上里ちひろは勇者である   作:☆ここな☆

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お待たせしました。山場(共通テスト)はとりあえず超えたので、投稿再開です。
ただまだ2次試験あるのでペースはイマイチだと思います。


20話 剣士ノ集イ

ーーー‪玉狛支部、夏凜‬sideーーー

‪夏凜‬「サプリよし、煮干よし、トリガーよし。そっちはどう?小南先輩。」

小南「こっちも問題ないわ、さっさと行くわよ!」

お互いに準備万端なのを確認し、ボーダーの本部へと向けて出発する。

私が敵…アフトクラトルから解放されて10日、唯一フラワートリガーのない私は、ボーダー支給のトリガーを用いて、鍛錬を続けていた。

 

小南『‪夏凜‬、明後日ボーダーで太刀川達と何回か試合するんだけどあんたもどう?あんたの実力ならあいつら相手でも拮抗した勝負なるだろうしいい経験なんじゃない?』

そんな時だった、小南が私を誘ったのは。

アタッカー、剣をメインとして戦うトリガー使い。

太刀川さんはその中でもトップクラスの実力を誇っていた。

(あの襲撃の時…結局私は倒されて、敵に利用されて勇者部のみんなに刀を向けてしまった。…もう二度と、そんなことをしないためにも…!!)

もっと実力をつける必要がある。

乗らない理由がなかった。

‪夏凜‬「で、今回のってどれだけ人集まるの?とりあえずあんたと、アタッカー1位の太刀川さんがいるのは聞いてるけど。」

小南「私らも含めて5人かしら。行ってからのお楽しみね。」

‪夏凜‬「確かあんたとは戦わないのよね?となると3人か…」

小南「そ。だって今までも何回もやってるじゃない。玉狛支部にいる限りはこれからもやれるでしょうし、それなら本部のヤツらとやった方がいいわ。」

そう言いながら足を動かす小南も、アタッカーとして尋常じゃない実力を誇る。

双月という2丁の小斧と、連結することで生成される一丁の大斧。

それを自在に切り替えてくる彼女を相手に、私の勝率は3割あるかないか程。

我流ながら鍛え続けた剣技が尽く破られたのは勿論ショックだったけど…

(同時にそれは私にまだ伸び代がある事も示してる。)

‪夏凜‬「…やってやるわ。今度こそみんなを守れるようになるために!」

 

ーーーボーダー ーーー

出水「お、いらっしゃい2人とも!」

「誰か来たのかね!?この際誰でもいい!助けてくれぇぇぇぇぇ!!!」

「あ、小南いらっしゃ〜い。その子が連れの子〜?」

小南「えぇ、国近さん、出水。唯我も元気そうね。」

唯我「どこを見たら元気そうに見えるんですかね!?」

集合場所である太刀川隊の隊室、ゲームで溢れかえったそこに2人の男性と1人の女性がいた。

‪夏凜‬「三好夏凜です。相手ってあなた達が?」

出水「違う違う。俺らは全員太刀川隊のメンバー。ついでに俺はシューター、出水公平。」

国近「私はオペレーターの国近柚宇だよ〜よろしくね、‪夏凜‬ちゃん〜。で、今騒いでるのが…」

唯我「唯我尊!助けて三好君!!ボクは昨日からずっと国近先輩の周回に付き合わされたせいでボロボロなんだ!!」

(えぇ…でもそれじゃ相手はどこに…?)

そう叫ぶ唯我さんをスルーし、部屋を見回す。

‪夏凜‬「…他に誰もいないけど。」

国近「まだ時間にはちょっと早いからね〜二人は来てないよ〜太刀川さんなら今…」

ウィーン

国近さんがそう言いかけた時、奥の扉が開く。

そこから…

太刀川「ふー…相変わらず強いな。ありがとさん。」

ちひろ「その言葉倍にして返したいんですけど…最後のに至っては満開の瞬間の隙にぶった斬るってなんなんですか。直前までシールドと精霊バリアの二重ガードあったんですけど??」

太刀川隊最後の1人、太刀川さんはもちろんの事、なんとちひろが出てきた。

‪夏凜‬「ちひろ!?なんであんたがいるのよ!?」

ちひろ「え、‪夏凜‬さんこそなんでいるんですか??」

‪夏凜‬「質問に質問で返さないでよ…私は小南先輩に誘われたの。」

ちひろ「あー…そういえば太刀川さんがそんなこと言ってましたね。私はホントに色々ですよ?

まずさっきまでやってたみたいに太刀川さんと試合して…」

太刀川「ちひろの剣とレイピア、ビットの3種を同時に操るのはボーダーのトリガーじゃできねぇからな。その上技量も高ぇし。」

ちひろ「その後出水さんと意見交換して…」

出水「シューター適正高いからな、ちひろ。」

ちひろ「あとは国近さんとゲーム。」

国近「ちひろちゃん上手いから楽しいんだよ〜」

ちひろ「あとついでに唯我さんをイジる。」

唯我「弄らないでくれませんかね!?ボク年上なんですよ!?!?」

(なるほどね…太刀川隊の人みんなちひろと何かしら合うんだわ…)

まあ唯我さんに関しては合うと言っていいか迷うけれど、ちひろが楽しそうなのでいいだろう。

ちひろの弄りは私も被害者の1人なので、心で慰めておきつつ、残りの2人を待つ。

そして、10分後。

風間「来たぞ太刀川、小南。」

「俺も来たよー!太刀川先輩ー!」

そう口を開きながら2人の小柄な男子が部屋に入ってくる。

太刀川「おーよく来たな風間、緑川。今日はお客さんもいるから自己紹介しとけ。」

風間「A級3位、風間隊隊長、風間蒼也だ。」

緑川「A級4位、草壁隊の緑川駿だよー!」

‪夏凜‬「私は讃州高校2年、勇者部所属の三好夏凜よ。今日はよろしくお願いするわ!!」

 

 

 

 

 

緑川「じゃ、行きますよー!」

‪夏凜‬「ええ、来なさい!!」

威勢よく返事を返す。

手合わせ順は初戦は駿、二戦目は風間さん、最後に太刀川さんと決定。

ルールは一本勝負というシンプルな物。

そして今、言うまでもなく第1試合である緑川との試合が始まったところだった。

(武器はスコーピオン…スピードタイプか奇襲系か。とりあえず出方を見…)

‪夏凜‬「っ!?」

ガキンッ!!

右手の孤月でスコーピオンを防ぐ。

思考を巡らせた刹那の間に、駿は圧倒的な距離を詰め、すぐそこまで来ていた。

(スピードタイプ!それでも早すぎる…どうやって!?)

緑川「斬れたと思ったんだけどなー。でもまだまだ行くよ!」

ガキキキキキキッ!!!

少し長めのナイフ程に伸ばしたスコーピオンによって叩き込まれる疾風の如き連撃を、両手の孤月で捌く。

‪夏凜‬「くっ…!」

(体格差があまり変わらない以上、武器の重さも重要な要素になる…スコーピオンの方が軽い上に先手も取られたせいで反撃できない!!)

‪夏凜‬「…なら!!」

緑川「うおっ!?」

ガキンッ!!

隙を見て駿の足を払い、追撃する。

追撃はスコーピオンで防がれたものの、なんとか距離をとる。

(あえて攻めないで、さっきの距離を詰めた方法をここで見極める!)

 

ーーー緑川sideーーー

緑川「あっぶねー…」

突き飛ばされたことで崩れた姿勢を立て直す。

(更なる追撃がなくなって助かったけど距離を取られた…)

体勢を立て直すまでの時間は、追撃するには十分なものだった。

しかし‪夏凜‬さんはそれをして来ず、未だに攻めてくる気配もない。

(…初手のアレ、やれって言ってるよねー…)

それでも、あちらから攻めてこない限り、こちらから攻めるしかない。

(完全に先手取ったのに捌かれてた…おそらく真っ向勝負じゃこっちが押される、そうなればスコーピオンの耐久力じゃもたない。)

緑川「…一か八かだなー。」

そう、自身に言い聞かせるように言って、賭けの用意をする。

 

ーーー‪夏凜‬sideーーー

(…来る。)

ダッ!!

駿が正面から走ってこちらに迫ってくる。

(最初のアレは使ってこないようね…)

‪夏凜‬「それならそれで!!」

スコーピオンを持つ腕を斬らんと孤月を振るう。

駿の速度からタイミングを予測して振るった刃は確かに腕を斬り飛ば…

ガッ!!

瞬間、駿の身体が小型の四角い何かに触れ、大きく右へと弾かれる。

ガッ!!

‪夏凜‬「なっ!?」

さらに、再び彼の身体は動く向きを変え、その刃が首のすぐそこに迫っていた。

 

ーーー緑川sideーーー

グラスホッパー。

触れた物質を1度だけ面の向いた方向へと弾くトリガー。

それを孤月の射程ギリギリで発動し、左へ。

ガッ!!

さらにその先でもう1つ展開し、斜めから‪夏凜‬さんの首を斬らんと跳ぶ。

ガギッ

‪夏凜‬「っ…!!!」

それを、‪夏凜‬さんは右手の孤月でなんとか防ぐ。

‪夏凜‬「あっぶないわね…!!」

緑川「防がれたかー。」

(まあでも…)

緑川「予想済、だよ。」

そして、左手の先からスコーピオンを出し、またたきの間に下から右腕を刈り取ろうと突き出す。

スコーピオンは身体のどこからでも出すことができる、‪夏凜‬さんももちろん知っているだろう。

でも、ギリギリだったさっきの攻防でそれをしなければ自然と選択肢から抜ける。

(それに加えての、予想外の行動を防いだという安心感から無意識に来る油断…!!)

この試合、全部を通して作った隙。

これを逃す訳には…

‪夏凜‬「…旋空弧月。」

ッ!!

身体も、思考も、そして勝利も。

鍔迫り合いしているスコーピオンごと貫かれた。

 

ーーー‪夏凜‬sideーーー

‪夏凜‬「はぁー…ギリッギリだった…」

試合が終わり、自身しかいない部屋でそう呟く。

旋空弧月、ブレード部分を僅かな間だけ伸ばす事ができる孤月専用のオプショントリガー。

この間は剣先に行くほど威力が上がるのもあり、瞬間的に間合い・火力増強として孤月使いの多くが取り入れているらしい。

左に持った孤月で旋空弧月を使用し、それによって発生する間合い拡張による擬似的な「突き」が、さっきの決め手だった。

(まあ、剣を戻すには時間が足りなかったからの博打だけど…)

謎の四角いトリガーからのスコーピオンを防いだ途端に左手から別なスコーピオンが生えてきたのを思い出し、長く息を吐く。

小南の言葉が正しければ、駿は全体でもかなり強い方だが、それでも割といるレベルとの事。

仮に今回の結果から私と駿がほぼ同格だとして、ここまでの人生の多くを特訓に費やした私と同レベル、或いはそれ以上の剣士がボーダーには大量にいる事になるのだ。

そして、次の相手の風間さんはアタッカーランキング2位。

厳しい戦いになるのは間違いなかった。

‪夏凜‬「でも、負けるつもりなんてないわ。」

目指す高みは、まだまだ先だから。

 

 

 

 

 

夏凜‬「…さっきとはまた別なステージね…」

ボーダーにはあらゆる状況を想定できるように、訓練用のステージが種類豊富らしい。今日の模擬試合ではその数あるステージの中からランダムで選ばれる仕様だそうで、先程は市街地Aと言われるとこだった。

風間「ここは河川敷A、中央を北から南に縦断する川が特徴的なステージだな。」

さっきの私の独り言に答えるように転送されてきた風間さんが答える。

‪夏凜‬「始める前に一つだけ、勇者部のみんなを助けてくれてありがとうございます。」

風間「例え住む場所が違えど、危険にさらされた人たちを助けるのは当然のことだ。それにこちらも何度も窮地を救ってもらってるからな。…だが、容赦はしないぞ?」

‪夏凜‬「…こっちも遠慮なしで行きます!」

ズバァンッ!!

そう言うと共に旋空弧月を起動、真横に薙ぐ一閃で即仕留めにかかる。

だがそれを読んでいたのか、風間さんは姿勢を低くし余裕で回避、さらにそのまま近くにあった建物の影へと去る。

曲がった直後の不意打ちを警戒しつつすぐさま後を追って私も曲がり、更に路地を抜けてその先の河川敷に面した道路へ。

しかし…

「…いない!?」

その姿はどこにもなかった。

見晴らしの良さから住宅以外に隠れれる場所はないはずだが、その窓はどれも割られてなかった。

(別な路地に入った…?いや、それにしては時間が足りない。どこに…!?)

その刹那だった

‪夏凜‬「…ッ!?」

ガキッ!!

後ろから急に気配を感じ、スコーピオンをギリギリでガードする。

風間「ほう…やるな。だがまだまだこれからだぞ。」

そう言い残し、風間さんは目の前で保護色を纏うように消える。

(瞬間移動…じゃないわよね。あの感じは…透明になるトリガー?)

確か退院してからのトリガーの説明の際に、そういうのがあると聞いた記憶がある。

だとすると、非常に厄介だ。

そもそも、私は鍛錬の末に視界を封じられても気配で敵の場所を見抜けるようになっている。

だけど、速度からしてさっき私が風間さんの存在に気づいたのは気配感知できる範囲の半ば。つまりそれだけ気配を殺す事ができるということになる。

‪夏凜‬「くっ!」

そう思考を張り巡らす間に再び奇襲、刃が頬を掠る。

ザザザザザザッ

それどころか、その速度は更に高まり、あらゆる方向からの連撃で、徐々にトリオンを減らされる。

(攻撃時に姿を見せてる以上、おそらく透明になってる間は他のトリガーを使えないはず…だけど反撃する隙がない!)

防戦一方となってる現状を打開するには距離を取ってふりだしに戻すしかない、しかしあちらもそれをわかってるからこそ逃げられないようにあらゆる方向から攻撃を加えてきている。

(投げ刀代わりに入れてきたアステロイドならできるけど、孤月を片方しまう必要があるから隙ができる…なら!)

‪夏凜‬「シールド!!」

一撃を凌いだところで自身を包むようにシールドを展開、ここまで広げればすぐに割られるが、それでも姿は見せなければならない。その一瞬さえあればアステロイドを展開するには十分だった。

バリィンッ!!

‪夏凜‬「アステロイド!!」

風間「ッ…!」

後ろからの一撃を右に飛んでかわしつつ、アステロイドを発射、風間さんを後退させる。

そしてその時間を利用して私は…川へと派手に着水する。

(思ったより深いわね…)

川の高さは腰より少し下程度、かなり動きづらい印象。

だけど、それは相手も同じ。更にカメレオンを使用されても水の凹みで場所が分かるため、カメレオンを封じることもできる、デメリットよりもメリットが勝った故の作戦だった。

 

ーーー風間sideーーー

風間「川…なるほどな。」

アステロイドをかわしきり、三好の位置を確認してからそう呟く。

川の水は決して多いわけではないが、それでもかなり動きを制限される。

俺のカメレオンと多角からの連続攻撃を封じる目的だろう、オマケにあちらは旋空弧月で射程の有利がある。

(短期で決着をつける必要があるな…)

こちらの手札は封じられ、相手にアドバンテージがある以上、長引けば長引くほどこちらが不利になる。

『どこから川に入るか』『どのように勝負を決めるか』を考える必要があった。

 

ーーー‪夏凜‬sideーーー

‪夏凜‬「また消えた…」

風間さんがこちらを確認してから少し経った時の事だった。

是が非でもこちらに入らせるため、牽制代わりに旋空弧月を使おうとしたまさにその時、風間さんはカメレオンで消えたのだ。

(おそらくなんらかの形で奇襲をかけてくるつもりね…となると危ないのは橋ね。)

ここより少し北に存在する大きな橋は、川の中央に陣どる私に川を経由せずに近づける唯一の場所だ。

多少距離はあるが身体能力が補強されるトリオン体なら問題にはならない。

その時だった。

ブォンッ!!

‪夏凜‬「…!?」ザバンッ!!

不意に気配を感じ、咄嗟に横にかわす。

そして先程まで首があった位置を、手裏剣状のスコーピオンが通過していた。

無論、飛んできたとこには風間さん。

その距離は25m、旋空弧月の射程は15m、川ではできない踏み込みありきでも20mのためどうやっても届きようがない。

孤月の射程は効果時間と対応しており、短ければ短いほど伸びるようになっている、しかし15mから更に10mも伸ばせば、振り切る前に効果が途切れるだろう。

ブォンッ!!ブォンッ!!

‪夏凜‬「っ…!!」ザザッ

そう思案する合間にも風間さんの攻撃は続行され、水に機動力を奪われてる私はかわしきれずトリオンが流出する。

完全にこちらの作戦を逆手に取られた。

孤月で飛んでくるスコーピオンを弾きながら少しずつ近づくが、近づけば近づくほど傷が増える。

(限界が近い…旋空の射程に入った一瞬で決める!)

 

ーーー風間sideーーー

(…と、いう作戦だろうか。)

スコーピオンを投げつつ三好の作戦を予測する。

(地上での攻撃に今回ので、トリオンはかなり浪費している、おそらく川から上がって突撃するのではこの先のダメージが一切なくてもトリオンがもたない。

こちらが後退する前に旋空で決めに来るはずだ。)

それさえ分かればかわすことは容易、あとはスコーピオンでトドメを刺せばいい。

だが、万が一もある。

(…備えておくか。)

そうしてるうちに三好が旋空の射程ギリギリまで迫ってくる。

 

ーーー‪夏凜‬sideーーー

『警告 トリオン漏出過多』

身体がひび割れる、いよいよ猶予はない。

ここが、勝負どころだ。

‪夏凜‬「旋空弧月!!!」

ズバズバズバァンッッッ!!!!

放たれた旋空の数は3つ…うち1つは、風間さん左腕と左足のつま先を斬り飛ばしていた。

 

ーーー風間sideーーー

風間「…!」

斬られた左腕が宙を舞い、手に持っていた手裏剣状スコーピオンが地面に刺さる。

(最初の2回は左手の孤月でそれぞれ左上から右下、右上から左下、1度の旋空で2回斬れるのはボーダーでも忍田本部長と太刀川しかいないが、おそらくは長さを短くして効果時間を伸ばしたな。

そして最後のは効果時間をギリギリまで切りつめて射程を伸ばして左上から右下…)

3連続で左右に振り回し、更に距離の違いを織り交ぜることで最後の一撃を確実に当てる。

これまで目にした事の無い絶技だった。

風間「だが、これならそちらの方が先に…」

トリオン切れだ、そう言おうとした時、三好が消えた。

…いや、飛んだ。

 

ーーー‪夏凜‬sideーーー

刀身を斜め下に向けた状態で旋空を発動、棒高跳びのように一気に風間さんの上まで飛ぶ。

そしてそのまま落下の勢いで急接近、孤月で両断せんと迫る。

そして…

ザクッ!ブシュウウウウウウウウウ

‪夏凜‬「…がっ…!?」

私の胸を、スコーピオンの刃が貫いていた。

風間「足裏から地面の中にスコーピオンを延ばし、手裏剣状のスコーピオンに接続、手裏剣の刃の1つを伸ばしてトリオン供給機関を破壊する。

旋空弧月の使い方と発想は素晴らしいが、勝ちはあげれないな。」

ビシビシッ

致命傷を受け、ヒビが一気に広まる。

‪夏凜‬「ちく…しょう…!!」

『トリオン供給機関破損 ベイルアウト』

1歩及ばず、無慈悲にも体は砕けた。

 

 

 

 

 

ーーー街道ーーー

ちひろ「で、結果どうだったんです?」

‪夏凜‬「一勝二敗、その一勝も結構ギリギリだったわ。」

ちひろ「うわー、‪夏凜‬さんでそれかぁ…」

そうちひろが大きくため息をつく。

風間さんとの戦いの後で行われた太刀川さんとの模擬戦、その結果は風間さん以上の完敗だった。

どんな場所から攻撃しようとガードされ、最後は足を潰され孤月ごと旋空で一閃、あれならばフラワートリガーを使ったちひろがボコボコにされるのも頷ける。

小南「まあ今回一勝負だけだったからね。5本先取とかだったらあんたも1本は取れてたと思うわよ?

実質1位の私にもたまに勝つんだし。」

小南のトリガーは玉狛仕様で、その特殊性からランキングには使えないらしく、いないうちに点数を太刀川さんと風間さんに抜かれたらしい。

それは裏を返せば駿レベルがたくさんいるボーダーにおいて、複数年の違いがあっても抜かせてるのが2人しかいない、ということでもある。

そう考えると小南の評価も上がってくる。

ちひろ「で、収穫は得られたんですか?」

‪夏凜‬「えぇ、旋空弧月は色々と活用法思いつけたし、孤月以外にも色んなトリガーを知れた。とりあえず帰ったらトリガーイジってみるわ、もしかしたらフラワートリガーなった時に活かせるかもしれないからね。」

アフトクラトルに拐われたままの勇者部員は残り3人、夕海子としずく、そして芽吹。

夕海子としずくは最初の襲撃の時に、私を助けるために一緒に残ってくれた結果だった。

(もちろん普通に逃げてても捕まってた可能性はあるわ。だけど…機会があるなら私が助けてやりたいもの。)

あの時、2人が来てくれて心強かったのを覚えているから。

ちひろ「そーいう事なら付き合いm…あ、でも樹ちゃん達とテレビ見る約束してた。代わりに小南さんが付き合うらしいですよ。」

小南「はぁ!?私そんなこと言ってないわよ!?」

ちひろ「でも‪‪夏凜‬さん小南先輩の事カッコよくて頼りになるって。」

小南「…え、ホント!?

…仕方ないわね!!」

‪夏凜‬「…感謝するわ。」

目の前で小南がちひろに騙されてるが、こちらとしては都合がいいのでスルーし、礼を述べる。

敵がいつ再度攻めてくるかは分からない、だからこそ今できることをする。

(待ってなさい、3人とも!)

心の中でそう意気込み、玉狛支部への足を早めた。

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