この素晴らしい世界に●●を!めぐみんのターン   作:めむみん

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今日一話目です。


ベルディア討伐祭 めぐみんver

-BERUDEXIATOUBATUSAI MEGUMINver-

 

ギルド内はベルディア討伐記念の宴会で賑わっている。

やはり斯ういう時に飲むお酒の味はいつもと違う。

報酬減額のショックが大きいのか、カズマは積極的な参加はしていない。

私は借金が出なかったから、それだけで満足している。

とても悩んでるようだったけど、踏ん切りが付いたようで良かった。

 

「カズマ!いつものアレやってくれ」

「おう!任せとけ」

 

カズマに声をかけた戦士風の男はハンカチを持って、待っていた。

いつもの余興が出来るぐらいに回復したみたいで何よりだと思う。

 

「「「スッティール!スッティール!」」」

「いくぞ!『スティール』!」

 

あれ、カズマが失敗するなんて珍しい。

 

「おい、カズマ取れてねえぞ!」

 

・・・何だろう、このスースーする感じ。

凄い既視感を覚える。

 

「あれ? 手にはちゃんと布地の物があるんだが・・・あっ・・・・・・」

 

確認するとやはり私のパンツが盗られていた。

カズマは他の人に気付かれないように隠してくれているみたいだ。

カズマに盗られるのは問題ないけど、他の人に見られるのだけは絶対に嫌だ。

 

「・・・カズマ、それはあげるので、何も言わずにしまってください」

 

気難しい顔をしているので断るつもりだろう。

 

「いや、それは・・・分かった」

 

目力で何とか伝わったみたいでよかった。

でもカズマが怯えている気がするのは、気の所為だろうか?

 

「どうしたんだ?カズマ何盗ったんだよ?」

 

カズマの様子から、ある程度理解出来ている冒険者に質問されるカズマ。

如何、言うべきか悩んでるようなので、ここは私がフォローしよう。

 

「ハンカチですよ。今日買ったばかりのだったので、ちょっとあれでしたけど、さっきも言いましたが、それはカズマにプレゼントします」

 

安心出来たみたいだ。

 

「買ったばかりなら、返した方がいいんじゃないか?」

 

さすがカズマ、ここで小芝居をするとは。

 

「魔王軍幹部討伐の記念に受け取ってください」

 

もう、このままあげてもいいかもしれない。

 

「そう言う事なら、ありがとう」

「ふふっ、どういたしまして」

 

カズマは顔を赤らめ急に視線を逸らした。

そろそろ意識してくれていると言う事なのだろうか?

 

「何だ。そういう事か。なんかヤバイ物でも盗ったのかと思ったぜ」

 

さっきの人は納得がいったみたいだった。

実際は盗られているけど。

 

「悪いけど、今日はもうやめとくから、俺はちょっとゆっくりするな」

「ああ、分かったよ。ゆっくり休め」

「ありがとな」

 

その後カズマは宴会の中心から離れ、私の所にやってきた。

 

「めぐみん。本当にごめん。これ返・・・」

「いいですよ、返さなくて。さっきも言いましたけど、それは記念に取っておいてください」

 

焦ってるカズマはいつ見ても面白い。

 

「何言ってんだよ?それはさすがに」

「ぷっ、冗談ですよ。冗談。真に受け過ぎですよカズマ」

 

まあ、本当にあげてもいいのだけど。

 

「やっぱ、気が変わった。これは貰う事にする」

 

おお、珍しく頑張るカズマ。

 

「そうですか。別にカズマが欲しいならあげますよ」

「なっ・・・」

 

顔真っ赤になってるカズマが可愛い。

にやけ顔になってないか心配だ。

 

「そうか。ならこれは貰うからな。今から文句言うのはなしだぞ」

 

したり顔のカズマだけど、元から渡す気の私が動じる事は無い。

 

「文句なんて言いませんよ。ただアクアやダクネスにバレないようにさえしてくれれば、私は何も言いませんから」

 

凄く焦っているカズマ。

諦めたような感じなので、もう終わりのようだ。

もう少し続けたかったな。

 

「降参だ。はいこれ、もう俺の負けだから、からかうのはやめてくれ」

「ありがとうございます。そうですか。もう少し遊びたかったのですが、残念です」

 

私の言葉を聞き、悔しそうにしながら、カズマは人混みの中に消えて行った。

 

 

 

カズマが居なくなってから、一人でゆっくり休んでいた。

するとそこに警察官がやってきた。

 

「すいません。アクアさんのお仲間ですか?」

「ええ、そうですけど・・・アクアが何かしたんですか?」

 

まさか損害賠償で借金を背負うなんて事にならないだろうか?

 

「こちらのギルドの物品を盗んだ疑いが掛かってまして、現在窃盗の現行犯で身柄を拘束しております」

 

多分、あの本当にタネも仕掛けもない芸をしたのだろう。

 

「本人は否定を続けており、魔道具を通しても大丈夫と言っていたので、その確認が済み次第、釈放にはなるのですが、手続き上、身柄引き受け人が居ないといけないので、御手数ですが署まで来て貰えませんか?」

「分かりました。こちらこそ、私の仲間が迷惑をおかけしてすいません」

「いえいえ、ではこちらに」

 

 

 

そして署に到着後、数分経ち、無事アクアは釈放された。

アクアはドヤ顔で取り調べ室から出てきた。

物を消したのは事実だから、ドヤ顔は違う気がする。

今はギルドに戻って宴会に復帰しようとしているところだ。

 

「あ、めぐみん。どこに行ってたのだ?声をかけようと席に向かったら居なくなっていたから、探していたんだが、・・・アクアの身元保証人になっていたのか?」

「まあ、そうですね」

 

そのアクアはもう普通に遊びに戻っているけど。

 

「ご苦労様。疲れたのではないか?何か飲むか?」

「いえ、喉は乾いていないのでいいです」

 

それより早くカズマの所に行こう。

バニル討伐の賞金の話をすれば、カズマの気分も良くなるだろうし。

 

「そうか、めぐみん。少しいい・・・か?あれ、めぐみんはどこに行ったんだ?」

 

この時、ダクネスが私に用があったと知ったのは、次の日だった。

 

 

 

やっとカズマを見つけられた。

 

「カズ・・・ま」

 

声を掛けようとしたが出来なかった。

 

「カズマさん、今お一人ですか?」

「そうだけ、ど・・・」

 

そこには五人の女性冒険者がいた。

まさか、カズマの魅力に気付いてしまったとか。

 

「その、良ければなんですけど、私達、カズマさんにお聞きしたい事があるんです」

「いいですよ」

 

ああ、しかもカズマも嬉しそうな感じだ。

 

「ありがとうございます。あの私達に敬語はいいので、仲間の方と話すような感じで大丈夫です」

「そうか、で話って何だ?」

 

仲間と話すようにって、絶対にカズマを狙ってる発言だ。

カズマも照れてるし。

 

「それは、その・・・」

 

さっきまで話していた子が急に口どもった。

そして、その子は他の子達と話し合い、決心し口を開いた。

よし、告白した瞬間にカズマを押し倒・・・

 

「如何すれば、カズマさんみたいに、魔王軍幹部と対峙しても、物怖じせずにいられる勇気を身に付けられるんですか?」

 

あれっ?告白するんじゃあ?

 

「実は私達、クエストのモンスター討伐が怖くて出来ないんです。そこでカズマさんに対処法を教えて欲しいんです」

 

・・・まあ、取り敢えず、何も無くてよかった。

 

「えっと・・・参考にはならないと思うけど、それでもいいか?」

「はい!お願いします!」

 

その子達の目は輝いていていた。

余程困ってるのだろう。

 

「頼りになる仲間がいたからだと思う」

「信頼関係が大事って事ですか?」

 

頼りになる仲間。

誰の事でしょう?

 

「うーん、合ってもいるけどちょっと違うかな、なんだろう・・・こう、この子の自信満々な所見てたら大丈夫だって思うんだよな」

 

うーん、思い浮かばない。

カズマの支えになれるなんて羨ましい。

 

「仲間の表情を見ればいいんですね?」

「まあ、俺の場合はだから、その特殊な境遇だと思うし、本当に参考にならなくてごめん」

 

後で、誰の事か聞いてみよう。

何となくゆんゆんな気がする。

 

「いえいえ、そんな事は無いですよ。とても参考になりました。お話をお聞かせ頂きありがとうございました!」

「「「「ありがとうございました!」」」」

 

カズマはとても楽しそうだった。

 

「どういたしまして。また、何か有ったらいつでも相談に乗るから、その時は頼ってくれ。後敬語は要らないから」

 

・・・何だろう。

今になって、急に嫉妬的なモノがふつふつと湧いてきた。

 

「「「「「ありがとうございます!さようなら」」」」」

 

手を振り合って別れていく、女性冒険者達とカズマ。

いつもあんなには楽しそうにしていないのに。

 

「またな」

 

別れの言葉を口にしたカズマは、私の視線に気付いたのか、ゆっくりと振り返った。

 

「カズマ、やっと終わりましたか。で何の話をしてたんですか?」

 

聞いていたので知っているけど、一応聴いてみる。

 

「えーと、あの子達がクエストでモンスターが怖くて戦えないらしくて。その対処法を教えて欲しいって事で、俺の場合の話をしてたんだよ」

「そうですか。頼ってくれる可愛い後輩が出来て良かったですね」

 

駄目だ。どうしてもきつく当たってしまう。

ここはあまり喋らないようにしよう。

 

「まあ、初めて後輩が出来たって、実感出来たから良かったよ・・・」

 

確かに後輩が出来るのは嬉しい。

 

「なあ、もしかして、まだあの事怒ってるのか?」

「別に怒ってなんかいませんよ。あれは事故みたいなモノですから気にしてません」

 

嘘はついてない。

ただ、自分の嫉妬心を抑えられてないだけだ。

何か、怒られる心当たりでもあるのかカズマが口を開いた。

 

「それじゃあ、前にバニルの言ってた事か?」

「ですから私は怒ってませんよ!何も。その事も全然気にしてませんから」

 

怒っては居ないけど、傍から見れば、怒ってるようにしか見えない気が自分でもする。

・・・カズマの表情がどんどん曇ってきた。

 

「何、ヘコんでるんですか?元気出してくださいよ」

「へコんでなんかねえよ」

「そうですか」

 

大丈夫なのだろうか?

 

「「・・・」」

 

どうすれば!

・・・このカズマの顔は何か変な事を考えている顔だ。

 

「カズマ、今私を見て何を思ったのか、正直に話したら、許してあげます」

 

正直に言ってもしばくけど。

 

「めぐみんは可愛いなって」

 

・・・え?今可愛いって。

しかも、適当な言い訳なんだろうけど、無意識に出たみたいだから、これは本心!

 

「そ、そうですか。ならいいです。正直に話してくれましたし」

 

ど、どうしよう。

こんな形で可愛いって言われるのは、恥ずかしい。

取り敢えず、話題を変えよう。

 

「その、カズマ。ところでその手元に有るのはなんですか?」

「ゆんゆんに書く手紙だ。めぐみんも何か書くか?」

 

ゆんゆんに手紙。

特に伝えたい事もないから書く必要はないだろう。

 

「私はいいです。カズマが適当に書くのが、一番良いと思います」

 

?カズマが何かに悩んでいるみたいだけど、何を悩んでるんだろう。

 

「分かった。じゃあ適当に書いて出しとくわ」

「お願いします。では私はアクアの所に行ってきますね」

 

私が居ても邪魔なだけだろう。

話はまた今度にしよう。

 

「ああ、またな」

 

私はカズマに手を振りながら、アクアの居る中心部に向かった。




二話目はカズマverです。

カズマさんの誕生日話は誰視点が良いかについて

  • カズマ視点(天界)
  • カズマ視点(討伐後)
  • ヒロインズの誰か視点(天界)
  • ヒロインズの誰か視点(討伐後)

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