上里ちひろは勇者である   作:☆ここな☆

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11話 "なるべく諦めない"

ーーー警戒区域付近、ちひろsideーーー

数々の妨害を突破し、私はついに人型━━体を乗っ取られた園姉と対面していた。

ちひろ「…」

ソノコ「…」

…静寂を破ったのは、ガレキの落ちる音だった。

ちひろ「モードビッグビット!!」

ソノコ「フンッ!!」

ガッキィィィィィィィィィィィィンッッッ!!!!

私の剣と園姉の槍、ビッグビットと尻尾群がそれぞれ激突する。

(嵐山さん達や諏訪隊から情報は得てる…ビまずは想定の範囲内。)

ちひろ「ソードビット!!」

距離を取ってビッグビットからソードビットに戻す。

ビュンビュンビュンビュンッッ!!!!

ズバッズバッ!!

飛んでくる尻尾をかわしつつ、避けきれないものは剣で防ぐ。

その上でソードビットを飛ばす。

まあ、槍でなぎ払われるけど。

(ゼロ距離で尻尾の直撃をくらえばシールドでも防げない。かといって私に有利な形を作るには直接当てれないと…なら。)

ちひろ「モードウィップ!!」

ズババババババババッ!!!

ソノコ「ナッ!?」サッ

ちひろ「逃げられるなんて思わない方がいいですよ。」ズババババババババッ!!!

ソノコ「コレデ3個目…ドレダケ変形スルト言ウンダ…!?」

ちひろ「12種ですよ?モードダガー!!」ドゴォンッッ!!

ソノコ「グッ!!」ギギギッ

近づいて槍に直接一撃をねじ込む。

ソノコ「…コイツッ!!」ババババババッドガァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!

ちひろ「モードウイング。」シュンッ!!

多少かするけどなんとかかわす。

(ここまでは順調…気がかりなのは嵐山隊がやられたアレをいつ出してくるか…できればもう少し優勢になって、周りの落ちてるやつを破壊してからが望ましいけど…)

ソノコ「コレホドノヲ的確ニ使イコナシテイル…出シ惜シミシテル暇ハナイヨウダ!!」

ブウウウウウウン!!!

世界はそんなに上手くできていない。

噂をすればなんとやらが如く、落ちていた尻尾を展開する。

ちひろ「…チッ。」

ビュンビュンビュンビュンビュンビュンビュンビュンッッ!!!!!!!

少しずつかわしていくものの、量が量、かわしきれない時が来る。

ちひろ「…モードシールド!!」

ギギギギギギッ!!

シールドを展開、受け止めようと試みる。

…ビキキッ!

(やっぱりダメか…!)

ドガァァァァァァァァァァアァァァァァァァァン!!!!!

ソノコ「…マズ、機動力ダナ。」

右足を持ってかれた。

ちひろ「…モードウイ〈サセヌ!!コレデ終ワリダ!!〉

瞬時に園姉が私の周りに尻尾を展開する。

(スピード型とパワー型の二重展開…かわせない!)

ザザザザザザザッ

…そのまま、突き刺した。

 

ーーーソノコsideーーー

ソノコ「…コレデ5組目、カ。サテ、マタ奴ラヲ追ワネバナ…」

(シカシコノ二重展開攻撃…使エルナ。コレデ更ニ強クナッタ。)

そのまま利用するために、尻尾を引き抜…

…けなかった。

ソノコ「…!?!?」

(動カヌ!?マルデ何カニ刺サレテルカノヨウニ…!!)

ちひろ「…ボーダーに来れて、よかった。」

ソノコ「ッ!!アレハ避ケラレナイハズ!!」

ちひろ「シューターの方々のあの状況に合わせた応用性、加えてフラワートリガーになったことでソードビットの形を従来以外にも変化できるようになったこと…」

ソノコ「…ヤット抜ケタカ!!」

やっとこさ引き抜いて、彼女の体を確認する。

その体は…

ちひろ「ミニビットよりも細く、鋭く…!新形態、モード"ニードルアーマー"!!」

棘のある球体に覆われていた。

 

ーーーちひろsideーーー

モココ『私が最初だ~嬉しいな~』

ちひろ「ホントはぶっつけ本番にはしたくなかったけどまあ仕方ないよね。このまま畳みかけるよ!!タッツー!!」

タッツー『園姉ちゃんと美味しいご飯食べるために頑張るよー!!』

ソノコ「クッ…来イ!!」

ちひろ「何事も応用!さっきの長さを維持しつつ2つずつ合わせ、平面型にすることで空気抵抗を減らす…モード"ソードブレッド"!!」ダダダダダダダンッ!!!!

ソノコ「サッキト同ジコトヨ!!」ブウウウウウウン!!!

園姉はソードブレッドをソードビットと認識し、再び槍を旋回、防ごうとする。

(たしかに基本的にはかわらない…ただブレッドは立体感をなくして空気抵抗を減らし、鋭さを上げ、何より直線的な動きをさせることでスピードをとことん上げる型。)

…ザクッ!

ソノコ「刺サッ…!?チッ!!」ビュンッ!!

1個が槍に刺さったことで、なんとか園姉は残りを回避。

ソノコ「コレハ…マサカ貴様…!」

ちひろ「あれ?もしかして自分のがパクられたとか思ってます?自意識過剰すぎますよ?所詮あなたのはスピードか威力かしか取れなかったんですし。」

ソノコ「コッイツ…!!」

ちひろ「あ、そんなあなたに特別に情報を!

…ソードブレッド、もう帰ってきてますよ?」

ソノコ「ッッッッッッ!?!?」ザザザザッ

(3発かすり、1発右太ももに切断しきれずとも命中。)

ソノコ「…消シッ飛バスッッ!!!」バッブウウウウウウン!!!

散々コケにされて頭にキたのか、近くにあったマンションの屋上まで移動、距離を取った上で今まで出してなかった特大の槍を形成、こっちに放とうとしてくる。

ちひろ「なら私も…モードフルアロー!!はあああああ!!!」ヒュウウウウウウウン!!!!!

ソノコ「消エ…ヤガレェェェェェェェェェ!!!!」ヒュウウウウウウウン!!!!!

ッッッッボガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!

私のフルアローと園姉の特大槍が衝突し、凄まじい爆風が周囲に吹き荒れる。

ちひろ「ウッキー!」ボソッ

ウッキー『うわぁエグいこと考えてるー!まあ僕も大賛成だけど!!』

煙の中を一気に駆け上がる。

そして…

ちひろ「モード"ランス"!!!」ズバッッッ!!

ソノコ「貴様…ドコマデモォォォォォ!!!」ガキィィインッ!!

ランスで奇襲。

あちらが想定してなかったこともあり、マンションの端の方まで追い詰める。

ソノコ「今度ハ至近距離デ特大槍ヲクラワセテクレルゥゥゥゥゥ!!!」

ちひろ「やるよトラ介!!モード"アックス"!!…吹っ飛べぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

園姉が特大槍を完成させるよりも早く。

ガードに用いた出来かけの槍ごと、近くの三階建ての屋上に叩きつける。

ソノコ「ガッッ!!!」

ちひろ「モードデスサイズ!!これでッッ!!!」

鎌に変形、そのままマンションの屋上から…

ちひろ「終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」

首を刈り取…

 

園子『…春信さんの話聞いてね?昔のこと思い出しちゃった。2年…あと数ヶ月もしたら3年だね…前のお役目を終えて、体の機能も、親友も、気づかないうちに妹も失ったあの日のこと。』

 

(…ッッッ!!!!)

 

ちひろ『園姉…私気にしてないよ?仕方なかったことなんだし…』

園子『やっぱちっひーは優しいね〜!…だからね、思ってもみなかったんだ。

こんなふうにまたわっしーやちっひーと、ましてやミノさんも一緒に学校に通って、勇者部の活動をやれるなんて。

…これも、ちっひーが頑張ってくれたおかげだよ。ありがとう、ちっひー。』

ちひろ『…そんなことないよ…最後の戦いで、忘れ去られたあの日から…私の時間は止まったままだったんだよ。

忘れられたことで変に考えて、信じれなくなって、塞ぎ込んで。

…勇者部に入ったあとも、どこかでは心を許してなかった。7体同時襲来のあとは特に、ね。

…私が今を歩み出せたのは、勇者部の…樹ちゃんのおかげなんだよ。

…こう考えると多分私も考えてなかっただろうなぁ。こんな幸せな日々を過ごせる日が来るなんて。

…いいよ、おいで園姉。その代わり私からもいい?』

園子『もちろんなんよ〜!はい!ギューっ!!』

ちひろ『ふふっ。ギューっ!!』

園子『いつもと比べて大胆なちっひー、いいよ〜!!』

ちひろ『いつも手厳しくしてるからたまにはしてあげたいなって。』

園子『優しい〜!…これからもよろしくね、ちっひー!!』

ちひろ『うん、これからもよろしく、園姉。』

 

…鎌は、園姉に届く寸前で止まった。

ちひろ「…っ。」

ソノコ「スキッアリィ!!!」ザクッドッガァァァァァァァァァァン!!!!

そして園姉のユニットから直接繋がった尻尾を鞭のように使い、私を刺してそのまま地面に叩きつける。

トリオン体は、そのまま解除された。

ソノコ「…何ガ起コッタカハ知ラナイガ結果オーライダ。殺スツモリマデハナイガ…我ヲ散々ニコケニシタ、ソノ落トシ前ハ付ケサセテモラウ。」

(…わかってる。わかってるんだ。あんなのは園姉じゃないし、倒しても死ぬわけじゃない。むしろ倒すことこそが園姉を助けることになるんだって。でも…)

ちひろ「…できない…あはは、ホントダメだな私…

…ごめん、園姉…たとえ死なないと分かってても…助けることにつながるって分かってても…私には…園姉にトドメをさすなんてこと、できないよ…」

ソノコ「…」ブンッ!!!!!

園姉が尻尾を投げる。

細いのと殺すつもりはないって発言からおそらくかなり威力を抑えてるんだろう。

(…心に傷、残しちゃう。ごめんね…)

樹「…アステロイド+アステロイド…ギムレット。」

ドガガガガガガガガァァァァァァンッ!!!!

風「ちひろ!大丈夫!?」

…尻尾を撃ち払い、樹ちゃんは…私の前に立った。

私の隣には、風さんも。

ちひろ「…すいません。助けるためと分かってても、トドメ刺せなくて…」

樹「…ちひろちゃんは、すごい色んなことができるんです。

勉強とか、運動ら野球以外は部活並にできて、料理も上手だし、意見まとめるのも出すのもお手の物で…あ、性格もいつも冷静だし、優しいし、頼りになるし。

…でも、女の子なんです。驚かされるとすごい慌てるし、1人でなんでも抱え込んで無理することもあるし、トラウマだって持ってるんです。

…だから、誓ったんです。あの夜に。

私がダメな時はちひろちゃんが、ちひろちゃんが無理な時は私が、2人とも挫けそうな時はお互いに支えあって、乗り越えようって。

…ちひろちゃんの笑顔は、私が取り戻します。だって、親友だから。」

樹ちゃんがトリガーを解除する…そして手に握られていたトリガーは…キレイな緑色をしていた。

風「…全く、少しは頼りなさいっての。…あ!そうそう言い忘れてたわ。今日の夕飯、天ぷらうどんにするから。」

…それは、かつて園姉がうちに来た時に、最初に4人で食べたものだった。

風「だーかーら!あんたの仕事は1つよ。安全な場所で笑顔作って帰ってくるの待ってなさい。ね?」

ちひろ「…はい…!」

涙が、止まらなかった。

 

ーーー樹sideーーー

樹「…お姉ちゃん、ちひろちゃんは?」

風「安全なとこに避難させたわ。」

樹「よかったぁ…これで心置きなく戦えるね。」

ソノコ「…準備ハイイノカ?」

風「ええ!!犬吠埼姉妹の力、見せてやるわ!!」

樹「その体は園子さんのものです。勇者部のみんなのため、東郷さんのため、ちひろちゃんのため…返してもらいます!!」

 

 

 

 

 

 

ーーー警戒区域内ーーー

風「…って言ったはいいけど、どうしたもんかしら…」

樹「予想以上に相性が悪かったね…元からいい人なんてそうそういないのかもしれないけど…」

私とお姉ちゃんは今、ソノコさんの猛攻を凌ぐために廃墟に身を隠していました。

風「私の大剣なら尻尾を切り裂けるけど隙が大きくて間に合わない。樹のワイヤーはまとめて対処できるけど破壊できるほどの威力がないから30秒くらいで突破される、かぁ…どうにか戦況をひっくり返したいわね…」

樹「ちひろちゃんがだいぶ減らしてくれたんだろうけどまだ結構あったもんね…うーん…」

(勇者システムで何か…他にできること…何か…!!)

…一つだけ、思いついた。

かなり危険な賭けになるけど。

(…この先、きっと戦いは激しくなる。そうなったら今使わなくても使わざるを得ない状況がきっと来る…なら…)

樹「お姉ちゃん!耳貸して!」

風「え?その様子…まさか作戦思いついたの!?」

樹「うん!成功するかわかんないし、かなり危険な賭けになるけど…」

風「…詳しいこと聞かなきゃ正式な判断はできないけど、勇者部六箇条、なせば大抵なんとかなる、よ!よっぽどのことない限りやる方針で行くわ!」

樹「ありがとうお姉ちゃん!じゃあね、まず…」

 

ーーーソノコsideーーー

ソノコ「…ヤレヤレ、イツ出テクルカ…」

(流石ニ連戦デトリオンノ消費モ激シイ…コノ先ノコトモ考エテ今アル限リデ決メタイガ…)

その時であった。

バッ!

バッ!

ソノコ「分カレタ!!攻撃ヲ分散サセルツモリカ!!」

(シカシ甘イ。勇者ハ満開ニヨッテ2パターンノ強化ガアルノヲ知ッテイルゾ。

1ツハ主力武器ノ強化、1ツハ新武器。黄色イ方ハ大剣ダカラ複数扱エハシナイダロウ、トナルト強化系…緑ノ糸ハ応用性ニ優レテイルモノノ、攻撃力ニハカケルカラ決メノ一手ガアルハズ。

ソウ考エルトドウスルベキカ自ズト見エテクル。)

ソノコ「マトメテ破壊サレル危険ガアル大剣使イヲ後回シニシ、糸ヲ先ニ倒スコトヨ!!」

バババババババババッ!!!!

緑の勇者へ向けて大量の尻尾を飛ばす。

(黄色ハ救援ニ向カワナイカ…互イニ信頼シアッテル、ソレデコソヤリゴタエガアル。)

シュンッ!

ガキンッ!!

シュシュッ

ガキガキンッッ

ビュビュビュッッッ!!!

ガキガキガキンッッッ!!!

個別に尻尾を形成、飛ばすものの黄色は全てを大剣で防ぐ。

(…ナラバ!!)

ユニットから直接繋がる針のついた鞭を形成。

力で大剣を貫いて━━━━━━

風「…作戦通りよ!!樹!!!」

樹「うん!!満開!!!」

次の瞬間、地面に大輪の花が咲いた。

 

ーーー樹sideーーー

 

風『…満開!?』

樹『うん。どういうわけかわかんないけど、フラワートリガーは勇者システムをさらに自由度を増した形になってる。なら満開もあると思うの。』

風『ダメよそれは…だってあくまで確率の話じゃない!それに仮にできたとしても…散華が…』

樹『…お姉ちゃん、前だってアップデートで何も失わないようになってたから、今回も何か変化があると思う。

それにね、これから先、もっと戦いは厳しくなるはず…だからいずれ、使わないといけない日は来ると思うんだ。なら私が使って、可能性を探る。』

風『でも…また声失ったら…』

樹『大丈夫。失ったら失ったで治る方法探すもん。ボーダーのみなさんだっている。諦めなければ神様はちゃんと力を貸してくれるんだよ。』

風『…あとで後悔しないこと、そして何かあった時にちひろのメンタルケア!OK!?』

樹『うん!!』

風『ならよし!!絶対に勝つわよ!いざっ!』

樹『え、ちょっと待ってー!?満開使うって言っただけで肝心の作戦内容がまだだってばー!!』

 

満開。それはかつての勇者の切り札。

花が満開に咲き誇るように、絶大な力を発揮する。

しかし、その代償として散華という機能があり、身体の機能の一部を神樹様に捧げる必要があった。

(…かつて、私たちを傷つけたこの力…今は友達を助けるために使う!)

ソノコ「クッ!オ前ラハ確カニ分カレタノヲ見タ!ナノニナゼ!?」

樹「糸でそっくりの分身を作ったんです!!よく出来てたでしょう!?」

そう言いながら、地面と拘束した鞭をかけあがる。

 

ーーーソノコsideーーー

(完全ニ策ニハマッタカ…!!尻尾モスグニハ戻セナイ…)

ソノコ「ダガ近ヅケサセハセヌ!!」

鞭を途中で切断することでルートを遮断しようと試みる。

(アノ数ノ糸ダ…ソノウチ自ラ上ガッテクルダロウガ、尻尾ノ生成ト引キ戻シニハ十分y…)

樹「させませんっ!!」

ババババババババギシッッッッ!!!!

ソノコ「ナッ!?」

しかし何事もそう上手くは行かず、ユニットはムチの接続部分ごと完全に糸で覆い尽くされ、切り離すことは不可能に。

(マズイマズイマズイマズイ!!!モウ数秒モアレバ辿リ着ク!!モウ使エルノハ左手の装甲シカナイ!!ギリギリマデ引キ付ケレバ行ケルカ!?)

…ここだけの話、樹の糸の強度は尻尾に負けている。

そもそもさそり座の尻尾の攻撃は、直撃すればシールドを貼ってないトリオン体は消し飛ぶほどの威力を有してるのである。

それを防ぐには相当な数のワイヤーを重ねる必要がある。

つまり、尻尾を複数生成さえしようとすれば簡単に破れるのである。

しかし、ソノコは気づかない。

いくら自我があるとはいえ、所詮はトリオン兵、その思考はどうしても合理的に物事を判断するバーテックスやトリオン兵のそれに似る。

樹「これで…終わりです!!」

ソノコ「マダ終ワッテタマルカァァァァァァァ!!!!」

糸で作り出されたナイフ、それを隠し球の左手の装甲でなんとか防ぐ。

(ナントカ防イダゾ!!アト10秒デ尻尾モ回収デキル!!)

ソノコ「私ノ!!勝チダ!!」

樹「いや…」

ガバッ

…脇から、横に大きく振りかぶる黄色の勇者が見えた。

樹、風「「私たちの勝ちです(よ)!!」」

(…ナゼダ?ドコデ対処ヲ間違ッタ?ナゼダナゼダナゼダナゼダナゼダナゼダナゼダナゼダナゼダナゼダナゼダナゼダ━━━━━)

そうしてる間に剣はふり抜かれ━━━━━

 

 

 

 

 

 

ーーー???ーーー

ソノコ「ナゼダナゼダナゼダナゼダナゼダナゼダナゼダナゼダ…」

「ねえ、打つ手がないなら私に身体、貸してもらえない?」

ソノコ「…ドウニカ出来ルト?」

「当たり前なんよ~!私を誰だと~?」

ソノコ「…ソウ言ッテ最後ノ可能性モ残サナイ、コウ考エルノガ普通ダガ…?」

「え~なら嘘ついてるか確認すればハッキリすると思うよ?ここならお互いにそのくらいは見分けられるんだし!ね?」

ソノコ「…嘘ハツイテナイ、カ…

…イイダロウ、ヤッテミロ。アノ絶望的状況ヲ覆セルモノナラナ。」

「やった~!認められた~!

お礼にひとつ、名言あげるよ~!!」

 

ーーー警戒区域内ーーー

ーーー樹sideーーー

園子「勇者部六箇条、1ツ!!ナルベク、諦メナイ!!!!!!」

ブチッガッキィィィィィィィィィィンッッッッ!!!!!

お姉ちゃんの渾身の一撃は、なんと自身の右腕を犠牲にして持ち手の部分から出した尻尾によって防がれていた。

風「なっ!?防がれた!?」

樹「それに今の言葉って…!!」

さらにそのまま尻尾は旋回、私の糸ナイフも弾く。

そしてそれと同時に左手でユニット回収へ。

(うっ!でももう一度…!)

風「…っ!!樹、離れて!!」

樹「えっ!?」

お姉ちゃんに言われて、追撃をやめて離脱する。

…ビュビュビュビュビュビュッッッ!!!!

その数秒後、私のいた場所にはたくさんの尻尾が刺さっていた。

樹「危なかった…ありがとう、お姉ちゃん!」

風「これくらいどうってことないわ。それよりソノコは!?」

ブチブチブチィッ!!

そうしてる間にソノコさんは地面に降り、私のワイヤーを破ってユニットを開放していました。

樹「…振り出し、なのかな。」

風「さあね…ただ右腕は持ってけたし無駄ではなかったと思うわ…」

園子「…スターセーバー。」

樹、風「「っ!?」」

園子「サソリ座担当、乃木園子!」

風「…讃州高校3年、勇者部部長、犬吠埼風!!」

樹「讃州高校1年、勇者部所属、犬吠埼樹!!」

樹、風、園子「いざ(イザ)!!!」

ッッダンッ!!!

ヒュンヒュンヒュンッ!!

ズッバァァァァァァン!!!

ズババババババッ!!!

地面を勢いよく蹴り、道中襲いくる尻尾を切り伏せながらソノコさんへ向かう。

…ただ。

ピシピシッ!!

(…体に…ヒビが…!?!?まさかトリオン切れ…!?)

満開は、そう長くは持たなかったのです。

(…それっ…でもぉぉぉぉぉ!!!)

樹「お姉ちゃん!!」

風「…わかったわ!!!」

残りのトリオンで出せる限りのワイヤーを展開、何重にも重ねてトランポリンのように。

樹「いっけええええええええええええ!!!!」

グググ…ビュンッッッッッッ!!!!

そしてそこにお姉ちゃんが乗り、飛ばす。

それによりお姉ちゃんはさらに加速。

一方の私はトリガーが解ける。

ビジビジッ!

樹「木霊、助けてくれたんだね…ありがとう。」

(…四肢も五感も前と変わらない…ただこの疲れ…トリオンの高消費と解除後の疲労が代償?まだハッキリとは言えないけど…)

樹「…お姉ちゃん…」

 

ーーー風、園子、同時進行ーーー

ズバッズバッズバッ!!!

(あと15m…行ける!いや…)

風「樹に託されたんだ、行ってみせるッ!!!!」

園子「ソウ上手ク行クナンテ思ッテナイデスヨネ?フーミン先輩!!」

風「…っ!?!?」

そう言われて辺りを確認すると上下左右、さらには後ろとさっきから撃ってきている前、死角なしで尻尾に完全に包囲されていた。

(しまっ…!!)

 

園子「終ワリ…デス!!」

ビュビュビュビュビュビュッッッ!!!!

そして、一斉に刺した。

それにより、フーミン先輩がいた場所には尻尾の球体が出来上がる。

(コレデ終ワッテクレルナラスッゴイ楽ダケド~…)

…球体の隙間から、かすかに神々しい光が。

園子「…ソンナ人ジャナイデスモンネ、我ラガ部長ハ!!」

風「…満!!開!!!!!!」

球体を四散させ、地上に花が大きく咲き誇る。

(残リハ7m…!オソラク次ガ最後ノ一撃ニナル…)

…間宮隊、海老名隊、諏訪隊への攻撃用に創成した尻尾の数々。

さらに嵐山隊、ちひろ、犬吠埼姉妹によって付けられた傷からのトリオン漏洩。

すでに彼女のトリオンはほぼ尽きかけ、ボーダーのトリガーなら解除されていてもおかしくないほどに消費されていた。

加えての数々のユニットへのダメージ、次に強い衝撃を受ければ完全に破損、トリオンがないから修復も叶わない。

故に、次の一撃にかける必要があった。

園子「…ヨーシ!!全員集合ー!!」

今残る限りの全ての尻尾を集結、今までで1番の特大槍を作り出す。

 

ミシミシッ…

(なんとなくだけど体の中からどんどんトリオンが消えてってるのがわかるわ…距離的にも次で決めないといけないかしらね…)

一方で、犬吠埼風の方も限界を迎えていた。

長時間の避難誘導、その最中にトリオン兵との戦闘も少ないとはいえあった。

そして今回の乃木園子との死闘、ただでさえトリオンが減っているところにダメ押しの満開。

武器の大剣もソノコの攻撃を多数受けたことによりすでにボロボロであり、次に相殺に持ってけば砕けてしまい、再び出せるほどのトリオンはない。

故にこちらも、次で決める必要があった。

風「終わらせるわよ!!犬神!!」

犬神「…!」コクリ

犬神の力を借りて、大剣を何倍にも大きくする。

 

樹「お姉ちゃん!!行っちゃええええ!!」

ちひろ「…っ。…園姉っ!」

風(…樹が託してくれたんだ。)

園子(…ちっひーガ見テル。)

風「だから!私は!」

園子「コンナトコロデ!絶対ニ!!」

風、園子「「負ケらレなイんダぁァぁァぁァぁァぁァぁァ!!!!!!!!!!!」」

槍と剣、2つが激突する。

風、園子「「はアぁァぁァぁァぁァぁァぁァぁァぁァぁァぁァぁァ!!!!!!!!」」

…そして、両者共に砕けた。

 

(…相討チ…!デモ、ソレナラ私ニハ左手ノ装甲ガアル!!)

武器を失った2人、しかし私の方は左手に攻防どちらも可能な装甲が未だ健在だった。

(サア…来イ!!)風「勇者部六箇条、1ぉおぉぉぉぉぉつ!!」

そして粉塵の中から現れたフーミン先輩は…

風「なるべくぅぅぅぅ!!諦めないぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

…指の間に小刀を挟み、拳を振りかぶっていた。

 

 

ちひろ『えーっとですね、小刀とかナイフとか、そういう系統を活かせる戦い方は主にふたつです。

1つはスピードで撹乱、隙をついていくスタイル。基本的に耐久性、射程で大幅に遅れを取るナイフ系の数少ない長所がスピードを出しやすい点です。スピードで相手を撹乱、攻撃をかわしつつできた隙に的確に入れていく。』

風『‪夏凜‬のをもうちょい極めた形みたいね…でも私は大剣よ?さすがにキツくないかしら…』

ちひろ『はい。風さんじゃ最低5年はかかるんじゃないですかね。』

風『それじゃ意味なくない!?』

ちひろ『だからこその2つ目です。ずばり奇襲、隠し球として敵の虚をつく。』

風『敵の、虚…????』

ちひろ『ええ。まあ具体例あげるなら遊真さんですね。あの人の地面の中通して足に攻撃するのとか、あと単純に不意打ち。これによって相手のペースを大きく乱すことができ、一気に流れを引き寄せられます。』

風『ほ、ほへー…確かにそれなら私と合ってるわね…』

ちひろ『そういうことです。まあまずは小刀の扱いになれなきゃいけないですし…攻撃スコーピオンONLYで。』

風『…え?』

ちひろ『聞こえなかったんですか?耳イカれてます?』

風『いや聞こえてたわよ!?ただ信じれないだけ!!いくら訓練とはいえ初めての武器だけ!?』

ちひろ『あ、防御には孤月用いていいですよ。』

風『あ、それはよ…くない!!無理があるでしょそれは流石に!?!?』

ちひろ『不意打ち系統を訓練する前に慣れてもらわないと。ってことで早速やっていきますよー。』

風『ちょ、タンマタンマー!?!?!?』

 

(今こそ…いやまあ今日言われたばっかだけど…これを活かす時よ!!)

風「友奈、ちひろ直伝!!」

園子「…私ノ完敗デス。」

風「全部のせ!!女子力ぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!パァァァァァァァァァァァンチ!!!!!」

その一撃はソノコの装甲を破り、そのまま脳天を貫いた。

 

 

 

 

 

 

ーーー乃木園子、精神世界ーーー

ーーーソノコsideーーー

園子「ごめんね~負けちゃったんよ~」

ソノコ「…構ワン。私ニハアンナ手ハ思イツカナカッタ。…オ前ト黄色ノ勇者ノアノ戦イハ、私ノ実力ヲ遥カニ超エテイタ。」

園子「お、褒められた~!わ~いわ~い!!」

ソノコ「…ダカラコソ、疑問ガ残ル。

…ナゼ、私ヲ助ケタ。私ハオ前ヲ乗ッ取ッテイタノダゾ?私ガ倒サレレバソノ支配カラモ解放サレル…ナノニナゼダ。」

園子「う~んとね~、理由は2つくらいあるんよ~!!

…あなた、いっつんやフーミン先輩に追い詰められてたでしょ?それで少し封印っていうかなんていうか~まあなんかが解けて目が覚めたんよ~それでね?少~しだけ視界確認したら…ちっひーが見えたんだ。そしたら、情けないところ見せてらんね~ぜ!って思って。」

ソノコ「サラット毒ヲ吐クナ…デ、2ツアルノダロウ?モウ1ツハ?」

園子「…あなたが困ってたから?」

ソノコ「…ハ????何ヲ言ッテルンダ??」

園子「だから~あなたが困ってたからなんよ~」

ソノコ「フザケルナ!?ナゼ私ガ困ッテルカラトイッテ助ケルコトニナルノダ!?私ハオ前ノ…」

園子「あ~そう何回も言わないでいいんよ~

だって…あなたも私でしょ?」

ソノコ「…エ?」

園子「どんな経緯があったとしても、偶然が重なってたとしても、あなたは私と同じ乃木園子で、確かにあの時、その場に存在していた。勇者部の活動は人のためになること~ましてや自分のために頑張らないわけがないよね~!!」

(…普通ソウハナラナイダロ…

…コイツノコノ意見、私ニ立チハダカッタ奴ラノ信頼、ソシテ何ヨリアノ互イノ限界ヲ超エタ戦イ…ソウカ…コレガ…)

ソノコ「…人ノ力、カ…今ナラ私ノオリジナルノ創造主ガ、人ノ可能性ニ賭ケテ消エタノモ理解デキルカモナ。」

園子「うん!勇者部はみんな個性的だけど優しくて、ほんっとに最高だと思うんよ~」

ソノコ「ダロウナ…時間カ。」

…精神体が消え始める。

ソノコ「私モ…オ前ラと、過ごしたかったな。」

園子「…私もだよ、私。」

ソノコ「…元気でね…負けないで。」

園子「…うん、またね!…」

 

ーーー園子sideーーー

園子「う、うん…」

外の眩しさに目を開けきるのをためらう。

東郷「っ!!そのっち!!目覚ましたのね!?」

雪花「お~!これで一安心だにゃあ。」

園子「あ~…わっしーにアッキー…もしかしてずっと起きるの待っててくれてたの~?」

雪花「まあね~病室に1人では置いとかないしょ。とりあえずみんな呼んでくるよ。東郷は説明頼んだ。」タッタッタッ

園子「で~、どんな感じなの~?」

東郷「結構色々とあったから長くなるけど頑張って話すからね。」

園子「うんうん、期待してるんよ~!!」

そして、わっしーが話だ…

ガラガラッ!!

扉が勢いよく開く。

風「あ、ちょっちひろ!病院で走らない!!」

ちひろ「はあ…はあ…」

やったのはちっひー。

園子「あ、ちっひー…おはよ~」

そう私が言うとちっひーは無言で近づいてきて…

…ムギュッ

ゆっくり抱きついていた。

ちひろ「…すごく心配したんだから。」

園子「…うん」

ちひろ「風さんのこともあったし、変なことされてないかずっと心配したんだよ?」

園子「…うん。」

ちひろ「…対峙した時だって…つらかったよ…」

園子「うん…それでも頑張ってくれたんだよね。ありがとう。」

ちひろ「…もう、いなくなったりしないで。」

園子「もちろんなんよ。ずっとそばにいるよ、ちっひー。」

ちひろ「…う゛ん゛…」

…取り戻した(?)もののありがたみを感じて、

(…ミノさん…)

なお足りないものに思いを馳せつつも、いまはただ、大切な妹との時間を大切にしよう、とりあえずはそう思った。




園姉さんの誕生日代わりじゃああああああああ!!!!
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