この素晴らしい世界に●●を!めぐみんのターン   作:めむみん

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今回は短くなりました。すみません。
*最後の一文を加筆しました。
*地の文を修正しました(1/11)


戦いによる負の遺産

-TATAKAINIYORUFUNOISAN-

 

ベルディア討伐の翌日。

私はギルドにてダクネスとの戦いを強いられていた。

 

「今日ぐらいはいいじゃないですか!みんなと一緒に祝杯あげたいんです!」

「いいや、めぐみんに酒はまだ早い。せめてカズマと同じ十六歳になってからだ」

 

こういう時には私もお酒飲みたくなるのに、ダクネスは過保護過ぎる。

 

「アクア!アクア!アクアもみんなでお酒飲みたいですよね」

「そうねー。みんなで飲んだ方が楽しいし、お酒も美味しいから、めぐみんも一緒に飲みましょう」

 

さすがアクア。

お酒の事をよく分かってる。

 

「ほら、アクアもこう言ってますし、これで二対一です!なので私は飲みますよ」

「ちょっと待て!多数決ならカズマの意見を聞いてからじゃないと不公平ではないか!」

 

どうしよう、カズマはどちらかと言うとダクネス側の人間だったけど、ここは賭けてみよう。

 

「・・・分かりました。でもカズマがオーケーしたら飲みますからね」

「おーけー?」

 

首を傾げるダクネス。

ついカズマの使っていたエイゴが出てしまった。

 

「えっと、了承したらって意味です」

「・・・まあ、そういう事ならば構わないが、カズマが許可しなかった時は、ちゃんと従ってもらうぞ」

「ええ、分かってますよ」

「おはよう。・・・どうしたんだ?険悪な感じだけど」

 

間が良いのか、悪いのか、カズマが来てしまった。

 

「待ってましたよカズマ!聞いてください、ダクネスが、私がお酒を飲むのは早い、なんてドケチな事を言うんです。カズマは、私の味方ですよね!」

「えっ!あ、うん」

 

急展開に付いてこれていないカズマに詰め寄って正解だった。

これで賛成多数で飲める。

 

「いや待てカズマ!話を聞けばお前は私の味方になる筈だ。あとケチとは何だ!そう言う事ではなくて、私はめぐみんの事を思って言っているのだぞ」

「話って・・・」

「カズマー、遅かったじゃない。ひくっ。ほらみんなこれ持って、乾杯よ」

 

カズマとダクネスの会話を遮り、完全に出来上がったアクアが戻ってきた。

その手には人数分のクリムゾンビアが握られていた。

 

「アクアもめぐみんに勧めるのはやめろ!ジュースでも乾杯はできるだろう」

「カズマ、ダクネスが何か言ってるけど、早く乾杯しましょう」

 

アクアはお酒が絡むと頼れる仲間になるという事がよく分かった。

 

「えっと、乾杯は良いけど。めぐみんはお酒大丈夫なのか?ダクネスが止める理由も分かるし、取り敢えずこっちの話だ」

 

嫌な予感がする。

でもこれを言えばカズマは許可してくれるはず。

 

「大丈夫ですよ。自分がどの位飲めるのか、しっかり分かってますから」

 

お酒関係で醜態を晒したのは、カズマと張り合って、際限なく飲んだ時だけだから問題ない。

 

「そっか、飲んだ事あるなら大丈夫だな。ダクネス悪いけど、そういう事だから」

「ああ、分かった」

 

ダクネスは不服そうにしていたが、諦めたようだ。

 

「それじゃあ、乾ぱ・・・」

「あのすいません、盛り上がってる所悪いのですが、報酬の話をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」

 

申し訳なさそうに受付嬢のルナが話し掛けてきた。

 

「そういう事なら、お願いします」

「ありがとうございます。それではまず、こちらがお二人の報酬となります」

 

ルナがそう言うと職員の二人が、私とダクネスに報酬を渡した。

 

「あれ、俺とアクアの分は?」

 

困惑顔のカズマ。

この後の驚く顔を早く見たい。

 

「アクアさんには、既にお渡ししております」

「なるほど」

 

アクアが出来上がっていた事から納得したようだ。

 

「それでですね。実はサトウさんのパーティーには、特別報酬が出ています」

「へえー・・・え!何で俺らだけが?」

 

カズマがこういう所で鈍感になるのは何故だろう?

 

「おいおい、MVPが何言ってんだ?お前らがあの幹部を倒したんだから、当然だろう!」

 

それを皮切りにして、ギルド内に賞賛の声が飛び回った。

カズマは目を潤ませていて、かわいい。

 

「えー。サトウカズマさんのパーティーには、魔王軍幹部ベルディア討伐の功績を称え、三億エリスの特別報酬が出ています」

「「「さっ!?」」」

 

その余りにも巨額な報酬にみんな絶句していた。

そしてその静寂を打ち破ったのは、ギルドの冒険者達だった。

 

「おいおい、三億ってなんだよ!奢れよカズマ!」

「カズマ様!奢って、奢って」

 

冒険者達の奢れコールにカズマは動じずに、真剣な面持ちで話を始めようとした。

 

「お前らよく聞けよ。めぐみんとは昨日話したけど、この報酬でまず家を買おう。でその後に残った金で家具なんかを揃える。それで良いな?」

「ええ、勿論よ。遂に私達の拠点が出来るのね。楽しみだわ」

「私達の家か、楽しそうでいいな」

「勿論、私は異論ありませんよ」

「よしじゃあこれで『あ、あの』」

 

私達が新たな拠点に思い馳せている中、ルナが申し訳なさそうに再び声をかけて来た。

何故だろう?

 

「あの、ですね。サトウさんこれを・・・」

 

ルナは言葉にする事なく、紙だけをカズマに渡した。

まさか、借金なんて事はないだろう。

 

「あ、はぃ・・・・・・・・・」

 

カズマの様子がおかしい。

それに気付いた冒険者達も静かになり、様子を見ていた。

カズマの持つ紙をアクアと一緒に覗くと、そこには二億九千万エリスの請求と書かれていた。

 

「・・・実は、アクアさんの出した水による洪水被害で、農家の方々から救済届けが出ていまして。・・・その、幹部を討伐されたと言う事なので、救済費用を全額とは言わないから、・・・支払ってくれ・・・と・・・・・・」

 

空気が重くなり、声がだんだんと小さくなっていた。

こんな形で報酬が減るなんて、普通こう言う事は領主のする事なのに。

 

「・・・魔王軍幹部倒して、手取り千万エリス。はあ、俺の運が良いってのは、なんなんだよ!」

「まあ、その何だ。カズマ、あれだ、赤字にならなかっただけましではないか」

 

ダクネスのナイスフォローでカズマの表情は少し晴れてきた。

 

「カズマ。また、頑張りましょう。千万エリスあれば、取り敢えずこの冬は越せますから、春になったらクエストをたくさん受けて、お金を貯めましょう」

「そうよ、冬さえ越せれば、こっちのもんよ」

 

一番悔しそうにしていたアクアも吹っ切れたようで良かった。

 

「そうだな、春になったら、みんなでまた一から始めるか!」

 

そして私達は合図を取り、

 

「頑張るぞー」

「「「「おーーー!」」」」

 

ギルドのみんなから応援されながら、円陣を組んだ後、宴会を再開した。

そういえば、バニル討伐の賞金はまだなのだろうか?




前回言った通り、次は明日投稿します。

すみません。結局出来なかったので来週に回します。

カズマさんの誕生日話は誰視点が良いかについて

  • カズマ視点(天界)
  • カズマ視点(討伐後)
  • ヒロインズの誰か視点(天界)
  • ヒロインズの誰か視点(討伐後)

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