-TORAUMANOMAKUAKE-
この前の件から爆裂散歩の禁止をカズマから言い渡された私は、アクアと共にあの廃城へ通う事にした。
アクアの浄化の力があれば、まったく問題なく帰ってこれる。
そんな事を続けていたある日、久し振りにみんなが朝に集まった。
「クエストよ!報酬の高いクエストを請けるの!」
バイト代だけでは上手く回らなくなったのだろう。
「「えー」」
勿論、懐の潤っている私とカズマは危険なクエストに行く気は無い。
「私は構わないが。・・・アクアと私では火力不足だろう」
ダクネスが私達をちらちらと見てくる。
私とカズマは下手すれば死ぬ。
お金に困らない今、危険を冒す必要は無い。
そんな私達の反応を見てアクアが泣き出した。
「お願いよおおお!もうバイトは嫌なの!コロッケが売れ残ると店長が怒るの!頑張るから!ね!私、ちゃんと頑張るからあああ!」
流石にここまで言われたら行くしかないだろう。
カズマとアイコンタクトをとった。
「しょうがねえなあ。ちゃんと俺らでも出来るやつ見つけて来いよ!悪くなかったら、付いてってやるから」
アクアはその言葉を聞き笑顔で掲示板まで走って行くのをカズマは見守ろうとしていた。
「カズマ、アクアの所に行きますよ」
「どうしてだ?」
「アクアだけだと不安ですから」
「・・・だな。まあ私は無茶なクエストでも、一向に構わないのだかな」
私達の話を聞き、焦りを見せるカズマ。
そのまま直ぐに、難しい顔で依頼の掲示板を見ているアクアの後ろに行き様子を窺い、
「よしっ!」
「よしじゃねえ!お前何請けようとしてんだ!」
アクアは前と同じくマンティコアとグリフォン討伐のクエストの依頼を手にしていた。
「アホか!」
カズマは叫ぶと同時に張り紙を掲示板に叩き付けた。
「大丈夫よ!二匹まとめてめぐみんの爆裂魔法で倒せば、問題ないはずよ」
「じゃあ、どうやって二匹まとめるんだ!」
「えっと、ほら、それはカズマさんが・・・分かったわよ!違うの探せばいいんでしょ!」
何故か逆ギレ気味のアクアはまた探し始めた。
カズマはやる気が零に等しくなっている。
「これなんてどう?」
「湖の浄化?お前そんな事できるのか?」
怪訝なカズマに対してアクアは、
「何言ってるのよ!ほらみんな頑なに信じてくれないけど、ほら私の名前や外見のイメージで、何を司る女神か分かるでしょう?」
アクアの言う名前からも推測出来ると言うのは全く意味が分からない。
たぶん日本語なのだろう。
「宴会の神様だろ?」
「違うわよ!ヒキニート!水よ!水!この美しい水色の目と髪が見えないの!」
カズマはアクアの訴えは、特に気にしていなさ気な感じで、納得いったようだった。
「じゃあそれ請けろよ。それに浄化だけならお前一人で大丈夫だし、報酬独り占め出来るし丁度良いだろ」
それを聞き不安そうなアクアが頼む。
「ええっと。浄化中にモンスターが来そうだから、守って欲しいんですけど」
「ちなみに浄化はどれぐらいで終わるんだ?」
「・・・半日ぐらい?」
「長えよ!」
今日もカズマのツッコミはきれきれだ。
そしてやってられるか!と言った感じで張り紙を叩き付けた。
「ああ!お願い!お願いだから!他にろくなクエストがないの!協力してよおおお!」
「・・・そう言えば浄化はどうするんだ?」
「・・・へ?浄化は私が水に触れていれば浄化魔法でできるけど・・・・・・」
どんどんと尻すぼみになっていくアクア。
そしてあのトラウマを植え付ける事となる案をカズマは提案した。
「なあアクア。多分、安全にクエストができる手があるんだがやってみるか?」
「ほ、ホント!ありがとね!カズマさん」
この時のアクアは本当に幸せそうな顔をしていた。
作戦を聞くまでは。
「ねえ?・・・本当にやるの?」
「やるに決まってるだろ!他に安全な手段がないんだから」
流石に諦めたのかアクアは静かになった。
「よしっ!めぐみんはこっちで、ダクネスはそっちを頼む」
「分かりました」
「分かった」
「「「いっせいのーで!」」」
檻ごとアクアを湖に投げ入れた。
別に私達が腹を立ててアクアを捨てに来た訳ではない。
これはカズマ考案の安全策なのだから。
「私、出汁を取られてる紅茶のティーバッグの気分何ですけど・・・」
浄化装置と化したアクアが、モンスター用の檻の中で、クエストを始めて約二時間。
ワニ達はまだ出てこず、退屈な時間を過ごしていた。
「おーい!アクアー!浄化の方はどうだ?体冷えてないか?トイレ行きたくなったら早めに言えよ。オリから出してやるから」
「浄化は順調よ!後、トイレは大丈夫よ。アークプリーストはトイレなんか行かないから」
それにしても何故、昔の私はこの時アクアと同じ事を言ったんだろう?
「なんだか大丈夫そうですね。ちなみに紅魔族はトイレに行きますよ」
「わ、私はクルセイダーだから、とトイレは、トイレは、行かな・・・・・・」
ダクネスはアクアにのせようとしてもじもじしている。
この変態の羞恥の基準は本当にどこにあるんだろうか?
「ダクネス。無理しなくていい!アホな事言ってるアクアには、今度、日帰りじゃ終わらないクエストに行って確かめてやる」
「カズマは容赦がないな」
珍しくダクネスがハアハア言ってない。
たぶん好みの攻めではなかったのだろう。
「このまま何もなく終わればいいのだがな」
今なら分かる。
ダクネスがフラグを建てた。
そう言えば前は私が建てていた。
「カ、カズマー!なんか来た!しかもいっぱい来たわ!」
ワニ襲来から二時間が経過。
恐怖に駆られて、一心不乱にアクアは浄化魔法をかけ続けていた。
「『ピュリフィケーション』!『ピュリフィケーション』!『ピュリフィケーション』!」
ワニがアクアを食べようと檻に齧りついているが、まあ問題はない。
「『ピュリフィケーション』!ってオリがギシギシ、メシメシ言ってるんですけどおお!オリから変な音がしてるんですけどおおおおお!」
「アクア!今すぐ引き上げるから待ってろ!」
あれっ?前は助けが必要か聞くだけだったような気が?
「助けはいらないわ!ここで諦めちゃここまで頑張った分がもったいないもの!それに報酬が貰えないじゃない!ってきゃああああ!メキって、今、メキってオリから鳴っちゃいけない音がしたんですけどおおお!」
アクアはこれを境に此方との会話を一切しなくなり、浄化に専念していた。
「やっぱり助けた方がいいんじゃ・・・」
やはり、カズマの対応がおかしい。
前のカズマならメシウマ展開だとか言って喜んでそうなのに。
「アクアがああ言ってるんですから待機ですよ」
「そうだな。・・・後、あのオリの中、楽しそうだな」
「・・・行くなよ?」
浄化を始めて七時間が経ち、遂に浄化が終わった。
ワニ達も居なくなり、オリの回収のため、近付いたのだが、以前と同じようにアクアはトラウマを植え付けられたようだ。
「・・・おいアクア。大丈夫か?そのみんなで話し合ったんだけど。今日の報酬は、アクアが全部貰ってくれ。だから取り敢えず元気出せよな?」
カズマが慰めに入るが回復の見込みは無い。
「ぐすっ・・・ひぐっ・・・うぅ」
「なあもう外は安全だから早くオリから出てギルドに戻ろうぜ」
「・・・このまま連れてって・・・・・・」
カズマは聞き取れなかったらしく、首を傾げている。
「なんだって?」
「・・・オリの外は怖いから、このまま街まで連れてって・・・」
カズマはその場に立ち尽くした。
「ドナドナドーナドーナー・・・・・・」
アクアの歌のバリエーションにはいつも驚かされる。
「・・・アクア、もう街中なんだからその歌は止めてくれ。ボロボロのオリに膝抱えた女入れて運んでるってだけで悪目立ちするんだからな。というかいい加減オリから出てくれ」
「嫌。この中こそが私の聖域よ。外の世界は怖いから出たくないの」
アクアの引き篭もり発言にカズマは大きく溜め息をついた。
そうこうしているとあの男が来た。
「め、女神様っ!?女神様じゃないですか!何をしてるんですかこんな所で」
にしてもこのカツラギの力は、いくら女神パワーとやらで強化されていると言っても強すぎる。
カズマなんて口が空いたまま固まっている。
「おい!私の仲間に馴れ馴れしく触るな!貴様何者だ!知り合いにしては、アクアが反応していないのだが」
ただアクアが忘れているだけとは思わないだろう。
ここで復活したカズマがアクアに、
「おいアクア。あれ知り合いなんだろ?お前の事、女神だって言ってたし。お前があの男なんとかしろよ」
「女神?・・・カズマ何言って・・・そ、そうよ女神よ!女神よ私は!それで?女神のあたしにこの状況をなんとかして欲しいのよね!しょうがないわね!」
今、完全に自分が女神である事を忘れていたと思う。
「・・・あんた誰?」
流石にこれは可哀想だ。同情する。
「な、何言ってるんですか女神様!僕です!ミツルギキョウヤですよ!あなたに、この魔剣グラムを貰った!」
「・・・・・・・・・?」
未だに思い出して貰えないカブラギ、じゃなくてミツラギの魔剣を見て、やっとアクアも気がついた用で。
「ああっ!いたわね、そう言えばそんな人!ごめんね。すっかり忘れてたわ!でも多くの人を送り出してるんだから仕方ないよね!」
マツルギは顔を引きつらせたまま表情を変える事は無かった。
中途半端な終わり方ですいません。
次週、カズマとミツルギの決闘が始まる。
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