上里ちひろは勇者である   作:☆ここな☆

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9話 技ヲ磨ク

ーーー6月20日、ボーダー訓練室ーーー

ーーーちひろsideーーー

風「…いい加減少しくらいあたりなさいよー!!!」ビュンッビュンッ

ちひろ「風さんの狙いが分かりやすすぎるのが悪いですねはい。」サッサッ

樹「うーん…えいっ!」ビュビュビュビュッ

出水「お、90点2個に70点5個、50点3個、10点10個。だいぶ精度上がってきたんじゃねーか?」

樹「ありがとうございます!!」

ちひろ「ワイヤーとは結構勝手が違うのにすごいよ樹ちゃん!!」サッサッ

樹「ありがとうちひろちゃん!」

風「避けながら樹を褒めるなー!!樹褒めること自体はいいけどさー!!」

ちひろ「ハイハイスイマセンデシター。」

私たちがここに来てからもう1週間、鬼怒田さんができる限り私たちの要望に合わせた調整を行ってくれたトリガーを元に、私達は訓練を開始していた。

(しっかし結構融通が聞くんだね…あんな刀型だった孤月を風さん好みの大剣にしちゃうんだから…)

他には雀さん用にレイガストをシールド特化にしてもあったり、東郷さんのために新たな銃型作ったり。

よほど大変だったのかだいぶ怒り気味だったが。

樹ちゃんと雪花さんのは無理があったらしいのと、本人達がシューターを希望したのでそこまでの調整はなし。

竜治君はレイガストを盾、孤月を刀のスタイルで望んでる。

そして私と友奈さんは勇者の力の宿った…「フラワートリガー」と名づけられたやつに慣れるための訓練。

(体が覚えてるからそこまでやることないと思うけど…もしかしたら何か追加されてたりするかもしれないし。)

で、今は何をしてるかと言うと…

風「攻撃手段スコーピオンだけって厳しすぎんでしょ!?」

ちひろ「自分から言ったんじゃないですか。『前あった小刀ポジのスコーピオンにも慣れたいから力貸してー!』って。だから私はやってあげてるだけです。」

風「ぐぬぬ…でも全然当たらないじゃない!!」

ちひろ「それは風さんの狙いがガバガバな上に分かりやすすぎるんですよ。コツは最初に言ったじゃないですか。」

風「ならせめて隙わざと作りなさいよー!!」

ちひろ「私スパルタなんで。大剣の防御は許可してるんだから上手く使って隙つくりやがれください。」

風「鬼ー!悪魔ー!サディストー!人でなしー!!」

ちひろ「あ、スキあり。」ズバッ

風「んぎっ!?不公平ー!!」ガキンッ

ちひろ「えー…めんどくさい…」

風「そもそも肝心の実践を見せないじゃない。さすがに言葉だけであとは放任じゃキツイわよ…」

(…樹ちゃんも見てあげたかったんだけど…)

ちひろ「1回だけ攻撃解禁します。私はいつもの2本に加えてミニビット1本で。」

風「サンキュ!じゃあ…いっくわよー!!」

ガキンッガキンッ

風さんの大振りの一撃一撃を2本で的確に受けていく。

(やっぱり完全にいなせはしないか…振りかぶる姿勢がいいもんこの人。)

風「どうしたの!もっと!来なさい!!」ブォンッ!!

ちひろ「1本じゃ受けれないんです、よっ!!」ガキンッ

風「ははーん?それって!つまり!さっ!!」ブォンッ!!ブォンッ!!ブォンッッッ!!

ガキンッガキンッガキンッ

風「このまま行けば!!私の!勝ちってことよねっ!!」ブォンッ!!ブォンッ!!ブォンッッッ!!

ちひろ「まあ!そうなります…ねっ!!」ガキンッガキンッガキンッッッ!!

事実、徐々に角に追い詰められてきている。このままいけばいずれ衝撃の逃げ場がなくなり、防御を崩されて真っ二つにされるだろう。

…このままいけば、の話だけど。

ビュンッ!!

風「いっ!?」

風さんの手を上から降ってきたミニビットが切り裂く。

風「いつのまにっ…!?」

ちひろ「隙あり…です!!」ズバァン!!

そしてできた隙を逃さず一閃。

結果として真っ二つになったのは私じゃなくて風さんになった。

(すぐにトリオン補充されるからすぐ治るけど。)

風「そういえばミニビット1つだけあったわね!?」

ちひろ「ええ。これで実感できたんじゃないですか?小刀とかナイフとかを正面から戦う時に使うなら大事なのは…」

樹「ちひろちゃーん!!」

ちひろ「ん?どうしたの樹ちゃん。」

樹「出水さんが呼んできてって。」

ちひろ「出水さんが?わかった。風さんは練習しててくださいね。」

風「え、ちょっと!?1人でどうやれと!?」

ちひろ「そこをどうにかやるんですよ。」

風「投げっぱじゃない!?」

ちひろ「風さんの女子力をもってすれば余裕ですって。」

風「当たり前よ!!任せなさい!!」

樹「お姉ちゃん…」

 

ちひろ「で、用事ってなんですか?」

出水「いや、太刀川さん経由で迅さんから戦闘スタイル聞いてな。めちゃくちゃな感じだそうじゃねえか。弾の軌道常に考えながらの二刀流とか。」

ちひろ「あ、ありがとうございます。ちょっと諸事情で1年半くらい暇な時間があってですね…それで特訓してたんです。」

出水「いや特訓しまくればできるようなもんじゃねえぜ?ましてや形も変化させてなんてな。」

ちひろ「神樹様が使いこなせないものを渡すはずがないのでまあお察しですよ…それより、ホントの要件は?」

出水「…頼まれたブツは、ちゃんと届いたってよ。」

ちひろ「お、ありがとうございます。となると…」

出水「そうそう。報酬の俺との模擬戦、やっともらうぜ?」

ちひろ「…わかりました。ちょっと2人にも言ってくるので待っててください。」

 

 

 

 

ーーー雀sideーーー

雀「ぐえっ!!」ガキンッ

遊真「大丈夫?鬼怒田さんにもうちょいだけ強度あげてもらうか?」

雀「いやいやそんな滅相もない!!私は今のままで十分だようん十分。」

遊真「ならいいんだけど。」ザンネンザンネン

鬼怒田さんが調整してくれたトリガーを使った訓練、さすがに防人の頃よりは受けた時の衝撃が大きくて、私は割かし苦戦してた。

(とはいえ慣れなきゃなぁ…私は勇者じゃないもん。たしかにあの時歌野さんからもらったけど…一時的な可能性が高いし。)

勇者としての神聖な力、それを勝手に手渡しできるとは思えない。

(その場合私はフラワートリガーだっけ?絶対手に入らないもんなぁ…慣れるしかないよねぇ…強度自体はこっちの方が強いっぽいから慣れればなんとかなる!!多分!!きっと!!)

雀「よぉーし!!頑張るぞー!!遊真さん!ワンモアチャン!!」

遊真「おっ!なら遠慮なく行くぞー!トリガー切り替えて…」

(…トリガー切り替え?えーっと?基本的にトリガー使いの人のトリガーはひとつ、例外として迅さんや遊真さんみたいな黒トリガーも使える人はもしもの時のために2つ持ち。そしてさっきまでは通常のトリガー。ってことは…まさか…)

雀「ちょ、遊真さんタンマタンマそこまでやってっては言ってn」

遊真「ブースト・トリプル!!」

雀「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

ーーー自販機前ーーー

雀「ひどい目にあった…」ゴクゴク

雪花「お疲れさん。」

まさかの黒トリガーの一撃くらった私はとりあえず自販機でテキトーに飲み物買って飲んでた。

ついでに雪花さんと会ったのは偶然。

雪花「で、そんなことはあったようだけど全体としての調子は?」

雀「防人の頃よりは強度があるんですが、少々受けた時の衝撃が大きくてですね…まだ慣れるにはちょいと時間かかりそうです。友奈さんは絶好調ですね。東郷さんも結構。」

雪花「お、だいぶいい感じじゃん。こりゃこっちも負けてらんないわー。」

雀「というと?」

雪花「まあ私があんまり進んでないのはお察しだろうけど、竜治君はレイガストをシールドから戻しちゃったりとか、旋空弧月だったかな?を意図しないタイミングで発動させちゃったり切り替えに難あり。オペレーター組もまだそこまでだねー。」

雀「やっぱり難しいですよねー。まあ慣れなくちゃいけないんですが。」

雪花「うむ。でなんだけどさ。」

雀「ん?なんですか?」

雪花「そのオペレーター組2人に頑張ってるご褒美としてケーキ買ってあげたいんだよね。だけど私もうちょいあって。頼めたりする?」

雀「あー、この先の予定はあんまないですしいいですよ。亜耶ちゃんが喜ぶ姿は私も見たいですし!」

雪花「契約成立だにゃあ。」

雀「ええ!私におまかせください!!」

 

ーーー住宅街ーーー

ーーー樹sideーーー

樹「だいぶ見慣れてきたよね、この道も。」

風「そうね〜たかが1週間、されど1週間だわ…しっかし珍しいわね、樹が買い物手伝いたいだなんて。」

樹「手伝いたいのが1つ、あとは…ちょっとちひろちゃんのことで。」

風「ちひろ?…あー…なるほどね。」

樹「うん…元気ないんだ。心配かけさせまいといつも通り振舞ってるけど…」

風「真っ先に戻ったのが私だったから乃木のこと思ってるんでしょうね…樹の負担軽減なったのはいいけどちひろの負担増量したら意味ないでしょ私!!」

樹「お姉ちゃんが帰ってきて負担は軽減されたと思うよ?元気ないのはその前からだし…」

風「え?まさかぁ。」

樹「ううん。お姉ちゃんの思ってる以上にお姉ちゃんはちひろちゃんに信頼されてるよ。だからあそこまで遠慮なくいじるんだし。」

風「そういうもんなのかしら。なら嬉しいんだけど…あ、いじられるのは嬉しくないからね。私ドMじゃない。」

樹「大丈夫、言われなくても分かってるよ。で、どうしたらいいと思う…?」

風「そうねぇ…あ、スメブラ持ってきてるんだっけ?」

樹「え?うん。同棲の可能性をちひろちゃんが考えて親睦深めるのに使えるんじゃないかって。」

風「よし!なら明日にでもそれをみんなでやりましょう!運がいいのか悪いのか、ゲーマーの竜治や東郷、防御の鬼雀がいるんだもの。それに玉狛にも1人は猛者いるだろうし。それで少し吹き飛ぶはずよ。」

樹「たしかに!!さっすがお姉ちゃん!」

風「えへへ〜それほどでもないわ〜。

ま、極論言えばちひろは樹が心配してくれてるって知るだけでだいぶ軽減なると思うけどね。」

樹「そっか…でもそれは確実にあとからちひろちゃんがさらに隠そうとするから諸刃の剣だよ。」

風「あ、分かる?あえて黙っておいたんだけど。」

樹「お姉ちゃんの妹だから。」

風「納得。じゃあ一段落したところで!店着いたわね。明日に備えてお菓子も買ってく?」

樹「それいいね!九千坊えびせんとかちひろちゃん喜びそう!」

風「こっちにあるかどうかだけ問題だけどとりあえず探しましょっか!」

樹「うん!!」

…ビジジッ

店に入ろうとしたその瞬間に、それは聞こえた。

(この音って…たしか…)

風「ん?何かしら今の音。」

樹「…お姉ちゃん!トリガーの用意して!」

風「え?どうしたのよ一体!?」

樹「来るの…ネイバーが!」

ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンッ!!

『緊急事態!緊急事態!警戒区域外、本部内に複数のゲート発生!一般市民のみなさんはただちに避難してください!!』

風「…樹、避難誘導よ!」

樹「もちろん!みなさんのこと守らないと!!」

 

ーーー雀sideーーー

雀「ねえなんで?なんで?なんでまた来るの?なんで今回も外にいる時なの?ねえ教えてよぉぉぉぉぉぉ!!!!」

どうも雀です。またネイバー来ました。私は亜耶ちゃんと佳美ちゃんへのご褒美買いに絶賛外です。終わりました。

(いや待って私。今の私には…)

雀「トリガーがある!!」バッ

…だが、その手に握られてたのはかつての防人のシステムの入ったスマホ。

雀「えっ?????」

(あっれれー?おっかしいなー。たしかこのポケットに入れたはずだぞー?

そもそもこれなんて持ってきてなかったぞー?)

記憶を辿る。

(…あっ。)

雀「…スマホとトリガー間違えたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ーーーちひろsideーーー

ちひろ「宇佐美さん!!友奈さんと通信繋いでください!!あと星座級、人型は!?」

宇佐美『えっとね!人型、星座級?それぞれ一体ずつ!!』

友奈『じゃあ1人で1匹?だね!!』

ちひろ「私の方が人型に近いのでそっち行きます。友奈さんh『じゃあ私は星座級!』ほんと察しいいですね。任せました!」

勇者部の、2度目の戦いが幕を開けた。

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