という事で特別投稿です。
テスト前日ですが創ってしまいました。
一応シリーズなので続きからになります。
-SETUNAISURETIGAI-
ウォルバクさんとの再開を果たしてから数週間経った。
前の世界なら今頃、カズマが裁判にかけられている頃だろう。
えっ、デストロイヤーはどうしたって?
それはまだ来ていない。
情報によると数ヶ月後に針路調査のクエストが出るらしい。
何があったのかは分からないけど、面倒事が起こらないのはいい事だ。
それよりも私は今、すべき事が有る。
それは、カズマとゆんゆんの尾行だ。
最近二人でこそこそ何かをしているのは分かっていたので調べているのだが。
「カズマさん、あの店はどうですか?」
「うーん、そうだな。あの店にしよう」
あのゆんゆんのにやけ顔、ムカつく。
あー!如何して私じゃなくてゆんゆんと一緒にデートなんか。
確かに私はカズマにとやかく言える立場では無い。
でも、これはあんまりだ。
折角過去にやって来たのに、カズマの初デートがゆんゆんに奪われるなんて。
「あのー、君。ここで何してるんだ?ちょっと話をって待ちなさい!」
こんな所で警察に捕まる訳にはいかない。
二人に尾行がバレてしまう。
取り敢えず、変装を解いて堂々と歩いておこう。
「くっ、何処に行った?あ、そこの君。此方に走って来る不審な男を見なかったか?」
男?この私が男だと。
この喧嘩、買うしかない。
「おい!誰が男なのか聞こうじゃないか!」
「えっ!ちょっと如何した。まさかさっき逃げたのは君か、痛い痛っ!何をするんだ!?」
まずは身動きを取れなくして、尋問する。
「何処をどう見て、男と言ったのか聞いてるんですよ!」
「それは、見た目と服装からで」
形成逆転。
あとは、この警官と少しお話するだけだ。
「こらー!そこの少年何をしている!今すぐ取り押さえぐはっ!」
「どいつもこいつも節穴ですか!警察にはちゃんとした目の人はいないんですか!」
「先輩大丈夫ですか。君!こんな事をして、ただで済むと思っているのか!」
ただで済むとは思っていない。
だがしかし、捕まるつもりは無い!
「人の事を男呼ばわりした罰です。紅魔族は売られた喧嘩は買うんです!」
「くっ、先輩の仇!」
先輩と呼ばれる警官と一緒に居た新人警官が突っ込んで来た。
「そこまで!」
「えっ!課長!?如何して此処に?」
止めに入ったのは顔馴染みの課長だった。
何故顔馴染みかって?
それはカズマやアクアの引き取りで会ってたからであって、断じて私が捕まっていたからではない。
まあ、此方では会った事ないけど。
「何をしているのだ一体。大人五人がかりでこれでどうする!そこの君も一旦落ち着こう。取り敢えず、署まで来てもらおうか」
流石にこの課長相手に逃走する訳にもいかず、
「分かりました」
そのまま私は連行された。
「課長正気ですか!あの子を釈放すると言うのは」
そう、私はお咎め無しで釈放される事となった。
「状況が状況だ。仕方ないだろう」
「しかし、負傷したあいつらはどうすれば」
悔しそうに私に少年だとか言った警官が嘆いた。
「負傷手当はしっかり私が出す。再発防止に務めろと伝えておけ」
「分かりました。そう伝えておきます」
歯を食いしばって、その男は去って行った。
「めぐみんさん、頑張ってください。胸が大きいだけの女なんかに負けちゃいけませんよ!」
「ええ、課長。カズマは絶対に私のものにします!」
そう、何故私が釈放される事になったかと言うと。
課長も私と同じ悩みを抱えていたからだ。
私が経緯を話すとまずゆんゆんの容姿を聴いてきたからびっくりしたけど、直ぐに同志だと言う事が分かった。
後は、警察側の性別間違いに対して怒っていた事もあって、更に同情的になってくれた。
「それでは、また。いい知らせを待ってますよ」
こうして私は警察署を出た。
警察署を出て約三十分。
未だにあの二人が見つからない。
何処に行ったのだろう。
「ゆんゆん、このネックレスどうだ?」
なかなか見つからな、い・・・
カズマ発見!
「可愛いですね。私もこんなネックレス欲しいなあ」
ゆんゆんも発見!
って宝石店で二人一緒なんて。
まさか、本当に付き合ってるんじゃ。
「これ欲しいのか?じゃ、すいません。これください」
「えっ、良いんですか」
「遠慮しなくて良いって、貰ってくれ」
「ありがとうございます」
幸せそうなゆんゆん。
それを見て微笑むカズマ。
私はここで耐えられなくなり、逃げ帰った。
如何して。
確かにゆんゆんはカズマのタイプに近いけど。
私の何がいけなかったのだろう。
やっぱり胸も小さくて、年下でカズマのタイプの女性とかけ離れているから?
そんなのあんまりだ。
『今日の店は良かったな。明日もあの店にしよう』
『そうですね。一応予約とっておきましたし大丈夫ですよ』
丁度デートが終わって帰って来たのだろう。
明日のデートの話までして、楽しそうだ。
『ダクネスちょっといいか』
隣の部屋に用が有るみたいだ。
『カズマか、まあ中に入ってくれ』
その後は何も聞こえなくなった。
ここの宿の壁は厚いから盗み聞きが出来ない。
もしかすると、二人の事を知らないのは私だけなのかもしれない。
と嫌な考えをしている間に私は寝てしまった。
「カズマ?」
私が目を覚ますとカズマが目の前に居た。
「やっと起きたか。さあ、爆裂散歩行くぞ。今日はまだだろう?」
「そうですね。では準備するので、ちょっと待っててください」
本当はゆんゆんと一緒に居たいだろうに、私に付き合ってくれるカズマはやっぱり優しい。
「分かった。表で待ってるよ」
良かった。これで思う存分泣ける。
「ひくっ、カズマぁ、ゔぅ、ずぎですうぐっ」
この後、放った失恋のストレス発散の意を込めた爆裂魔法は、いつにも増して威力が高く、カズマから好評価を貰えた。
でも何点だったかは覚えていない。
そんな事どうでも良かったからだ。
カズマに心配されたが、大丈夫とだけ言って、後は何も話さなかった。
翌朝、起きるとゆんゆんは何処かに行き、カズマが何故か私の隣で寝ていた。
今回は私が寝ぼけてでは無い。
ちゃんとダブルの方で寝ているのだから。
あ、なるほど。
カズマはゆんゆんと添い寝しようとして、此方の布団に、
「めぐみん・・・だいじょう・・・・・・俺がま・・・」
えっ、今なんて。
「・・・」
それ以上寝言は続かなかった。
変な期待はするだけ無駄だと分かっていても、やっぱり期待してしまう。
結局、私はカズマが起きるまで動かなかった。
「ふー、めぐみんもう起きたかな、って、めぐみん!何で俺の布団に・・・あ、そう言えば自分でこっちに来たんだっけ」
「おはようございます。あの、如何して此方の布団に?」
答えは分かっているけど本当の事は言ってくれないだろう。
「えっと、めぐみんが
「如何してですか。如何して、私にそんなに優しくするんですか?ゆんゆんの事が好きなんでしょう?」
分からない、私には今のカズマの行動が理解出来ない。
「・・・はあ?何で俺がゆんゆんの事好きってなってるんだよ。てか最近よくギルドでめぐみんと付き合ってるんだろうって言われるし、どっちかって言うと俺が好きなのお前だろう?第三者の目、的に」
「でも、昨日楽しそうにデートしてたじゃないですか!」
いくら隠しても私は騙されない。この目で見たのだから。
「デートって、あれはただの買い物だぞ。ついでにアクセサリー店には行ったけど」
まだ、白を切るつもりらしい。しかし、これは言い訳出来ないだろう。
「ネックレスも買ってたじゃないですか!」
「いやいや、あれはだな・・・もう、分かった!黙って付いてきてくれ、そこでちゃんと話すから」
カズマも諦めた様だ。
多分この後付き合い始めたと伝えられるのだろう。
「やっと認めるんですね」
「はあ、早く準備して行くぞ」
その後お互いに話しかける事無く、昨日ゆんゆんと二人でカズマが入って行った喫茶店に着いた。
私が店に入ると破裂音が響いた。
「「「めぐみん、お誕生日おめでとう!」」」
「・・・へ?」
状況を呑み込めていない私にカズマは言った。
「おめでとうめぐみん。お前、俺とゆんゆんが下調べしてる所見て、デートだと思ったんだろ?昨日、帰ってからよそよそしかったから気になってたけど。勘違いして気を遣ってくれたんだな」
この感じだと、ネックレスは買い物に付き合って貰ったお礼か何かだったのかもしれない。
「そうですか。私の勘違いだったんですね。うぅ、みんなありがとうございます。今日は今までで一番の誕生日です」
涙が止まらない。
二つの意味で嬉し涙が止まってくれない。
「まだ泣くのは早いわよめぐみん、ほらプレゼントよ」
みんなが一つずつ用意してくれたみたいだ。
「ほんどうに、ありがどうございまず」
「おい、大丈夫か?一旦、休んだ方がいいのではないか?」
言われるがまま、私は席について。
涙が枯れるまで泣いた。
「その、見苦しい所を見せてすいませんでした」
「何を言ってるんだ。今日はめぐみんの誕生日なのだから、その様な事は気にするな。これは私からのプレゼントだ」
ダクネスがくれたのは鞄だった。
「この間、めぐみんがショウケースに入っているこの鞄を見ているのをたまたま見かけてな。どうだ気に入ったか?」
虎の子にお金を貯めて買おうか悩んで諦めた物だ。
「ありがとうございます。これずっと欲しかったんです」
「喜んで貰えて何よりだ」
「めぐみん、次は私からよ。はいこれ」
アクアからはラッピングされた物を渡された。
「あの、開けてもいいですか?」
「勿論よ」
中身は赤いチョーカーだった。
「めぐみんに似合いそうなチョーカーだったからこれにしたの。付けてみて」
「どうですか?」
「バッチリよ。私の目に狂いはなかったわ」
アクアの好評価に少し照れる。
「めぐみん、これは私からね」
ゆんゆんもラッピングされた物でアクアのよりも、少し小さめのサイズだ。
「開けますね。これは!ちょむすけではないですか?」
「ええ、そうよ。これ、実は私が作ったの」
「そうですか、流石自称私のライバルです」
褒めたのにゆんゆんは落ち込んでしまった。
「自称はやめてやれよ。まあ、それは置いといて俺からは二つだ。まずこれな」
カズマの持っているのも両方ラッピングされていて何かは分からない。
ただ、先に渡された物が長方形で長い物だと言う事は分かる。
「財布ですね。このデザインカッコイイです。カズマは見る目がありますね」
「そうか?あまり褒められても嬉しく、いや何でもない。それより、どうだそれ使いやすそうか?」
話を逸らさせれたが、今の私は機嫌が良いから見逃してあげよう。
「はい、いつもぎゅうぎゅうに詰めていたので、助かります」
「そうだよな。この間、寝る前に財布の整理してる所を見たんだけど、パンパンだったもんな」
まさか見られていたとは。
「じゃあ、もう一個の方な。これは偶々手に入っただけだから気にするなよ」
「折角準備して貰ったのですから、遠慮なく貰いますよ」
カズマは安心した様に、プレゼントを渡した。
その中身は指輪だった。
「あの、これは?」
「それは装着者の魔法威力が上がるって言うやつだ。しかも爆裂魔法なんかの最上級魔法限定で」
確かに凄い魔力を感じる。
「これ、高くなかったですか?」
「そんな事気にするなよ。これはめぐみんにぴったりのアイテムだからな」
幾らしたのかが、とても気になるけど、聞かないでおこう。
「二つもプレゼントありがとうございます。この指輪着けてもいいですか?」
「嗚呼、いいぞ」
カズマの了承を貰い、私はその指輪を左手の薬指に嵌めた。
「「「「えっ!」」」」
みんな驚いた様子だったけど気にする事はない。
「どうですか?似合ってますか?」
「ええっと、似合ってると思うぞ、何でその指に着けたんだ?」
聞いてくるとは思っていた。
「何となくここに着けるのが一番いいと思ったからです」
これは嘘だ。
本当は結婚指輪の場所だって事は知っている。
決して癖で何も考えずに着けた訳ではない。
「そうか。なら別にそれでいい」
カズマは赤面して喋らなくなってしまった。
するとゆんゆんが隣から出てきて。
「ねえ、意味分かって、ないよね。めぐみんが恋バナとかに興味ないのは知ってたけど、左手の薬指が婚約指輪を着ける場所って事も知らないなんて思わなかったわ」
ゆんゆんに常識がないみたいな事を言われると腹が立つ。
「何言ってるんですか?そんなの常識じゃないですか」
「そうよね。いくらめぐみんでもそれ位は知って・・・知ってるの?ねえ、知っててそこに着けたの?」
ゆんゆんの目が紅く輝いてきた。
「そうですよ。でもここに着けたのは一番この指輪が効力を発揮してくれる場所だからであって深い意味はないです。カズマ達にはゆんゆんのした勘違いをしているままでいて貰いますけど」
これの効果が上がるのは間違いない。
カズマの女性避けとして。
「そうなの?なら私は黙っておくね」
「助かります。えっとみんな今日は私の為にありがとうございます。これからもお願いしますね」
今までの感謝とこれからのちょっとした約束だ。
「こちらこそ、よろしくな。改めて誕生日おめでとう」
「まあ、私も迷惑をかけるだろうが一緒に頑張って行こう」
「めぐみん、私がいれば大丈夫よ。どんと任せなさい。これからもよろしくね」
「おめでとう。私をパーティーに誘ってくれてありがとう。私達いいコンビになれたかな?」
うっ、また涙が。
最近涙腺が緩くなってきて困る。
「みんな、任せましたよ?」
ダクネスがグラスを持ってきて、それを配った。
「めぐみん、乾杯だ。お前の好きな様にやるといい」
「分かりました。では、この素晴らしい誕生日に祝福を!」
「「「「かんぱーい!!」」」」
その後、無事にパーティー終わり、その頃にはこの店以外に開いている店は無くなっていた。
最後のしめが雑な気がしますが御容赦ください。
今週末の投稿は出来るか少し微妙なので、なければこの話が今週分と言う事でお願いします。
カズマさんの誕生日話は誰視点が良いかについて
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カズマ視点(天界)
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カズマ視点(討伐後)
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ヒロインズの誰か視点(天界)
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ヒロインズの誰か視点(討伐後)