この素晴らしい世界に●●を!めぐみんのターン   作:めむみん

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今日の二話目です。


ベルディア討伐祭 カズマver

-BERUDEXIATOUBATUSAI KAZUMAver-

 

ギルド内はベルディア討伐記念の宴会で賑わっているが。報酬減額のショックは大きい。

でもダクネスも言ってた通り、請求額が三億を越えなくて良かった。

こんな不安定な生活で、借金なんて背負わされたら、返済出来る自信が無い。

そう言えば、この世界の利息とかはどうなってるんだろう?

まず銀行って有るのか?

・・・まあいいや。

取り敢えず今を楽しもう。

 

「カズマ!いつものアレやってくれ」

「おう!任せとけ」

 

声をかけてきた戦士風の男はハンカチを持っていた。

窃盗スキルの余興が、宴会では何故か好まれている。

 

「「「スッティール!スッティール!」」」

「いくぞ!『スティール』!」

 

決まった。

やっぱ、これ楽しいな。

 

「おい、カズマ取れてねえぞ!」

「あれ? 手にはちゃんと布地の物があるんだが・・・あっ・・・・・・」

 

俺の手の中には黒いお宝(パンツ)があった。

周りには分からない様にしながら、視線を奥にやると、怒りからなのか、恥ずかしさからかは分からないが、顔を真っ赤にさせためぐみんが居た。

 

「・・・カズマ、それはあげるので、何も言わずにしまってください」

 

あげるって、本当にいいのか?

でもやっぱり駄目だよな。

 

「いや、それは・・・分かった」

 

怖い。

何がって言うと、めぐみんの目がいつも以上に紅く輝いてて、禍々しいモノになってる。

多分後で、返せって事なんだろうけど、本当に怖い。

 

「どうしたんだ?カズマ何盗ったんだよ?」

 

めぐみんの様子から、ある程度理解出来ている冒険者に聞かれた。

でもどう言えばいいんだ?

正直には話せないし、かと言ってどうはぐらかして良いのか思いつかない。

 

「ハンカチですよ。今日買ったばかりのだったので、ちょっとあれでしたけど、さっきも言いましたが、それはカズマにプレゼントします」

 

流石めぐみんだな。

頼りになる。

 

「買ったばかりなら、返した方がいいんじゃないか?」

 

不自然じゃないように、少しだけ小芝居しておこう。

 

「魔王軍幹部討伐の記念に受け取ってください」

「そう言う事なら、ありがとう」

「ふふっ、どういたしまして」

 

めぐみんは満面の笑みでそう答えた。

さっきの怖さは何だったんだってぐらいに凄く可愛い。

 

「何だそういう事か。何かヤバイ物でも盗ったのかと思ったぜ」

 

さっきの冒険者は納得がいったみたいだ。

まあ、実際は盗ってるけど。

 

「悪いけど、今日はもうやめとくから、俺はちょっとゆっくりするな」

「嗚呼、分かったよ。ゆっくり休め」

「ありがとな」

 

そして俺は宴会の中心から離れ、めぐみんの居る方へと向かった。

 

「めぐみん。本当にごめん。これ返・・・」

「いいですよ、返さなくて。さっきも言いましたけど、それは記念に取っておいてください」

 

今なんて言った?

返さなくていい?

返さくてもいいってどういう事だ?

 

「何言ってんだよ?それはさすがに」

「ぷっ、冗談ですよ。冗談。真に受け過ぎですよカズマ」

 

そう言う事かよ。

クソっ、完全に手の平で転がされてる。

こうなったら。

 

「やっぱ、気が変わった。これは貰う事にする」

 

どうだめぐみん。

流石に困るだろう。

 

「そうですか。別にカズマが欲しいならあげますよ」

「なっ・・・」

 

お落ち着け、佐藤和真。

これもめぐみんの策。

これに乗ったら負けだ。

 

「そうか。なら本当にこれ貰うからな。今から文句言うのは無しだぞ」

 

流石にめぐみんも焦るだろう。

 

「文句なんて言いませんよ。ただアクアやダクネスにバレない様にさえしてくれれば、私は何も言いませんから」

 

なんなの?

本当に貰っていいの?

あー、分かった。

いや、これはからかわれてるだけだな。

めぐみんがさっきから、笑いを堪えてるのが分かる。

 

「降参だ。はいこれ、もう俺の負けだから、からかうのはやめてくれ」

「ありがとうございます。そうですか。もう少し遊びたかったのですが、残念です」

 

やっぱ、からかわれてただけか。

ほっとしたけど、それと同時になんか悲しい。

・・・恥ずかしいし、アクアかダクネスの所に行こう。

 

 

 

「ダクネスこんな所にいたのか。・・・どうしたんだ?顔がやつれてるぞ」

「カズマか、それがアクアの宴会芸に付き合わされていてな」

 

なるほど。

面倒事に付き合わされて疲れてたのか。

 

「それでアクアが物を消す芸をやった際に、仕掛けは分からんが、本当に物を消してしまってな。その後処理が今終わって、一息ついていた所だ」

 

あいつは如何して直ぐに問題を起こすんだ。

 

「・・・そのアクアは何処に行ったんだ?」

「アクアならギルドの職員に、警察署へ連れていかれて、今は聴取を受けている頃だろう」

「警察って大丈夫なのか?」

 

これでアクアが懲役とかになったら困る。

・・・困るか?

 

「ただ嘘をついていないかの確認だから問題ないと思うぞ」

「嘘の確認って何だ?」

 

警察署で嘘かどうか分かれば、痴漢で冤罪になってる人がどれだけ助かる事だろうか。

 

「それは、アクアが消した物が何処に行ったのかは分からないと言っていてな。供述の真偽を確かめているのだ」

「警察署で確認ってどうやるんだ?そこがイマイチ理解出来ないんだが」

「警察署には、嘘をつくと音が鳴る魔道具が有ってな。それで確認をするのだ」

 

さすが異世界。

こういう技術は発達している様だ。

 

「所でカズマ、私に何か用が有ったのではないか?」

 

まあ普通そう思うよな。

 

「特に用が有った訳じゃなくて、ただダクネスとアクアが何処に居るか探してだけだ」

 

めぐみんと気まずくなって、逃げて来たとは言えない。

 

「そうか、なら良い。そうだカズマ、めぐみんが何処に居るか知っているか?話したい事があるのだが」

「めぐみんならあっちで食べてるぞ」

 

にしてもめぐみんって結構食べてるのに、あの体型を維持してるの凄いよな。

大した運動もしてないのに。 いや、爆裂魔法にエネルギー持ってかれてるのか?

 

「嗚呼、分かった。ありがとう。また後で」

「おう、後でな」

 

ダクネスは行ってしまったし、暇だな。

何をしようか。

と悩んでいると後ろから声をかけられた。

 

「あ、あの、サトウカズマさんですよね」

「そうですけど・・・」

 

好青年みたいな声だと思ったら、ムキムキの架台(がたい)のいい人がいた。

本人は意識してないだろうけど威圧感が凄い。

 

「では、こちらをお受け取りください。この書類に署名をお願いします」

 

また請求書とかじゃないよな?

・・・なんだこれ?手紙か?

宛名は、書いてないな。

 

「あの、これは誰が送ったのか分からないんですか?」

「それはこちらの書類に書かれている通りです」

 

そこにはゆんゆんと書かれていた。

 

「あ、分かりました。えっと、サインですね。どうぞ」

「?ありがとうございました」

 

まさかあの人が配達の人だとは思わなかった。

最後に首を傾げてたけど、なんでだ?

まあいいか。

今はこの手紙を読もう。

 

「・・・何も書かれてないって何だよ。なんかマークはついてるけど」

 

これはあれか?火あぶりにすれば見えるとか、そう言う類のやつか?

よし、試しに、

 

『ティンダー』

 

・・・しかし何も起こらなかった。

これ何なんだよ。

もしかして、紅魔族しか見えないのか?

でもめぐみんには見せるなって書類に書かれてたしな。

 

「くそっ、どうすればいぃ?」

 

・・・何かまだ入ってる。

文字がちゃんと書いてある紙が入ってる。

 

「カズマさんへ、皆さんお元気ですか。・・・こっちだったのか」

 

 

カズマさんへ

皆さんお元気ですか。私は元気です。私は今、王都近くの街で、お話した通り、修行をしています。この街で幸運にも、優しい女性冒険者の方と共にクエストを受けられているので、順調にレベルが上がり、上級魔法を覚えられるまで、後少しとなりました。なので予定より早く帰れると思います。

もし予定よりも早く討伐隊の方達が来られたら、その時は直ぐにアクセルに戻ります。

後、めぐみんが何か迷惑をおかけしていませんか?そういった事があれば、是非私を頼ってください。

 

追伸

同封している紙は、私の方で準備した返信用の紙ですので、送料は必要ありません。

 

 

ゆんゆんは本当にいい子だな。

この紙はそういう事だったのか。

確かにこれはめぐみんに見せられないな。

元気そうだし、それに優しい人にも出会ってるみたいだし、安心だ。

まあ始めから、ゆんゆんの事だから大した心配はしていなかった。詐欺とかに遭わないかは、結構心配してたけど。

取り敢えず、ゆんゆんが準備してくれた紙に、もう帰って来ても大丈夫って書いて送ろう。

そう考えている時、また声をかけられた。

今度は女性の声だ。

 

「カズマさん、今お一人ですか?」

「そうだけ、ど・・・」

 

そこには一人だけではなく、五人の女性冒険者がいた。

どうしよう。

女の人とどうやって話せばいいのか分からない。

こんな時に長年の引き籠もりの弊害が。

 

「その、良ければなんですけど、私達、カズマさんにお聞きしたい事があるんです」

「良いですよ」

 

ここで断る男は居ないな。

でも話って何だ?

まさか俺にもモテ期が来たのか?

 

「ありがとうございます。あの私達に敬語はいいので、仲間の方と話すような感じで大丈夫です」

「そうか、で話って何だ?」

 

やっぱりモテ期なのか?

仲のいい感じで話してくれって事だし。

 

「それは、その・・・」

 

急に口どもり、他のみんなと顔を見合わせ始める代表格的な子。

おいおい、本当に来てるんじゃないかこれ。

そして、その子は他の子達と話し合い、決心し口を開いた。

やばい、めっちゃくちゃどきどきするんだが。

 

「どうすれば、カズマさんみたいに、魔王軍幹部と対峙しても物怖じせずにいられる勇気を身に付けられるんですか?」

 

・・・いや、まだこれは話の導入ってだけで、希望はある。

 

「実は私達、クエストのモンスター討伐が怖くて出来ないんです。そこでカズマさんに対処法を教えて欲しいんです」

 

・・・うん。

薄々気付いてたけどな。

でも対処法とか言われても分からないんだけど。

めぐみんが居たから怖くなかったってだけだし。

 

「えっと・・・参考にはならないと思うけど、それでもいいか?」

「はい!お願いします!」

 

その子達の目は輝いていていた。 よっぽど困っていたらしい。

 

「頼りになる仲間がいたからだと思う」

「信頼関係が大事って事ですか?」

 

関係を築く事も出来ない状態だからか、不安そうになっている。

 

「うーん、合ってもいるけどちょっと違うかな、なんだろう・・・こう、この子の自信満々な所見てたら大丈夫だって思うんだよな」

 

正直にめぐみんの占いの事を言っても良いだろうけど、この子達の為にならないしな。

 

「仲間の表情を見ればいいんですね?」

「まあ、俺の場合はだから、その特殊な境遇だと思うし、本当に参考にならなくてごめん」

 

多分、めぐみんが居なかったら、俺は何も出来なかっただろうし。

・・・いや待てよ。

めぐみんが居なければ、まずあのデュラハンは来なかったんじゃ。

 

「いえいえ、そんな事は無いですよ。とても参考になりました。お話をお聞かせ頂きありがとうございました!」

「「「「ありがとうございました!」」」」

 

何か心地いいな。

これが後輩ができる喜びか、いいな。

 

「どういたしまして。また、何か有ったらいつでも相談に乗るから、その時は頼ってくれ。後敬語は要らないから」

 

最後にちゃんと先輩っぽい事も言えたし完璧だな。

 

「「「「「ありがとうございます!さようなら」」」」」

 

みんな手を振りながら帰って行った。

やばい、泣きそう。

 

「またな」

 

今日はいい日だな。

報酬が減ったくらいどうって事ないな。

・・・さっきから後方より凄い殺気がするけど、気の所為だよな?

そう思い、振り返ってみると。

 

「カズマ、やっと終わりましたか。で何の話をしてたんですか?」

 

めぐみんが居た。

・・・やっぱり気の所為か?

特にめぐみんの目が紅くなってる事もないし。

 

「えーと、あの子達がクエストでモンスターが怖くて戦えないから、その対処法を教えて欲しいって事で、俺の場合の話をしてたんだよ」

「そうですか。頼ってくれる可愛い後輩が出来て良かったですね」

 

あれ、やっぱ、めぐみん怒ってるのか?

顔は笑ってるけど、目が笑ってない様に見える。

 

「まあ、初めて後輩が出来たって実感出来たから良かったよ」

「・・・」

 

・・・如何して何も話さないんだ?

あっ、あの時のパンツの事で、まだ怒ってるって事か。

 

「なあ、もしかして、まだあの事怒ってるのか?」

「別に怒ってなんかいませんよ。あれは事故みたいなモノですから気にしてません」

 

嘘はついてない。

でも機嫌が悪いのは、変わらない。

俺、なんかめぐみんにしたかな?

・・・夜の事しか思いつかない。

 

「それじゃあ、前にバニルの言ってた事か?」

「ですから私は怒ってませんよ!何も。その事も全然気にしてませんから」

 

いやいや、これは絶対怒ってるって。

怒ってる事が違ったとしても。

何だ?何に対して怒ってるのか、分からない。

てか俺、めぐみんから男として、見られてないなこれ。

 

「何へコんでるんですか?元気出してくださいよ」

「へコんでなんかねえよ」

「そうですか」

「「・・・」」

 

どうすればいいんだよ!

めちゃくちゃ気不味いし、でもめぐみんも離れようとしないし。

ラブコメ的展開ぽいけど、めぐみんは俺の事、兄ぐらいにしか思ってないだろう。

別にめぐみんとそう言う関係になりたいとかではない。

幾ら可愛いとは言え、めぐみんはロリッ娘だからな。

 

「カズマ、今私を見て何を思ったのか、正直に話したら、許してあげます」

 

こいつは毎回どうやって俺の心読んでんだ。

 

「めぐみんは可愛いなって」

 

って俺は何言ってんだ!

もっと他にいい言い訳有ったはずだ。

こんなの嘘ってバレバレだろ。 いや、ある意味嘘じゃないか。

 

「そ、そうですか。なら良いです。正直に話してくれましたし」

 

バレなかった。

そう、バレなかったけど、受け取られたら、受け取られたで、めちゃくちゃ恥ずかしい。

さっきからめぐみんが恥ずかしがりながら、ちらちら此方を見てくる。

 

「その、カズマ。所でその手元に有るのはなんですか?」

「ゆんゆんに書く手紙だ。めぐみんも何か書くか?」

 

よしこのまま、いつも通りの雰囲気に持ち込めば解決だ。

 

「私はいいです。カズマが適当に書くのが、一番良いと思います」

 

適当か。

この場合、何方の意味なんだ?

ゆんゆんに適切な手紙書くのが一番って言ってるのか、ゆんゆんには雑な手紙でも良いって事なのか。

めぐみん的には後者な気がするけど、前者だと捉えて書こう。

 

「分かった。じゃあ適当に書いて出しとくわ」

「お願いします。では私はアクアの所に行ってきますね」

「ああ、またな」

 

アクア?そう言えば、アイツ事情聴取されてなかったか?

・・・普通にもう戻って、宴会芸披露してるな。

異世界って凄いな、冤罪が起こらないし。

・・・でも今回はある意味、というか普通にアクアが悪い気がするけど。

 

この後は特に何か起こるでもなく、宴会は夜明けまで続いた。




やっと二話投稿出来ました。
これで来週から通常運行です。

カズマさんの誕生日話は誰視点が良いかについて

  • カズマ視点(天界)
  • カズマ視点(討伐後)
  • ヒロインズの誰か視点(天界)
  • ヒロインズの誰か視点(討伐後)

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