シリアス展開なのでお気を付けください。
今回のpixiv更新の為にすずみや みつきさんhttps://www.pixiv.net/member.php?id=32023954がシリアスめぐみんをリメイクして頂きpixivの方も挿絵付きとなりました!!
リンクはこちらです!
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10728159
こちらではすずみや みつきさんの旧シリアスめぐみんの挿絵を使わせて頂いております!
-ITUKAMATA,-
エリスの誕生日会から約一週間経ったある日。
俺は世界線を司る女神ハルの元を訪れていた。
誕生日会の時にお互いに呼び捨てで話す程には仲が良くなったから、緊張しないで話せる数少ない相手になっていた。
「やっと来ましたねカズマ。エリスには昨日頼んでいたのに、何があったんですか?」
ハルの口調がもろめぐみんで、普通に聞いていると間違えないけど、声もちょっと似てるから不思議な気分になる。
この前なんて顔を見ずに話してたら、めぐみんと話してる気分になって、爆裂散歩にそろそろ行こうと言ってしまい、ハルに爆裂散歩って何ですか?物騒な事言わないでくださいと言われた。
でも、アクアやエリスに似てるって話をしても、何処が似てるのか分からないとか、めぐみんに飢えてるだけだろうと言われた。
アクアに関しては、そのままハルの事を好きになったら駄目よとまで言ってきた。
幾らなんでもそんな事はないと思ったけど、エリスも頷いていたから結構重症かもしれない。
抱き枕も完成して、ガス抜き出来てると思ってたんだけどな。
「カズマ聞いてますか?神器回収先への転移の際に、一時的に記憶への制限を掛ける事になるのですが、大丈夫なんですね?」
ハルが頬を膨らませて確認してきた。
「・・・へ?いやいやいや、聞いてなかったけど、記憶に制限って、頭がパーになるとかしないのか?」
確か俺の飲まさせられた記憶消去のポーションは、下手するとパーになるって聞いたしこれはやばいと思う。
「そんな言語習得の時みたいな事は起こりませんよ。これは今まで何度もやってますが失敗した事はありませんし、実験の段階でも百パーセントの成功率でしたから大丈夫です」
「そうなのか、なら安心だな。記憶に制限ってどんな感じなんだ?」
百パー保証は嬉しいな。
あの世界に連れてかれた時とは大違いだ。
「カズマがエリスのとこの世界で経験した記憶が任務に支障をきたす可能性があるので、その記憶を無くした状態で行って貰います。勿論、戻ってきたら記憶は元に戻りますよ」
「それは分かったけど、何でその記憶だけなんだ?」
あの世界での記憶がどう関わってくるんだろう。
「今回の任務は神器回収で、極力痕跡を残さないのが大前提。任務終了後はその世界のカズマが転生した時に問題が発生しない為に、カズマに関する記憶を関係した人達、全てから排除する事になります。故に、記憶の消去の際、記憶の置換が出来ない程に接触してしまっては困るからですよ」
「それならいつも通り、俺が誰とも関わらないようにすれば良いだけだろう?わざわざ記憶に制限掛けなくても」
俺ってそんなに信用ないのか?
あんなに仲良くしてたのに悲しい。
「じゃあ聞きますが、もし目の前でめぐみんさんが追い詰められてたらどうしますか?あなたじゃなければ助けられない状況で」
「そんなの助けるに決まっ、て、・・・そう言う事か」
「そう言う事です。カズマは仲間が困っていたら、黙って見て居られない人ですからね」
ハルはめぐみんみたいな事を言ってくすくす笑っていた。
中身めぐみんじゃないよな?
「・・・そう言えば、その転送方法って何回やってるんだ?」
なんでもいいから話を逸らさないと変に意識してしまう。
「えっと、確か・・・十回です。実験も合わせて」
「そっか十回もやってるなら大じょ・・・今なんて?十回って聞こえたんだが」
「はい、十回です。まあ、カズマの幸運があれば失敗はしないでしょう」
確認しといて良かった。
悪質商法もいい所だ。
「悪いけど俺は降りる」
「気持ちは分かりますが、カズマに拒否権はないですよ。これの意味が分かりますよね」
「えっとエリス様の署名?・・・貸出許可証?意味分からないんだけども」
なんで俺がエリスの所有物みたいになってるんだ?
「エリスがカズマの貸出を許可したので、今カズマは私の直属の部下と同等という事です」
「いや、そこは分かる。分かるけどもなんで俺が物みたいになってんの?それにエリス様がこんなの俺に確認もせず了承する筈がないって!」
貸出とか言われても納得出来るわけがない。
あっ、誕生日の時のあれか!
「エリスに頼んだらひとつ返事でサインしましたよ。カズマさんに神器回収の手伝いさせるならどうぞと言って」
「それってエリス様に回収の話しかしてませんよね?」
「そうですけど。それがどうかしましたか?」
やっぱりそうか。
こんな危険だと分かっていて、エリスが承諾する訳が無い。
「いや、エリス様に裏切られてないと確認したかっただけだから気にしないでくれ」
ハルは意味が分かっていないようで、首を傾げている。
これで確信犯なら文句の一つも言えるのに、無自覚だから困る。
「行けばいいんだろ?行けば。早くテレポート頼む」
「えっと、自分から言っておいて何ですが、いいんですか?」
そんな申し訳なさそうな顔しないでくれ。
「いいから早くしてくれ、俺の気が変わらない内に早く」
「分かりました。最後に確認ですが、服装はどんなのがいいでしょうか?」
「そんなの何でもいいって、動きやすい服装なら」
服装なんてどうでもいいだろうに。
「では頑張ってくださいね。何かあればポケットに入ってる魔道具で連絡してください。無事に帰って来るの待ってますからね『転移』」
こうして俺は一時的にみんなの事を忘れて、平行世界へと飛ばされてしまった。
気付くと俺はアクセルの街に居た。
確かハルに転移させられたんだよな。
ちょっと記憶が飛んでるけど、まあ大丈夫だろう。
この街にはエリスと二人で何度か来てるしな。
後はいつも通り、人とは関わらずに神器を回収するだけだ。
今回は所有者も特定済みか。
楽な仕事だな。
所有者が紅魔族の子と言う事は、ギルドに行けば何とかなるな。
と思ってギルドに向かおうとしたその時、目の前に居た魔法使いらしき人が倒れた。
「・・・」
助ける訳にはいかないが、周りを見ても、みんな見て見ぬふりで、助ける気はないらしい。
どうすれば良いんだ?
この子を見捨てるのは簡単だけど、そんな事したらエリスに合わせる顔がない。
でも任務上助けられないし。
「だれ、か・・・たすけ・・・・・・」
あー!もう無理だ!
見てられない。
助けよう。
「おい、大丈夫か?取り敢えず、これ飲んどけ。ギルドまで連れてってやるよ」
何も食べ物を持ってなかった俺は持ってた水筒を渡して水分補給させた。
この子の目は紅かった。
でも紅魔族特有の輝きはほぼ失われていて、相当衰弱している事が伺える。
あと、超絶可愛い。
って何考えてんだ俺。
心頭滅却、心頭滅却、心頭滅却!
よし、この事はもう考えないようにしよう。
「あ、ありがとう、ござい、ます」
この子は目的の子ではなかったが、同じ紅魔族の子の事は知ってるだろうし、情報提供者として助けたって言い訳しよう。
紅魔族の女の子を保護した俺は今、とある事情によりギルドではなく宿屋に居る。
そのとある事情とは俺の服装だった。
やけに視線を集めているなと思ったら、ジャージ姿だった。
確かに動きやすい服なら何でもいいとは言ったけど、隠密活動しなきゃいけないのにこんな目立つ服装は駄目だろう。
という訳でハルに抗議したら、いつもの服が送られてきた。
このジャージはパジャマ代わりに使えと言われた。
紅魔の子に関しては嫌そうな返答が帰ってきたけど、好きなようにしていいと許可が降りた。
あの子には通信している間、この宿に来る途中に買った焼き鳥とかを食べて貰っている。
「悪いな。こっちの事情でギルドじゃなくてこんな所に連れて来ちゃって」
「いえ、助けて貰えただけでも十分なので気にしないでください。それよりも何かお礼をさせてください。私に出来る範囲なら何でもしますので」
「何でもって言ったな?」
俺がそう確認すると、紅魔の子は少し怯えながらも頷いた。
「なら俺の事は忘れて、この金持って今まで通り暮らしてくれ。これだけありゃ半年は持つだろ」
「ちょっと待ってください!それではお礼になってませんよ。しかもこんな大金受け取れません!」
なんていい子なんだろう。
大抵の人はこれで何処かに行ってくれるんだけどな。
「何でもするって言っただろ?さあ行った行った」
「いえ、私の出来る範囲とも言いました。ちゃんとお礼もしてないのに、私はお金を受け取って帰るなんて出来ません!」
流石、紅魔族って所か。
神器持ってる子の情報提供をお礼にしよう。
「しょうがねえな。じゃあ、ちょっとこれ見てくれ。この魔道具に見覚えないか?」
「えっと、・・・ないですけど、それがどうかしましたか?」
「そうか、知らないのか。ありがとう。君は俺にこの魔道具の事を知らないって情報をくれたから、これでお礼はして貰ったし、この金持って...」
「こんなのお礼じゃないですから!」
あれ?
怒らせちゃったどうしよう。
「如何してお礼をさせてくれないんですか!それに如何してそんなに優しくしてれるのに、自分の事は忘れろなんて言うんですか!」
「そうして貰えると俺が助かるからなんだけども」
嘘は言ってない、と言うか真剣にお金を持って、帰って貰いたい。
でも信じてくれないよなこの展開は。
「嘘つかないでください!私はお礼するまであなたに着いて行きますよ」
なんて強情なんだって言うのは違うよな。
単なる脅し文句的な意味だろうし。
はあ、これで断ったら多分、この子は出て行ったとして金は持っていかないだろうな。
「分かった悪かったって。お礼はそうだな君の知り合いの紹介でどうだ?」
「しますけどお礼だとは思いませんよ」
駄目か。
結構しっかりしてるなこの子。
「それじゃギルド行くか」
「はい」
ギルドに向かっている最中に自己紹介を済ませた。
この子の名前はめぐみんらしい。
紅魔族の名乗りを生で見るのは初めてだったけど何故か懐かしく思えた。
それで気付いたら、俺も同じ感じで名乗ってた。
そしたら凄く目を輝かせて、もう一回とせがまれたけど、恥ずかしかったからやめた。
後話し方がハルと似てると言うかその物。
「もう少し、待ってくださいね。そろそろ来ると思うのですが、・・・あっ、来ました。あの子です」
その指さす方にはめぐみんには見せなかった方の写真に写っていた子だった。
「ゆんゆん、おはようございます。ちょっといいですか?」
「おはようめぐみん。・・・所でその人は?」
「はじめまして俺はサトウカズマだ。今日からめぐみんと一緒に旅する事になったからよろしくな」
もうこれくらいするしかめぐみんの言うお礼とやらは返せないだろう。
「そ、そうなんですか。こ、こちらこそよろしくお願いします」
礼儀正しい子だ。
紅魔族はしっかり者が多いと記憶しておこう。
あの後、色々と話を聞いたが、めぐみんの紹介してくれたゆんゆんには直接話は聞けなかった。
初対面で急にこれ持ってるよねなんて聞いたら、百パー疑われて終わりだからな。
帰りにめぐみんの日課の爆裂散歩とやらに付き合わされたけど、迫力があって見応えがあった。
そして今、俺は自室で寝ようとしているのだが。
「なあ、金は渡すから他の部屋取ってこいよ。まだ空きはあるって話だぞ」
「ダメです!この部屋に入れて貰えているだけでも、またお礼する事が増えてしまっているのに、これ以上お世話になる訳にはいきません」
こんな調子で話が進まない。
俺が床で寝るからベッドでと言ったら逆ならいいと言うしずっと平行線だ。
「ならいっそ、このベッドでかいから一緒に寝るか?」
ここまで言えば、部屋を取りに行くだろう。
「分かりました。そうしましょう」
これで寝れるな。
布団に入ってと。
「よし、じゃあ俺は寝るからな金はそこに・・・今なんて?」
確認しようと振り返った時にはもう、めぐみんが布団に入っていた。
「そうしましょうと、言いました。あの、恥ずかしいので、出来れば向こうを向いておいて貰えませんか?」
「う、うん分かった」
何この甘酸っぱい展開!
日本で引きこもりしてた頃には考えられない状況だ。
やばい考えないようにしてたけど、この子結構可愛いんだよな。
俺のタイプとは違うはずなのに何故か胸が踊ってしまう。
こんな所で一目惚れしてどうするんだ俺!
あー、目をずっと閉じてるけど眠れないどうしよう。
「カズマ、起きてますか?」
めぐみんも寝れないみたいだ。
「寝てしまったようですね」
いや、起きてますけどと言いたかったけど、言えなかった。
「私はあなたの事を好きになってしまったみたいです。しっかりお礼をしたその日に告白しますね。・・・はあ、でもまさかこの私が助けられた男の人に一目惚れですか。これではチョロインですね。・・・早く気持ちを伝えられる日が・・・・・・・・・」
めぐみんの言葉はそこで止まった。
何故なら途中から目を開けていた俺と目があったからだ。
「ごめん。最初から起きてた。タイミング逃しちゃってな」
「そう、ですか。わ、私出て行きます。私なんかに好かれても迷惑ですよね」
そう言って出ていこうとするめぐみんの手を掴んで俺は言った。
「待ってくれ、俺もお前の事が好きだ!俺も一目惚れだったんだ。でも任務があったから考えないようにして、関わらないようにしてたんだ」
何やってるんだよ俺は。
このまま出て行かせれば良かったのに。
帰ったらハルに叱られるな。
てか減給されそうだ。
「ほ、本当ですか?うっ」
めぐみんは泣いて喜んでくれてる。
もういいや。
後の事は後の俺に任せよう。
俺はめぐみんを引き寄せて言った。
「嗚呼、本当だ。俺はめぐみんが好きだ。付き合ってくれ」
今日会ったばっかりの子に告白しちゃったよおい。
「はい!私なんかで良ければお願いします」
でもまあ、今が幸せならそれでいいか。
二人で愛を語り合った次の日の早朝。
「カズマ!彼女が出来たってどういう事なんですか!あなたは一体何やってるんですか!」
ハルに叱られていた。
「いや、仕事はちゃんとしてますよ。ただ、お互いに一目惚れして、偶然互いの想いを知る機会がありまして」
「ありましてではありませよ全く!そんなに親密な関係になってしまったら記憶を書き換えるのが難しいんですからね!・・・と言うか大体、あなたには記憶が無いかもしれませんが結婚相手がいるんですよ」
記憶が無い・・・あっ、そう言えば記憶に制限が掛かってるんだった。
それに俺ってば結婚してるのか。
記憶なくなったからって浮気してごめんな嫁さん。
まだキスしかしてないからどうか許してください。
「それでその人の名前はなんて言うんですか?こちらでマークしておけば、多少楽に出来ますので」
「・・・めぐみんって言う紅魔族の子です」
ハルには悪い事したな。
帰ったら、嫁さんと一緒にお詫びをしておかないとな。
「えっと、めぐみんさんですね分かりま、ちょっと待ってください今めぐみんって言いましたか?」
珍しいなハルが名前にさん付けないのって。
どうしたんだろ?
「嗚呼、めぐみんで合ってるぞ。それがどうかしたか?」
「はあ、あなたはどれだけ彼女の事が好きなんですか」
気だるそうにハルは訊ねてきた。
「どれだけとか急に言われても困る」
「そうじゃなくてですね。あなたの結婚相手はめぐみんさんなんですよ。こことは別の世界線のめぐみんさんですが」
つまり俺は浮気してた訳ではなく、本能的に好きになってしまったと、そう言う事なのか?
「記憶が消えても好きになって貰えるめぐみんさんが羨ましいですよ本当に。戻ってきたら締め上げようかと思ってましたが、そんな気も失せましたよ。もうこの件は何も言わないですから、その代わりしっかりと任務を終わらせてくださいね」
「了解。ハルありがとう。所有者とは接触出来たし仲良くなったから後ちょっとだ」
「頼みましたよ」
言ってハルは通信を切った。
ハルとの連絡から数時間経ち、めぐみんが目を覚ました。
昨日の事を思い出し、お互いに恥ずかしくなって何も喋らずに、そのままギルドまで向かった。
俺に関しては相手が結婚相手だって知らされたから、余計に恥ずかしい。
ギルドに着くとゆんゆんとまた話をして、それとなく神器の話をするように誘導していた。
「あの、カズマさんこれは絶対に内緒にしてくださいね。めぐみんにもですよ?」
そう言ってゆんゆんは内ポケットから神器を取り出した
「嗚呼、分かってるって」
「この魔道具は代々受け継がれてるんですけど、実は神器なんですよ」
うん、知ってる。
それを回収しに来たからな。
「ただこれの使い方が分からなくて、何をするものかも分からないんです」
「それ預かってもいいか?俺の知り合いに詳しいのが居るからさ」
ゆんゆんは少し悩んで応えた。
「お願いします。めぐみんが認めたカズマさんですからね。信用します」
「ありがとう。それじゃあ、判り次第持ってくるな」
「ありがとうございます」
これで任務完了!
・・・でもめぐみんともお別れか辛いな。
今日デートとかして最大限楽しもう。
「めぐみん、話も終わったしデートに」
「楽しそうでしたね。カズマ?」
めぐみんの様子がおかしい。
瞳を紅く輝かせて膨れっ面になってて、ちょっとかわいいけど怖い。
「えっと、どうしたんだ?」
「本当はゆんゆんの事が好きで私に近付いたんじゃないですか?」
「いや、何言ってんだよ。俺が好きなのは誰でもないめぐみんだ。なんなら嘘ついたら鳴る魔道具持ってきてくれ」
二人だけで話がしたいって言ったから、疑われて当然な気もするけど、こればっかりは仕方ない。
「ぷふっ、冗談ですよ。それに嘘ついたら鳴る魔道具って何ですか?そんなのありませんよ。アハハハハ。おかしいですよカズマ」
この世界にはあの魔道具がないのか。
なんて不便なんだ。
「冗談で助かったけど、そこまで笑う事ないんじゃないか?」
「だって、カズマが変な事言うからですよ」
「分かった。もうこの話は終わりだ。それよりデート行こうぜ。帰りに爆裂散歩もいってさ」
「是非行きましょう!」
デート凄く楽しかったな。
でも、もうめぐみんとはお別れか。
嫌だけどしょうがないよな。
「カズマ、腹を括ってください。時間が経てば経つほど辛くなりますよ?」
「分かってる分かってるけど、全部無かった事になるのは嫌なんだよ」
ただの我儘って事くらい分かってはいるけど我慢出来ない。
「カズマの記憶はそのまま残りますよ。ただめぐみんさんの記憶が・・・」
「それも嫌なんだよ。どうにか出来ないのか?めぐみんの記憶だけ残すとかさ」
「・・・出来なくもないです。ないですが、その世界からカズマがこっちに戻ると数日後にはそっちのカズマはその世界に転移します」
確かこの世界線の俺の転送を遅らせてるって話だったな。
「そのカズマと今めぐみんさんが知っているカズマは別人と言っても過言ではないんですよ。それなら記憶を変えて普通にそこのカズマさんと出会う方が良くないですか?」
「記憶の置換が正直に言って出来ないのは分かってんだよ。記憶消すのが精一杯なんだろう?ハル」
いつもなら些細な事だから誰も気にも止めないだけでここまで記憶に残る事をしていれば無理だと言う事は俺にも分かる。
「それはそうだけど・・・」
「そんな事したって現実との乖離を産むだけだろ?金がなかったのに今は金があるってのもおかしな話だからな」
「分かりました。めぐみんさんの記憶は残しますけど、さっきのカズマの問題はどうするんですか?」
こっちの俺と俺とで混乱する問題の事だろう。
「それは書き置きか何かで」
「カズマに関する記録は全て消えるんですよ。分かってますか?そんな事『できるわよ』アクア先輩!」
「アクアなのか?」
いつも駄女神だと思ってたけど、これからはちゃんと女神だと思うようにしよう。
「そうよ。めぐみんが好きで好きでたまらないカズマさん。このアクア様が直々に伝授してあげるわ。方法は簡単よ。あんたの思い入れのある物をそこに置いといて、その近くに書き置きを残せば両方をその世界に残せるわ」
言い方に腹が立つが教えてくれてるから我慢しよう。
「それだけでいいのか?」
「ええ、私は伝えたから帰るわね。ハル、ダメじゃない。ちゃんと恋愛禁止を命令しとかないと、カズマは生粋のロリコンなんだからどこに行ってもめぐガチャ・・・」
ハルが空気を読んで通信を切った。
あの駄女神帰ったら覚えてろよ!
俺は何度も何度も書き直し、別れの手紙を書いた。
思い入れのある物は学校のジャージにした。
日本の物だからな多少は思い入れのある物だ。
「よし、準備も出来た。めぐみん楽しかったぞ。またな」
うっ、涙が止まらない。
せめて別れの挨拶ぐらい言いたかったな。
そして俺がハルに合図を送ろうとしたその時。
右袖を引っ張られた。
振り返るとさっきまで寝ていたはずのめぐみんが起きていた。
左手には俺のジャージがあり、めぐみんは口を開いた。
「この前の仕返しですよ。胸騒ぎがして起きてみたら、カズマが隣に居なくて、ビックリしました。それに別れの言葉をぶつぶつ言いながら何かを書いてましたし」
女の勘ってやつか。
凄いな。
めぐみんは冷静を装ってるけど、目には涙が浮かんでいて、俺のジャージを握り締めている。
「いつか・・・必ず会いに来てくださいね・・・」
ここで引き止められたら危なかった。
多分俺はここに残ってしまうだろう。
話の解る子で良かった。
「嗚呼、記憶が無いかもしれないけど、必ず会いに来る」
そう言い切ってハルに合図を送った。
「約束、ですからね!」
俺はその言葉に答える事なく、この素晴らしい世界から離れた。
おっ、無事に戻って来れたみたいだな。
あれ何でみんな泣いてんの?
てか何でハルだけじゃなくてアクアとエリスもいるんだ?
あれ?俺も泣いてる?
・・・あっ、思い出した。
俺、まためぐみんの事好きになって、感動のお別れをしたんだった。
「あの後、どうなったんだ?」
俺の質問にハルが応えた。
「めぐみんさんは転送されたあちらのカズマのパーティーに入りました。そして、カズマへのお礼だと思ってあっちのカズマを甘やかしまくってますよ」
「そ、そうか。それで結局記憶の方どうなるんだ?流石にずっと残したりはしないだろ?残ってて欲しいけど」
「その内自然と忘れますよ。向こうのカズマは此方のカズマよりも性格がいいですからね」
そういうものなのか。
・・・。
「おい、それはどう言う意味だ?」
「めぐみんさんに甘やかされてるからそこまでやさぐれてないって事ですよ」
そうだよな。
俺も問題児三人も抱えてなかったらセクハラとかしてなかったと思う。
「それは違うわね。こっちのカズマは根っこからダメであっちのカズマさんがちゃんとしてるのよ」
「よし、駄女神表出ろ!ハルが途中で切ったけど、俺の事ロリコン呼ばわりした事とまとめて説教してやる!」
「プークスクス。エリスの所有物に成り下がったカズマが私に説教とかチョーウケるんですけどー!」
「先輩!カズマさんは別に私の物じゃないですよ!私の者なんです!」
エリス様それフォローになってないです。
てか言ってから照れてる所可愛いな。
おっといけないハルからジト目で睨まれてる。
さっさとアクアの説教に行こう。
すずみや みつきさん今回はイラストを使わせて頂きありがとうございました!
更にpixiv用にリメイクまで本当にありがとうございました!!
めぐみんのその後は皆さんのご想像におまかせします。
カズマさんの誕生日話は誰視点が良いかについて
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カズマ視点(天界)
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カズマ視点(討伐後)
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ヒロインズの誰か視点(天界)
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ヒロインズの誰か視点(討伐後)