この素晴らしい世界に●●を!めぐみんのターン   作:めむみん

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フハハハハハ、三週連続漢字四字だと思ったか読者様よ!
えっ、思ってなかった?
・・・冗談はこれ位にしておきましょう。

遂にアクセルの街に災厄が齎されます。

*修正しました(1/20)


進撃の 機動要塞(デストロイヤー)

-SHINGEKINODESTROYER-

 

混浴事件はダクネスを除くパーティー全員の秘密になった。

アクアが酔った勢いでバラさないか心配だけど、広まらずに済んで良かった。

今日もいつもと変わらず、カズマ探しをして、爆裂散歩に行こうとしていたその矢先。

 

『デストロイヤー警報!デストロイヤー警報!機動要塞デストロイヤー接近につき、住民の皆様は直ちに避難してください!避難口は三番口及び四番口です!冒険者の皆様は至急ギルドに集まってくださーいっ!お願いしますっ!・・・』

 

緊急クエストが発令された。

ルナの放送から焦りが見える。

以前よりも声が震えている為、若干の不安が残る中、私はゆんゆんと共に屋敷を出た。

 

 

 

ギルドに着くと逃げようとするアクアを取り押さえているカズマとダクネスがいた。

他の冒険者も出来れば逃げたいようで、持ち物が大きめの鞄ばかりだ。

 

「お集まりいただきありがとうございます!只今より、対機動要塞デストロイヤー討伐の緊急クエストを行います。本クエストはレベルや職業を問わず、全員参加でお願いします!住民の方には避難して貰っていますが、このままでは間に合いません。住民の避難が済み次第。無理と判断した場合は街を捨てて逃げてください!皆様が最後の砦ですどうか、よろしくお願い致します」

 

ルナさんの話を聞き、逃げようと考えていた者は居なくなった。

 

「皆さん、ありがとうございます!ではこれより対機動要塞デストロイヤー戦の作戦会議を行います!」

 

武器を仕舞っていた冒険者達が装備し始めた。

 

「現在デストロイヤーは、正面入口に約三十分後に到着すると予測されています。準備時間が足りない為、デストロイヤーに関する説明は割愛させて頂きます」

 

今回は余裕がないらしい。

 

「今回のクエストは遅滞戦闘が主になりますが、デストロイヤーには対魔法結界が張られており、近付くと潰されてしまう為、弱体化を図る攻撃行為は無しでお願いします」

 

ざわつく冒険者達に不安が蓄積されて行く。

 

「万が一、死者や重症者が出たとしても、救出せず退避し、安全が確認されてからの回収を心掛けてください」

 

あまりにも残酷な方針だが、逆らう者は誰一人として居なかった。

そんな中、カズマが口を開いた。

 

「なあアクア、お前ならその結界破れるんじゃないか?前にウィズがお前なら幹部全員倒さなくても結界を破壊出来るって言ってたしどうだ?」

「そんな事、言ってたわね。やってみないと分からないけど、出来ると思うわよ。確約はしないけどね」

 

周りの冒険者やギルド職員の期待がアクアに集まり始めた。

 

「破れるんですか!?デストロイヤーの結界を!?」

 

ルナさんもいつになく取り乱している。

 

「いや、確約は出来ないそうですけど、可能性的には有るって話です」

 

カズマは周りからの期待の眼差しに、どう対処するべきなのか困っていた。

ギルド内はそんなカズマの事はお構い無しにどよめいていた。

 

「あの、一応やるだけやって貰えませんか?もし結界が無くなれば魔法攻撃が可能に・・・あ、でも、デストロイヤーには普通の火力じゃ効果は無い。駆け出しのこの街に、そんな火力はないですよね」

 

私の事を忘れて、不安になっていく職員の人だったが、冒険者はそうではなかった。

 

「いるじゃねえか。火力持ちなら頭のおかしいのが」

 

これを皮切りにギルドが湧いた。

そして私の頭も沸いた。

 

「おい待て!もしそれが私の事を指しているのなら、今ここで私の頭がいかにおかしいのかを証明する事になる」

 

私が杖を構えるとみんな一斉に目を逸らせた。

 

「めぐみん、気持ちは分かるけど、本当に撃つなよ」

「分かってます。カズマに迷惑をかける事はしませんよ」

 

時と場所は弁えている。

 

「そうか。なら、今度から子供相手に本気の喧嘩しないで欲しいんだけど」

「それは、あの子供達が私の事を馬鹿にするのがいけないんです!紅魔族は売られた喧嘩は買う種族なんですよ!」

 

胸がないから、オカマかもとか言われて、怒らない女性が居ると言うなら会ってみたい。

それに喧嘩を買わない紅魔族はゆんゆんしか居ない。

 

「いけないんですじゃねえよ!親御さんに謝りに行く俺の身にもなれ!てか喧嘩買う種族ってなんだよ!」

「何故私が怒られなければならないんですか!元はと言えば、あの子達がカズマの事をぱっとしない弱っちい、運だけの男だって言っていたから注意したんですよ。その時に、小さいだのなんだのと言い出したんです!」

 

我が種族に対する言葉は聞かなかった事にしておこう。

 

「めぐみん、ごめん。俺が間違ってたよ。それとありがとう。今から避難口に行って、クソガキどもに地獄を見せてやろう」

 

言わなかったのが幸をそうし、カズマの引き込みに成功。

 

「待てカズマ!状況を考えるんだ!それに相手は子供なんだから見逃してやれ」

 

荒ぶるカズマに、ダクネスが鎮めようとした。

しかし、カズマは抵抗する。

 

「何言ってんだよダクネス。この状況だからだろ?社会ってのを分からせる為に、俺とめぐみんを侮辱した奴らには、最前線の恐怖を味わせてやるんだよ!だからこの手を今すぐ離せ!」

「お前は何をしようとしているんだ!そんな羨ましい・・・ではなくてそんな危険な事を子供たちにさせる訳にはいかない!・・・ハアハア、代わりに私が受けよう」

 

ダクネスが珍しく常識人的行動をとっていると思ったら、結局いつも通りだった。

 

「今、羨ましいって言わなかったか?」

「言ってない」

「いや、言ったろ」

「言ってない」

「・・・」

 

このくだりも懐かしい。

カズマはこれで少し落ち着いたようだった。

 

「で、めぐみん的には攻撃出来そうなのか?」

「狙いについては保証出来ますが、破壊に至るかは分からないです」

 

いくら、あの頃よりもステータスが上がっていると言っても、デストロイヤーは一筋縄とはいかないだろう。

 

「爆裂魔法でも破壊しきれないかもしれないのか。他に高火力な攻撃手段は・・・」

「あのー、すいません。遅れました。高火力の魔法でしたら、わたしも爆裂魔法が使えますがどうですか?」

 

バッチリなタイミングでウィズが登場。

 

「おお!店主さんだ!」

「貧乏店主さんが来た!」

「店主さんいつもお世話になってます。夢で」

「これで勝てる!勝てるぞ!」

 

一人変なのが混じっていたが、ギルド内は歓喜に包まれた。

 

「なあ、ウィズって有名なのか?凄い人気だけど、一体どうなってんだ?ていうか、貧乏店主は可哀想だからやめてやれよ。確かに儲かってなさそうだけども」

 

カズマは近くに居たテイラーに尋ねた。

 

「知らないのか?ウィズさんは元冒険者で、凄腕のアークウィザードだったんだ。確か、二つ名を持つ程に。やがて引退して、姿を消していたけど、ある日この街に店を開いたんだ。まあ、カズマも知ってる通り、あの店には駆け出しの冒険者には見合わない物が多いから、皆、何も買わずに、美人店主をこっそり覗きに行ってるんだよ」

 

覗きに行くなら要らなくても何か買ってあげろと言いたい。

カズマも思う所があるのか同情の目でウィズを見ていた。

 

「ウィズさんお久しぶりです。ギルド職員一同。歓迎します!さあこちらへどうぞ」

「ありがとうございます」

 

先導されるまま、席につくウィズ。

ギルド職員に頭をぺこぺこ下げるリッチーってどうなんだろう?

 

「それでは店主さんにお越し頂いたので、改めて説明をします。まず、アークプリーストであるアクアさんが結界を破壊。その後に頭のおか・・・、めぐみんさんの爆裂魔法で攻撃を仕掛けると言う話になっているのですが」

 

よし、この戦いが終わったら真っ先に嫌がらせをしよう。

私の視線に気付いたのか、ルナは他の職員の後ろに隠れた。

 

「なら、私とめぐみんさんで交互に脚を狙って攻撃すると言うのはどうでしょう?脚さえ壊せれば後は何とかなると思うのですが・・・」

 

職員や冒険者全員がこの案に乗った。

詳しい作戦の指揮はカズマ持ちになった。

カズマの巻き込まれ体質は変わらないようだった。

 

 

 

作戦が順調に進んで行く中。

カズマは急な役決めだった為、あまりの重責に苛まれている。

 

「どうしよう?もし失敗したらどうすればいいんだ?」

「落ち着けカズマ。お前がその調子では、周りの士気が下がってしまう。それにカズマなら何とかなるだろう」

 

励ましにもなっていない励ましだったが、ダクネスの言葉はそれなりに響いたらしい。

 

「そうだよな。俺がしっかりしないとだよな」

 

カズマは自分の顔を叩いて気合いを入れた。

 

「じゃあダクネスは前衛の指揮を頼む。出撃の合図を出すからそれまでは下で待機してくれ。ゆんゆんも下でダクネスの補助を頼む」

「「任せて(くれ)」」

 

言って、二人は最前線へと向かった。

 

「めぐみん、準備出来てるか?ウィズは心配ないけど、あっちにアクアを置いてきたのが心配だ」

「私はいつでも大丈夫です。アクアも多分、大丈夫ですよ」

 

まだ不安が残るのかカズマは考え込んでいた。

 

「・・・めぐみん悪い、下の様子が気になるから、ちょっと離れるけど、デストロイヤーが見えてきたら、俺が居なくても手筈通り指示出してくれ」

 

そう言ってカズマは私の返事を待たずに降りて行った。

 

 

 

カズマが帰って来たが、未だにデストロイヤーは見えてこない。

戻ってきたカズマは使命感に駆られた表情をしていた。

 

「何があったんですか?」

「いや、ダクネスが何があっても私は引けないとかバカな事言い出したから、絶対に倒さないとなって思ってたんだよ」

 

貴族としての責任を感じているのだろう。

 

「はあ、こんな時ぐらい性癖は抑えてくれって話だよな」

 

多分カズマもダクネスの思いは分かっているはずだ。

でも私の緊張を解く為に、冗談めいてそう言った。

 

「ダクネスらしくていいじゃないですか。それに私達なら倒せますよ。きっと」

「そうかな。そうだといいんだけどな」

 

そう言って遠い目をしながら、見えてきた機動要塞をカズマは見つめていた。

 

 

 

『冒険者の皆さん!現在デストロイヤーを捕捉しました!完了していない工作活動は中止し、速やかに所定の位置までの撤退、及び移動を開始してください!』

 

放送は職員が行っているが、指示は全てカズマが行なっている。

前線の方では諦めの声が上がっているが、ダクネスが鼓舞してなんとか士気を保っている。

 

「アクア!そろそろやってくれ!」

「分かったわ『セイクリッド・ブレイクスペル』ッ!」

 

アクアの放った光の玉は結界の解除に成功した。

カズマはそれを確認すると、ウィズに合図を送り、ウィズもまた了承の合図をした。

 

「めぐみん、後は頼んだぞ」

「任せてください!足止めぐらい余裕です!」

 

ウィズが詠唱を始めたので、こちらも始めた。

 

「頼もしいな」

 

カズマが絶対に言ってくれなかった言葉を貰えて、最高の気分で私は詠唱を終え、爆裂魔法を放った。

 

『『エクスプロージョン』』

 

私達の爆裂魔法はデストロイヤーの脚を一つ残らず破壊し尽くした。

塵一つ残す事なく。

今回の勝敗はどっちが勝ったのかよく分からなかった。

だから、カズマに決めて貰おう。

 

「カズマ、今日のは何点ですか?それと私とウィズのどちらが上だと思いますか?」

「・・・」

 

カズマは返事をせずに、考え込んでいた。

それだけ、判定が難しいのだろう。

 

「・・・二人とも百点だな」

「ありがとうございます!」

 

ウィズと同点というだけで、満足だ。

 

「でもウィズと比べてもめぐみんの方が僅差で上だと思うぞ」

「本当ですか!私の勝ちでいいんですか?」

 

ウィズに勝てるとは思っていなかったから、尚嬉しい!

 

「嗚呼、威力は同等で結果も一緒に見えるけど、一つだけ違う所がある」

 

なんだろう?

特に違いはなかった筈なのに。

 

「それは、爆風だ。ウィズの方はそのまま炸裂していたけど、めぐみんは爆風が抑えられていて、安全に配慮されていた。だから今回はめぐみんの勝ちだな」

 

私には分からなかった違いを見いだせるとは、流石爆裂ソムリエのカズマだ。

 

「ありがとうございます!ありがとうございます!・・・あの、おんぶして貰えませんか?床が冷たくて体が冷えてきたので、お願いします」

「分かったよ。今からダクネス達と内部に入るから、暖かい場所まで運ぶからな」

「いえ、そのまま連れて行ってください。中の様子を見てみたいのでお願いします」

 

前回見られなかったから、気になっていた。

これほど大きな要塞を作ることの出来る技術を知りたい。

 

「いいけど、おんぶして行くのはきついと思うぞ。登れないかもしれないし」

「そこはウィズのドレインタッチで動ける様にして貰います」

 

まだカズマは覚えていないから、いい機会かもしれない。

 

「ドレインタッチ?何かは知らないけどそれで動ける様になるんならウィズの所に行くか」

 

私達が移動を開始しようとしたその時。

 

「終わったのか」

「倒したんだ!私達はあの災厄を」

「これでまたあの店に行ける」

「これでこの街で、結婚式をあげられる」

 

続々とフラグが建設されて行く。

そして待ってましたと言わんばかりに警報が鳴り響いた。

 

『当機の機動停止を確認。当機の機動停止を確認。排熱及びエネルギー消費が出来なくなっています。搭乗員は速やかに、当機から離れ、避難してください。当機の・・・』

 

「あいつら馬鹿なのか?アクアが何も言わないと思ったら、みんなで仲良くフラグ立てやがって」

 

カズマのツッコミに敢えて私は何も言わなかった。

 

 

 

手筈通りダクネスの元に集合した後、ウィズに魔力を分けて貰って、私は戦線復帰した。

ついでにスキルポイントが余っていたカズマがドレインタッチを覚えた。

アクアも居たから、少し揉めたがカズマが酒で黙らせた。

 

「これやばくないか?逃げた方がいいんじゃ・・・」

 

そんな一人のつぶやきに冒険者達に不安が蔓延していく。

 

「多分この後ボンってなるんじゃないかと思う。この場合だと」

 

カズマの一言で、みんな静まり返ってしまった。

そんな中ウィズが泣きそうな声で独り言を言った。

 

「店が・・・、このまま街が被害に遭ったら、お、お店が無くなっちゃう・・・・・・」

 

これを聞いた冒険者、いや男性冒険者の士気が急激に上がった。

それに釣られて女性冒険者の士気も上がったと言う方が正しい。

恐らく、男性陣の盛り上がりはウィズの店を守ると言う趣旨ではなく、サキュバスの店の事だろう。

これだけ浸透しているとは思っても見なかった。

カズマが治安悪化に繋がるから潰すのだけは止めてくれ、と言うか殺されるから頼むと泣きついて来た理由が分かった。

 

『機動要塞デストロイヤーに、乗り込む奴は手を挙げろ!!』

 

カズマの扇動もあり、冒険者達は勢いづいていた。

アーチャー達が、フック付きのロープを甲板に架け、みんなそこ目がけて走り出した。

 

「「「乗り込めっー!」」」

 

魔王軍が城攻めしているかの様な奇声をあげて、冒険者が乗り込んで行くと言う異様な光景が広がっていた。

 

「う、うわぁ・・・。ねえ、あの中に入りたくないんですけど、もうみんなやる気に満ち溢れてるから、帰って良いわよね」

 

アクアの引き気味の発言には同意だが、中に入りたいから我慢するしかない。

 

「何言ってんだ。みんなが頑張ってんのに俺らだけ逃げられないだろ。ダクネスは、その、重くて登れないだろうから、ここで待っててくれ、他のみんなはついてきてくれ」

「ちょっと待ってくれ。その言い方だと、私が重いみたいではないか。ちゃんと鎧が重いと言ってくれ」

「異論はないな。それじゃあ行くぞ!」

「無視だと!・・・ハアハア、やっぱりカズマはいつでも容赦ないな」

 

もはや、誰も反応する気は無く、ダクネスを一人興奮させたまま、私達は他の冒険者の後に続いた。




サブタイはこのすば風にしました。
私、この章が終わったらクリスマス(クリスの誕生日)回を書くんです(フラグ感)

カズマさんの誕生日話は誰視点が良いかについて

  • カズマ視点(天界)
  • カズマ視点(討伐後)
  • ヒロインズの誰か視点(天界)
  • ヒロインズの誰か視点(討伐後)

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