上里ちひろは勇者である   作:☆ここな☆

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21話 団ラン、決意、ソシテ胎動

ーーーショッピングモールーーー

亜耶「すいません、手伝ってもらってしまって。」

レイジ「暇だっただけだ、気にするな。」

千佳「私たちも用事あったし。ね、出穂ちゃん。」

出穂「そーそ、てかレイジ先輩が全部背負ってるから私とチカ子なんもしてないし。」

今日、私は千佳ちゃん達と一緒に服の買い物に来ています。

というのも、園子先輩や‪風‬先輩たちのような救出された人たちは荷物を持ってきておらず、服の数が足りないのです。

今までは小南先輩や宇佐美先輩のをお借りしていましたが、‪夏凜‬先輩と銀先輩が加わったことで限界が来てしまい、今いる人達と、これから救出されるであろう芽吹先輩達の分をまとめ買いしに来たのでした。

ただ、レイジさんが持ってきたダンボールに丁寧に買った服を入れて、肩で持ってるので私達の仕事はなくなってます。

亜耶「私たちの部屋用意してもらってる時も思ってたんですけど、レイジ先輩って凄い力持ちなんですね!」

千佳「レイジさんは体鍛えてるんだよ。」

レイジ「『いざという時に頼りになるのは己の体』、ってのが親父の言葉だからな。

実際トリオン体は生身でどれだけ体を動かせるか、何ができるかが反映される。もしこれから戦う予定があるならトレーニングはしておいて損はないぞ。」

出穂「だからってスラスター発動したパンチでトリオン兵殴り飛ばすのはオーバーキルすぎません?」

そう出穂ちゃんが苦笑いする。

(でもそんな事ができるくらい鍛えてるって事だもんね…凄いなぁ…)

レイジ先輩の戦い方は三門市を訪れた直後の襲撃の際見せてもらっており、ガトリングで遠くのトリオン兵を一掃しつつ、近くのトリオン兵を殴り潰す豪快な姿は今でも記憶に新しいです。

レイジ「じゃあ俺は支部に帰るが、お前らは遊んでっていいぞ。迎えが欲しかったら連絡してくれ。」

亜耶「えっ、ただでさえ全部持ってくださってるのにそれは…」

レイジ「千佳はともかく夏目とは初対面だろ?せっかくの機会なんだ、気にするな。」

亜耶「でも…」

申し訳ないと言葉を濁していたその時でした。

「およ?これは珍しいメンツじゃないですか?」

黒江「そうなんですか?」

緑川「あの長い髪の子は知らないけど出穂ちゃんは玉狛にちょくちょく遊びに行ってるって遊真先輩から聞いてるしそういう繋がりじゃない?」

「あー、それなら線と線が繋がる!!」

同年代っぽい5人組がこちらに向かってきます。

私は1人だけ顔と声に覚えがありました。

亜耶「桜子先輩!」

桜子「亜耶ちゃんこんにちは!」

武富桜子先輩、ボーダーのオペレーターの1人です。

レイジ「仲良いのか?」

桜子「オペレーターの中では1番歳が近いので色々と…」

亜耶「はい!頼りになる先輩方はボーダーにもいっぱいいるんですが、桜子先輩は友達に近い感覚で接してくれるんです。」

レイジ「そうか、良かったな。」

千佳「あ、ユズルくん。」

出穂「ちっすちっす!」

絵馬「…こんにちは。」

千佳ちゃん達の方も集団のうちの1人に声をかけている。

ユズル…というと、千佳ちゃんが仲良いと言ってた凄腕のスナイパーさんでしょうか?

しかし5人ともなるとそこそこの人数だけど、一体何があったのでしょう。

亜耶「そういえば桜子先輩達はどんな用事で…?」

出穂「あ、それ私も気になってた!武富先輩と緑川さん、黒江さんはたまに一緒にいるの見るんで分かるんですが、ユズルとユカリはなんで?」

緑川「同い年なんだし普通に駿でいいよ?

んーと、まずオレと双葉、さくら先輩で遊びに来てたんだけど、偶然弓場隊の人達と会って、せっかくだって弓場さんから帯島ちゃんを引き取ったの。

そこから更にユズルとも会って半ば強引に引き込んだって感じ。」

黒江「絵馬先輩はご愁傷さまです。」

絵馬「雨取さん達と会えたから最終的には良かったけどね…」

そう言いながらユズル君が頭をかきます。

レイジ「ならちょうどいいな、俺もちょうど先に帰ろうと思ってたところだ。千佳達も入れてもらえ。」

亜耶「えっ!?あの、だから…」

桜子「こちらは全然構いませんが…亜耶ちゃんどうする?」

私が戸惑ってるのを察してでしょうか、桜子先輩が確認を取ってくれます。

(…ここまで親切にしてくれてるのを断る方が無礼ですよね。)

亜耶「…ご一緒させてください!!」

そう言って頭を下げる。

桜子「オッケーだよ!」

レイジ「おし、じゃあさっきも言ったが迎えは連絡してくれたら行くからな。」

亜耶「はい、レイジさん。服運びお願いします!」

レイジ「ああ。」

 

 

 

 

 

ーーーフードコートーーー

亜耶「改めまして、讚州高校1年、勇者部所属の国土亜耶です。今日はよろしくお願いします。」ペコリ

レイジ先輩と別れた直後、とりあえずお互いに自己紹介しようという流れになり、昼食も兼ねて私たちはフードコートを訪れていました。

緑川「千佳ちゃんと出穂ちゃん、さくら先輩はみんな知ってるからいいとして、オレと双葉、帯広ちゃんとユズルだね。

じゃあ1番手、A級4位草壁隊アタッカーの緑川駿、高一!!玉狛でなら遊真先輩とは結構仲良いし、あと最近‪夏凜‬さんとも戦ったよ、強かった!!」

黒江「A級6位加古隊のアタッカー、黒江双葉。歳は15で中学三年生。」

帯島「B級2位、弓場隊オールラウンダー!!帯島ユカリッス!!駿くん達と同じ高一ッス!!よろしくお願いします!!!!」

絵馬「A級10位影浦隊のスナイパー、絵馬ユズル。雨取さんから話は聞いてるかもしれないけど、よろしく。」

亜耶「はい!!みなさんよろしくお願いします!!」

桜子「よし、自己紹介完了だね!!」

そう言いながら桜子先輩が笑う。

出穂「それで、何話すんスか?結構混んでるから頼んだの出来上がるまで時間かかるだろうし。」

緑川「そうだなー…」

黒江「質問。」

桜子「はい、双葉ちゃん!!」

手を挙げた双葉さんに、桜子先輩が当てる。

黒江「国土先輩ってオペレーターなんですよね?それって一体なぜなんですか。

結城先輩と加賀城先輩から勇者部の方々は特別な力を持ってると聞いてるのですが。」

友奈先輩と雀先輩となると…2回目の侵攻の際に一緒に戦ってくださったのでしょうか。

そう思いながら答えを返そうと口を開きます。

亜耶「私も特別な力はあるんですが、勇者部のみなさんとは少し違う力なのです。私は勇者ではなく、勇者様をお助けする巫女だったので。」

帯島「巫女…ですか?あの神社とかの?」

桜子「そうそうそれ!ただ亜耶ちゃんのとこだともっと別な意味合いを持ってたらしいよ!」

亜耶「はい!勇者部の皆さんたちが戦っていた敵…バーテックスが西暦に襲来してからの300年、人類を守護してくださっていたのは神樹様という土地神様の集合体です。

勇者は神樹様の力の一部を宿し、外より入り込んできたバーテックスを撃退する、みなさん達のようなポジション。それに対し巫女は神樹様の意志を聞き取り、敵の襲来などを予知するどちらかというとオペレーターよりの立ち位置だったんです。

なので勇者様達のように戦うための力は持たず、また身体も鍛えていません。なのでオペレーターの方が力になれる、と思ったんです。」

もちろん、特訓する時間があるならトリガーを握って戦う道を選んだかもしれません。

でも、私たちは待たせてる人達がいます。

攫われて洗脳されてる可能性の高いみなさんもいつ来るか分かりません。

それなら、こちらが1番だと思ったのです。

千佳「ちなみにもう1人、佳美ちゃんは孤立地域で秋原さんと生き残ってただけなので、特別な力はないらしいです。争いごとも好きじゃないらしくて、それでだそうです。」

帯島「…大変ッスね…」

亜耶「でもそれは乗り越えました。だからきっと今回も乗り越えれます、だから大丈夫です!」

帯島「…はい!!自分も力貸すッス!!」

亜耶「ありがとう、ユカリちゃん!!」

桜子「当然私達も手伝うよー…っと?ご飯できたみたいだね!駿くん、ユズルくん、運ぶから手伝って!」

緑川「はーい!!」

絵馬「分かりました。」

そうして時間は過ぎて行き…

 

ーーー街道ーーー

出穂「じゃ、チカ子バイバイ!アヤ子もまた会えたら遊ぼうねー!!」

千佳「うん、またね!!」

日が沈みかけ、空が赤く染まる中出穂ちゃんに別れを告げる。

お昼ご飯を頂いた後、ゲーセンやらショッピングやらをした私たちはすっかり仲良くなり、帰り道もみんなで帰るために歩いてました。

とはいえ徐々に人が減り、今は千佳ちゃんと2人っきりになってしまいましたが。

(でも楽しかった…レイジ先輩にはお礼言わないとです!)

そんな時でした。

千佳「…ねぇ、亜耶ちゃん。」

亜耶「うん?どうしたの?千佳ちゃん。」

千佳「亜耶ちゃん、前に防人って人達の話してたでしょ?」

亜耶「うん、私の巫女活動の大半は防人の皆さんと一緒だったからね。」

千佳「それが凄いなぁ、って。玉狛支部で夜更かしした時に言ったけど、私ってトリオンが多いせいでボーダーができる前からトリオン兵に狙われてて、そのせいで友達や兄さん巻き込んじゃって。

その時は何も出来なかったから、きっと同じ辛さを実感しながらそれでも自分にできる事をしてたんだろう亜耶ちゃんって凄い、ってふと思ったの。」

亜耶「…千佳ちゃんも凄いと思うよ?だって、見てるだけじゃなくて戦えるようになったじゃん。

しかも「誰かを傷つけて、その事で責められる」っていう嫌なことを乗り越えて。それってそうそうできないことだと思う。

待つことしかできないから他にできる事を模索し続けるのも凄いかもしれないけど、嫌なことを乗り越えて共に戦うのも、同じくらい凄いよ!」

千佳「…うん、ありがとう。亜耶ちゃんは強いね。」

亜耶「えへへ、お父さんからの色々教えてもらったから!!」

千佳「お父さん?」

亜耶「うん…私が世界で1番尊敬する人だよ!」

千佳ちゃんの家まであと僅かの中、私は語り出す。

今はいない、大切なお父さんの話を。

 

 

 

 

 

ーーーアフトクラトルーーー

ーーーヒュースsideーーー

ディエナ「お、ヒュース君。お迎えに来てくれたの?」

ヒュース「あぁ、同盟相手に迎えを出さないわけには行かないからな。」

ディエナ「…そういうもんかぁ。」

オレの返答を聞き、ディエナは不思議そうにそう言った。

オブラ・ディエナ、彼女には謎が多い。

彼女の国、スターセーバーは発生してから半年も経たずに規模を拡大、"星屑"と"星座級"の2種の独自のバーテックスを用いてアフトの傘下の国を複数襲撃、いずれにも勝利をしている。

これは本来、有り得ざることだった。

それに加え、常識範囲レベルのことでも無知な時が部分部分で存在している。

ディエナ「ん?顔になんかついてる?」

ヒュース「いや、大丈夫だ。」

そうやり取りしてるうちにハイレインの待つ大広間に着いていた。

ヒュース「ディエナ氏を連れてきました。」

ハイレイン「ご苦労だった。それでディエナ、新たな作戦を発案したいという話だったが。

先に断っておくと今回はあまりトリオン兵は出せないぞ?先の侵攻に費やしたトリオン兵はいくらこちらと言えど相当な量、後の事も考えるとここで大幅に消費するわけには行かない。」

ディエナ「大丈夫、分かってる。最初にある程度ボーダーの隊員達をバラせるくらいにちょい加えた程度でいいわ。」

ハイレイン「ふむ…了承した。しかし、それだけで今回はどうするのだ?」

ハイレインがそうディエナへ問う。

ディエナ「狙いは依然として遠征艇、あれさえ壊せばアイツらは何も出来なくなる。

とりあえずスタートリガー持ちは前回と同じく2人出すわ。それに加えて星座級もゴッソリ。真正面から突破するわ。」

ヴィザ「ふむ…しかし正面突破となると残る星座級3体を総動員しても些か厳しいのでは?」

彼女が言い終えるのを確認してから、ヴィザ翁が問題点に突っ込んだ。

ミデン…ボーダーは強い、個々のトリガーの性能は高くなくても、それぞれに合わせてカスタマイズできる事と連携により、それを補っている。

その事はアフトクラトルの中では1番知っているつもりだ。

ディエナ「えぇ、でも三体じゃない。ついにとっておきが完成しそうなんで。」

そう言いながら写真を出してくる。

そこには、超巨大な白い星座級が写っていたのだった。

そして…

 

 

 

 

 

ーーー7月31日・ボーダー・太刀川隊室ーーー

ーーーちひろsideーーー

ちひろ「また来たんですか!?」

国近「うん、星座トリガーの反応が2つ、星座型は3つだって。」

今日も太刀川さんに誘われ、太刀川隊室に遊びに来ていたところに舞い込んできた、大規模侵攻の話。

まだ芽吹さん達が残ってるとはいえ、快調に向かってた迅さんの予知が働かなかったことから驚きが隠せなかった。

(となると、やっぱバーさんの考え通り相手は迅さんの予知を自在に操れる…?そんな力どうやって…)

出水「星座トリガー2つはそれぞれ勇者部がすでに遭遇してるらしい。北と北東の星座型は樹ちゃんと竜治が玉狛第一、嵐山隊と共に向かってる。

俺らで北西の星座型を抑える予定だが、行けるか?」

ちひろ「はい、当然です!!」

 

ーーー‪友奈sideーーー

友奈「すみません、いきなりやられちゃって…」

風「あんたはほとんど素手みたいなもんだし仕方ないわ。」

‪夏凜‬「えぇ、相性が悪かったとしか。」

東郷『それに相手の特徴が分かったもの、ただ転んだわけじゃないわ、友奈ちゃん。』

みんなの言葉に感謝しながら、なくなった右手を見る。

相対する星座トリガーの盾、そこに攻撃を加えた際に振動し持ってかれたそれは、今もトリオンの煙が立ち上がるひどい傷だった。

東郷『彼女の持つ剣にも同じ機能が備わってると考えても良さそうですね…』

風「そうね…‪ちひろのビットみたいに空中かつ複数自在に操れるっぽいから厄介だわ。」

風先輩がそう困ったように言う。

盾に剣、そして剣を飛ばす事による模擬銃撃、一通り交戦して分かった特徴はこんな感じだ。

‪夏凜‬「全く…フラワートリガー持ち3人も足止めされてちゃ困るわ。ちゃっちゃと突破させてもらうわよ、芽吹!!」

 

ーーー雀sideーーー

ガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!

雪花「ちっ…!」バッ

園子「ミノさん、こっち!」ガキキキキキキキ

銀「サンキュー園子!ふっ、とう!!」バッ

雀「ひぃぃぃぃぃい!!!!」ダダダッ

星座トリガーと遭遇してから5分、私たちは容赦ない矢の雨に晒されていました。

雪花「数多いねー困った。投槍する暇がない。」

銀「射手座、もし星座トリガーなったら間違いなくめんどくさいだろうなぁとは思ってたけどここまでだとは…」

園子「だって他とは違って…あ、デカいの来るよ!!」

雀「またですかぁぁぁぁ!?!?」

ドッカァァァァァァァァァン!!!!

私たちが退避した直後、爆音と共に先程まで隠れていた建物が消し飛ぶ。

そして、それを確認して星座トリガーの持ち主が喋った。大声で。

夕海子「おほほほほ!!!流石アルフレッド!見事な一撃ですわ!!」

アルフレッド「イエイエ。ソレヨリお嬢様、敵ガ狙エマスヨ。」

夕海子「あ、そうでしたわね。じゃあ今度こそ蜂の巣にお成りなさい!!」ガガガガガガガガッ!!

そう、弥勒さんである。

なーんでかアルフレッド(トリオン兵版)を携え、雨矢と巨大矢を分担、2人がかりで攻めてきていた。

(オマケに普通に強い。アルフレッドなんか巨大矢を槍みたいに扱うし。)

弥勒さんの弾幕で近づく事が難しい上、近づいてもアルフレッドが防いでくる。

非常に厄介な事になっていた。

園子「絵面は面白いけど普通に強いからね〜、なんとか突破しないと。」

銀「今回、トリオン兵は少なめらしいけど何が起こるか分かんないしな。やってやる!!」

各地で戦闘の火蓋が切られた。




今回書きすぎたかもなー、とか思ってたんですよ
6000文字しかなかった…感覚取り戻せるように善処します
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