ーーーちひろsideーーー
ちひろ「はぁっ!!!」
銀「ッ!!」
ガキンッッッッ!!!!
私の剣と銀さんの斧がぶつかり合う。
ゴオオオッ!!
そんな私を貫かんとする蠍座の針は…
ズガァァンッ!!
須美さんが撃ち落とし、その須美さんを狙う蟹座の攻撃は…
園子「ほいさー!」
ガキキッ!!
園姉が弾き飛ばす。
…ガコンッ
ちひろ「…射手座!」
東郷「くっ…!」ダンッ
キキキキキキキキキキキキンッ!!!
その後に発射される射手座の大量の矢を園姉の盾の影に隠れて凌ぐ。
ゴオオオッ!!
しかし、間髪入れず盾ごと薙ぎ払うかのように蠍座の尻尾が迫る。
ちひろ「っ…バーさん!!」
バーさん『微調整は任せときぃ。』
ちひろ「モード…"ドリル"!!」
ギュルルルルルルルルドガァァァァァァン!!!!
レイピアで螺旋を作るようにビットを変形、回転させて迫る尻尾を削り飛ばす。
園子「…!上からユニット来るよー!!」
そして、上から迫る蟹座のユニットを避ける。
東郷「相変わらず厄介な連携だわ…どうする?2人とも。」
ちひろ「とりあえず狙うべきは銀さんだと思います。星座級に関しては吸収されないためにも三体同時封印の必要がありますし。」
園子「だね〜そうなると遠距離から攻めれるわっしーが重要なんだけど〜…」
東郷「パワーアップした蟹座に利用されるからタイミングを考えなきゃいけないのよね…」
今まで出現した星座級と同じようにこの三体にも強化がなされていた。
蟹座はユニットの増量と敵味方問わずの射撃反射、これのせいで須美さんが不用意に狙撃できなくなった。
射手座は雨矢と巨大矢の同時攻撃、これは園姉の盾で防げる。
蠍座は未だ不明だが…
(ないはずがない。でも近距離最強たる所以のあの尻尾の数を増やすよりも有効なところなんてあるの?うーん…)
ババババババババババババババ
ちひろ「チッ…モードウィップ!!」ガキキキキキキキキッ!!
こちらを狙い撃ちしてくる雨矢を全てウィップで薙ぎ払う。
園子「大丈夫ちっひー?さっき攻撃受けてたけど…」
ちひろ「ウィップでなんとかしたから大丈夫。それよりもあの連携を…」
東郷「…そのっち、ちひろちゃん、私に少し考えがあるんだけど。」
園子「お?じゃあ乗った!」
ちひろ「私も。」
東郷「まだ話してもないのに…ありがとう。」
ーー東郷sideーーー
東郷「じゃあ決行は次の攻撃が来たら…」
園子「って、言ってるうちにもう来そうだよ〜!!」
ギュゥゥゥゥゥ…ズガンッ!!
射手座が巨大矢をこちらに向けて放ってくるのを、後ろに避ける。
東郷「じゃあ行くわよ!!」
ちひろ、園子「了解!!」
ビュビュビュビュン!!
2人の返事を聞いてから武器を狙撃銃から射撃ユニットへと変更、射手座に向けて一斉攻撃を仕掛ける。もちろん…
キキキキキキンッ!!
全て蟹座のユニットに反射され、私の方へと向かってくる。
しかし…
(かかった!)
それこそが、こっちの作戦だった。
キキキキキキンッ!!
キキキキキキンッ!!
突如としてビームがさらに様々な方向に反射される。
しかも1回ではなく、何回も。
モーモー『(`・ω・´)ふんすっ!』
ちひろ「うん、土壇場ありがとねモーモー。モード"リフレクター"、反射できるのは、お前たちだけだと思わないで!!」
そう、その正体はちひろちゃんのビットの形態の1つ。それもあえて乱反射にすることで…
ガガガガ
ガガガガ
ガキキキッ
蠍座や射手座、銀にも降り注ぐ。
(銀は斧で防いでるけど…十分よ!!)
ビュビュビュビュン!!
そのまま攻撃を続ける。
ちひろちゃんが上手く調整してくれていて、射手座と銀は多さに動けなく、蟹座は反射に必死。
蠍座の死角からの尻尾の攻撃もビームの被弾音で事前に察知、かわせる。
銀「…ッ。」
もちろんこのままじゃ先に私のトリオンが尽きて、戦況は一気に瓦解するだろう。
だからこそ…
東郷「そこよ、そのっち!!」
園子「ほいさー!!」
私たちに奴らが気を取られてるうちに、そのっちに近づいてもらったのだから。
ーーー園子sideーーー
ちっひーとわっしーがミノさんと三体の注意を引いてくれたおかげで、私はミノさんの懐まで迫れていました〜
銀「ッ!?」
園子「目には目を、連携には連携をだよ〜!!!!」
ガキガキンッ!!
銀「ッ!!」
こっちに対応するために下ろそうとする斧ふたつをそれぞれモーニングスターとハンマーで抑える。
胴体はガラ空き、これほどのチャンスはない。
蠍座の尻尾もカバーに入るべく向かってくる。
園子「まとめて突っ切るよ!はああああああ!!!!!」ビュンッッッッ!!!
私とミノさんの間に割ってはいる尻尾とその先についた針ごと貫かんと、槍の威力重視モードの一撃を放つ。
…が、しかし。
ドロッ…
針に触れた場所から、槍が溶けた。
そう、まるで固体が液体に戻るかのように。
園子「…!?!?!?!?」
私の本能が、ヤバいと言っていた。
尻尾がこちらに振り抜かれる、槍をあっさりと溶かした針を携えて。
園子「…くっ!!」バッ
それを後ろに離脱し回避、しかしそれとともに…
銀「…!!」ガキガキンッ!!ズバッ!!
園子「っ!!」ガキンッ!!
ミノさんがモーニングスターとハンマーを突破、こちらに斬りかかってくるのを、槍の持ち手で防ぐ。
…だけども。
ギュルルルルルルルルルルル
斧の刃が高速で回転、物凄い音と火花を散らす。
東郷「…そのっち!?」
ちひろ「まずい!!」ダンッ!!
(まるでチェンソーみたいに…!!)
少しずつ、少しずつ持ち手が斬られていき…
ズバッ!!
ついに切断、そしてそのまま私の体も…
ちひろ「モードウイング+シューズブレイドォォォ!!!」
ドッガァァァァァァァァァァァァン!!
高速で飛んできたちっひーの蹴りが斧に命中、間一髪のところでミノさんごと地面に叩きつけ、近くの物陰に身を隠す。
東郷「大丈夫?そのっち。」
園子「なんとかね〜倒せなかったけどミノさんと蠍座の特徴が分かったのはいいことだし。」
ちひろ「銀さんはあの回転か…多分なんでも時間かければ切り裂いてくるだろうし、厄介だね…」
東郷「蠍座は…なんなのかしらアレ。」
園子「針に当たったところから槍が溶けたんよ〜…私の体にも当てようとしてたし多分私に当たってたら私も…」
東郷「針ってことは…毒?」
ちひろ「トリオンでできた物を融解する毒…ありそうですね。確か黒トリガーの中にはトリオンにだけ作用するものもあるそうですし。」
園子「蠍座はほかの2体とまとめて止めるとして、ミノさんをどうするかだね〜防御できないってなると…」
ちひろ「小回りが効く私、だね。あの三体に援護されるとキツいんで抑え込みは任せます。」
東郷「えぇ、ちひろちゃんの方に手は出させないわ。」
園子「ちっひーファイトー!!」
ちひろ「うん!!」ドゴンッ!!
飛んできたユニットをダガーで殴り飛ばし、銀さんの元へと進む。
(銀さんがいるのは空中…多分足底にも回転する何かがあってそれが風を起こすことでのはず。なら私がやるべきモードは…)
ちひろ「…モードウイング+ソードブレット!!」
タッツー『大奮発〜!!』
ソードブレットを4つ展開し、残りをウイングに。
その上で…
ビュビュビュビュンッッ!!
ソードブレットを穿つ。
銀「…」キキキキンッ!!
もちろん銀さんは斧で弾き飛ばすが、その隙に私が距離をつめる。
銀「ッ!!」
ちひろ「行きますよ!!」
ガキガキスッガキガキキキキキンッズバッガンッガキンッ!!
私と銀さんの攻防が繰り広げられる。
優勢なのはこちら、私の猛攻を前に銀さんは大振りでどうしても防ぎきれず、致命傷は避けてるもののかすり傷が増えていく。
銀「…ッ!!」ギュルルルルルルルルルルル
ついに痺れを切らし、銀さんの斧が園姉の時のように回転し出す。
(…来た!)
…ただ、それをうかうかとさせる私ではない。
ガガガガンッ!!!
銀「ッ!?」
そこに最初に弾き飛ばされてからずっと移動させ続け、威力を高めたソードブレットが直撃。
片方の斧を地面に突き刺す。
(チャンスは逃さない!!)
銀さんが斧を回収する前に畳かけようとする。
ちひろ「モードブレイド+レイッ…!?」
…しかし、その時。
…視界に、雨矢と巨大矢の同時攻撃を凌ぐ園姉の盾を狙う、蠍座が見えた。
ちひろ「…っ!モーモー、園姉達を頼んだ!!」
モーモー『え、はい!』ドドド
園姉と須美さんがやられたら銀さんを倒しても敗北は濃厚、モーモーにほとんどのビットを預けて援護に向かわせる。
(残したウイングだけだと一時的な滞空だけが限界…でも銀さんは斧を拾うためにも降りざるを得ない。油断せずに必ず倒す!!)
ダンッ!!
跳躍、斧を回収するべく下がってきていた銀さんに迫る。
(残ってるビットは1本分…剣で斧を抑えて気をそらし、後ろから狩る!)
銀「…!!」ガキンッ!!
予想通り、銀さんは私の攻撃を残った斧の面でガード。
(よし!行ける!)
ヒュッ
ウイングが解ければ滞空効果は消える、そのため一瞬でビットを後ろに移動させる必要があったが、成功。
そのまま突き刺し━━━
…ギュルルルルルルルルルルル
ちひろ「…っ!?」
ビュオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!
ちひろ「突風っ…!?がっ!!」ッッッガンッ!!
銀さんの斧が回転したことにより、面であった私の方に物凄い突風が発生。
空中にただいるだけになっていた私はそのまま地面に思い切り叩きつけられる。
さらに…不意の一撃だったため、武器も手を離れていた。
(しまっ…早く回収を…)
ビュオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!
ッッドッガァァァァァァァァァァン!!!
ちひろ「…かっ…ふ…!!」
…そこに、地面に突き刺さっていた方の斧からの突風が追い討ちをかけ、武器の回収もできないままに壁に叩きつけられる。
(から…だが…!)
トリオン体はトリオンを介さない攻撃で傷がつくことはない。
…しかし、衝撃とかを感じないわけでは、ないのだ。
斧を回収した銀さんが迫る。
こちらの剣はあえて何も手を出さずに、手元に新しいものを形成させないつもりのようだった。
(このままじゃ…間違いなくやられる…!何か方法は…)
園子「ちっひー!!きゃっ!!」
東郷「是が非でも通さないつもり…!?でもなんとかして援護に…!!」
園姉と須美さんも星座型三体に阻まれている。
(この場を打開する方法…)
銀さんが目の前に立ち、斧を回転させる。
斧はその回転により範囲を広めるかのようにカマイタチを纏う。
(せめて誰かだけでも私が倒さないと…!!)
和人『自分を大事にしろ、ちひろ。』
(…!)
…かつての戦いでも逡巡したあの言葉が再び、脳裏に浮かぶ。
ちひろ「…は。はは…
…勇者は!!気合いぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
無駄でもいい、己を鼓舞する。
カマイタチを纏った、斬撃が向かってくる━━
━━真ん中一直線に両断する形と、右上から左下へ切り裂く形で。
(…斧の、軌道が見えて…!?)
見えた景色で斬撃の来ないところにかわす。
ザンッガンッ!!
斬撃も同じ位置を通り、かわすことに成功する。
銀「…ッ!!」ヒュッ!!
銀さんが逃さないと斧を水平に横に薙ぎ払ってくる。
下にかがんで避けようと…
━━━突風を発生させることで恐ろしい範囲攻撃にしてくる景色が見えた。
ちひろ「…っ!?」ダンッ!!
後ろに跳躍、景色通り突風が発生し、かがもうと上にジャンプしようと逃がさない強力な一撃と化けた。
銀「…!?!?!?」
ちひろ「…何が、どうなって…」
そのまま後退しつつ剣を回収する。
銀さんは逃がさないと斧を回転させたままこちらに来る。
ちひろ「…よく、わかんないけど…っ!!」
ガキガキッ!!
剣と斧が激突、もちろん削り切られそうになるが、そこにソードブレットを…
━━シューズブレイドならダメージを与えつつ距離を取れる
…なぜか、そんな景色が見えた。
ちひろ「…はあっ!!」ヒュンッ!!
銀「ッ!?」
ドッガーン…
3度、景色通りの事が起こる。
(…とりあえず園姉達と合流を…!!)
星座型の三体も銀さんを守るために一旦攻撃の手をやめてるようだった。
園子「ちっひー!!無事でよかった!!」
ちひろ「うん、なんとかね…」
東郷「援護に行くどころかこちらが援護されることになってごめ…ちひろちゃん、その目…」
ちひろ「…目、ですか?」
東郷「えぇ…右目が、黄色になってるわ…」
(…黄色…??)
須美さん曰く、私の右目が黄色に輝いているらしい。
ちひろ「…あ、そうですそう!追い詰められたあの時、未来が見えたって言っていいのか、こう動けって言われたのかよくわかんないですけど、なんかそれっぽい景色が流れて、実際に銀さんもその通りに…それのおかげでなんとか打開できたんですけど…」
園子「…それっぽいのは本で見たことあるんよ〜!」
ちひろ「園姉ホント!?」
園子「うんうん!2人とも、先見の明は知ってるよね?」
東郷「えぇ。事象が起こる前にそれを見抜く力…でもこれは察知力や思考力、計画性とかが高い人がまるで未来予知のレベルで推測することであって、ちひろちゃんのとは…」
園子「で!そういう先見の明を持っててもおかしくないような人が、極限まで追い詰められた結果、一時的に無意識下で未来を予測し続けることがあるらしいんよ!そしてその時には目は黄色に輝く。えーっと確か名前は…"未来の明"!」
(…ってことは…)
ちひろ「局所的にじゃなくて視界全体の未来を予測して、私に見せてたってこと…?」
東郷「それなら辻褄も合うわね…凄いわ、ちひろちゃん。」
ちひろ「ありがとうございます。…で、これからどうします?」
そう言って警戒の姿勢を崩さない銀さん達の方を見る。
園子「このままじゃとても勝ち目ないよね。」
東郷「とはいえ満開だと倒しきるまでトリオンが持つかしら…」
満開が異常な程にトリオンを消費するのは風さんや樹ちゃんから分かってる。
かなりの戦闘を行った私たちだ、傷も少なくはない。
高めに見積もっても持って1分、自身のトリオンを弾とする須美さんはもっと少ないはずだった。
ちひろ「相手は銀さんに加えてあの三体…満開は強力だけど今の時間で倒しきるのはさすがに…」
園子「…一応みんなこっち向かってるだろうから粘れば人数差で押し切れなくもないかもしれないけどね〜」
ちひろ「うーん…それくらいしかないのかなぁ…」
東郷「…それだけは、嫌だわ。」
ちひろ「須美さん!?」
園子「お、珍しい〜理由は?」
東郷「…私らしくないのも、ワガママなのも分かってるわ。でも…この三体は、私たちだけで超えたい。銀は、私たち3人で助けたいの。」
園子「…だって、ちっひー。」
少しの静寂が訪れる。
ちひろ「…分かりました。今から全力で作戦考えます。」
東郷「…!ありがとね、ちひろちゃん。」
園子「もしあちらさんが動き出しそうだったらすぐ教えるんよ〜!」
未来の明の副産物で研ぎ澄まされまくっている思考力をフル回転させる。
そして…
ちひろ「…須美さん、園姉!」
園子「お、その様子だと?」
ちひろ「うん。考えついたよ。」
東郷「ホントに?ありがとう!」
ちひろ「いえいえ。これから説明しますけど、状況によって動きが変わるのでしっかり聞いててください。」
ちひろ「…やれます?」
東郷「もちろんよ。2人とも、銀を頼むわね。」
園子「承りなんだぜ!わっしーもね〜。」
ちひろ「…じゃあ、行きましょう。銀さんを助けに。」
東郷「えぇ。」
園子「うん!」
ちひろ、園子、東郷「「「…満、開!」」」
…暗く閉ざされた地下空洞に、大輪の花が三つ、咲き誇った。
ーーーわすゆ組sideーーー
ちひろ「ダブルフェニックスレイ!いざ!!」
東郷「一斉砲撃!!」
ビジジッ…ビュビュビュビュビュビュゥゥウゥゥゥゥン!!!!!
小型飛行機…"ビットレイフェニックス"に乗ったまま2つの剣とビットレイフェニックスを接続した"大剣グングニル"を両手にひとつずつ持ち、銀さんへ突撃。
それを援護するかのように須美さんが8つある砲門から一斉にビームを撃ち出す。
そしてそれを…
ちひろ「モードリフレクター!!」
キキキキンッ!!
ドガガガガガガガガガガガァァァァァァァァン!!!!!
増量されたビットによるリフレクターが乱反射。
私を狙う蟹座、蠍座、射手座の猛攻を撃ち落とす形で反射させる。
銀さんの前まであと5m。
ゴオオオオオオオッ!!!
ジッーーーー!!!!
ここで蠍座の尻尾と射手座の巨大矢が私へ照準を定める。
ビームは蟹座がカットしていた。
ブォンッ!!
ビュンッ!!!
それぞれが私を貫かんと迫る。
ちひろ「…やるよマルル!!モード"ジェット"!!」
ガキキッ!!ボォオオオオォォォオオオオ!!!!!
それを、2つのグングニルがジェットにより凄まじい推進力を得て突撃、引き剥がす。
そして、銀さんを目前に捉える。
銀「ッ!!」
ちひろ「ぉぉおおおおおおっ!!!!」
勢いのまま貫く、そのためにウイングを起動した上で今乗ってるビットレイフェニックスもグングニルに切り替えようと右に腕を構える。
が…
銀「ッ!!」ギュルルルルルルルルルルル!!!!!
それを銀さんは見逃さない。
迎え撃たんと双斧をこちらに…
ザンッ!!!!
ちひろ「…やっぱり、所詮は強いトリガーを与えただけ。」
銀「…ッ!?!?!?」
ちひろ「…いつもの銀さんの方が、100倍は強いです。」
…銀さんの左腹には、園姉の槍が食いこんでいたのだ。
ちっひーの後ろに追随して、ちっひーがミノさんの斧を右に集中させたところで左から槍を刺す。
作戦の第一段階は、最後の鬼門を残して成功していた。
銀「…ッ!!」
ミノさんがこれ以上の攻撃を回避しようと動く兆候を見せる。
園子「行くよちっひー!!」
ちひろ「うん!!園姉!!」
それを逃がさないために…ちっひーごと槍を振り抜く。
スピードを早めすぎてちっひーが回避できずにトリオン体が解ければ詰み、だからといって遅くしすぎてミノさんに逃げられても詰み。
(できるかじゃない…絶対に成功させる!!)
園子「はあああああああ!!!」
ザザザザザザザッ!!
ちひろ「うああああああ!!!」
ザザザザザザザ…ザンッ!!!!
完全に振り抜く。
ちっひーは左腕が身体から離れ、ミノさんは…
…完全に、切り裂かれていた。
ピシピシッ…ドガァァァァァァァン!!!
ミノさんのトリオン体が解除され、落下していく。
ちひろ「あとは話したとおり!」シュバッ
園子「分かってるんだぜ!!」ビュンッ!!!
ちっひーは機動力を活かしてミノさんを助けに。
そして私は…射手座に狙われるわっしーの前に盾を展開、蠍座へと突撃する。
ゴオオオオオオオッ!!!
あと少しのところで止めるためにか、蠍座の尻尾が正面から迫る。
が…
ちひろ「させるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ビュンッ!!!
ちっひーが足でそれまで乗っていたビットレイフェニックスをグングニルに変形して投擲、尻尾を切断される。
そして…
ガンッ!!!
蠍座に接触。
(よーし!あとは押し切るだけだよ!!)
作戦の第二段階…それは、私が星座型三体を1箇所に集め、わっしーが最大火力でまとめて倒すというものだった。
集める場所は今射手座のいる場所、そこに私が蠍座と蟹座を持っていく必要がある。
(もう…二度と私たちの大切な物は奪わせない!!)
園子「お前達はここから!!出て行けええええええええ!!!!!」
ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!!!
船に推進力をフルパワーにし、蠍座を巻き込んで蟹座へと向かう。
そして…
ッッガンッッッッ!!!
激突、そのまま押し切らんと━━
園子「…動かない…!?」
━━蠍座と蟹座の重さが、船の推進力を完全に上回っていた。
ガキキキキキキキキキキキキキキッッッ!!!
東郷「くっ…!」
かなりまずい状況だった。
射手座の攻撃はそのっちが展開してくれている盾が、蟹座のユニットの方はちひろちゃんが受け止めてくれているから被害はない。
しかし…三体を倒しきれるほどのトリオン量が、残っていないのである。
(2体ならギリギリ行けそうだけれど…残った一体が吸収してしまうし、何よりこの状況は私のワガママが通ったからこそ…私が諦めるなんて私自身が許せない!!)
園子「動…け…!!」
推進力はすでに最大、しかし二体はビクともしない。
射手座によるわっしーへの猛攻も未だ続いてるためオールの役割を果たす刃も戻せない。
(急いでなんとかしないとわっしーがトリオン切れになっちゃう…こうなったら一体だけ…?いや、ちっひーは私ならやってくれるって信じてるから任せてくれたんだ…だから…!!)
東郷「はああああああ…!!!」
船を形成するトリオンを最低限残し、残りを全て砲門、そしてビームへと集約する。
園子「ぉぉおおおおおお!!!!」
自身のトリオン体を形成するトリオンまでも推進力に回し、船のトリオンもただの一点に集中させる。
東郷、園子「「勇者は!!根性ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」
瞬間、推進力が一瞬だけ爆発的に上昇、圧倒的スピードで二体を射手座に叩きつける。
園子「これで!!どうだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
射手座は衝撃のあまり攻撃の手が止まり、蠍座は打ちどころ悪く自らの針を自らで受けて行動停止。
しかし蟹座は…
ギギギギギギギ…
未だに、突破し、須美さんの特大レーザーをはね返そうとしている。
蟹座のユニットは12個、グングニルとビッグビットで抑え込んでいるものの、ビッグビットではギリ押し切られる。
ちひろ「だけど…させるもんか…させるもんか!!絶対に!!!」
グングニルが、二つに分離する。
ちひろ「"双剣ペルセウス"ゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!」
土壇場で開花した計6つの新たな剣が、2つずつユニットを抑える。
船やトリオン体、使える限りのトリオンを全て一撃に集約する。
ちひろ「須美さん!!!」
園子「わっしー!!いっけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
(二人が繋いでくれたこの奇跡…私も、最後まで繋いでみせる!!)
東郷「今までの分、全部倍返しにしてあげるわ!!お釣りは取っときなさい!!」
…ッッッドッッッッッッガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!
そして私たちが紡いだ究極の一撃は…三体を飲み込んだ。
私も園姉も須美さんも、トリオン体が解除され、地面に円を描くように倒れる。
須美さんの特大レーザーの影響で、周りには粉塵が舞っていた。
ちひろ「はぁ…はぁ…や…りました…ね…無事…ですか…?」
東郷「怪我は…ないけど…」
園子「疲労が凄まじいね〜…もう指一本すら動かせないんよ〜…」
身体を襲う人生1番と思うレベルの疲労、園姉の言う通り何一つ身動き取れそうになかった。
ちひろ「みんな限界超えてトリオン使いましたからね…その反動かもです…」
東郷「そう…ね…ちっひーもそのっちもよく頑張ったわ…」
園子「わぁ〜い…!わっしーに褒められたんよ〜…」
その時、粉塵が晴れる。
そこには…
ちひろ「…ダメ、だったか…」
下半身が吹き飛び、一部から核を見せながらも存在している蟹座の姿があった。
もちろん、蟹座はすぐに二体の残骸を吸収し始める。
東郷「あの様子…他の二体を盾にして凌いだのね…」
ちひろ「…すいません、私が最後まで止めれていれば…」
園子「ううん…最初から展開されてたら反射されて誰も倒せなかったんよ〜…ちっひーは十分役目を果たしたよ〜…」
東郷「ここまで来れたんだもの…それに、こんな時のための作戦第三段階、でしょ?」
蟹座が、その形を大きく変える。
園子「そうそう…もう勝ったようなもんなんよ〜…」
こちらに進行してきて、蠍座から取ったと思われる腕の形を三又槍へと変える。
ちひろ「そう…ですね…だって…」
そして、私たち三人を突き刺さすべく勢いよく━━
…ビジジッ!!!!!
━━放たれた一撃は、私達を貫くことなく、弾かれた。
「…全く、焦ったぞ?避けようともしないから。」
東郷「避ける力も出ないのよね…指一本動かせなくて…」
「あっちゃー…マジか…私いなかったらどうしてたんだよ…」
園子「まあ可能性としては低かったよね〜…ふーみん先輩でも起きるのに10分くらい必要だったし、そもそもフラワートリガーの覚醒には何かしらの条件必要だったしね〜…」
「…はあ!?それほとんど奇跡だったようなもんじゃないか!!なんでそんな…」
ちひろ「…友達を信じる事ほど簡単なことって、ないじゃないですか。それも、特にあなたなら。」
そういって、3人が微笑む。
「全く、無茶して…でも、ありがとな。」
敵に回っていた自分を、疑いの欠片もなく信じてくれてる3人の信頼が、今はとても嬉しかった。
…だから。
銀「…あとは、この三ノ輪銀様に任せときな!」
両手に斧剣を顕現させる。
前方には合体トリオン兵、後方にはかけがえのない仲間達。
(…3人がここまでやってくれたんだ。ここで踏ん張らずにどうする!!)
銀「…随分と好き勝手やってくれたみたいだけどよ…ここまでだ!園子も、ちひろも、須美も。みんな私が守ってみせる。必ず帰るんだ!!4人で!!今度こそ!!!」
ーーー銀sideーーー
銀「…はあ!!」ダッ
射手座の攻撃の兆候を確認し、3人を巻き込まないために突貫する。
ババババババババババババババババッ!!!!!
予想通り雨矢は発射されるが、ギリギリのところで全てかわしきる。
銀「相変わらずだなそういうところ!!」ドガガァァァン!!!
そして斧剣を剣から斧へと切り替え、一撃、二撃と攻撃を撃ち込む。
ヒュヒュヒュヒュンッ!!!
銀「チッ!」バッ
これ以上の攻撃を許さんととんできたユニットをかわし、地面に着地。
ゴオオオオオオオッ!!!
銀「あの時と同じ…!」ギギギギギギギ
剣に切りかえて、片方の面で防ぎ…
銀「…と、思うなよ!!!」ズバァンッッ!!!
残ったもう片方の剣でぶった斬る。
ビュンッ!!!
銀「しまっ…!」ボガァァァァァン!!!
そこにとんでくる巨大矢の一撃、防御姿勢を崩していなかったから直撃は免れたものの、吹き飛ばされる。
銀「効いったぞ…今のは…!!」
…ババババババババババババババババッ!!!!!
キキキキキキキキキキキキキキンッッッ!!!
追随するように雨矢が発射、それをユニットで反射させて複数の方向からこちらを穿たんと迫ってくる。
銀「まだ…だ…まだ諦めるもんか!」
己を鼓舞するべく叫ぶ。
(逃げ道はない…なら!!)
銀「全て撃ち落とす!!」
ギュルルルルルルルルルルルガキキキキキキキキキキキキキキッッッ!!!
斧に切り替え、その場で高速回転。
一時的に竜巻を起こして雨矢を弾き飛ばす。
ブォンッ!!
銀「今度はこっちの番だ!!」
一直線にとんでくる尻尾をかがんで回避し、直進。
ヒュンヒュンッ!!
とんできたユニットを足場にし…
銀「おらあああああ!!!」ズッガァァァァァァァァァァァァン
頭に斧の強烈な一撃を叩き込む。
(よし!このまま…)
ゾッ
銀「っ!?」ダンッ
攻撃を続けようとした時、突如として背中に悪寒が走り、咄嗟に離れる。
その直後…
ガキンッ!!
音沙汰もなく現れた鋏がさっきまで私のいた場所の虚空を切り刻んでいた。
(あの形状…蟹座の奴か!)
合体トリオン兵は人型に近い…おそらく緊急時にだけ髪の先が鋏に変形するようになってるのだろう。
銀「でもそれはつまり…頭に核があるってことだろ!!」
…ッ、ブォンッ!!
尻尾の針が鎌状に変形させ、こちらへと差し向けてくる。
(…攻撃できる範囲を広げてきたか!!でも防ぐのはできない…)
…最初に須美達を狙った攻撃を弾き返した時、斧剣がわずかに溶けたのを確認していた。
(だがあの範囲…かわしたら須美達に砕けた地面の破片が飛んでいきかねない…なら…)
防ぐもダメ、避けるもダメ、ならどうするか…そんなものは、決まっていた。
銀「…無理やり、突破する!!!」
斧剣を斧に切り替える。
勝負は一瞬、それより遅れれば鎌の毒で剣ごとトリオン体まで溶かされる。
ゴオオオオオオオッ!!!
鎌が迫る。
銀「はああああああああああああああああ!!!!!!」ズガンッッッ!!!
一瞬に全てを込めて、鎌を斬り飛ばす。
バッ
斬られるはずのないものが斬られたからか、合体トリオン兵は動揺、後ろに下がって形成を建て直そうと…
銀「させるかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
…それを、逃しはしない。
ドガンッ!ドガンッ!!ズバババババババ!!!!!
合体トリオン兵に攻撃の嵐を浴びせ…
銀「おらあっっっっ!!!!!」
ドッゴォオォォォォォォオォォォン!!!!!!
真下から一撃、宙に叩き上げる。
そしてこのまま畳み掛けようと…
ビュンッガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガブォンッヒュヒュヒュヒュンッ!!!!!!!!!!!
銀「!?!?」
巨大矢に雨矢、尻尾、ユニット…それらが一斉にこちらへと放たれる。
まさに…総攻撃。
銀「…それ、でもぉぉぉぉぉ!!」
(…思えば、勇者のお役目に選ばれてから、色んなことがあった。
たくさんの出会いがあって、訓練を通して連携を深めて。
何気ない団欒を楽しんだり、お互いの夢を語り合ったり。
初めて追跡されたりもした。
そんなかけがえのない日常が、私たちを友達にして。
…別れが、四人を三人にした時も、あった。
それでも、三人は…私を、ずっと待っていてくれた。
私が交わした、約束を信じて。
…だから。)
銀「もう二度と!!あいつらを孤独な英雄になんかさせるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
花が光り輝く。
銀「満!!開!!!!!!」
薄暗い世界を照らすように、一輪の花が咲き誇る。
銀「化け物には分からないだろ!!この力!!!!」
総攻撃を全て粉砕。
銀「これが!!人間様のぉ!!!!!」
合体トリオン兵を天井に叩きつける。
銀「気合いと!!!!!」
合体トリオン兵に、天井に、ヒビが入る。
銀「根性と!!!!!!!!!」
合体トリオン兵にさらにヒビが入り、天井が砕ける。
銀「魂ってやつよぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉおぉぉおぉぉぉおぉぉぉおぉおぉおぉぉお!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
合体トリオン兵も、降り注ぐ瓦礫も、全てを粉砕した。
ーーー東郷sideーーー
ビジジジッ
銀が落下してくるものの、精霊バリアで事なきを得る。
銀「うおっ、びっくりした…これが精霊バリア…」
園子「だよね〜…大抵の攻撃は防いでくれる可愛い子達なんよ〜…」
銀「おおー、私もあとで確認してみるか…しっかし体が重い!!こりゃ動けない訳だ…」
ちひろ「ですよね…散華なくなったのはいいんですけど1回使うと戦線離脱せざる得ないと考えるとホントの奥の手になったなぁと…」
園子「しっかしホントにすごいねミノさんは〜…あの合体トリオン兵を1人で倒しきっちゃうんだもん。」
銀「お前らこそ、私含めてよくあそこまでやれたよな…すごいよ。」
園子「そこはちっひーが。」
ちひろ「私だって偶然だよ。まあ全力は尽くしましたけど…」
東郷「…私がいて、そのっちがいて、ちひろちゃんがいて、そして…銀がいたからこそ、この戦いに勝てたのよ。」
(私がいたから、三体をあそこまで追い込めた。
そのっちがいたから、銀を解放することができた。
ちひろちゃんがいたから、勝つ作戦ができた。
銀がいたから、最後の合体トリオン兵に打ち勝てた。)
誰一人欠けても不可能だった…今は、心から、そう思った。
銀「私は最初敵サイドだったけどな。」
ちひろ「でも速攻で起きて守ってくれたじゃないですか。」
園子「そうそう!私たちは三人で三体?人?倒したから1人1つだけどミノさん三体が合体したトリオン兵倒したから3つ分でダントツトップなんよ〜」
銀「なんだそれ…」
ちひろ「でも納得しちゃうのが園姉なんですよねぇ…」
銀「…だな!」
東郷「…ねえ見て。」
そう言って穴から見える空を見る。
銀「…空、綺麗だな。」
ちひろ「心做しか5年前見た時に似てません?」
園子「あ〜、確かに〜!!」
東郷「私もそんな感じがして…まだ、戦いは続くのよね。」
銀「私は分かんないけどまだ取り戻せてない部員もいるんだろ?なら、全員取り戻すまでは、な…」
ちひろ「…できますよ、私たちなら。」
園子「四人揃った私たちならね〜!」
東郷「…銀。」
ちひろ「…銀さん。」
園子「…ミノさん。」
3人「「「おかえり!」」」
銀「…ただいま!」
…神世紀298年に神に魅入られし少女達がかわした約束は、5年の時を経て今、果たされた。
戦いはまだまだ続いていく。
多くの苦難が彼女達を襲うだろう。
しかし…何が来ようと彼女達はそれを乗り越えるに違いない。
なぜなら…彼女達には、
恐れず進める気合いと、
決して挫けない根性と、
燃え尽きることなき"魂"が、あるのだから。
鷲尾須美の章を意識してるとこが結構隠れてます。よければ探してみてください。見つけた時に何かしらの形で教えてくれると狂喜乱舞します