上里ちひろは勇者である   作:☆ここな☆

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19話 暗雲

ーーー7月15日、玉狛支部、ちひろsideーーー

ちひろ「迅さんと話がしたい?」

バーさん『うむ。少々気になることがあるのじゃ。』

唐突な発言だった。

(バーさんのことだし、なにか意図があるんだろうけど…)

壁にかかる時計を見る。

今は午後の9時、もう眠るような時間だった。

(ウッキーなら平気でやりかねないけどバーさん、だもんなぁ…)

ちひろ「…そこまでの火急の用件なの?」

バーさん『んじゃ。いつ事態が動くか分からぬ以上、伝えておく必要がある。』

ちひろ「…そういうことならわかったよ、バーさん。」

バーさん『すまぬのぅ…明日も早いのはわかっとるんじゃが…』

ちひろ「大丈夫。気にしないで。」

そう言いつつ支部内を歩き回り、迅さんを探す。

(ただあの人行動が読めないからなぁ…どこにいるか…)

迅「実力派エリートをお呼びかな?」

ちひろ「ひゃっ!?」ビクッ

迅「おっとすまない、驚かすつもりはなかったんだ。」

と、思ったそばから邂逅する。

後ろから不意に声をかけられたのでびっくりしたけど…

バーさん『ちょうどよかった、少し話したいことがあるのじゃ。』

迅「そういうことなら場所変えます?他の人に聞かれちゃダメなことだとまずいでしょうし。」

バーさん『そうしてもらえると助かるのぅ。』

 

ーーー個室ーーー

迅「…で、要件はなんです?この時間にも関わらずってことは急を要するんでしょう?」

バーさん『その通りじゃ。というのも…前の侵攻についてじゃ。』

(侵攻…?)

ちひろ「迅さんが敵の狙いを見抜けてなかったとか?バーさん。」

迅「…いや、違うよちひろちゃん。」

バーさん『…気づいておったようじゃな。』

迅「…はい、城戸さん達にも伝えてあります、ご心配なく。」

バーさん『仕事が早いのぅ。カッカッカッ!』

ちひろ「…えっと、どういうことですか??」

そこら辺の勘がいい自負はあったが、今回のは全然分からなかった。

バーさん『前回の敵の作戦が、完璧どころか、いとも容易く破綻するという話じゃ。』

ちひろ「…へ?」

(…不備?あそこまでの戦力に、2段3段にかまえてたあれが??)

迅「よく考えてみて欲しい、今回の侵攻、本来ならいつも通りの不意打ちで始まるはずだった。

相手はスピード型が三体、あっという間に本部に到達していただろう。」

バーさん『もちろんボーダーもそう読み、過去2回で本部が襲撃されてることからも本部の守りを厚くしたじゃろうな。』

ちひろ「…そうなれば結果的にあの三体や銀さんが来てもなんとかなる戦力が集っていた…?」

迅「そう、しかし実際はそうならなかった。」

バーさん『…迅が未来を予知し、ほぼ全員が本部から出払っていたことでのぅ。』

ちひろ「あっ…」

…言われてみれば、確かにそうだ。

カミカゼ相手に近場に相性のいい人がいる確率は少ないから、本部で迎え撃つ可能性が高い、しかし今回は迅さんの未来視である程度陣形ができていた。

今までの2回において、本部も襲撃され、封殺されたのに未来視でなかったことから最低限の戦力を残して対象外にされた。

ちひろ「…迅さんのサイドエフェクトが、敵にコントロールされたってことですか?」

迅「…戦闘相手の動きを予知たりはしていたから少し違うだろうね。今までのことを考慮するに…」

バーさん『敵がわざと一部の不調を治し、都合のいいところだけを見せたといったところじゃ。』

…ここに来てからもう1ヶ月が経った。

それまでにボーダーのこれまでの戦いも聞いてきた。

…その中で、迅さんの未来視がどれだけ重要な役割を持っていたかも。

ちひろ「どうするんですか、それ…」

迅「んーどうするかね。ぼんち揚でも食べながらこれからゆっくり考えるよ。」

(…のんびりしすぎじゃ!?)

これまでの鬼札が消える、それどころか敵に利用されてるかもしれない、そんな緊急事態なのに迅さんの声は全く焦ってない。

バーさん『随分と余裕そうじゃのぉ?』

迅「あいにく、うちの後輩ちゃん達は優秀ですからね〜。それに、心強い助っ人も今は来てるし。」

そう言ってこちらへと視線を向ける。

ちひろ「…期待に応えれるかは分かりませんが、全力は尽くします。」

迅「…ありがと。じゃあ、今日はこれで解散!明日早かったよな?早く寝なよ〜」

ちひろ「はい、またあした。」

迅「おう、またあした〜!」

 

ちひろ「…バーさん。」

バーさん『なんじゃ?』

ちひろ「これからも訓練メニュー、任せたよ。」

バーさん『おうともじゃ。』

(私たちが助けられた、そして今も助けられてるように、私達も…助けないと。そのためにも、もっと強く!)

願いは大きい。それを叶えるためにも力をつける。

いつ崩れるかもしれない日常を守るために、決意を新たにした。




コロナァのせいで学校が休校になったのでなるべく更新する予定です。
ただいかんせん勉強もしないとなので…そこはご了承ください
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