色々と端折っている場所がありますが、生暖かい目で見守って下さいm(_ _)m
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「…ん?」
青年が気が付いた時には、微かな光が仄めくだけの…部屋のような暗い空間で倒れていた。
「あれ…ここは?」
青年は謎の空間にいる事に不思議そうにしつつも、今置かれている状況を確認する為、ゆっくりと起き上がると周囲を見渡そうとしたが、近くにあるものに気付いてその方を見る。
黄色と橙色がベースの特徴的なバイクがその場に置かれていたのだ。
「…あっ!ファイトバスター!良かったー!お前も、此処に居たんだな。」
「ー!ーー!!ーー!」
ファイトバスターと呼ばれたバイクは、青年の声に反応したのか、ヘッドライトを点滅させながら、声の代わりのように少し特徴的な電子音を出して青年の元に近付いている。
そんな変わったバイクを見て安心するものの、ふと疑問が浮かび上がれば周囲を見渡しながら不思議そうに考える。
「…それにしても、何で俺達こんな殺風景な場所にいるんだろ?」
周囲を見渡しても特に何かがあるという訳でもない為、何も無い殺風景な場所に困惑していたが、ふと、誰かの視線を感じたのか、後ろを振り向く事にした。
そこには無造作に置かれている事務机と、向かい合うように椅子に座ってお菓子を食べている、水色の髪と瞳が特徴的な変わった格好をした少女がいた。
少女は普通の人と比べられないような美貌をしているが、昔話に出てくる天女が付けているような羽衣を身に付けている。
「あれ?次の死んだ若い魂でも来たのかしら?…って、ちょっと、何で魂と一緒にバイクまで来てるのよ!?」
「えぇ?いや、そう言われたって…いつの間にか此処に居たんだから知らないよ。」
いつの間にかこの場にいた青年を見て面倒そうな表情を浮かべた少女だったが、なぜかこの場な一緒にいるバイクを見てツッコミを入れて来たのだ。
見た目に反して随分と適当な話し方をされた青年は、そもそも何故この場に自分達いるのか分からない為、困った表情を浮かべながら返答する。
しかし、少女から死んだという言葉に何処か納得したような表情を浮かべながら、続けて話を聞く事にした。
「…まあ良いわ。時間が無いし、ちゃっちゃっと終わらせる事にするわ。死後の世界へようこそ佐藤和真さん。私は女神アクア。貴方はつい先ほど……」
「…あれ?ちょっと待って。俺、闘野真護って名前なんだけど?」
「…えっ?」
そして、その少女は気を取り直した様子で丁寧な口調で話し始めたのだが、名前を言われてキョトンとした表情を浮かべた青年…闘野真護がすぐさま訂正するように自分の名前を告げる。
彼の言葉に書類に目を通そうとしていた少女の手が止まってしまう。
「…いやいやいや、あり得ないから!?連れて来られた魂に間違いがあったなんて前例無いわよ!?」
「そんな事言われても…」
すると、自分の事を女神と言う少女…アクアの様子がおかしくなり始めたのだ。
今までに前例がないだのと言い出し始め、慌てふためきどうしようかと混乱している。
そして、そんな彼女の様子を見ながら、どういう訳なのか全く見当の付かない様子に困った表情を浮かべるものの、真護はそばに居る愛機のバイク…ファイトバスターに座って返答を待つ事にした。
「…はっ!?と、とにかく!貴方が選べるのは、このまま天国に行くか…それか、今まで住んでいたのとは違う異世界に行くかの二つだけよ!」
すると、慌てた態度から何か閃いた表情を浮かべたアクアが勝手に話を切り出していた。
女神アクア曰く、天国には欲などが無いので何もないらしい。
肉体も無ければテレビも無いし、漫画やゲーム…娯楽なんて物もない。
一応人はいるから、彼らと永遠に、意味もなく、日向ぼっこでもしながら世間話するぐらいしかやる事がないらしい。
「…天国って、意外と寂しい場所なんだな。」
「でしょ!?それでね、私がお勧めするのは…今の記憶やステータスを受け継いで異世界に行く事よ!」
天国についての話を聞かされれば、思っていたものとは違った様子で少し残念そうな表情を浮かべながら話す真護。
そして、天国に行く事に遠慮気味になった彼の様子に、しめたと言わんばかりの表情を浮かべながら話を続けるアクア。
ここではない別世界…要するに異世界には魔法とモンスターが存在する、幻想的な世界があるらしい。
その異世界に存在する魔王が率いる魔王軍の侵攻によって人類が危機に陥っているのだ。
魔王によって死んだ人間は異世界への転生を拒否し、生まれてくる命は少なくなり、このままだと滅びてしまうとの事らしい。
そのため、異世界の人間の魂をそこに送り込もうという。
しかし、ただ送り込むだけでは、送り込んだ人達も死んでその世界への転生を拒否する可能性が高い為、その世界に持っていけば有利になる『特典』という物を付けたとの事だ。
「んー…地球に帰れる方法があるかも知れないし…じゃあ、女神様がお勧めする異世界って所に行くよ。」
「はーい!一名様ご案内!…よし…!面倒だったけど、後1人で今日のノルマも終わりよっ…!」
真護からすれば、目の前の女神様が話を都合良くしている気がしたものの、地球とは違う場所でも困ってる人が居るなら…と考え、異世界に行く事に決める。
それに、異世界を救ってから元の世界に帰れる方法があるかもしれない為、アクアの提案を飲む事にした。
さり気なくアクアが小さくガッツポーズをして呟いていたが、真護は聞こえていなかったのか、大して気にしないでいた。
「…あれ?でも、異世界の文字とか本って読めないと思うんだけど、大丈夫なのか?」
「その辺は問題ないわ。神々の親切なサポートとして、異世界に行く際にあなたの脳に負荷を掛けて、一瞬で習得できるようにしているわ。もちろん文字だって読めるわよ?副作用として、頭がパーになっちゃうかもしれないけど。」
「そこは運要素なんだ…」
ふと、別世界に行く際の不安を質問として告げたが、随分と便利そうな力を付与してくれるのかと思うものの、副作用の話を聞けば再び不安そうな表情を浮かべつつ話を聞く事にした。
「じゃあ、後は好きなものを選ぶだけね!このカタログを渡すから1つだけ選びなさい。何者にも負けない力を授けてあげるわ。例えば強力な特殊能力、伝説級の武器…さあ、どんなものでも1つだけ、異世界に持って行く権利をあげるわ!」
そして、用意周到な様子で真護にカタログを渡したアクアは、ご機嫌な様子になりながら、異世界に一つだけ何でも持って行く事が出来ると話す。
「1つだけかぁ…そういえば女神様、確認したい事があるんだけど、今の俺の体ってどんな感じになってるか分かる?」
「どんな感じって…まあ、魂が弱り切ってたみたいだから、此処に連れてきた誰かが回復させたみたいね。…プフッ!!…ついでにそのお腹に付いてる変なオモチャとバイクも…プクククッ…!!」
特に必要な物が何か分からない真護は、カタログを見ながらどうしようかなと悩んでいたが、何か気になった様子でアクアの方を見て話し出す。
すると、真護の現在の状態を確認したアクアは、彼の魂…もとい、身体に一体化しているように付いている、オモチャのようなベルトを見て吹き出しそうな表情を浮かべながら、此処に現れた際には治って万全な状態になっていると話す。
「そっか…じゃあ、この輪…ベルトの力を最大限引き出せるようにして欲しいんだけど…良いかな?」
「ブフォッ!!?べ、別にそれでも良いなら…良いわよ?で、でも…それだと不安だから…ククッ…そのベルトとバイクも…こ、壊れないようにしてあげたわ……」
「…?ホント!?助かるよ、女神様。」
吹き出しながら話すアクアの言葉に、真護は何故彼女が吹き出しいるのか分からないものの、ベルトの力を引き出せるだけでなく壊れないようにしてくれる事に嬉しそうにすれば、安堵した表情を浮かべながら自分の腹部を撫でるように触っていた。
「そ、それじゃあ、これから貴方を異世界に送るからじっとしてて…クククッ…!」
「えっ?あっ、うん…うわっ!?」
必死に笑うのを堪えている様子のアクアの言葉と共に、真護の足元に魔方陣が現れれば、彼が乗っているバイクごと光に包まれて行けば、その場から真護とバイクの姿がその場から消えていたのだった。
…因みに真護が消えた後、我慢の限界を超えて爆笑していたアクアが、その後に現れた佐藤和真という少年と異世界に行く羽目になるという事を知る由もなかったのだった…
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視界を覆い尽くしていた光が消えると、中世欧州時代にあった目を開けると石造りの街並みと、澄んだ青空が広がる景色へと変化していたのだった。
少し町というには小さいものの、長閑で静かな雰囲気を感じさせる。
「わあぁっ…本当に異世界みたいだ……」
鮮明になった視界に映る景色が、自分が知っている地球の日本のモノとは別物だという事が分かると共に、本当に異世界という存在があった事実に静かながらも驚いていた。
歩いている人達の服装も、建物の作りも日本のものとはまるで違う。
「…ん?これは…?お金かな?」
これから先の事についての不安はあるものの、まずは行動を開始しようとしたが、ふと、ポケットに何か入っている事に気付いて取り出す。
この世界で必要な金貨なのだろうか…いつのまにか数枚ほど入っていた。
異世界での貨幣類は有難い為、大事に使おうと決めた真護は、次に自分の片腕にギュッと力を込めてみる。
「…うおっ!?本当に力が戻ってる!?」
力を込めた片腕からは、結晶のような光が激しく迸れば、それを確認した真護は驚きと喜びを感じながら、いつのまにか腹部に出現しているベルトに軽く触れていた。
これでまた、自分は護る為に戦う事が出来る…そう確信した真護は嬉しそうな表情を浮かべながら、自分の現在の状態を確認し終えると、乗っているファイトバスターを走らせ、街の中で情報を集めれるような場所を探す事にした。
案内板のような看板を見付けた真護は、書かれている文字がちゃんと読めている事に安堵しながらも、アクセルの街の地図を覚えようと眺めていた。
「『駆け出し冒険者の街 アクセル』…かぁ。えぇっと…正門があっちで、ギルドって所がこの道を進んだあの建物で、役所が向こうの道の方向で……よし、まずはギルドって所にでも行こうか。」
そして、アクセルの街の地図をある程度把握した真護は、まずはギルドと書かれた場所へと向かう事にしたのだった…
後にこの青年…闘野真護は、色んな人々にこう呼ばれる事になるだろう。
仮面ライダーファイターと…
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次はギルド登録及び、オリ回になると思います(´・ω・`)
ぼっちのゆんゆんも登場する予定です(´・ω・`)