この素晴らしい世界に●●を!めぐみんのターン   作:めむみん

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今回はベルディアがお怒りです。あとカズマも。


激おこデュラハン

-GEKIOKODULLAHAN-

 

「・・・結局あの男は何だったのだ?それにアクアの事を女神様と言っていたが、一体何の話だ?」

 

ミツルギが泣き叫びながら飛び出した後。

私達は周りの冒険者から好奇の視線を集めていた。

あれだけミツルギが女神と言っていたら誰でも聞きたくなるだろう。

カズマとアクアはアイコンタクトをとりアクアが決心し、語り始めた。

 

「今まで二人には内緒にしてたけど、あなた達には言っておくわ。私はアクア。水を司り、アクシズ教徒が崇拝する女神。・・・そう、私は女神アクアその人なのよ!」

「「っていう夢を見たのか」」

「違うわよ!それにどうして二人ともハモってるのよ!」

 

流石にここは知らない体にしておかないと。

 

『緊急!緊急!全冒険者は、直ちに武装し、戦闘態勢で正門前に集まってください!』

 

「またかよ。最近多いな呼び出し」

 

やばい。爆裂魔法の事がバレる。

 

『緊急!緊急!全冒険者は、直ちに武装し、戦闘態勢で正門前に集まってください!特にサトウカズマさんとその一行は、大至急来てください!!』

 

「えっ!なんで俺ら?」

 

カズマが此方を見てきたが、首を傾げて苦笑いするしかなかった。

 

 

 

私達はとにかく正門前にやって来た。

重武装のダクネスが遅れている。

 

「やっぱり、あいつか」

 

カズマの視線の先には怒りを露わにさせたベルディアが居た。

そしてベルディアは私とカズマに気付き、開口一番に叫んだ。

 

「なぜ城に来ないのだ!この人でなしどもがあああああ!!」

 

城に行く必要が無いので、カズマは困惑しながらも私を庇うように前へ出た。

はあ、かっこいい。

 

「ええっと、なぜ城に来ないって、何で城に行かなきゃいけないんだ?後、人でなしって何だ?爆裂魔法も、もう撃ち込んでもないのに・・・」

 

カズマの何も知らないだけの発言を、シラをきっていると取った、ベルディアの怒りは更に増したようだ。

怒り任せに思わず自分の顔を地面に叩きつけようとした。

 

「爆裂魔法を撃ち込んでもいない?撃ち込んでもいないだと!白々しいにも程があるだろう!そこの頭のおかしい紅魔の娘が、毎日欠かさず撃ちに来ておるわ!!」

「えっ!」

 

うっ、カズマの目が怖い。

私は反射的に目を逸らせた。

 

「・・・お前、行ったのか?あれだけ行くなって言ったのに!」

「ひたたたたた、ひたい!ひたいれふ!違うんです!聞いてくださいカズマ!私も行かないっていう決心は出来てたんです。でもカズマやダクネスの事とかを色々言われて・・・」

 

決して爆裂欲に負けてやった訳ではない。

 

「・・・唆されたのか?」

「・・・はい」

「そうか、で誰に・・・お前かあああああ!」

 

カズマが探し始めると同時に、顔を逸らし、下手な口笛を吹き出し、バレバレなアクアだった。

 

「ひだだだだだ!頬をひっはらないで!だってあいつの所為でろくなクエスト受けられなかったんだもん!私が毎日毎日店長に怒られたのは、あいつの所為なのよ!」

「気持ちは分からなくはな・・・最後のはお前が悪いだろ駄女神」

 

これはまた喧嘩が長くなりそうな感じだ。

 

「なっ!誰が駄女神よ!私は正真正銘、女神よ!ってそう言えばめぐみんも二日目からはノリノリだったじゃない!それなのに私だけが悪者ってのは違うと思うの!」

 

おおっと、これは不味い早く方向転換して、逃げないと!

 

「めぐみん?今のはどういうって逃げるな!」

「・・・ゴホン!」

 

カズマとの追いかけっこが始まるかと思っていたが、ベルディアの咳払いで中断された。

 

「この俺が真に頭にきているのは爆裂魔法の事もあるが、貴様ら冒険者だろう?なぜ仲間を助けようとしないのだ。こうしてモンスターになる前の俺は、難癖付けられて処刑されはしたが、これでも真っ当な騎士のつもりだ!その俺から言わせれば仲間を庇って呪いを受けた、騎士の鏡のようなあのクルセイダーを見捨てるな、ど!・・・」

 

ダクネスがフル装備で現着したため、ベルディアは固まってしまった。

 

「・・・や、やあ、騎士の鏡などとは気恥しい・・・」

「え、えええええ!」

 

アクセルの街にベルディアの叫び声が響き渡った。

 

「なになに?ダクネスが一週間経ってもピンピンしてる事に驚いてるの?呪いを掛けた後、私の魔法で呪いが解けた事も知らずに、ずっと私達が呪いを解くためにやって来ると思って、日々潰されていく城の中で待ってたの?プークスクス!うけるんですけど!ちょーうけるんですけど!」

 

アクアはストレス発散が出来て楽しそうにしている。

因みにベルディアの城は半壊までした辺りから、修繕に全力をだし始めたので、プラマイゼロで二分の一を保っていた。

一方ベルディアはわなないていた。

 

「おい貴様!この俺が本気になれば、こんな街、一人残らず滅ぼせるのだぞ。いつまでも見逃してもらえると思うな!」

 

ベルディアは剣を振りかざし、威圧してきた。

 

「見逃してあげないってのはこっちのセリフよ!今度こそあんたを浄化してやるわ!『ターンアンデッド』!」

「魔王軍幹部のこの俺が駆け出しのプリーストなどにやられるわけがぎゃあああああ!」

 

魔法を受けたベルディアはのたうち回り、乗っていた馬は消え去ってしまった。

 

「ねえ、変よ。私の魔法が効いてないわ!」

 

効いてない訳ではないと思う。ぎゃああああって言ってたし。

 

「・・・話は最後まで聞くものだ。俺はベルディア。魔王軍幹部の一人。魔王様からの特別な加護のついたこの鎧と、俺の力で、そこらのプリーストのターンアンデッドがこの俺に効くはずがない!無いのだが・・・な、なあ、お前のレベルはいくつなんだ?本当に駆け出しか?ここは駆け出しの街なんだろう?」

 

ベルディアはよろめきながら、アクアを見て首を傾げる。

 

「アクア、ちょっと良いですか?」

「どうしたのめぐみん?」

「あいつの弱点は水なので、大量の水を街と反対の方向に出してくれれば弱らせる事が出来ます」

 

借金生活は出来ればしたくない。

 

「そうなの?分かったわ。任せて!」

 

アクアは詠唱を始め、ベルディアはこちらを注意深く観察している。

 

「おい、何の話をして・・・」

 

魔力の流れで何が起こるのか察知した様だがもう遅い。

 

『セイクリッド・クリエイト・ウォーター』

 

「ちょっと、待っ、くぼぼぼ」

 

急な展開に街の冒険者も戸惑っているようだ。

 

「あの量の水ってどうやって出すんだ?」

「知らねえよ。てかあれ洪水クラスだろ」

 

「・・・はあはあ、おい貴様本当に何者だ?これだけの水を召喚するなど、駆け出しのプリーストには不可能なはずだ!」

 

まあ一応女神だから当然だろう。

 

「・・・あっ!『セイクリッド・ターンアンデッド』!」

 

今ならいけると思ったのか魔法を繰り出すアクア。

 

「ちょっ、待って、ぎゃあああああ!」

 

だがベルディアはまだ浄化されなかった。

 

「くっ、危うくやられる所だったが、なんとか持ち堪えたみたいだ」

 

おかしい。

もう浄化されてもおかしくないのに。

・・・そう言えばあの時アクアは、確か三回ターンアンデッドをしていた。

これはあと一回すればなんとかなりそうだ。

 

「ちょっと!何でまだ生きてるのよ!」

「ククク、面白い。今日はここまでにしといてやる。さらばだ」

 

逃がしてたまるか!

 

「カズマカズマ!スティールです!スティール!あのデュラハンにスティールを」

「え、あ、うん。えっと、『スティール』!」

 

状況を飲み込めていないカズマは、放心状態だったようだ。

 

「そんなもので私の武器が盗れるとで・・・」

「くそっ、失敗だっ・・・」

 

見事にベルディアの顔が盗れた。

 

「・・・あ、あのー、首返してもらえませんか?」

 

そしてそれを見たカズマの顔はだんだん晴れてきて。

 

「おーい、みんなサッカーしようぜ!ボールこいつな!」

「「「サッカー?」」」

 

カズマの国にあるスポーツをみんな知らないから、首を傾げていた。

 

「サッカーってのは、手を使わずに、ボールを蹴る遊びだよおおお」

「お、おい嘘だよなあああああ!ちょっ、や、やめ」

 

カズマが楽しそうでなにより。

 

「ひゃははは!これはおもしれえ」

「おーい、こっちにも、パス、パース」

「いだい痛い!おいやめろ!」

 

カズマも状況が飲み込めたのか、アクアに指示を出した。

 

「アクア!頼んだ!」

「任せて!」

 

『セイクリッド・ターンアンデッド!』

 

「ちょ、待っ・・・ぎゃあああああ!」

 

アクアの魔法を受けたベルディアの断末魔の叫びは冒険者の足下から聞こえた。

予想通りに三回目で除霊出来たようだ。

みんな遊び足りなそうな様子。

私もサッカーしておけば良かった。

そう言えばベルディアはこの街に何の為に来たのだろう?

まあ今回は死者も出なかったので、それで良しと言う事にしておこう。

今回の緊急クエスト完了。

・・・あっ!アンデットナイトの大量爆裂を忘れてた!

もうちょっとベルディアを生かしておけば出来たのに。

 

 

 

ベルディアを討伐し終えた帰り道。

私とカズマはアクアとダクネスと別れ、あの廃城に来ていた。

 

「さて、今日の分をやりますよ!」

「・・・本当に作戦だったんだよな?一日目に撃って、歯止めが効かなくなって、やってた訳じゃないんだよな?」

 

カズマから完全に疑われているこの状況はどうにかしないと嘘がバレてしまう。

 

「そうですよ。爆裂欲を抑えられなかったとかじゃないですよ」

「そうか、でなんでまたここに来たんだ?」

 

今までと違って凄い疑り深いカズマ。

ここは真実を織り交ぜればなんとかはるはず。

 

「主のいない廃城なら壊しても問題ないからですよ。それにギルドにも許可はもらってますから」

「・・・はあ、分かったよ。じゃあ撃ってくれ」

 

しっかり話を通しておいて助かった。

 

「ふふ、久しぶりの採点付きの爆裂魔法なので、腕がなります!」

 

今日は満点が取れる気がする。

 

『エクスプロージョン!』

 

この時、カズマが何か言っていたが、爆風で分からなかった。

 

 

 

「俺もチョロイな。嬉しそうな顔見て、責める気が無くなるなんて」

 

 

 

「やっぱ、いつ見ても凄いな。この威力」

「そうでしょう!そうでしょう!カズマもいっそ本当に爆裂魔法を覚えてみては?」

「そうだなあ、将来余裕が有ったら、取ってもいいかもな」

 

やはり爆裂道を理解してくれるのはカズマだけだ。

 

「カズマも爆裂道が分かってきましたね。それで、その、今日の点数はいくらですか?」

「今日の採点は・・・」

 

満点でお願いします。

 

「百点満点と言いたい所だけど九十八点だな」

「ど、どうして満点じゃないんですか?」

 

欠点は無かったはず。

 

「二点の減点は詠唱中に何かに気を取られてたからだ。そこもしっかりしてたら満点だったんだけどな」

「なっ、そこまで見てたんですか!」

 

まさかこの段階でカズマが作法の採点をしてくるとは思わなかった。

 

「分かりやすく顔が違う方向に動いてたからな。・・・でもやっぱ、爆裂魔法の採点には関係ないし、満点かな」

「いえ、カズマの採点の基準が高くなると私のモチベーションも上がるので、九十八点のままで大丈夫です」

「なら点数は九十八点って事で、よし帰るか」

「はい。ではおんぶお願いします」

 

今日一番の楽しみの久しぶりのおんぶを味わいながら、夕日が沈みゆく中、私達は報酬の話なんかをしながらギルドへ戻った。

カズマさんの誕生日話は誰視点が良いかについて

  • カズマ視点(天界)
  • カズマ視点(討伐後)
  • ヒロインズの誰か視点(天界)
  • ヒロインズの誰か視点(討伐後)

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