今回はめぐみんがお怒りです。
*加筆及び修正をしました(1/5)
-SAKERARENUTATAKAI-
ミツルギキョウヤ、それは今カズマに絡んでいるチンピ・・・勇者候補である。
「バカな!ありえない!君は一体何を考えているんですか!?しかも、女神様を檻に閉じ込めて湖に浸けた!!」
ミツルギ?・・・マツラギ?いえカツラギはいきり立ち、カズマの胸ぐらを掴んでいる。
そしてそれを慌ててアクアが止めに入る。
「ちょ、ちょっと!?別に私はみんなと楽しい生活送れてるし、もうここに連れて来られた事は、気にしてないんだけどね?それに魔王を倒せば帰れるんだし。今日だって怖かったけど、誰も怪我することなく無事にクエストだって終わった訳だし。しかも、今日の報酬は三十万よ!三十万!それを全部くれるって言うの!」
カツラギは哀れみの眼差しでアクアを見る。
「・・・アクア様、この男にどう丸め込まれたかは知りませんが、今のあなた扱いは不当ですよ!そんな酷い目に遭って、たったの三十万・・・?あなたは女神ですよ?それがこんな・・・因みに今は何方で寝泊まりをしているんですか?」
カツラギはカズマから汚い・・・普通の手を離す事はなく、そのままアクアを諭すように話しかけたが、当のアクアは少し気圧されている。
「えっと、みんなと一緒に馬小屋で泊まってるけど・・・」
「は!?」
カツラギがカズマの胸ぐらを掴む力が強くなり、カズマが少し痛そうにしている。
私のカズマを傷つけてただで済むとでも?
「おい!いい加減その手を放せ。お前はさっきから何なのだ。カズマとは初対面のようだが、礼儀知らずにも程があるだろう」
ナイスダクネス!
やっとカズマが解放された。
「・・・クルセイダーにアークウィザード?それに随分綺麗な人達だ。君は仲間に恵まれているようだね。それなら尚更、アクア様や優秀な彼女達に馬小屋で寝泊まりさせて恥ずかしくないのかい?」
綺麗な人と優秀な人と言った所を除いて本当に腹立たしい。
カズマの苦労も知らないくせに。
カズマがアクアに何か話しかけ、それの答えを得たカズマから怒りが沸いているのが分かった。
それに気付いていないカツラギは、アクアや私達に同情するように語りかける。
「君達、今まで苦労したみたいだね。これからは、僕と一緒に来るといい。装備も高級な物を揃えよう。それに、パーティの構成的にもいいじゃないか。ソードマスターの僕に、仲間の戦士と、クルセイダーのあなた。僕の仲間の盗賊と、アークウィザードのその子に、アクア様。まるであつらえたみたいにピッタリなパーティーじゃないか」
私の事を子供扱いし、カズマの事は眼中に無いとは、この男どうしてくれようか?
カズマは私達がカツラギの提案に乗るのではないかと心配して耳をひくひくさせている。
・・・かわいい。
「やばいんですけど。けっこう引く位にやばいんですけど。ナルシストも入ってる系で、怖いんですけど」
「どうしよう。あの男は生理的に受け付けられない。攻めるより受けるのが好きな私だが、あいつは何故か無性に殴りたい」
「撃っていいですか?あの苦労知らずのスカした顔に、我が爆裂魔法を撃っていいですか?」
私が杖を構えるとカズマがやめろといった目で見てきたので、杖を下ろした。
アクアがカズマに話しかけ、それを聞いたカズマは言った。
「えっと、俺の仲間は満場一致で、あなたのパーティーに行く気はないようです。俺達はクエストの報告があるからこれで」
カズマが歩き出した事で、みんなそれについて行こうとしたその時。
カツラギはカズマの前に立ちはだかった。
「あの、どいてくれます?」
取り巻きの二人はここまで人の話を聞けない男の何処が良いのだろうか?
「悪いが、やっぱりアクア様をこのままにしておく事は出来ない。君には世界を救えない。魔王は僕が倒す。だからアクア様は僕と一緒に来た方が良い!君はアクア様をこの世界に持ってこられるモノとして選んだという事だね?」
カズマがいなければ魔王討伐は出来ないと思う。 先行で戦っていたカツラギ達は事実、苦戦して先に進めてなかったのだから。
「・・・そうだよ」
「なら、僕と勝負しないか?僕が勝ったらアクア様を譲ってくれ!もし君が勝ったなら、何でも一つ言う事を聞こう」
アクアは一応チートアイテムの部類らしいので、カツラギが欲する理由も分かる。
まあ、九割型アクアに惚れてる的な理由だろうけど。
「よし、乗った!行くぞ!」
「えっ!」
カズマの奇襲にギリギリの対応をしているカツラギだったが、カズマが勝つだろう。
「『スティール』っっ!」
見事カズマは魔剣を手にした。
「「は?」」
あまりの急展開に間の抜けた声を上げるアクアとダクネス。
カツラギはまだ状況を掴めていないようだ。
「よっと」
「あっ・・・」
カツラギは自分の魔剣で気絶させられた。
「言いたい放題言いやがって」
カズマが魔剣を地面へと振り下ろしたその瞬間。
「卑怯者!卑怯者卑怯者卑怯者!」
「・・・あんた達こいつの仲間か?」
「そうよ、この最低男!卑怯者!」
カズマが卑怯者呼ばわれされる理由はないと思う。
相手は勇者候補で魔剣持ち、片やカズマは初心者冒険者。
何方かと言えばカツラギの方が卑怯者だろう。
カズマもビシッと言ってやれば良いのに。
「俺の勝ちだし。この魔剣は何でも一つ言う事聞くって、やつで貰っとくよ」
「なっ!バカ言ってんじゃないわよ!それにグラムはキョウヤしか使えないんだから」
「マジか?」
「マジです。残念だけど、この剣はあの痛い人専用よ」
このままだとカズマがあの二人を脅して、悪評が広がる事になるので何か手を打たないと。
「じゃあな、そいつが起きたら、説明頼むわ。あと自分から持ちかけた勝負だから恨みっこなしって伝えといてくれ。それじゃ、お前ら行くぞ」
「ちょちょちょっと!待ちなさいよ!」
「キョウヤの魔剣返して貰うわよ。こんな勝ち方、私達は認めない」
カズマが何か言おうとするのを遮り私は、
「先程から聞いていれば、カズマの事を卑怯者だとか最低男だとか言ってますが、私はこの男の方が卑怯者だと思います!」
「なっ!何よあんた!キョウヤのどこが卑怯なのよ!」
「初心者冒険者に魔剣で勝負を挑む事のどこが卑怯じゃないのか聞こうじゃないか!」
ちらっとカズマの方を見ると予想外だったのかフリーズしている。
取り巻き二人も同じようだ。
「しかも、カズマは冒険者ですよ!本当の意味で。不意打ちやスキルの使用ぐらいじゃ本来ハンデにもなりませんよ!」
「・・・でもその男はキョウヤに勝ったじゃない!」
「そんなの油断してたからでしょう!魔剣があるから大丈夫って、これまで魔剣に頼ってきたツケですよ」
ここまで言えば諦めるでしょう。
「・・・・・・それでも不意打ちは卑怯よ!やっぱり認めない!」
パーティー揃って話聞かない系のようだ。
流石にもう怒りの限界。
「そうですか。そこまで言うのなら、私が・・・ってカズマ何するんですか!今からこの分からず屋を屠ろうとしてるのに」
「だから止めてんだよ!でも、その庇ってくれてありがとな。もういいから帰るぞ。あの二人は放っとけば、ミツルギが倒れてるから付いて来ないだろうし」
「・・・分かりました。カズマのおかげで命拾いしましたね」
私が最後にきつく睨み付けると震え上がって何も喋らなくなった。
私とアクアとダクネスはそのままギルドへ行き、カズマは寄る所があると言って途中で別れて、少し遅れて帰ってきた。
そしてギルドでは、またアクアの悲痛な叫びが響いていた。
「何でよおおお!オリは私が壊したんじゃ無いって言ってるでしょ!ミツルギって奴が壊したんだってば!何で私が弁償しないといけないのよ!」
とぼとぼと戻って来たアクアはカズマと話をしている。
可哀想だったが、戻ってきたミツルギからぼったくるから問題ないだろう。
「あの男今度会ったら、絶対ゴッドブローをくらわせてやるわ!あとお金も払ってもらうの!」
アクアは意気込みながらも悔しそうにしていた。
「ここにいたのか!探したぞ、サトウカズマ」
飛んで火に入る夏の虫とはこの事、アクアはミツラギに照準を合わせ、
「『ゴッドブロー』!」
「ぐはっ!」
「ああ、キョウヤ」
急な攻撃に対処しきれず、アクアの攻撃はミツラギに直撃した。
「あんたねオリ壊したお金払いなさいよ!おかげで私が払うことになったんだからね!三十万よ!三十万!ほらさっさと払いなさいよ!」
アクアに気圧されたミツラギは全所持金が入ってると思われる袋をアクアに渡した。
「えっと、サトウカズマ!君については調べさせてもらったよ。盗賊の女の子からはパンツ脱がせ魔だってね。後は魔王軍幹部と対峙した勇敢な冒険者だとも、ある女性の店主からはヤクザみたいな客を止めてくれる優しい人だとも。・・・君は一体何者なんだ?」
「・・・最弱職の冒険者だけど、何者だとか聞かれても分からねえよ」
前とは違い、カズマに対して好印象な情報が多めなようだ。
カズマはと言うとクリスめと声には出さないものの口づさんでいた。
「いやその事は今はいい。それよりも僕の剣の事なんだが、虫がいい話だとは分かっているが返してもらえないか?確かに君の勝ちだし、負けたら何でもするとは言ったが、どうか頼む!代わりに店で一番の剣を買ってあげてもいい!」
何が買ってあげてもいいなのだろう?
この上から目線も腹が立つ。
「私を景品にしておいて、負けたら高い剣を買ってあげるから魔剣返してって、なめてるの!私がその辺で売ってるお高い剣と同等だと言いたいの?無礼者!無礼者!無礼者!仮にも女神であるわたしを賭けの対象にした奴の顔何て見たくないから、あっち行って!ほら早く!あっちへ行って!」
怒りが頂点に達してるアクアは、さっきミツラギの取り巻きがしていた事の当てつけのように責め立てる。
ミツラギの顔が青ざめた。そんなミツラギに私は近づき、
「まま、待ってください!アクア様!僕は別に・・・」
袖を引っ張り、そのままカズマの方を指した。
「何かな?お嬢ちゃん・・・?」
「・・・まずこの男がミツラギ、あなたの剣を持っていない件について」
私が何を言いたいのか理解したらしい。
「さ、サトウカズマ!ぼぼぼ僕の魔剣はどこへやった?あ、あと僕の名前はミツルギだ」
私とした事が名前を間違っていたようだが、まあこの男なら大丈夫だ。
「・・・・・・売った」
「ちくしょおおおおお!」
カズマの金袋を見て、ミツルギは泣きながら走っていった。
「「あ!キョウヤ待ってー!」」
それを追って取り巻き二人も去っていった。
今週も月曜日に二話目を投稿しようと思います。
来週からは通常通り週一で頑張っていきます。
カズマさんの誕生日話は誰視点が良いかについて
-
カズマ視点(天界)
-
カズマ視点(討伐後)
-
ヒロインズの誰か視点(天界)
-
ヒロインズの誰か視点(討伐後)