇条!無理せず自分も幸せであること!!」

友奈「…東郷さん!!!」

東郷「っ…」

友奈「…もし、ここで東郷さんを置いて逃げたら、多分私は、一生幸せになんかなれないよ。」

 

ちひろ「…自分たちの使ってるシステムに重大な欠陥があって、それを支給者側が黙ってた時…今、そして未来に同じ目にあうはずだった人たちの分も怒れて、そして怒りを、自分の人生すら棒に振ることになってもぶつけられる人だって。

もし自分が事故にあっても周りのことばっか考えて…挙句の果てには加害者の運転手すら心配するようなどうしようもなく優しい人だって。」

 

友奈「あのね、東郷さん。私は勇者部が大好きなんだ。佳美ちゃんがいて、雪花ちゃんがいて、雀ちゃんがいて、しずくちゃんがいて、シズクちゃんがいて、芽吹ちゃんがいて、夕海子先輩がいて、竜治君がいて、銀ちゃんがいて、園ちゃんがいて、‪夏凜‬ちゃんがいて、風先輩がいて、樹ちゃんがいて、ちひろちゃんがいて、東郷さんがいて…そして、みんなが笑ってる、そんな勇者部がたまらなく大好きなんだ!だから!そのためなら…いくらでも頑張れる!!」

 

ちひろ「…妹の最初の友達が少し元気なかっただけで、どんなに巻かれても、散々に言われても気にかけ続けて…何日も潰れたのに返ってきた答えが「なんでもない」だった…それなのに、「よかった!」って、万遍の笑みで言える、そんな素晴らしい人だって!!」

 

友奈「…あのイネスの襲撃の時、私は一旦銀ちゃんより避難を優先したよ…それで助けれなかった。すごい後悔したんだ。今もなんで助太刀しなかったんだって思ってる。

過去には戻れない…でも!それを未来に繋げることはできる!!」

 

ちひろ「そんな風さんだから、もし樹ちゃんを傷つけたら…戻ったあと、一生自分を許せなくなる。だから!!!それだけは絶対にさせない!!!」

 

友奈「だから絶対に諦めない!!もう二度と!!」

 

大剣が、布が、振り上げられる。

 

東郷「…どう…して…」

 

樹「…ちひろちゃん…なんで…!」

 

友奈、ちひろ「だって私は…私たちは…

勇者だから。」

…そして、振り下ろされた。

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━神の祝福は。

 

 

 

 

 

 

ーーー友奈sideーーー

ビジジッ

(…あれ?)

…布による衝撃も、それのよって起こるはずの風も、感じなかった。

(…もしかして、即死しちゃったとか?)

目を、開ける。

ビジジジジジジッ

…攻撃は届いてなかった。防がれていたのである。

…精霊バリアによって。

友奈「…え?」

ビジジジジジジッ

そしてそれを張っているのは…

友奈「…勇者システムの…端末…」

ビジィンッ!!

それは布を完全に弾き、目の前へ。

さらに。

ヒュウウウウウウウン

どこからかトリガーが。

遊真「あれってたしか…試作品の…」

2つは融合し、その姿を変える。

薄ピンク色の本体に、ヤマザクラの模様が中心に。

友奈「…もう一度、力を貸してくれるの…?」

 

そして、それは時同じくして━━━━

 

ーーーちひろsideーーー

ビジジッ

(…あれ?)

いつまでも痛みが来ないことを不思議に思い、目を開ける。

ちひろ「…剣が、防がれてる?誰が…」

『…冷静そうに見えて無茶をする。…変わらないな、お前は。』

(…ッ!?!?!?)

…聞き覚えがあった。

…1回しかないはずのその声を。

…それは、家族と同じくらいに大切な人の。

ちひろ「…コ…マ…?」

コマ『…久しぶりだな、ちひろ。』

ちひろ「…ぅぅっ…詳しい話はあとで、だね?」

コマ『…ああ。お前のその覚悟が、運命を変えた。見ろ。』

そう言われた先には勇者システムの端末と、トリガー。

端末がトリガーに吸収されていき、トリガーは全体の色を水色へと変わる。

そして、中心にコチョウランの花が咲いた。

ちひろ「…積もる話が山ほどあるの。」

コマ『ああ。』

ちひろ「みんなにきいてほしいんだ。できるかな?」

コマ『全員同時には出られないが…聞くさ。いくらでも。お前の話なら。』

ちひろ「うん、ありがとう。」

 

ーーーちひろ・友奈、同時進行ーーー

 

友奈「勇者は不屈、何度でも立ち上がる!!私は!勇者部のみんなと幸せになるために!!再び勇者になる!!」

 

ちひろ「…風さん。今、助けます。」

 

…そして、再びその引き金を引いた。

 

ちひろ、友奈「トリガーオン!!!」

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